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減価償却費の意味とは?目的や仕訳方法についても解説

経理や会計業務でよく耳にするのが減価償却費です。とくにパソコンや自動車などの購入金額が高いものは、減価償却資産として計上しなければいけません。

とはいえ、どんな費用か想像つかない方も多いでしょう。そこで今回は減価償却費の意味と計算方法をメインに解説します。

減価償却費とは

減価償却費とは物の価値が経年で低下するのを見越し、使用期間に応じた年数で分割して計上する方法です。物は年を重ねるごとに価値が下がっていきます。例えば自動車やパソコンなどは購入当初価値が高くても、10年後には値打ちが下がるのも事実。

新しい機能が追加されたり、より効率的に使用できたり、とくにモノづくり大国日本では年々目新しい商品が発売されています。結果、数年後には購入した当時よりも価値が下がってしまうのです。

そのため、購入時にそのまま購入金額を計上するのではなく、あらかじめ価値の低下を見据えて分割計上していきます。

減価償却の意味

そもそも減価償却とは物の価値の低下を数年にかけて返す意味があります。減価とは物における価値の低下。償却とは借りたお金や投資を返していく、または会計で資産の取得額を費用化する言葉です。

そのような意味合いがあり、購入した時期に一括して計上するのはルールにそぐいません。あくまで利用期間に応じて、徐々に費用として計上していきます。例えば、300万円の自動車を購入した場合、その年に300万円と経費にするわけではありません。

耐用年数(資産ごとに決められている)が5年であれば、1年目に60万円、2年目に60万円といった流れで経費にしていきます。このように分割し、物の劣化を見越して計上するのです。

減価償却の目的

減価償却の目的は損益計算書の内容を明瞭化するために行われます。購入した物をその年に応じた費用として計上し、収益と経費のバランスを取るのです。

例えば200万円のパソコンを購入したとしましょう。減価償却せずにその年の経費として200万円計上します。多額の経費によって赤字になったり、収益が大きく落ち込んだりするかもしれません。赤字になれば金融機関からの融資も受けられなくなります。今後事業投資したいと思っても、踏み切れない場面も出てくるでしょう。

このように赤字決算はメリットよりも、デメリットが大きいもの。そこで200万円の経費を耐用年数に沿って支払っていきます。収益と費用のバランスが取れ、正確に毎年の利益が把握しやすいのです。

減価償却に関する用語

減価償却に関する用語について解説します。

減価償却資産

減価償却資産とは減価償却の対象となる物です。すべての物が対象となるわけでなく、購入金額が10万円以上の資産に限られます。例えば建物・自動車・パソコン・備品などです。

これらは長期間使用できる物であり、年数を重ねて価値が下がるため、減価償却資産の対象となります。(ちなみに土地は年月が経過しても必ず価値が下がるわけではないため、減価償却資産として含まれません)

そのため、上記に該当する物は購入年に一括計上するのではなく、一旦資産として計上。実際の経費処理は減価償却費として計算され、毎年分割された金額が計上されていきます。

減価償却費

減価償却費とはまさに本記事で紹介している用語です。物の価値は年数を重ねるごとに下がっていくため、あらかじめ利用できる年数に合わせて分割計上してきます。購入時に一括計上すると赤字や収益低下の原因となるため、損益計算書のバランスを保つためにも分割計上されるのです。

加えて利益を正確に把握する目的もあります。いずれにしても、固定資産の価値を正しく表示する目的があるのは念頭に置いておきましょう。

取得価額

減価償却を行う上で見過ごせないのが取得価額です。取得価額とは資産取得に際してかかった費用となります。例えば大型機械を200万円で買うと、取得価額は200万円。これをもとに減価償却費を割り出していきます。

とはいえ取得価額の算出方法が複雑になるケースも。それは取得価額に含めるべき費用が細かいからです。具体的には試運転費や据付費などは取得価額に含めなければいけません。前述した大型機械の導入で試運転を行った場合、それらも取得価額になるのです。

また、建物購入時は取得に伴う仲介手数料・未経過固定資産税・建物の設計料なども含める必要があります。一方、収入印紙代・借入金の利子・司法書士報酬などは取得価額に含める必要はありません。このように、購入した物によって含める費用が異なるため、事前に確認しておきましょう。

耐用年数

耐用年数とは購入した物が「どれだけ機能を果たせるか」を示した年数です。物は利用年数に合わせて価値は減少していきます。いずれ価値はゼロになり、収益をうみ出せない状態となるもの。その価値がゼロになるまでの期間を耐用年数と呼んでいます。

例えば耐用年数が6年とあれば、減価償却費は6年の耐用年数をもとに割り出すのです。一般的には耐用年数が長くなれば、分割された1年ごとの減価償却費は割安になります。反対に耐用年数が短いと、減価償却費は毎年割高になる傾向にあるのも事実。

