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PDCAとは?それぞれの役割やサイクルを効率的に回すポイントを解説

企業内の仕事の効率を高めるためには、一つひとつの内容を詳しくチェックし、改善のための計画を構築する必要があります。しかし、なんとなく目標を立てて改善を目指すと、実施する内容が曖昧になり、計画が頓挫する可能性が高いです。業務改善を効率的に行うためには「PDCA」を取り入れて、サイクルをうまく回すことが大切です。この考え方について理解しつつ、ぜひ仕事に課題がある企業は導入を考えてみましょう。

PDCAとは業務改善のためのフレームワーク

PDCAとは以下の頭文字を組みあわせた言葉で、企業の仕事改善のために使用されるフレームワークです。

  • Plan(計画)
  • Do(実施)
  • Check(確認)
  • Action(改善)

近年ではこの言葉の認知度は非常に高く、企業だけでなくさまざまな方面でも使用されています。国内では当たり前のように浸透しているこの言葉は、1950年頃のアメリカの統計学者によって提唱されたのがはじまりです。

PDCAの基本概念

PDCAは企業の仕事の効率・生産性を向上させる考え方であり、文字通り「P→D→C→A」の順序で行います。そして最後の「アクション」が完了したら、再度「プラン」に戻ります。この流れを循環させることで、施策や戦略のブラッシュアップが可能で、より高い成果につなげられるでしょう。

社会のニーズが急速に変化する今の時代、流行を敏感に察知して乗り遅れないように注意する必要があります。そのためにもサイクルを素早く回して、時代に沿った戦略を計画・実行し、新たな課題を乗り越えることが大切です。このようにPDCAは、現代の企業にとって重要な考え方であることがわかります。

Plan・Do・Check・Actionの各ステップの意味

PDCAの概念について理解した上で、それぞれの意味についてさらに深堀していきましょう。ここではそれぞれ4つの過程について詳しく説明します。

【Plan】は目標設定とアクションプラン作成

まず起点となるプランは、その後のサイクルの成功を左右する大切なポイントです。設定する際は、おもに以下のポイントについて考えます。

  • 現在の状況確認
  • 目標の設定
  • 目指すべきゴールと現在の状況とのギャップを確認
  • 対応するべき課題の検討
  • 課題点の定量化
  • その後の「Do」に向けた計画の作成

これらのポイントを見直すためには「5W2H」や「要素分解ツリー」などをうまく使って、検討するものを視覚化して整理しましょう。漠然とした状態で考えると、設定がまとまらずに次の段階に移行しにくくなる危険性があります。また目標の理想が高すぎると、うまくサイクルを回せないこともあります。業務を効率よく実施するためにも、企業のスケールにあわせた目標を設定しましょう。

【Do】は目標やアクションプランの実行

設定した目標をベースに、アクションを実行する段階です。この段階で確実に業務効率を高めようとする必要はありません。あくまでも「運用」という意味合いで施策を行います。ここで注意したいポイントは以下の通りです。

  • 決まったプランをタスクとして実行する
  • 今後のために実行した過程や結果を記録しておく
  • プランと現在の状況にどれくらいギャップがあるか理解する

ただ単にアクションを行うだけでは、次の段階である「チェック」でうまく判断できない可能性があります。ここで大切なのは成功の有無ではなく、実行したときの状況や結果を記録することです。成功点だけを見ていては、他の改善できるポイントを見逃してしまいます。理想と現実の差を埋めるためにも、失敗した部分にも目を向けて、次の段階で活かしていきましょう。

【Check】は検証結果と分析

この段階では、設定した目標がノルマに到達できているか、あるいはプラン通りに遂行できたかをチェックします。プラン通りにいかなかった場合、うまくいかなかった原因を探します。ここでは以下の3つのポイントに注意してください。

  • プラン通り実行できたか
  • プランは現実的な内容だったか
  • どのような成果を生み出したか

単純に「うまくいった」「うまくできなかった」という結論では、今後のためになりません。「この結果になったのはなぜか?」という視点を持ち、その原因を探ることで新しい発見が生まれます。このとき定性的ではなく、定量的な情報があると精度の高い分析が可能です。

【Action】はこの先の課題の検討

最後の段階で、浮き彫りになった課題の改善策を考えます。このとき予定通り進めるのか、いくつかの内容を改善するのか、プランを中止するのかなど、複数のルートを考えることが大切です。注意すべきポイントとして、以下のようなものがあげられます。

  • 改善策が複数の場合はどれを先に行うか考える
  • うまくいった点を深堀りして次のプランに活かす
  • うまくいかなかった点を見直して次のプランに活かす

このようにサイクルを回すたびに、さらなる目標をクリアするために必要なプランやアクションの改善が必要です。これ以上よくならないと判断した場合、プランを中止することも1つの手段です。この段階で新たな改善策をもとに、再度「P→D→C→A」のサイクルを回していきます。

