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業務改善とは?取り組むメリットと業務改善の流れを詳しく解説

業務改善の重要性を知っていても、具体的にどのような効果があるのか、どのように進めたら良いのか分からず手つかずにしている企業も少なくありません。

今回は業務改善とは何か、取り組むメリットと流れを解説します。

業務改善とは

企業の利益を拡大するために、仕事上の課題や問題点を発見して解決していく取り組みを「業務改善」と呼びます。業務改善によって仕事の効率化や職場環境の改善が期待できます。

業務改善が重視される背景には、日本の労働人口の減少があります。少ない人材で多くの利益を得るためには、従業員一人ひとりが自分の仕事に集中できる環境を整えなければなりません。日本政府による働き方改革の推進により、ワーク・ライフ・バランスが注目されている昨今、業務改善の重要性は増しています。

業務停滞に陥る原因「ムリ・ムダ・ムラ」への取り組み

なぜ仕事効率が落ちて、業務改善の必要に迫られるのでしょうか。なぜなら、業務に「ムリ・ムダ・ムラ」があるからです。

  • ムリ

あまりに短い納期や、個人のキャパシティを超えた作業量を課している状態です。

  • ムダ

本来必要のない業務に時間的、人的コストをかけている状態です。

  • ムラ

ムリとムダが混在している状態です。同じ従業員でもチームや担当業務によって、成果に波があります。

これら3つの観点から業務改善に取り組むことで、課題点を見つけやすくなるでしょう。

業務改善に欠かせない「QCD」と「4M」とは

QCDと4Mは業務改善に欠かせません。

QCDとは

「QCD」とは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」を意味します。より高品質な成果を低コストで生み出し、納期を厳守することが会社の利益向上には欠かせません。3要素の向上を目指すことが、業務改善につながるのです。

すべての要素について目標を設定し、優先順位をつけて数値向上に取り組む必要がありますが、どれか一つの要素のみに偏らないように注意しましょう。

たとえば製造業で、高品質な製品を作れても、採算が取れないほどの材料コストをかけては業績向上は期待できません。

4Mとは

「4M」とは品質管理の現場でよく用いられる指標です。「Man(ヒト)」「Machine(モノ)」「Material(設備)」「Method(方法)」を意味しており、それぞれの頭文字を取って4Mと呼ばれます。

従業員数や仕事に必要な資格を持つ人材を確保することはもちろん、従業員一人ひとりのモチベーション維持も業務改善につながります。また、機械やPC機器、ITツールなどのモノや設備を導入して業務を自動化したり、業務フローを見直すことも効果的です。

業務改善を実施する目的

実施の目的は4つです。

業務プロセスの最適化

業務改善によって業務プロセスが最適化できます。ムダな業務を省いて、本当に必要な業務に集中して取り組める環境づくりが重要です。

たとえば、ある仕事を進めるために逐一、上長からの承認が必要な場合、承認を得るまで次の工程に移れず時間のロスが生じます。承認する回数を減らせば、仕事がスムーズに進むかもしれません。また、承認システムを電子化して、ボタンひとつで承認できるような仕組みにすれば、よりスピーディーに業務が進みます。

一つひとつの業務の流れを把握し、各工程の作業を細かく確認しましょう。作業内容だけではなく、使っている機械やシステムが古すぎないかの確認も重要です。

特定業務・作業を改善

ある部署だけ、ある従業員にだけ業務が偏っていないでしょうか。誰かが休んだ時に、その代わりを務める人がいない場合、業務のムリやムラが生じている可能性があります。

特定の業務や作業はマニュアル化したりシステム化して、誰でも同じように進められる状態にしましょう。

業務が偏ると従業員個人への負荷が大きくなり、心理的ストレスを与えてしまいます。あまりにプレッシャーが大きいと仕事へのモチベーションが低下し、離職につながるので注意しましょう。優秀な人材の流出を防ぐためにも、業務の標準化が重要です。

人手不足への対応

労働人口の減少や転職が当たり前になっている昨今、企業は少ない人材で事業展開する必要があります。

業務改善によって効率的に仕事を進められるので、少ない従業員数でも十分に成果を生み出せるでしょう。

働き方改革(短時間労働化)への対策

働き方改革は、労働時間を短縮してプライベートも充実させようという政府の取り組みです。

より短い時間で従来以上の成果を生み出すために、効率的に仕事を進められるようにする業務改善が有効です。

業務改善をすることのメリット

4つのメリットを紹介します。

業務の効率化

これまで表立って問題にされていなかった業務のムダやムラに気づけるので、業務の効率化が期待できます。

ムダな工程は従業員のやる気を削ぐ要因になります。また、本来必要ない業務をしていると人件費や時間も浪費するため、会社の成長を妨げてしまうでしょう。

生産性の向上

生産性とは、企業が投入した人材コストや時間、資金に対して、どれほどの利益を得られたかを測る指標で、会社の発展に重要です。

業務改善によって効率的に仕事を進められるようになれば、生産性が高まり会社の成長につながります。

労働環境の改善

業務改善は労働環境の改善につながります。ある人にだけ業務が偏っていたり、一部の部署だけが残業時間が多かったりする場合、労働環境を見直す必要があるでしょう。従業員にムリを強いる労働環境は、従業員のモチベーションや企業への貢献意欲の低下を招きます。

