ISO9001の教育訓練とは?教育訓練計画、教育訓練記録、教育効果測定の方法を解説
ISO9001教育訓練は、品質マネジメントシステムを機能させるための中核的な取り組みです。
ISO9001では「力量」が明確に要求事項として規定されており、単なる研修実施ではなく、必要な能力を定義し、計画的に育成し、その有効性を評価することが求められます。
本章では、ISO9001教育訓練の基本概念から、力量との関係、そして教育訓練の本質的な目的までを整理します。
そもそもISO9001の教育訓練とは?
ISO9001の基本
ISO9001は、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格であり、製品やサービスの品質を安定的に提供するための仕組みを定めています。その中でISO9001教育訓練は、規格要求事項を実行できる人材を育成するための重要な活動です。
単なる社内研修ではなく、組織が品質目標を達成するために必要な能力を確実に備えさせるためのマネジメントプロセスとして位置づけられています。
力量との関係
ISO9001における要求事項「7.2 力量」では、業務に従事する人が必要な力量を備えていること、またその有効性を評価することが求められています。つまりISO9001教育訓練は、「必要に応じた実施」「有効性の評価」「文書化による管理」がセットで運用されなければなりません。力量の考え方については、こちらの記事もご参照ください。
- 参考:ISO9001の力量とは?
https://www.101s.co.jp/column/iso9001-competenc/
教育訓練の目的
ISO9001教育訓練の目的は、ISO9001を実行し、製品・サービスを安定的に提供するために必要な能力や知識を従業員に身につけさせることです。
業務理解の不足や手順逸脱は品質不良の原因になります。そのため教育訓練は単なる形式対応ではなく、品質向上・ミス削減・生産性向上に直結する戦略的な取り組みとして設計する必要があります。
ISO9001における教育訓練の進め方
ISO9001教育訓練は、思いつきや単発の研修で完結するものではありません。
「計画→実施→記録→効果測定」という一連のプロセスとして設計・運用する必要があります。
こちらの設計が曖昧だと、ISO審査での指摘リスクが高まるだけでなく、教育が成果に結びつきません。ここではISO9001教育訓練の基本的な進め方を4つのステップで解説します。
①教育訓練計画書を用意する
ISO9001教育訓練計画は、教育を計画的に実施するための基盤です。教育訓練計画書には、目的・対象者・教育内容・実施方法・評価方法などを明確に記載します。属人的に研修を実施するのではなく、組織として力量をどのように高めるのかを明文化することが重要です。
②教育訓練をおこなう
策定したISO9001教育訓練計画に沿って教育を実施します。OJT、集合研修、eラーニングなど方法は問いませんが、計画と実行が紐づいていることが重要です。計画と実施が乖離している場合、審査で指摘を受ける可能性があります。
③教育訓練記録を作成する
ISO9001では力量の文書化・管理が求められるため、ISO9001教育訓練記録を残すことが必須です。誰に、いつ、どのような教育を実施したのかを明確にし、証拠として管理します。教育実施の事実だけでなく、評価結果も含めて記録することが重要です。
④教育効果測定をおこなう
ISO9001教育効果測定では、教育訓練が実際に成果につながっているかを評価します。単なる受講記録では不十分であり、業務改善や品質向上に貢献しているかを確認する必要があります。評価方法の詳細は後述します。
教育訓練計画書の作り方
ISO9001教育訓練計画は、力量向上を体系的に進めるための設計図です。計画書が曖昧なままでは、実施内容や評価基準が属人化し、ISO9001教育効果測定の精度も低下します。
ここでは、ISO9001教育訓練計画書を作成する際に押さえるべき具体的なステップを順を追って解説します。
①教育訓練の目的を設定する
従業員の層に応じて目的を明確にします。たとえば若手従業員の場合、目的は業務プロセスの把握・標準作業の習得とし、成果目標はミス削減や作業効率向上などが考えられます。管理職の場合はマネジメント力向上など、役割に応じた設計が必要です。
②教育項目を決める
