スキルアップとは何か? 効果的にスキルを伸ばす方法やコツを徹底解説!

スキルアップは学習や経験を通して自身の能力や技能を高める、自身の価値を向上させるために欠かせない要素です。
しかし、「何から始めればよいか分からない」「思うように成長できない」と感じる人も少なくないでしょう。
また、従業員のスキルアップの方法に悩んでいる企業も少なくないのでしょうか。
本コラムでは、スキルアップの基本的な意味から、効果的な実践方法、成果につなげるためのコツまでをわかりやすく解説します。
スキルアップの意味とは?
スキルアップとは、学習や経験を通して、能力や技能を高めることを指します。
個人が自ら実施することもあれば、企業が従業員に向けて行うこともあります。
本項目では、社会人の求められるスキルや、キャリアアップとの違い、ビジネススキルの分類について解説します。
社会人に求められるスキルとは
「スキル」とは、一般的に訓練や学習などを通じて習得した能力のことを指します。
社会人に求められるスキルは、単に能力というだけでなく、知識や経験、マインド、保有資格など、さまざまなものがあります。
キャリアアップとスキルアップの違い
スキルアップとよく似た言葉に「キャリアアップ」がありますが、キャリアアップとは、自分の「キャリア(経歴)」を向上させることを意味します。
例えば、一般職から管理職に昇進することや、転職をしてより高度な職務に就くことなどがキャリアアップの一例です。
このように、より高い役職や責任のある仕事に就くことが、キャリアアップに該当します。
カッツ理論で見るビジネススキルの分類
カッツモデル(またはカッツ理論)とは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した理論で、役職や職位に応じて必要とされるスキルを3つの分類に分けたものです。
その3つのスキルとは、
「テクニカルスキル(技術的能力)」
「ヒューマンスキル(対人関係能力)」
「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」
です。
カッツは、これらのスキルの重要度が役職の階層によって異なることを示しています。
スキルアップを達成するために必要なアクション
本項目では、スキルアップを達成するために必要なことや、取り組む際に意識しておくポイントを解説します。
将来のビジョンやキャリアプランを明確にする
スキルアップを達成するためには将来のビジョンやキャリアプランを明確にすることが重要です。
そのためにまずは、現在の自分の能力や実績を振り返り、一覧にして把握します。
現状を把握できたら、次は将来についてじっくり考えてみましょう。
今の仕事や環境で感じている不満は何か、そして将来的にどんな姿を目指したいのか――。
自分の気持ちや価値観を見つめ直すことで、進むべき方向や理想のキャリア像を明確にしていくことができるでしょう。
目的や目標、必要なスキルを明確にし、逆算して計画を立てる
現状を把握した後は、目的や目標を設定し、それに基づいて具体的な学習計画を立てましょう。
そうすることで、いつ、何を、どのように学ぶ必要があるかを明確にすることができます。
このように、逆算して計画を立てることで、より効果的な学習を進めることができ、スキルアップの達成に近づくことができるため、事前に目的や目標、必要なスキルを明確にすることを意識してみてください。
スキルアップのための基礎手順
どのような手順を踏めば効果的なスキルアップを実現することができるのでしょうか。
本項目では、基礎的な5つの手順を解説します。
成長目標を設定する
スキルアップに取り組む前に、まずスキルアップの目的を明確にすることが重要です。
将来のキャリアビジョンや達成したい目標と結び付けて考えることで、どのスキルを重点的に高めるべきかが明確になるうえ、スキルアップのモチベーションも向上するでしょう。
そうすることで、スキルアップのプロセスがより計画的かつ効率的に進められます。
スキルの現状分析を行う
スキルアップの目的を定めた後は、自分の現在のスキルを整理・確認することが必要です。
自分の現在のスキルを整理・確認することで、自身の得意な分野や不足している点などの強み・弱みが明確になります。
そうすることで、スキルアップの目的に合わせた学習計画を立てることができるようになるでしょう。
今後求められるスキルを見極める
スキルアップを効果的に進めるためには、業界の動向や自分の将来のキャリアの方向性を踏まえて、今後必要となるスキルを明確にすることも重要です。
