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勤怠管理とは?いまさら聞けない基本的な知識を徹底解説!

勤怠管理とは

勤怠管理とは人事担当者が関わる主な業務の一つです。今回の記事では、勤怠管理とはどのようなものなのかという基礎的なことから、勤怠管理の方法、行う際の注意点を紹介していきます。企業に必要な業務だからこそ、正しい知識を身に付けてください。

「就業」と「勤怠」の意味

「就業」の意味は、その日の業務に従事すること、仕事に取りかかることを指します。

「勤怠」の意味は、仕事に励むことと怠けること、また、出勤と欠勤のことです。

下記で詳しく解説していきます。

就業とは

就業とはその日の業務に取りかかることです。例えば、朝9時に就業する・就業規則を守るといった使われ方をします。「業」という字は、「事業」や「業務」などにも使われています。このことから、「就業」とは会社に出社して、その日の業務をすることとなります。

勤怠とは

勤怠とは出勤や欠勤などの社員の出勤状態を表すものです。社員がどの程度労働や残業、休憩、休暇を取っているのか把握します。「勤怠」はこの他にも「仕事に励むこと」や「怠けること」といった意味でも使われます。また、「勤怠」と同じ意味の言葉に「勤惰(きんだ)」という言葉もあります。

勤怠管理が必要な理由

勤怠管理が必要な理由として、社員の就業状態を適切に把握、管理し、適切な給与の支払いや過重労働などを未然に防ぐためです。勤怠労働は企業が社員を守るための責務であり、責任をもって実行しなければなりません。労働基準法第108条に使用者は、事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省命令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」ことが明記されています。また、平成29年に策定されて労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」には「使用者には労働時間を適正に把握する責務があること」が提示してあります。

労働時間の定義

よく「労働時間」と「勤務時間」の2つの言葉を聞きますが、この2つには明確な違いがあります。まず勤務時間とは始業時間から就業時間までのことです。それに対して労働時間とは勤務時間から休憩時間を差し引いた時間のことです。ですので、勤務時間が9時から17時の場合、勤務時間は8時間となります。そして休憩が1時間ある場合は労働時間が7時間となります。

そして、労働時間にも所定労働時間や法定労働時間などといった考え方があります。

「所定労働時間」は企業が法定労働時間何であれば、自由に設定可能な労働時間です。

「法定労働時間」は労働基準法で定められている労働時間で、原則として週40時間、1日8時間と定められています。この時間を超える場合は法定時間外労働と言われ、いわゆる残業となります。法定労働時間は「1か月単位の変形労働制」や「1年単位の変形労働制」といった、1ヶ月、1年の労働時間を平均して、1週間40時間にする制度もあります。

休憩時間の定義

休憩時間は労働基準法第34条により、労働時間に応じて決まります。

労働時間が6時間以下の場合、休憩時間は不要とされています。労働時間が6時間以上8時間以下の場合、休憩時間は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は1時間以上取るように決められています。

休憩時間の原則として、まずは労働時間の途中に与えなければいけないことです。一気に労働させて後からまとめて休憩時間を与えることはありません。そして、休憩時間は仕事をさせてはいけません。休憩時間と労働時間を明確に分けることが難しくあいまいな部分が生じることもあります。そして原則として、休憩は一斉に与えなければなりません。しかし、職業によっては難しいものもあるため、例外が設けられているものもあります。

勤怠管理を行うべき企業・事業所

厚生労働省によると、勤怠管理の対象は労働時間の規定がされない農林水産業などの環境に左右される労働者や記者などを除くすべての労働者とされており、ほぼ全ての企業・事業所で勤怠管理を行うべきです。農林水産業の従事者には労働時間の規定は適用されませんが、責任者は適切な労働時間の管理をしなければなりません。

勤怠管理により管理する事項

企業は従業員の勤怠を適切に管理しなければなりません。勤怠管理により管理する事項には、始業時間や終業時間、休憩時間、休日、時間外労働まで正確に把握する必要があります。勤怠管理を正しく行い、適切な給与の支払い、過重労働の予防に繋げていかなければなりません。

勤怠管理の方法

厚生労働省のガイドラインによると、原則として、使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること、と定められています。

詳しくは厚生労働省のガイドラインを参考にしてください。労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

タイムカード

タイムカードは現在広く使用されている勤怠管理の方法の1つです。出社時、退社時に時刻を機会で打刻、勤怠を管理します。タイムカードの集計作業には膨大な手間がかかり、担当者の負担は増加します。また、従業員が打刻機まで行く時間も無駄だと考えられます。しかも、タイムカードは誰かに代わりに記録してもらえるなど、不正に記録させることをあるので記録が適切かチェックする必要もあります。そのため、不正を防ぐ仕組みをつくるか、タイムカードの使用をやめ、別の方法で勤怠管理をすることも考えなければなりません。

