コラム

人事関連でお役に立つ情報を掲載しています。ぜひご活用ください。

  1. トップ
  2. コラム
  3. 人事評価
  4. 情意評価が注目されている理由は?項目の詳細と導入メリットを解説

情意評価が注目されている理由は?項目の詳細と導入メリットを解説

情意評価が注目されている理由は?

近年、情意評価を採用する企業が増加中です。働き方改革推進により、人事制度を抜本的に見直す必要が出てきたのも背景にあるからでしょう。

では本評価を導入する利点は何でしょうか。今回は具体的な導入メリットや採用する際のポイントを解説していきます。

情意評価とは?

情意評価とは成果や能力といった数字やデータで測れない、人間性を見極めるための評価方式です。いくら表面上仕事ができると見えても、人望が伴っていなければ一流のビジネスパーソンとは言えません。

会社のルールを正確に理解していたり、チームメンバーと密にコミュニケーションが取れていたり。あらゆる角度から評価する必要があるのです。

情意評価が高ければ成長スピードが速く、より自社に合った社員を育成できるでしょう。とくに近年は売り手市場と言われ、採用活動が理想通りにいかないケースが多いです。本評価を導入すれば、自社に相応しい人材を自前で育成できます。

情意評価の項目

情意評価の項目は以下のとおりです。

規律性

情意評価を語る上で規律性は外せないでしょう。規律性は定められたルールを正確に理解し、守っているかを判断する項目です。規則を守るのはビジネスパーソンとして当然と言えるかもしれません。

しかし、自社の独自ルールを正しく理解している社員は意外にも少ないです。実際に悪気はなくても、自然と規則を破っているケースもあります。とくに上の立場に立つ社員に対しては、規律性を正確に見極めるべきでしょう。

なぜなら、部下の行動に影響を及ぼすからです。リーダーが正しい振る舞いをしなければ、チーム全体が方針とは違った行動を取ります。そのため、管理職に対して規律性を重要視する企業も多い傾向にあります。会社が正しい方向へ進むためには、決められた規則を守らなければいけないのです。

積極性

続いて紹介するのは積極性です。積極性は受け身にならず、自らいかに行動を起こしているか評価する項目です。指示待ちでは会社にとっても本人にもプラスにはなりません。一人に掛かる負担が大きくなっている現代において、一から十まで部下へ丁寧に教えるのはほぼ不可能であるのも事実です。

そのため、自分から進んで業務に取り組める方が評価されやすいと言えます。中でも、会議・プレゼンテーション・商談などの場で果敢に発言できる方は評価されやすいです。アピールにつながるだけでなく、発言内容から自分を見直すキッカケになるでしょう。問題意識を高め、成長する機会を得られます。

また、評価する側は社員の積極性を受け入れていく必要があります。失敗しても背中を押し、あらためてチャレンジできる環境をつくっていきましょう。

責任性

3つ目に紹介する情意評価項目は責任性です。責任性は与えられた業務を最後までやり遂げているかを判断する項目になります。任務を全うしてこそ、個人の成長につながり、最終的には会社の売上へと直結していくのです。

反対に業務を中断してしまうと、売上に響くだけでなく、業務にかかわった周囲の方達へ迷惑が掛かるでしょう。そんな事態を防ぐために責任性が問われるのです。

他にも「チーム内でメンバーの意見をまとめ、上司に報告していたか」「指示を積極的に出してメンバーのやる気を促していたか」などの行動も、項目としてあげられる場合が多いです。

本項目はリーダーの育成に直結する部分であるため、評価側は丁寧に考課すると良いでしょう。

協調性

最後に紹介するのは協調性です。協調性は他の社員といかに意思疎通が図れるかを判断する項目です。会社は自分ひとりで業務を行っているわけではありません。必ず人との関わりがあり、高いパフォーマンスを生み出すためには良好なコミュニケーションが必要です。

そのためにも「目配り」と「聞く姿勢」が重要になります。目配りは他の社員をサポートする際に必要なスキルです。仕事で困っている人がいれば、手を差し伸べるべきでしょう。とはいえ、具体的な問題点を見つけるのは意外にも難しいもの。日頃から周囲に視線を向け、細かい箇所まで観察しておくと良いでしょう。