業務改善で業務フローを見直して、従業員一人ひとりにとって働きやすい環境づくりをしましょう。

コストの削減

業務改善に取り組んだ結果、少ない人員でも短時間で成果を上げられるようになるでしょう。そのため、人件費やムダな雑費などコストの削減につながります。

ルーティン化している業務があれば、ITシステムを導入して自動化を図ってみましょう。紙媒体を使うよりも経費や時間の節約になります。

業務改善を実施する際の流れ

8つの流れに沿って進めましょう。

業務の見える化

まずは業務の見える化を行い、現状把握をします。業務全体の流れを確認しつつ、各工程で行う細かい作業も言語化します。できるだけ具体的に細かく見える化することで、業務のムダに気づきやすくなるでしょう。

イレギュラーな対応が必要な場合の業務も明らかにすることが重要です。実際に業務を担当している現場の人にヒアリングして進めましょう。

課題の抽出

現状把握したら課題の抽出に入ります。業務のムダやムラを見つけたら、どこがボトルネックになっているのか、ムダやムラが発生している原因を突き止めましょう。

問題がどのくらいの頻度で起きているのか、改善方法まで検討することが重要です。

目標の設定

課題解決のために目標を設定しましょう。目標は具体的であるほど意味があります。

たとえば、「1か月後までに偏っている業務のマニュアルを作成、3か月後までに業務の標準化を完了」など、時期や具体的なゴールを含めた目標にしましょう。

優先順位の決定

課題抽出の過程で見つかる課題は一つとは限りません。手当たり次第に取り組むよりも、優先順位をつけて改善を始めると効果を得やすいでしょう。

優先順位を決める基準は、「目標をクリアする難易度」と、「結果的に会社が得られる効果の大きさ」です。難易度が低く効果が大きい課題を最優先に取り組みましょう。

手段の決定

具体的な改善手段を決定しましょう。目標達成のために、「誰が、いつ、どのように、何に取り組むか」を明確にします。

スケジュールや担当者の業務負担に配慮して、ムリのない手段を選択することがポイントです。

実践

課題と目標、改善手段を決定したら、実践に移ります。業務改善は従業員一人ひとりの協力がなくては改善につながらないケースが多くあります。実践する際は、目的と改善方法について社内周知を徹底しましょう。

たとえばルーティンワークを自動化する場合、新しいシステムの操作について研修を行う必要があったり、システムに慣れるまでは一時的に業務にかける時間が長くなったりするでしょう。そうしたリスクも踏まえて従業員の理解を得ておくことが大切です。

評価

実践結果をもとに、どんな効果が得られたのか、改善方法は適切だったのかなどを評価します。評価は一度で終わりにせず、定期的かつ継続的に行いましょう。

客観的に評価すると、新たな改善点やより良い改善方法が見つかる場合もあります。実践と評価を繰り返し、自社に合った方法を見つけるのです。

定着化

業務改善によって定めた目標を達成できたら、定着化を図りましょう。せっかく業務改善できても、時間が経つと従来の業務フローに戻ってしまう場合があります。

最終決定した業務フローや社内の決まりを周知し、マニュアルとして残しておくと良いでしょう。従業員全員が同じ認識を持てる環境づくりに取り組むことが大切です。

業務改善の具体的手法

業務改善に効果的な手法は以下の3つがあります。

  • ITツールの導入

業務の自動化や標準化を簡単にする方法として、「ITツールの導入」が挙げられます。自動化できる業務はITツールに任せれば、浮いた時間をより生産性の高い仕事に充てられるでしょう。

スケジュール管理や経費計算、給与計算など、多種多様なITツールがあるので、自社の課題解決につながるツールを選びましょう。

  • 業務マニュアルの作成

ある従業員が休むと止まってしまう業務があるなら、その業務をマニュアル化することで業務改善が期待できます。

マニュアルに従うだけで誰でも同じような結果が得られる状態を目指して、細かい作業まで網羅したマニュアルを作成しましょう。

  • 外注化する

リモートワークが注目を集める昨今、業務の外注化がしやすくなっています。データ入力や書類作成など、社外に任せられる業務は積極的に外注すると、業務改善が図れます。

外注化する場合はコストがかかりますが、従業員の時間をより重要な仕事に割けるので効果的な方法です。

業務改善で「ムリ・ムダ・ムラ」をなくそう

業務改善に取り組むことで、企業は業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を明らかにできます。他にもさまざまなメリットが得られるため、会社の利益拡大が期待できます。

正しい流れで業務改善を進め、より働きやすい職場を実現しましょう。