求められるスキルは時代とともに変化するため、最新の情報を収集し、自身のキャリアにとって必要となるスキルは何かを明確にすることが、戦略的なスキルアップにつながるでしょう。
スキル習得の手段・アプローチを計画する
必要なスキルが明確になったら、それを習得するための方法を考え、計画することが大切です。
スキル習得の手段・アプローチには、書籍やオンライン講座、実務経験、社内外の研修などさまざまなものがあるため、複数の手段を比較検討し、自分に合ったアプローチを選びましょう。
十分に検討を行い、計画的に取り組むことで、効果的なスキルアップが実現できます。
人材育成施策を通じて社員の能力開発を促進する方法
人材育成施策を通じて社員の能力開発を促進する方法について解説します。
研修・教育体制の強化
人材育成の主要な方法のひとつに研修があります。
研修では、人事部門が中心となり、企業活動に必要な教育プログラムを策定し、人事施策として社員に対してスキルアップの機会を提供します。
これには半強制的な側面もあり、社員は積極的に参加することが求められるます。
職場内研修(OJT)
OJTとは、「On-the-Job Training」の略で、実際の職場や現場において、上司や人材育成担当のトレーナーが実務を通じて社員を指導する教育方法です。
実際の業務を行いながら学ぶため、実践的で効果的なスキル向上が期待されます。
職場外研修(Off-JT)
Off-JTとは、「Off-the-Job Training」の略で、事前に日時や場所を決めて、集中的に行われる研修やセミナー、または個別に進める通信教育などを指します。
職場外で実施されるこれらの活動は、主に知識や理論を習得することを目的としています。
人事制度・支援体制の強化
社員のスキルアップを促進するためには、人事制度やサポート体制の充実および再検討が効果的です。
ここでは、代表的な方法を紹介します。
各種手当の充実
社員へのインセンティブとして手当の充実は効果的な方法の一つです。
社員が資格を取得したり、特定のスキルを習得した場合、その難易度に応じて、毎月一定額の手当を永続的に支給する制度です。
手当の充実を行うことで、従業員のモチベーションが向上し、スキルアップをより促進することができるでしょう。
福利厚生およびスキルアップ支援の拡充
福利厚生の観点から、社員のスキルアップをサポートする方法もあります。
例えば、資格取得に必要なスクールの授業料や通信教育費用を会社が一部負担することで、社員の学びを支援する仕組みです。
費用を一部負担することでスキルアップに取り組むハードルが下がり、社員のスキルアップを促進することができるでしょう。
評価制度および報酬体系の見直し
人事評価制度および賃金制度の見直しとは、業務に必要な資格の取得や保有を評価項目に加え、それに基づいて評価や報酬を反映させる仕組みの導入です。
評価項目と紐づけることで、資格取得のメリットや評価の基準が明確になり、従業員のモチベーションアップが期待できるでしょう。
人事異動および職務配置の変更(ジョブローテーション)
社員のスキルアップをサポートするためには、異動やジョブローテーションを通じた職務の変更も効果的な手段となります。
職種や部署ごとに求められるスキルは異なるため、ジョブローテーションを行うことで、今までとは違ったスキルの獲得につながるでしょう。
ただ、新しい職務を通して得られるスキルが、社員の求めるものと異なる場合や、新しい職務の得手不得手、新しい人間関係で問題が生じた場合にはモチベーションの低下につながるリスクもあるため、注意が必要です。
個人のスキルを向上させる方法
個人のスキルを向上させる方法は、さまざまなものがあります。
本項目では具体的な例を4つに分けて解説します。
社内教育プログラムの活用
社内に研修制度が整っている場合は、その制度を活用することをお勧めします。
研修制度を活用することで、研修受講後に支援金や報奨金が支給される場合や、個別に受講するよりも低コストでサービスを利用できる場合があるため、学習へのモチベーションの向上にもつながり、結果的にスキルの向上ができるでしょう。
専門知識を証明する認定の取得
個人のスキルを向上させるためには、専門知識を証明する資格や認定を取得することも有効な方法のひとつです。
資格や認定を取得することで、履歴書や職務経歴書に記載できるだけでなく、誰にでも理解しやすい形でスキルアップを示すことができます。
そうすることで、社内の昇進や転職などのキャリアアップの際にも大きな強みとなるでしょう。
書籍・動画を使った独学
独学で学ぶ場合には、書籍やオンライン動画などを活用する方法もあります。