ちなみに同じ資産であっても耐用年数が異なる場合もあります。例えば同じ自動車でも、コーティングを施していれば長く乗り続けられるでしょう。この場合、コーティングを施した自動車の耐用年数は長くなります。

事業供用日

事業供用日とは購入した物を使いはじめた日です。供用日とは「用に供する日」と言います。用に供する日は法律用語であり、日常耳にするケースはほぼないでしょう。事業の営みのために差し出すと言い換えられます。すなわち物を使いはじめた日と言えるのです。ここで注意しておきたいのは取得日との混同です。

取得日はあくまで購入した日付であり、物を使いはじめた日とは異なります。購入して即日使えば両者は同じ日付ですが、購入から日が経って使用開始する場合は2つの日付は異なるもの。

また、減価償却費を経費として計上する日は取得日ではなく事業供用日です。2つの日付を見誤ると、節税の機会を失って損する場合も。それぞれの日付は事前に確認しておきましょう。ちなみに試運転や技術指導中の運転は事業供用日に該当されません。

減価償却累計額

減価償却累計額とは現在の資産における価値を表すための勘定項目です。「今までどれだけ減価償却費を計上したか?」「あと製品寿命はどれくらいか?」などが、減価償却累計額によって一目で分かります。

具体的には資産の取得価額から減価償却累計額を引けば、現在の価値を把握できるのです。これによって買い替えやメンテナンスを行う際に便利であるのも事実。例えば減価償却終了している物だと知っていれば、積極的に買い替えへ踏み切れるでしょう。

そんなメリットがある反面、適切な管理が必要なデメリットもあります。減価償却は物によって耐用年数が数十年の場合も。物の数が増えれば、さらに累計額を計算するのは困難となります。あらかじめ取りまとめる方法を考えておくと安心です。

未償却残高

減価償却費のうち、まだ減価償却していない部分を未償却残高と言います。価値の残り分、または固定資産自体の金額と呼ぶケースも。場合によっては実際の価格にあわせて「帳簿価額」と呼びます。

いずれも現在の物の価値を表す際に使われるのです。また、未償却残高は資産の取得価額から減価償却累計額を引くと割り出せるもの。前述した減価償却累計額とは関係性が深いと言えるでしょう。

減価償却を始めるタイミング

減価償却がスタートするタイミングは物を使いはじめた瞬間です。前述のとおり、取得日または購入日と異なるのは念頭に置いておきましょう。イレギュラーな例で言うと、支払いが済んでいなくても使用開始できるケース。

後払いであっても、資産を運用した瞬間からスタートします。反対に支払いが済んでいて、利用する時期が数年後のケース。テナントや施設は実際に稼働するまでに時間を要する場合もあるでしょう。そのようなケースは運用開始した時点から減価償却費の計上がスタートします。

減価償却できる資産とできない資産

減価償却できる資産とできない資産を解説します。

減価償却できる資産

減価償却できる資産には大きく2つあります。まず1つ目は業務で使用される10万円以上のもの。言い換えると、業務目的かつ取得価額が10万円以上の資産に限られます。例えば業務効率化のために高性能プリンタを購入しても、10万円以上でなければ対象となりません。

2つ目は時間の経過とともに劣化するもの。すぐに思いつくのはパソコン・車・建物などでしょう。年数を追うごとに価値が下がっていきます。また、減価償却できるのは目に見えるものだけではありません。ソフトウェア・特許権・商標権・のれんなども対象です。

例えばソフトウェアは毎年アップデートされ、常に高性能のプログラムが開発されています。時を経るごとに進化し続けるため、減価償却の対象となるのです。以上のように有形・無形それぞれ条件を満たせば、減価償却できるのは念頭に置いておきましょう。

減価償却できない資産

減価償却できない資産は減価償却できる資産の逆となります。業務に使われない資産と時間が経過しても価値が失われない資産です。その代表例は土地や借地権でしょう。土地は時を追うごとに価値が下がるわけではありません。

場合によっては価値が上がるケースもあります。不動産売買を検討している方や不動産投資を考えている人は、知識として押さえておきたいポイントです。また、骨董品や美術品も減価償却できない資産となります。

土地同様、世の中の移り変わりによって価値が上がるケースもあるため、減価償却の対象外です。他にも、建設中の資産はあくまで「運用前」とみなされ、稼働開始後から減価償却として計上されます。このように細かいルールが決められているため、あらかじめ減価償却の対象を確認しておきましょう。

中小企業の特例

中小企業は少額の設備投資を行った場合に特例税制措置があります。それは条件を満たした際、長期間で費用計上せずに一括計上できる措置です。取得価額が30万円未満の場合、合計額300万円を限度として全額損金(一括計上)できます。