ISO9001教育訓練計画では、自社の課題に基づいて教育項目を選定します。クレーム増加が課題なら品質管理教育、手順逸脱が多いなら標準書教育など、課題起点で設計することが重要です。規格対応のみを目的とすると形骸化します。
③教育訓練の達成目標を立てる
教育訓練の成果を客観的に評価できるよう、数値や具体的行動で達成目標を設定します。たとえば「理解度テスト80点以上」「不良率5%削減」など、測定可能な目標に落とし込むことがISO9001教育効果測定の精度を高めます。
④教育訓練の日程を作成する
目標から逆算して開始日・終了日を設定します。業務繁忙期を避けるなど実行可能性も考慮しながら計画します。単年度計画だけでなく、中長期的な力量向上ロードマップも視野に入れると効果的です。
⑤決まった内容をまとめる
目的・対象者・教育内容・達成目標・評価方法・スケジュールが決まったら、ISO9001教育訓練計画書として文書化します。計画と実行、評価が一貫して管理できる形式に整えることが重要です。
教育訓練記録の作り方とテンプレート
ISO9001教育訓練記録では、「いつ・誰に・どのような内容の訓練を実施したか」「教育は適切だったか」「効果が出ているか」を明確に記録します。一般的な記載項目は、氏名、所属、教育内容、実施日、講師、評価結果などです。厚生労働省の様式なども参考にしつつ、自社運用に合ったテンプレートを整備するとよいでしょう。
- 教育訓練記録票(記入例)
| 項目 | 記載内容(例) |
|---|---|
| 記録番号 | TR-2026-001 |
| 対象者 | 山田 太郎 |
| 所属 | 製造部 組立課 |
| 職務 | 精密部品組立 |
| 必要な力量 | 作業標準書の理解/トルク管理の正確性 |
| 教育訓練名 | 作業標準書改訂に伴う再教育 |
| 教育内容 | 改訂箇所の説明、実演指導、トルク測定実習 |
| 実施方法 | OJT(現場指導) |
| 実施日 | 2026年4月10日 |
| 講師 | 製造部 課長 佐藤 |
| 理解度確認方法 | 実技テスト(3回連続合格) |
| 評価結果 | 合格(基準値±5%以内を達成) |
| 教育効果測定 | 1か月後の不良率0.2%→0.05%へ改善 |
| 判定 | 力量基準を満たしたと判断 |
| 承認者 | 品質保証部 部長 |
スキルマップ(スキル管理表)の活用
スキルマップは、業務スキルと従業員の能力レベルを一覧化するフレームワークです。ISO9001教育訓練計画の管理やISO9001教育訓練記録の体系化に有効です。誰がどの力量を保有し、どのレベルに達しているかを可視化することで、教育の優先順位が明確になります。
- 参考:スキルマップの作り方
https://www.101s.co.jp/column/skillmap-howto/
教育効果測定の方法
ISO9001の要求事項「7.2 力量」では、教育訓練の有効性評価が求められています。方法としては、達成度テストの実施、新規顧客や新しい現場を担当させる実践評価などがあります。ISO9001教育効果測定の結果をもとにPDCAを回し、教育内容を改善することが重要です。PDCAの考え方はこちらをご参照ください。
- 参照:PDCAとは
https://www.101s.co.jp/column/pdca/
ISO審査で確認されるポイント
ISO9001では力量の文書化・管理が必須であるため、審査ではISO9001教育訓練記録やISO9001教育効果測定の結果が確認されます。日付、教育内容、対象者、評価結果が明確に残っているか、計画と実績が整合しているかがチェックポイントです。証拠資料として提示できる状態に整備しておくことが重要です。
ISO9001の教育訓練は人材育成や品質向上につながる
ISO9001教育訓練は、計画(ISO9001教育訓練計画)、実施、記録(ISO9001教育訓練記録)、評価(ISO9001教育効果測定)を一連で回すことが重要です。
しかし実態はどうでしょうか。
・教育訓練計画が形骸化している
・記録がExcelで属人管理になっている
・教育効果測定が曖昧
・監査前だけ整備している
この状態では、「力量向上」までは到達できません。
ISO9001の要求事項「7.2 力量」に対応するには、力量の定義から教育履歴の管理、効果測定までを一元管理できる仕組みが必要です。そこで活用されているのが、スキルマネジメントシステム「スキルナビ」です。
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