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バーターとは?メリット・デメリットとビジネスでの活用方法を解説

近年、企業間でお金を介さずにモノやサービスを交換する「バーター」が、コスト削減や関係構築の手段として注目を集めています。

広告や芸能、不動産業界など、さまざまな分野で実践されているこの取引方法には、メリットだけでなく注意すべき点もあります。本記事では、バーターの基本的な意味から、活用事例、メリット・デメリット、成功させるためのポイントまでをわかりやすく解説します。

バーターとは?

「バーター」とは、金銭を介さずにモノやサービスを交換する取引形態を指します。

たとえば、自社の商品と他社のサービスを交換するようなケースがこれに該当します。

古くは物々交換として知られていましたが、現代ではビジネスの一手段として活用されることも少なくありません。双方が提供する価値に納得していることが前提となるため、合意形成と信頼関係が重要なポイントです。

バーターの意味とその仕組み

バーターとは、金銭を介さずに物やサービスを直接交換する取引形態です。たとえば、自社の商品を提供する代わりに、他社の広告枠を得るといったケースが該当します。

双方が提供価値に納得することが前提で、信頼関係と明確な合意が重要です。

ビジネスで使われるバーター

ビジネスにおけるバーターとは、主に「交換条件」という意味で用いられます。

取引の対象は商品やサービスに限らず、人材や仕事内容も含まれ、双方のニーズを満たすことを目的とした合意形成が求められます。

芸能界で使われるバーター

芸能界では、有名な芸能人と知名度の低い芸能人をセットで売り出す「抱き合わせ制度」もバーターの一種とされています。

出演の条件としてタレントを組み合わせることで、プロモーションの効率化や知名度向上を図る手法です。

バーター取引のメリット

コスト削減が可能である

バーター取引では、手元に現金がなくても物やサービスを交換できるため、資金繰りに余裕がない場合でも取引を成立させることが可能です。

広告費や販促費などのコストを抑えながら、必要なリソースを確保できるのが魅力です。

リソースを活用し合える

バーター取引は、企業同士が持つ強みを活かし、互いの弱みを補完し合うことで相乗効果を生み出します。

たとえば、自社の製品と相手企業の販路を交換するなど、資源を有効に活用できる仕組みとして注目されています。

バーター取引のデメリット

企業間の力関係が取引に影響する

バーター取引では、企業間の力関係によって取引条件が左右されることがあります。

相手が大手企業などの場合、自社にとって不利な条件を提示される可能性もあり、対等な交渉が難しくなることがあります。

取引に依存するおそれがある

バーター取引において、特定の企業に依存しすぎると、その企業の方針変更や取引条件の変化に自社の経営が大きく影響されるリスクがあります。

柔軟な経営判断を損なう要因になりかねません。

バーター取引のビジネスにおける活用方法

広告業界

広告業界では、広告枠を持つ企業と、商材を掲載してほしい企業の間でバーター取引が行われます。広告費用の代わりに、同等の価値がある商品やサービスを提供することで、広告枠を確保するケースが見られます。

不動産業界

不動産業界では、住人が新たな顧客を紹介し、契約につながった場合に家賃の割引や特典を受けられるといったバーター取引があります。物件のオーナーと住人の間で、紹介による価値交換が行われる仕組みです。

飲食業界

飲食業界では、飲食店が清掃会社に店内清掃を依頼し、その代わりに清掃スタッフへ食事を提供するというバーター取引が行われることがあります。現金を使わずに必要なサービスと物を交換する好例です。

石油業界

石油業界におけるバーター取引は、異なる地域の石油会社同士が、品質規格を満たす同種・同量の石油製品を融通し合う形で行われます。グローバルな供給バランスを保つための戦略的な手法です。

芸能界

芸能界では、事務所が知名度を上げたい芸能人をバーター出演としてテレビ番組に売り込み、テレビ局側の起用希望に応えることで取引が成立します。相互の利害が一致することから成立しやすい取引形態です。

バーター取引の成功事例

トヨタ自動車株式会社×Uber

トヨタは、Uberに出資しつつ、自社の車両を提供することで、Uberから移動データや技術開発の知見を得るバーター取引を実現しました。

これにより、トヨタはMaaS領域への参入を強化し、Uberは自動車メーカーとの連携を活かしてサービス向上を図るという、双方にとって大きなメリットを生む協業となりました。

豊田通商株式会社×東南アジア各国

豊田通商は、「製造した二輪車や繊維機械」と「東南アジアにおける資源」を交換することで、輸出した二輪車や繊維機械のメンテナンスや販売店を現地に増やしつつ、販売網の拡大に成功しています。

国家単位の取引でありながら、互いのニーズと価値をうまく調整し合った事例で、国際ビジネスにおける戦略的成功とされています。

株式会社資生堂×取引先企業

資生堂は、終売予定の商品について取引先企業と協業することで返品削減につなげています。

このバーターにより、資金を大きくかけずに消費者への接点を広げ、売上向上に貢献する販促戦略が実現しています。

バーター取引を成功させるための注意点

市場価値を正しく把握する

バーターを成功させるには、まず自社の提供するモノやサービスの市場価値を正確に見積もることが重要です。

価値が釣り合わない取引は、相手企業との信頼関係を損ねる可能性があり、取引そのものが破談になることもあります。

市場調査を行い、自社と相手企業の市場価値を把握したうえで、交換レートを設定しましょう。

明確な契約書を作成する

バーター取引でも、一般的な商取引と同様に契約書の作成は不可欠です。

提供内容、納期、トラブル発生時の対応などを明文化することで、後々の誤解や揉め事を防げます。

特に無形サービスの交換では認識のズレが起きやすいため、あらかじめ詳細を文書で取り決めておくことが重要です。

良好な関係を維持する

バーター取引は、単発ではなく継続的なパートナーシップにつながる可能性があります。

相手企業との信頼を維持し、誠実な対応を続けることで、将来的な取引機会を広げることも可能です。ビジネス上の信頼構築とアフターフォローを丁寧に行うことで、長期的な協業関係に発展することもあります。

バーター取引のメリット・デメリットを理解してビジネスを促進しよう

バーター取引は、資金が限られていても他社と価値を交換し合うことで、ビジネスの可能性を広げられる手段です。

特にスタートアップや中小企業にとっては、コストを抑えながら販路や認知を拡大できる有効な手段といえます。一方で、企業間の力関係や依存リスクといった注意点もあるため、取引の設計と信頼関係の構築が欠かせません。

バーターの考え方は、企業同士のリソースや強みを“見える化”して活かすという点で、スキルマネジメントにも通じます。自社の人材やスキルを正しく把握し、最適に活用していくためには、仕組みづくりが欠かせません。

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