対象となる事業者は青色申告書を提出する、または資本金額が1億円以下の法人(従業員1,000人以下の個人事業主も対象)。該当すれば一度に経費計上でき、所得を減らせるお得な制度です。適用期間は令和6年3月31日まで対象なため、気になる方はチェックしてみましょう。

減価償却の仕訳方法

減価償却の仕訳方法について解説します。

直接法

直接法と間接法の大きな違いは決算情報の見え方による違いです。まず直接法は固定資産の価値が把握しやすい仕訳方法となります。固定資産から直接減価償却費を減らしていくため、直接法と言われているもの。例えば決算にあたって、20万円のPCを計上するケースについて見ていきましょう。

この場合は借方の減価償却費に20万円、貸方には消耗品費20万円などと書きます。どちらも同じ金額を記入。該当資産の価値が即座に確認できるのは大きな利点です。一方、取得原価はこれまでの減価償却費と帳簿価格を足さなければ分かりません。

間接法

取得原価や減価償却累計額が細かく分類されているのが間接法です。減価償却累計額勘定を使い、間接的に控除する方法から間接法と呼ばれています。「そういえばこの自動車を取得した際の価格はいくらだっけ?」「償却費がどれくらいで、今までいくら費用を計上したか?」などが一目で分かります。

とくに資産の買い替えを検討する場合、取得した当時の価格が分かればスムーズでしょう。具体的には借方に減価償却費、貸方に減価償却費累計額を記載していくのです。

一方、帳簿価格は取得原価から減価償却費累計額を引かなければ分かりません。現在の価値は見えにくいと言えます。そのようなデメリットもあり、間接法よりも直接法が情報を把握しやすいです。

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法について解説します。

定額法

定額法は耐用年数に沿って一定の減価償却費を計上する方法です。例えば300万円の自動車を耐用年数10年で購入した例について見ていきましょう。300万円÷10年=30万円となり、毎年30万円を計上します。

定額法のメリットは何と言っても計算方法がシンプルな点。後述する定率法よりもかんたんに算出できます。加えて、初期の減価償却費が少なく、利益が残りやすいです。

一方、定率法に比べて後期の負担が大きく、収益が見込めない場合を見据えて事業運営するデメリットもあります。

定率法

定率法は一定率で資産を減価償却する方式です。一定額で計上する定額法とは異なり、計算式も複雑となります。具体的にはまだ減価償却していない金額を、償却率でかけていきます。

例えば前述した300万円の自動車を、耐用年数10年で購入した例について見ていきましょう。初年度の減価償却費は300万円(購入価格)×0.3(償却率)=90万円。2年目は300万円-90万円=210万円×0.3=63万円。3年目は(300万円-90万円-63万円)×0.3=441,000円。このように続いていきます。

定額法と比べて初期負担額こそ大きいものの、年数を重ねていくうちに計上費用は少なくなります。早いうちに節税効果を得られたい方にはおすすめです。

生産高比例法

生み出された利益や貢献度によって、減価償却費を比例させていくのが生産高比例法です。例えば100万円の資産に対し1年目20%(20万円)、2年目30%(30万円)、3年目50%(50万円)と、計上していきます。

利用頻度が毎年異なるものに適用すると、減価償却費と利益が重なってバランスが取れるもの。とはいえ、生産高比例法に適用できるのは自動車・航空機・鉱業用設備など、利用時間や生産高が確実に計算できるものに限られます。

減価償却の耐用年数

減価償却の耐用年数について解説します。

有形減価償却資産の耐用年数

まずは器具や備品の耐用年数について見ていきましょう。事務用の椅子・机・キャビネットなどは8~15年、空調器具は5年、サーバー用のパソコンは5年となります。一般的には10年以下が大半であり、10年以上の器具は限定的です。

続いては車両・運搬具。こちらは一般車両の2輪もしくは3輪自動車は3年、ダンプ式の貨物自動車は4年、その他の貨物自動車は5年となります。器具や備品と同様、一般的に10年以上のものはありません。

最後は建物です。建物はこれまでとは打って変わり、耐用年数数十年を超えてきます。事務所用の建物であればレンガ造が41年、鉄筋コンクリート造が50年。このように対象物によって耐用年数が異なるため、あらかじめ把握しておきましょう。

生物の耐用年数

生物の耐用年数とは文字通り、生きている物に対して定める耐用年数です。身のまわりの生物には耐用年数が定められており「耐用年数≒寿命」と思ってもらえば良いでしょう。

牛は繁殖用の役肉用牛が6年、繁殖用の乳用牛が4年です。馬は競走馬が4年、種付用・繁殖用の馬が6年。豚は役割問わずすべて3年で定められています。

また、動物だけでなく樹木にも耐用年数が定められているのも事実。りんご樹はわい化りんごが20年、その他のリンゴが29年。ぶどう樹は温室ぶどうが12年、その他のぶどうが15年です。

