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VC(ベンチャーキャピタル)とは?特徴や資金調達のメリット・デメリットを解説

時代の流れにともないITが進歩するにつれて、さまざまなビジネス戦略が生まれるようになりました。新しいサービスを取り入れることは企業の躍進にもつながるため、経済も良好な循環を形成できます。

その新たな可能性を生み出すための支援を行う企業も増えてきており、そのなかの1つが「VC」です。今回はVCにはどんな役回りや利点・注意点があるのかについてご紹介します。

VC(ベンチャーキャピタル)とは?

VCとは、独自のツールやスキルをサービスする組織や新しく作られた会社など、今後成長が見込まれる企業に支援を行う会社です。

支援をした企業が躍進した後に株を売り渡すことで、その差額分の利益を手に入れるのがおもな目的です。

またビジネスのサポートを実施して会社の方向性の見直しを行い、さらなる利益につながるような戦略も取り入れていきます。

スタートアップの定義

「今後さらなる躍進が期待されている組織」を指す言葉です。

数年後に数百・数千億の利益を得られるような企業や、中長期的な未来で全世界に影響するようなビジネスを実施しようとしている企業がおもな例です。「立ち上げてからすぐの企業」ととらえている方もいると思います。しかし時期はとくに関係ないので、この受け取り方には誤解があります。

これは起業のスタイルとしての1つの種類なので、すべての企業が当てはまるわけではありません。独自のスキルを活用したビジネスを開始したとしても、地に足をつけた現実的な進歩を行う場合は、また別のカテゴリに分類されます。

スタートアップとスモールビジネス・ベンチャー企業の違い

スモールビジネスはその名前のとおり、立ち上げ規模が比較的小さいビジネスを指す言葉です。該当するものは多く、企業はもちろん個人で仕事を行う方、いわゆる自営業の方も含まれます。

また新しい戦略を構築するのではなく「すでに定着化されている市場内で行えるビジネス」という意味合いとして使用されることもあります。

ベンチャーはスタートアップと同じような意味合いを持っており、国内ではそこまで棲み分けがされているわけでないようです。

しかし、深掘りすると「変革具合」や「進歩」などの細かい部分は異なります。前者は市場で定着されているようなサービスを基盤として、さらなる展開を行う傾向にあります。

一方で、後者は前例がない状態で、新しいサービスを提供しようとする傾向があるので、その違いは理解しておきましょう。

VC(ベンチャーキャピタル)の仕組み

VCとはどのようなシステムで進められているのでしょうか。ここではその仕組みについてご紹介します。

投資ファンドとは

VCが作る融資の事業組合を指す言葉です。企業に投資をしている方や、個人で融資を行っている方から協力してくれる方を募り、新しく立ち上げます。

そして運用後に獲得した利益は、その出資の割合によってそれぞれに振り分けられるのです。

投資を実行する対象はサービスや建物など、その種類は複数あります。このように、個人ではなくさまざまな方の協力を得たうえで成り立っているのです。

また立ち上げたファンドは、それを管理するVCが提示された期日まで行使します。

投資ファンドを設立する理由

立ち上げの目的としては、今後利益となるかは確定していない1つの企業に支援をするのには危険がともなうからです。

万が一の損害に備えて、1つではなく数多くの企業にコストを振り分けることで、失敗時のリスクを最小限にとどめることが可能です。

そして以前支払った額より高い金額で売り渡すことで、その差額分の利益を獲得できます。1つに絞らない分、ハイリターンというわけではありませんが、中長期的な目線でみると安定して運用ができるメリットがあるのです。VC側は、その運用にともなった対価を受け取りながら運営を継続します。

日本のファンド設立に関する現状

国内の状況としては、2012年からの6年間で作られた数や価格も右肩上がりとなっているとされています。まだ投資が十分に浸透していない2009年のころと2018年を比較すると、数は6倍、金額は10倍以上です。

このことから、いかに市場として成長しているかがわかります。そのため、今後も多くの企業や融資を行う方の利用が増えていくと考えられます。

VC(ベンチャーキャピタル)の種類、特徴

VCは1つではなく、さまざまな種類に分類されています。ここではおもな種類とその詳細について解説をします。

金融系VC

このVCでは、おもに以下に関連した企業を指します。

  • 銀行
  • 証券
  • 保険 など

とくに国内の多くのVCはこのカテゴリに含まれているといわれています。個人で展開しているのではなく、全国的に広まっている企業がほとんどなので、国内のどこにいても利用が容易といえます。