Excel表

従業員の出勤時刻や休暇などの情報をExcel表で記録する方法です。人事担当者などの管理する側はそこまで難しい関数を使用する必要がなく、Excelの基本的な操作ができれば問題ないです。テンプレートを使用すれば、所定の場所に従業員の情報を打ち込むだけで良いので、簡単にできます。

しかし、テンプレートを使用する場合は自社の勤務形態に合っていない場合があるかもしれないので、事前に関数を組み直す必要も出てきます。残業や休日出勤が適切に処理できるか、必ず確かめてください。

出勤簿

従業員が出退勤の時間を手書きで記録する方法です。しかし、この方法は毎月、手作業で集計しなければならず、集計に時間がかかることや、集計ミスが起こる可能性があることです。また、出勤簿は自己申告制であるため事前に従業員に理解してもらったうえで管理しなければなりません。そして、自己申告制であるため、不正が発生する可能性もあります。

勤怠管理システムのメリット

システムを導入することで自分のパソコンやスマホでも打刻できるようになるので、記録をスムーズに取ることができ、打刻ミスを防げます。また、出勤簿などと違い、データを手作業で入力しなくて済むので、転記ミスも防げます。人的ミスを防げるので、出勤時間を正確に記録でき、正確な給与計算ができるようになります。

タイムカードや出勤簿などの従来の勤怠管理の方法だと、誰かが代わりに記録することができたり、打刻時間を不正できたりしました。しかし、勤怠管理システムの中には生体認証機能が付いているのもありますので、他人による不正打刻を防止できます。また、従業員の勤務状況が正確に記録されているため不正打刻の防止にもなります。

勤怠管理システムのタイプ

上記で勤怠管理システムのメリットを紹介しました。それでは次に、勤怠管理システムにはどのようなタイプのものがあるのか紹介していきます。主に3つのタイプがあり、一つずつ詳しく紹介していきます。

クラウドタイプ

インターネット上のクラウドサーバーを利用して、従業員の勤怠管理を行うタイプです。クラウドタイプは導入コストが低く、アカウントを作成するだけでよいので、簡単に導入できます。また、自動でアップデートをしてくれるため、法改正への対応が素早くできます。それだけでなく、不具合が発生した場合でも、早急な対応が可能となっています。そして、クラウドタイプはオンライン上にあるので、インターネットに接続されている端末さえあれば、いつどこでも利用できます。

オンプレミスタイプ

オンプレミスタイプは自社でシステムを構築し、導入するため、クラウドタイプと比較して導入コストが高額になります。その他、サーバーとシステムを自社で運用しているため、システム部門の人件費や法改正によるシステムの改良など、ランニングコストや手間も多くかかってしまいます。ただ、自社開発をしているため、自社の勤務状況に合わせたシステムを構築できますし、サーバーも自社で保有しているのでセキュリティ面でも強化できます。

タイムレコーダータイプ

ICカードを使用して、利用して勤怠管理を行うタイプです。紙のタイムカードとは違い、本人しか打刻できないため、不正打刻を防げます。交通系ICカードや決済系ICカードにも利用できるため、導入コストも低くできます。パソコン操作が苦手な方でも安心して利用できます。最近ではタブレットアプリによっても勤怠管理が行えるタイムレコーダーもあります。複雑な集計機能もあり、給与計算システムとの連携も簡単となっています。

勤怠管理を行う際の注意点

これからは企業が勤怠管理を行う際の注意点について紹介していきます。

テレワークの従業員の勤怠管理

新型コロナウイルスの影響もあり、従業員が自宅で業務を行うテレワーク勤務を導入する企業が増えています。テレワークの場合、タイムカードやICカードで勤怠管理を行うのが難しくなります。そのため、従業員がオンラインで出退勤時間を自己申告しなければなりません。自己申告制なので、不正打刻が発生する可能性があります。テレワークを導入する企業は事前に勤怠管理の社内ルールを明確にし、従業員に説明をして、理解を得ることが大切になってきます。

扶養控除を希望する従業員の勤怠管理

従業員の方の中にはアルバイトやパートで働いている方もいます。そういった方は扶養控除内での勤務を希望する人も多いです。そのため、企業は事前に従業員の希望を聞き、103万円、もしく130万円の壁を超えないように勤務を調整する必要があります。従業員一人一人に合わせた、勤務づくりをしていかなければなりません。

まとめ

今回の記事では、勤怠管理とはどのようなものなのかという基礎的なことから、勤怠管理の方法、行う際の注意点を紹介しました。企業には従業員に適正な給与を支払うことや過重労働を防ぐ責任があります。今回の記事で紹介したポイントや方法を利用し、従業員の勤務状況を正確に把握するようにしてください。勤務管理をきちんとやっていくことで労働環境の改善に繋がっていきます。