その他資産の耐用年数

その他資産の耐用年数について解説します。

ソフトウェア

減価償却のできる無形資産の代表例はソフトウェアです。ソフトウェアとはコンピュータに命令を出すプログラム。身近なプログラムではブラウザのGoogle Chrome・オペレーティングシステム(OS)のWindowsなどがあげられます。

ブラウザもOSも日々進化しており、製品価値も上昇しているもの。反対に数年前リリースされたソフトウェアは、時代と共に価値が減少していきます。そんなソフトウェアの耐用年数は大きく分けて3年・5年で分けられているのも事実。3年は研究開発用または複写して販売するための原本です。5年はその他のソフトウェアとなります。

他人の建物を造作する場合

他人が所有している建物を造作する場合、いくつかのケースによって耐用年数が異なります。例えばもともと備え付けてある設備は、その建物の耐用年数が適用されるのです。具体的にはエアコンやキッチンなどが対象。冷蔵庫や洗濯機などの設置型家電・家具は対象外です。

一方、賃貸物件に対して造作を行った場合、目的や使用資材によって減価償却を見積もらなければいけません。また、同一の建物にて造作が行われた場合、すべてを一資産として見積もります。造作が行われた箇所別に見積もるわけではないのは念頭に置いておきましょう。

購入のタイミングによって減価償却費が異なる

購入タイミング別の減価償却費について解説します。

年の途中で購入したケース

年始や年末ではなく、年の途中で購入した場合でも「使用年」とみなされます。月割計算するわけではありません。その年の該当月から12月までを「1年」として計算していくのです。

例えば7月に耐用年数7年、価格70万円のプリンタを購入したとしましょう。70万円÷7年=10万円です。1年あたりの減価償却費は10万円となり、7年かけて費用計上していきます。

そのため年初に購入すると、その年の費用が計上されるタイミングは遅くなるのです。

中古で購入したケース

中古品は既に物そのものの価値が下がっています。そのため、利用年数を加味して計上します。そこで使われるのが簡便法と呼ばれる計算方法です。すでに償却期間を消化して購入した場合「耐用年数×20%」で算出。

耐用年数5年のパソコンを既に7年利用済み、このパソコンを購入すると5年×20%=1年となります。前の利用者が減価償却費をすべて計上していても、引き継いだ担当者があらためて計上しなければいけない点に注意しましょう。

また、償却期間を一部消化した状態で購入した場合は「耐用年数-経過年数+経過年数×20%」で算出。耐用年数5年のパソコンで、1年使ったものを購入したとすれば、5年-1年+1年×20%=3.8年。小数点を切り捨てて3年となります。小数点を切り上げて4年とはならない点にも、気を付けなければいけません。

処分したケース

固定資産を処分する際は「除却」と呼ばれる作業を行います。これは減価償却が済んでいても、計上中であっても行う作業。固定資産の残高を帳簿上から無くす作業が必要なのです。反対に帳簿に記載せず、勝手に捨ててはいけないルールがあります。

帳簿に記載する際は固定資産除却損と呼ばれる項目で明記するのが一般的。計上すれば、残っている価値だけ課税所得が減少します。結果的に節税効果につながるのです。

売却したケース

固定資産を売却する際は処分の流れと変わりません。資産を手放す際は帳簿への記入が必須であり、記帳せず勝手に捨ててはいけない決まりがあります。売却の場合、売った後「手元に利益が残るか」「売って損してしまうのか」によって記入方法が異なるのも事実。

まず手元に利益が残る場合、固定資産売却益として計上します。200万円で取得し、減価償却累計額60万円の資産を160万円で販売すると、20万円の売却益が発生。一方、売って損してしまう場合は固定資産売却損として計上します。

200万円で取得し、減価償却累計額60万円の資産を130万円で販売すると、10万円の売却損が発生。計算して判明した売却益・売却損をそれぞれ帳簿に記載します。

物を購入する際は減価償却費について考えましょう

減価償却費は固定・無形資産を保有している以上、帳簿に記帳しなければいけません。なぜなら資産には価値があり、使用期間に応じて価値は減少していくからです。

減価償却をスタートするタイミングは資産を使いはじめた瞬間。物を購入した際や試用した場合は、計上開始対象とならないため注意が必要です。

減価償却は一般的な自動車やパソコン以外にも、生物やソフトウェアなども対象となります。物を購入する際は減価償却費についてあらためて考えてみましょう。