PDCAのメリットは目標が明確になり集中しやすくなること

PDCAを回すことで、さまざまなメリットにつながります。ここでは3つのメリットに分けて詳しく説明します。

目標が明確になる

最初のメリットとして、業務で行うべきことや自社の目標をハッキリさせることです。企業としての目標が定まらなければ、業務の方向性と本来向かうべき方針が乖離する可能性があります。さらに到達すべき場所がわからないため、具体的な戦略を見出すことが困難となるでしょう。本来企業とは、なにかしらの目標があるから成り立つものです。PDCAの導入によって、以下の点をより深く考えることが可能です。

  • 目標の到達や課題の達成に向けたルートを構築できる
  • 企業内のチームや個人単位で達成すべき目標を考えられる

うまくサイクルを回すことで、企業として根幹となる部分をさらに補強しましょう。

目標達成のために集中して行動ができる

次のメリットは、行動のための集中力を高められる点です。最初の「プラン」の段階で、事前に目標や行うべきタスクがわかるため、以下の2点が明確となります。

  • 自分が今行うべきこと
  • チームにはなにが必要なのか

目標を理解できれば、その過程である作業や業務に対しての集中力は高まるでしょう。この部分が不明瞭だと、自分がなにをすべきなのかがわからなくなり、見当違いな行動をする危険性があります。決められた目標に対して集中的に行動すれば、企業全体の生産性も高まるでしょう。

失敗した時の課題がわかりやすい

最後は、うまくいかなかったときに不足していた部分がわかりやすい点です。初期段階で目標設定するとき、数値で測れるようなものを参考にしておくと、以下のようなギャップが明確となりやすいです。

  • 目標に向けて実行した後の成果や失敗
  • 実行プランにおける課題の進捗状況

このようなギャップのなかで発見できる課題を抽出すれば「どのような選択をすればよくなるのか」「どの部分を変更すれば達成できるのか」などがわかるでしょう。これらの課題を乗り越え、サイクルを回し続けることで、目標の達成と企業としてのさらなる飛躍につながります。

PDCAが失敗するときの原因はPDCAサイクルを行う覚悟が足りないこと

各フェーズを深く考えずにサイクルを回そうとしても意味がありません。ここでは失敗するときの原因について、それぞれの段階に分けて説明します。

【Plan】の失敗要因は目標工程ができていないことや現状分析が足りないこと

最初の段階における失敗の原因として、以下のことがあげられます。

  • 決定した目標までの具体的なプロセスが構築されていない
  • 現在の状況を理解・分析が十分でない

このように、最初の段階で現在の状況判断と今後の展望が不十分だと危険です。この状態でサイクルを回しても、質の高いトライアンドエラーは行えません。最初にある程度「こうなるだろう」という予測を立てながら戦略を構築・実行して、その結果を見直し、再度予測を立てる。現在の状況を把握したうえで、目標を達成するためにどのような筋道を立てるのかを考えることが、成功へのキーポイントです。

【Do】の失敗要因は計画性のない実行であること

実際に計画を実行するときに失敗する原因として、以下のような考え方があげられます。

  • とりあえず頑張ってみる
  • ただひたすらやってみる
  • できることからスタートしてみる

心意気としてはいいかもしれませんが、このような具体性に欠けるプランを行っても、思うような結果は得られないでしょう。もし目標が短期間ではなく長期であるなら、余計に進捗状況が見えにくくなります。このような状態では、計画を実行したとしても途中で路頭に迷ってしまいます。長期を予定している目標以外にも、短期の目標を設定しておけば、途中で方向性が変わることなくブレずに進められます。また実行の内容も抽象的に決めるのではなく、なるべく具体的に決めていきましょう。

【Check】の失敗要因はcheck基準が甘いこと

確認のフェーズで失敗する原因として、以下のような成功のボーダーラインがブレている点です。

  • おおむねいい感じだ
  • その調子で進めていけばいいと思う
  • もう少し全体的にがんばってみよう

このように、なにを基準として確認をしているのかがわからないと、サイクルを回してもいい成果はあげられないでしょう。このフェーズでは、一定の数値をもとに明確な基準を設けたうえで、1つずつ細かく検証していくことが大切です。また同じチーム内だけで確認をしてしまうと、以下のような状況が生まれる危険性もあります。

  • 判断のボーダーラインが簡単になる
  • ケアレスミスが増えてしまう

これらの問題を解消するためには、外部に依頼して複数のチェック体制を作ることをおすすめします。

【Action】の失敗要因は改善に向けた行動が実行されないこと

最後のフェーズで失敗する原因として、得られた結果を改善するための行動ができないことです。

  • 定量的に表示された結果
  • 内部と外部でのダブルチェック体制

これらの確認で見直す部分が見つかっても、行動に移さないと意味がありません。うまく実行するためには、以下のような強い意志が必要です。

  • 計画をよくするために行えることはすべて実行してみる
  • 思い切って課題を根本的に見直してみる
  • 途中で頓挫せず、繰り返し仮説と検証のサイクルを回す

このように、意識を高く持ちながらサイクルを回さないと、PDCAそのものの計画が破綻してしまうでしょう。せっかくの計画を台無しにしないためにも、最後まで諦めずに行動を続けてみましょう。