自分のペースで学習を進められるため、時間を抑えることができるほか、比較的低コストで始められるため、費用も抑えながら効率的に知識を身につけ、スキルアップを図ることができます。
外部セミナーや講座への参加
外部セミナーや講座に参加し、専門家から直接指導を受けることで、効率的に高度な知識を習得できます。
独学での学習が続けにくいと感じる人は、セミナーや勉強会に参加することをおすすめします。
高度な知識を習得できるだけでなく、他の受講者との交流によるモチベーションの維持や、学習ペースの維持といった効果も期待できるでしょう。
スキルアップによって得られる効果
スキルアップをすることは、社員側・会社側双方にメリットがあります。
本項目ではそれぞれに対してのメリットを解説します。
社員側
社員側のメリットを2つ解説します。
作業の効率化が進む
ビジネススキルを習得することで、今後のキャリアの選択肢が広がるだけでなく、現在の業務に適したスキルアップを行うことで、仕事がより効率的に進みます。
仕事が効率的に進むことで、成果がでやすくなり、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
昇進や昇給に繋がる
スキルアップにより、従業員は多様な業務に対応できるようになり、新しいプロジェクトや役割を任される機会が増えます。
これにより、組織内での評価が向上し、昇進や昇給にもつながるでしょう。
また、業務理解が深まり、効率的な問題解決や創造的なアイデアの発想力も向上するというメリットも期待できます。
会社側
会社側のメリットを2つ解説します。
業務のパフォーマンスが改善される
スキルアップを促進することで、従業員の生産性が飛躍的に向上し、同時にその機会を提供することが、仕事への満足度やエンゲージメントの向上にも繋がります。
その結果として、従業員個人だけでなく、チーム全体の業務のパフォーマンスも改善され、組織の成果にもつながるでしょう。
従業員の仕事への関与が深まる
従業員のスキルアップを積極的に支援することは、企業の採用ブランド力を高め、同時に従業員の定着率向上にも寄与する重要な戦略となります。
また、そうすることで、従業員の仕事への理解や責任感、仕事への関与が深まり、仕事に対するモチベーションや組織への貢献意識の向上も期待できるでしょう。
スキル向上のために利用できる助成金
スキル向上のためには、多くの時間や費用がかかるケースが多いですが、補助金を活用することで負担を軽減することができます。
補助金には国や自治体が実施しているさまざまなものがありますが、本項目では厚生労働省が主導している「人材開発支援助成金」について解説します。
人材育成支援コース
人材育成支援コースは、企業が従業員のスキルアップを促進するために利用できる補助金制度で、特定の業務に必要な専門的な知識や技術を習得するための研修や講座の受講費用を補助します。
補助金を活用することで、企業は従業員の育成を効率的に行うことができます。
教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇等付与コースは、従業員が業務から離れてスキル向上に集中できるよう、休暇や短時間勤務の取得をサポートするための補助金制度です。
企業が従業員に対して、教育訓練を受けるための特別休暇を付与する場合、休暇中の賃金や講座の受講費用が補助されるため、企業・従業員の負担を軽減すると同時に、従業員がスキル向上に集中する環境を整えることができます。
人への投資促進コース
人への投資促進コースは、企業が従業員のスキル向上を支援することを目的とした補助金制度です。
具体的には、社内研修の実施や外部講師の招致、オンライン学習プラットフォームの導入など、さまざまな支援が対象となります。
この補助金を活用することで、企業は従業員に幅広いスキルアップの機会を提供できるでしょう。
事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、事業の多角化や新規事業の開始に伴い、従業員が新たなスキルを習得するための支援を行う補助金制度です。
新しい業務や市場に対応するための研修費用や教育プログラム費用を補助します。
まとめ
スキルアップは、個人にとって自身の能力向上を通してキャリアの選択肢を広げ、仕事の効率化や昇進・昇給といった成果につながる重要な取り組みです。
また、企業にとっても従業員の業務パフォーマンスやエンゲージメント、定着率の向上といったメリットがあります。
ぜひ、自主的なスキルアップを目指すとともに、企業は従業員のスキルアップをバックアップする体制や仕組みを整えていきましょう。