そのため、この種類の利点を活かしたビジネス戦略が展開されているのです。おもに以下の企業が当てはまります。

  • ニッセイ
  • SBI
  • DBJ
  • 三井住友 など

このような企業はどれも大手に包含されているため、投資全体の規模が広く、さまざまな運営をされていることが多いです。

独立系VC

とくにもととなる企業があるわけではなく、独自の元金を活用して運用しているVCです。特定の系列でつながっていないので、その企業特有の持ち味を持っているのが特徴です。出資に対して差額幅を広げて、大きな利益を得る方向性で進めていることもあります。方針やビジネスの分野はさまざまで、おもに以下のような企業があります。

  • wil
  • ジャコフ
  • 日本ベンチャーキャピタル など

最近ではこのカテゴリが徐々に躍進してきており、世界的にも関心が広がっています。また短期間で大きな成長を遂げている企業も増えてきています。

事業会社系VC(CVC)

その仕事を実施する企業を中心としたVCのことを指します。このケースでは、金融を除いたビジネスをおもに取りあつかっている企業といえるでしょう。この会社がメインでファンドをマネジメントするケースもあり、その派生した企業を新しく作って運用することもあります。おもに以下のような企業が含まれています。

  • Z Venture Capital
  • STRIVE など

これらは自社で行えない新しい領域の発掘や、すでに存在しているビジネスとの組み合わせを見込んで投資することも多いです。

大学系VC

おもに大学や研究を中心とした施設が立ち上げられた企業を指します。このVCは、新しい研究結果や技術をもとにしたサービスを提供しているのが特徴です。このような最新の知見を求めている会社では、多くのサポートを提供していることも珍しくありません。おもな企業は以下のとおりです。

  • バイオサイトキャピタル
  • みらい創造機構
  • 農林漁業成長産業化支援機構 など

過去には新プロジェクトとして立ち上げられた国立大のVCに、国が一千億ほどの投資を行ったこともあります。そのため潤沢な資金によって、多くの会社が成長しやすい土壌が作られています。

政府系VC

国家や都道府県の公共的な団体、行政官庁などが中心で立ち上げられたVCで、狙いは上場することではありません。スキルの高い会社のサポートや日本産業の応援、国内企業のワールドワイドな成長を促すために投資を行うのが本質的な狙いです。おもな企業は以下のとおりです。

  • 東京中小企業投資育成
  • 名古屋中小企業投資育成
  • 産業革新投資機構 など

ほかのカテゴリを比較すると、成長につなげるための支援力は大きいわけではありません。しかし、企業特有のスタイルを定着させることなく資金を集められる利点があります。

地域系VC

市区町村をはじめとした、地域特有のリソースや商売を底上げするために立ち上げられたVCのことです。その地域にある金融局がおもに融資をしていることが多いです。地域に根ざしたビジネスを今後広げていこうと考えている場合、サポートの対象となることはよくあります。おもな企業は以下のとおりです。

  • みなとキャピタル
  • 一般社団法人MAKOTO
  • 一般社団法人未来会議室 など

このように、地域の独自性をうまくビジネスに取り入れてみたい場合に支援を行う企業が多いです。

海外系VC

国内ではなく、国外に本拠地があるVCのことです。一番の特色として、世界全体の関わりがあるため、投資の幅が国内と比較して多い点があげられます。また、そのVCでは成果や経験が積み重なっているため、アグレッシブで規模の大きい出資を行うケースが多いです。おもな企業は以下のとおりです。

  • 500 Startups
  • Sequoia Capital
  • Google Ventures など

VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達するメリット

元金を確保する方法は複数あるなか、なぜVCが選択されるのでしょうか。ここではその利点についてご紹介します。

返済義務がない

第一に、VCによって得た元金は返さなければいけない、という決まりはありません。元金の確保には、大きく分けて以下の2つの方法があります。

  • 借金による確保
  • 元金による確保

借金によってお金を確保する場合、一定の期限までに定められた額を返さなければいけません。利子によってその額も増えるので、全額返すまでは大変でしょう。しかし、元金による確保はまったく意味が異なり、必ずしも返す必要がありません。そのため返済に奔走しなくて済むのが大きな特徴です。

追加出資や借り入れがしやすい

VCが支援する会社は、それ自体がステータスとなりやすいです。これは事業戦略やビジネスデザインに一定の付加価値があると判断されたことと同義です。

この実績を持っていれば、その他のVCからも支援を得られやすくなるので、今後も資金繰りに有利になるでしょう。当然、同じ企業からさらなる支援を得られる可能性も高くなるので、長期的にみても利点は非常に大きいです。

VCのノウハウやコネクションを活用できる

企業を成長させるためのサポートを実施するだけでなく、事業家を対象とした講演を開催したり、投資先を集って催し物を行ったりするケースもあります。そのため、VCの知見や生の情報を収集できるきっかけが生まれます。また会社同士がビジネス面で連携すれば、相乗効果によってさらなる利益を生みだすこともあるでしょう。