PDCAのデメリットはPDCA自体が目的になってしまう

業務改善が期待できるPDCAですが、もちろんいい点ばかりだけではありません。ここでは取り組むときに気をつけるポイントについて説明します。

PDCAを回すことが目的になってしまう

仕事を見直し改善に向かうためにも、このフレームワークを取り入れることは大切です。しかしPDCAを実行するうちに、このサイクルを回すことが目的になってしまうこともあります。本来は業務をより効率的に行い、企業として生産性を高めるために行うものであり、手段と目的が逆転してしまっては本末転倒です。

この出来事の大きな原因は、本来のPDCAの意味を履き違えながら導入してしまうことです。根本的な目的を間違えた状態でサイクルを回しても、成果を上げることにはつながらないでしょう。「企業として目指すべきことはなにか、そのためにはどんなことを行うべきなのか」を把握したうえで、活用するようにしましょう。

PDCA通りにしかやらないので新しいことが生まれにくい

PDCAは以前までの情報や数値データを参考にしつつ、プランの立ち上げから進めていきます。最初の1周目が終了し、再び新しいプランに移行しますが、これは今まで企業が保有していたデータから生まれたものです。PDCAのサイクルは循環することで、さらなる業務の改善を図ることが可能であり、それが強みでもあります。

しかし欠点を述べるとすると、すべて過去の情報ありきで進めているので「0から1」を実行する新しい事業開発には向いていないことです。つまり、このフレームワークでは新しい発想や戦略が生まれにくいのです。新しい事業を行う場合は、別の考え方を参考にして進める必要があるでしょう。

PDCAを効果的に回すポイントは具体的な計画をきちんと実行すること

PDCAをうまく回すためには、いくつかのポイントをおさえることが重要です。ここでは、それぞれ1つずつ詳しく説明します。

数値目標を立てたり、計画を詳細に練ること

最初は定量的な目標を示し、それを達成するための筋道を細かく練ることです。とくにうまくいかない原因としてあげられるのは、1番目のプラン作成です。その理由として、以下があげられます。

  • 数字で目標を立てていない
  • 不明瞭な内容なので浅い部分しか理解できない

たとえば「業務の成果を高めよう」という基準が曖昧な目標では、どんな計画をすべきかイマイチ見えてこないです。しかし「業務時間を○○%短縮しつつ、成果を○○%上げよう」であれば、具体的な戦略を立てやすいですよね。このことから、以下の工夫を行うことが大切です。

  • 目標を立てるときは、今の状況をよく考えながら決める
  • 数字で表示できるような目標を設定する
  • 達成するための行動にメリハリをつけるために、タイムリミットを設定する

プランをより具体的にすることで、次にどのような行動を取ればいいのかが明確になるでしょう。

計画を立てたらきちんと実行する

次に、プランを決定したらその通りに実行します。途中で道筋を間違えないように、構築した通りにアクションを行いましょう。もし方向性が変わってしまったら、その後のフィードバックの際に効果判定が行いにくいです。具体的に、以下のポイントを守るようにしましょう。

  • 実行後の効果判定や分析を容易にするために出来事を記録しておく
  • プラン通りにできなかったら、そのときになにを行ったのかを記録する
  • 結果がいいのか悪いのかを俯瞰的に判断し、そのプロセスについて考える

このようなポイントに注意しつつプランを実行すれば、サイクルを回しやすい環境を作れるでしょう。

無理のない計画を立てること

業務量やマンパワー的にギリギリなプランでは、サイクルを回したとしても限界があります。プランを立てるためには、ムリがないような配慮が必要です。その理由として、以下の点があげられます。

  • 不明瞭なプランを立ててしまうと、行うべき内容もわからなくなる
  • 原因の解決に必要なリソースを確保できていないと、その改善自体が困難となる

このような事態にならないためにも、余裕を持ったプラン作りが求められます。新しい取り組みとして最初から全力を投じることなく、余力を持ちながらサイクルを回すことが大切です。そのためには、従業員の仕事量や残業時間などを聴取しておくこともいいでしょう。

定期的に確認・評価を行うこと

最後に、PDCAの全体的なチェックと現状の評価を一定の期間で行うことです。本来サイクルを回す作業は普通の業務ではなく、別の仕事枠として行われるため、企業によってはチェックに時間を割けないこともあるでしょう。しかし確認・評価を怠ると、業務の効率はいつまで経っても高められません。

PDCAを導入する以上は、定期的に確認する時間を設けて、内容の不備がないかをみる必要があります。あらかじめ曜日を決めたり、日時を決めたりしておくと、そのチェックに意識が向きやすくなるでしょう。こまめなブラッシュアップこそ、サイクルを効率的に回すためには必要不可欠なのです。

PDCAを取り入れて業務改善を効率的に行いましょう

PDCAは仕事を効率的に行うためには重要であり、さまざまな企業に採用されています。しかしメリットだけでなく、気をつけるべきポイントもあります。それらの点を把握したうえで、企業にあわせた形でサイクルを回すことが大切です。4つの段階はそれぞれ単独ではなく、うまくつなげることで成果があげられます。業務を改善したいと思っている企業は、ぜひこのサイクルを理解しながら導入を進めてみましょう。