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ニートとは?ニート採用に向けてフリーターとの違いや意味を知ろう

「ニート」は一般的に広く知られており、日常的に使われている言葉ですが、具体的な意味や定義をご存じでしょうか。少子高齢化や労働人口の減少に伴い、ニートの採用を検討する企業が増えています。

新たな労働力として注目を集めるニート。その言葉の意味を、ニート採用を行う際の注意点も含めて解説します。

ニートとは仕事をする意思のない人たちのこと

普段から使われる「ニート」とは、そもそもどのような意味なのでしょうか。多くの人が抱くイメージとしては、「働かずに家にいる人」が一般的でしょう。しかし、「ニート」という言葉は細かく定義されています。

「ニート(NEET)」はイギリスで誕生した言葉であり、「Not in Education, Employment or Training」の頭文字を取った言葉です。イギリスで誕生した当初は、「16から19歳の人のうち、仕事をせず、学校に通っていない人」を指す言葉でした。つまり、働ける健康状態にあるけれど、「働く意志のない人」がニートだといえます。

日本で用いられるニートは、15歳から34歳の人が含まれるのでイギリスにおけるニートよりも年齢層が幅広くなります。

ニートとフリーターの違いは働く意思の違い

「ニート」と類似する言葉に「フリーター」があります。この2つの言葉の違いは、「働く意思があるかどうか」です。

例えば、失業して働いていなくても就職先を探してハローワークに通っている場合や、正規雇用ではないアルバイトという就業形態で働いている場合は、ニートに当てはまりません。

フリーターは「フリーランス・アルバイター」の略称であり、アルバイトやパートに従事している人や、失業中でアルバイトやパートの仕事を探している人などを指します。

厚生労働省が定義するニートとは15~34歳の働く意思のない人

厚生労働省はニートを「若年無業者」と表現しています。厚生労働省が定義する若年無業者(ニート)とは、「15~34歳の働く意思のない人」です。具体的には、「15~34歳の非労働力、つまり仕事をしていない者または失業者として求職活動をしていない者のうち、主に通学も、主に家事もしていない独身者」だとされます。

このことから、たとえ仕事をしていなくても仕事を探して面接や求人への応募をしていたり、職業訓練を受けていたりすればニートには該当しないと分かります。

厚生労働省が発表した 「平成30年版 厚生労働白書」によると、2017年の若年無業者数は54万人でした。そのうち15歳〜19歳が7万人、20歳〜24歳が14万人、25歳〜29歳が15万人、30歳〜34歳が17万人と分散しています。

ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(厚生労働省)」では、日本のニートは同世代の若年層に比べて「将来に希望がもてない」「対人関係の苦手意識」「仕事に多くを期待しない」という特性があるなどの結果が得られたと記載されています。

厚生労働省が定義するフリーターは15~34歳の働く意思のある人

厚生労働省が定義するニートは「15~34歳の働く意思のない人」なのに対し、「15~34歳の働く意思のある人」がフリーターだといえます。

その要件は以下の通りです。

  • 15~34歳の人
  • 男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の人

上記2つに当てはまり、かつ下記のいずれかに当てはまる人がフリーターに該当します。

  1. 雇用者のうち勤め先企業における呼称が「パート」または「アルバイト」である人

  2. 完全失業者のうち、就業形態が「パート・アルバイト」の仕事を探している人

  3. 主婦や学生など、15歳以上で就業していない人のうち、「パート・アルバイト」として働きたいと考えている人

日本国内のフリーターの数は、平成15年の217万人をピークに5年連続で減少しました。しかし、平成21年から増加に転じています。平成23年のフリーター人口は176万人、前年に比べて2万人増加しています。

ニートが社会に与える影響は?

ニートは社会経済活動に参加しないため、親族から生活費などの経済的サポートを受けている場合が多くあります。ニートの増加は、生活保護受給者の増加につながります。

ニートの増加は、晩婚化や少子高齢化を加速させる可能性もあります。学校や職場での人間関係がなくなるために、結婚相手と出会う機会が減少するからです。少子高齢化に伴い、日本の労働人口は減少の一途を辿っています。

そのため日本政府は、地域若者サポートステーションなどを設置して、ニートの自立をサポートするような仕組みづくりに取り組んでいます。

ニート採用とは

労働人口が減少して各企業が人材不足に悩んでいる現代において、働く能力や健康状態にあるのに働く意思がないニートが「潜在的労働者」として注目を集めています。

しかし、そもそもニートは人間関係への不安などを理由に「働く意思がない」ため、企業がニートを採用するためには就業意欲を持ってもらわねばなりません。

ニートが無理なく働きたいと思える環境づくりのために、ニート採用をする場合は職業訓練の機会を設けたり、企業から積極的に声掛けしたり、個人に合わせた就業時間の提案などを行ったりすることが求められるのです。

ニート採用を行う際は偏見を捨てることが大切!

「ニート」という言葉に対して、多くの人はネガティブな印象を抱いていますが、ニート採用を行う際はそうした偏見を捨てることが大切です。

「ニートだからすぐ辞めるかも」「難しい仕事は任せられない」などと考えず、通常の採用活動と同じように求職者の1人として扱いましょう。時間をかけて考え方をすり合わせることで、長く働ける環境が整っていきます。

ニートだった若者が定職に就こうと行動すること自体、とても勇気が要ることだと理解して接するように注意しましょう。採用する場合は、気軽に相談できるメンターをつけるなどしてサポートすることをおすすめします。

ニート採用成功には長く働ける環境づくりを

ニートとは、仕事をする意思がない人です。少子高齢化が進み労働人口の減少が問題となっている日本において、ニートは新たな労働力として注目を集めています。

ニート採用を考える場合は、長く働けるような環境づくりに努めることが大切です。ニートとなった背景には、コミュニケーションでの失敗体験や、学業での挫折などがあるため、そうした背景や個人の思いに寄り添った対応を心がければ、ニート採用が成功するでしょう。