これで事業が進化すれば、さらなる利益を獲得できるため、より協力的になる可能性もあります。このつながりによって他の企業や事業家とのやりとりが発生するチャンスができれば、さらなるサポートを受けることも十分に可能です。

VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達するデメリット

VCから支援を受けるのは利点ばかりではありません。ここでは気をつけるべき点についてご紹介します。

持株比率が下がる

新しい株を生み出すと、事業家が所有している分の株式が減少してしまいます。株主総会で特別決議を通過するには3分の2以上の割合が、通常決議を通過するには半分以上の割合をキープしなければいけません。

割合が低下するほど、その方の権限や力が薄れていく点には気をつけましょう。持分が少なくなると、事業家が獲得できる利益も減少してしまいます。今後の利益に大きく関係してくるので、この点に気をつける必要があるでしょう。

上場前に株式買取が起きる可能性がある

契約項目によって左右されますが、買取を行う権限があるのであれば、VCが早いタイミングで元金をリターンしてくる可能性があります。今後の活躍が見込めないと判断した、ビジネスの雲行きが怪しいと感じた場合には、支援した分を回収する動きとなることも多いです。

そのため、プロジェクトを進行している半ばで買取を要求されることもあるでしょう。その行為が認められるかどうかは契約書によって異なります。契約を行う際は、必ず細かい点まで確認し、リミットや特定の義務が課されていないかをチェックしてみましょう。

経営干渉を受けることがある

VCから支援を受けていたとしても、それはあくまでも「相手は見込みが期待できるから」という意味合いが含まれています。当然、先方は利益の幅を大きく広げたいと思っているので、会社にそれなりの圧力をかけるケースも少なくないです。

さまざまな方面からの圧力によってビジネスの介入が続くと、立ち上げ当初とは異なった方向へ進んでしまうこともあります。最初に掲げていた理想からどんどんと遠ざかってしまう企業もいるでしょう。

しかしこれは支援を受ける以上は当然のことでもあるので、基本的にあることだと受け入れて、軸がブレないように心がけましょう。

VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける手順

実際にどのようなプロセスで支援を受けるのでしょうか。ここではその流れについてご紹介します。

資料提出

VCによって変化する場合もありますが、まずは必要な文書をそろえる必要があります。そのなかでも重要なのが、ビジネスに必要なプラン書類です。この内容を明確に記載し、魅力的なビジネスだと先方に伝えられるかがカギとなります。まとめるべき内容は以下のとおりです。

  • 企業の説明
  • 企業の方針
  • 今後の展望・方針
  • ビジネスプランの説明
  • 競合とどのように差別化しているか
  • どのようなエビデンスに則っているか
  • 具体的な戦略
  • リスクヘッジの具体的な内容 など

このように、伝えるべきポイントを網羅的に記載して、VCにしっかりとアピールできるような書類を作成しましょう。

また他にも多くの文書を用意するケースもあります。今後のトラブルを未然に防ぐためにも、必要だと思われるものはあらかじめ用意しておくといいでしょう。

査定

必要な書類の受け渡しが完了したら、VCで支援をすべきかどうかの検討を行います。受け取った文書を中心に、ビジネスとして成長が期待できるのか、市場はどのような流れなのかを調べます。

ビジネスプランの書類をもとに内容を実行できるのかを判断するので、読み手も詳しく記載しておくほどイメージが明確となりやすいです。総合的な判断の結果、今後の飛躍や利益につながると感じたときに支援を受けることが可能となります。

審査

検討が終了したら、事業家を集ってあらためて判定会を実施します。その会議でそれぞれが問題ないという結論が出たときに、はじめて出資が決まるのです。その後は、どの程度の出資を行うのか、持ち株はどのような割合にするべきかなど、条件の詳細を詰めていきます。

このように、VCへの支援にはいくつかのプロセスが必要であることがわかります。当然、根拠のないビジネス戦略を推し進めても認定されることはないので、綿密にプランを構築していく必要があるでしょう。

また支援を受けたらゴールではなく、そこからはじめてスタートなので、引き続き企業として成長につながるように努力していくことが重要です。

今後さらに必要性の高まるVCの仕組みや利点を理解しましょう

新しいサービスや技術を盛んに提供するためには、それ相応のコストが必要になります。企業1つだけでは賄えないコストを支援するためにも、今後VCの協力体制はさらに必要性が高まると予想されます。

多くの利点があるなかで、当然容易に支援を受けられるわけではありません。そのため、ビジネスの展望は明るいのか、しっかりとした根拠があるのか、などをよくチェックしてから申請を行ってみましょう。

市場を底上げするようなサービスや、まだ体験したことのない新しいソリューションを生み出すことは、今後の経済を潤す土壌作りにつながります。国内や世界に貢献できるような取り組みを行いたいと考えている方は、ぜひVCのサポートを検討してみましょう。