また、協調性を語る上で聞く姿勢は重要です。自分の意見を押し通すばかりでは良い関係は築けません。相手の発言にも耳を傾け、受け入れる余裕が必要になります。周囲の意見を取り入れれば、より質の高いアイディアも浮かぶはずです。

情意評価を取り入れるメリット

情意評価を取り入れるメリットは次のとおりです。

さまざまな角度で評価できる

情意評価はさまざまな角度で評価できます。能力や実績だけではなく、人柄や性格なども評価に取り入れられます。会社のチームづくりはいかに団結するかが重要です。能力が高くても人間力が伴わない人が多ければ、同じ方向に進むのは難しいと言えます。

そこで、情意評価を採用することで、均衡が取れるのです。また、現状実績が伴わなくても、真面目に働く社員を評価するキッカケになります。とくに熱心に取り組む新入社員や能力を発揮できずにいる転職間もない社員の評価へとつながるでしょう。

本人だけでなく、周りの社員に対するモチベーションアップにもなります。多角的に評価できるのは評価側にとどまらず、評価対象の社員にも良い影響を及ぼします。

社員を育成できる

情意評価は社員育成にもつながります。目に見える能力や実績以外の点も評価できれば、理想に近い社員が育つはずです。

会社によっては「失敗してもいいから積極的に行動する社員を増やしたい」「意思疎通を図りチーム力を高めたい」などの願望があるでしょう。希望を項目に入れれば、社員は項目に沿った行動を取りはじめます。模範となる社員が次々とうまれ、思い描いたメンバーで構成されていきます。

結果的に会社の売上が上がるのはもちろん、離職防止につながっていくのです。情意評価は本人のモチベーションを上げるだけでなく、社員育成の環境を整えられます。

組織の一体感や連携を強化できる

情意評価は一体感や連携を強化可能です。本評価は本来のスキルや実績だけでなく、人間性や他の社員とのつながりも重視されます。

そのため、自然とコミュニケーションを積極的に取る社員が増えるでしょう。情意評価「協調性」項目が該当します。チーム力が高まれば、意識は徐々に他の社員へと広がっていきます。「どうやって結果が出たのか?」「どんな行動を取っていたか?」などを追求し始めるようになるでしょう。

結果、情報が社内に共有され、より連携が強化できます。結果ばかりを追い求めるチームではなく、一致団結し、目標に対してまい進できるチームがつくれるのです。チームワークに課題を抱えている場合は、情意評価の検討も視野に入れていきましょう。

情意評価のデメリット

情意評価のデメリットは次のとおりです。

目標設定が難しい

情意評価は目標設定が難しいとされています。なぜなら、能力や業績と違い、基準が曖昧になりがちだからです。数字やデータで表現しにくいため、評価対象者へ明確な思いを伝えられないデメリットがあります。

例えば、積極性の評価項目一つ取っても「会議では積極的に発言しましょう」「分からない点は周りの社員へ主体的に聞きましょう」となりがちです。わかりやすい基準が設けられておらず、社員は困惑してしまうでしょう。

結果的にやる気が下がり、本来得られる情意評価のメリットが得られません。本評価は目標設定が困難であると同時に、評価作成にあたって最も時間を割きたいポイントと言えます。

評価者に左右されがち

情意評価は評価者に左右されがちなのもデメリットです。前述の通り、本評価は目標を数値やデータで設定するのが困難と言えます。ゆえに、評価が曖昧になり、評価者の主観的な考えが入ってしまう可能性も高いのです。

となれば、誠実で積極的に取り組む社員の中でも、評価が偏る危険性も秘めています。日々真面目に働く社員から不満が出てしまうのは否めません。

結果的にチーム内のストレスが蓄積され、社内全体のモチベーションが下がっていきます。退職者が増え、優秀な人材が育たない環境になるかもしれません。情意評価は評価者の価値観が優先されがちであり、ポイントを押さえて対策を取る必要があります。

業績評価と能力評価との違い

ときに情意評価は業績・能力評価と混同される場合もあるでしょう。

業績評価との違いは明確です。業績評価は明確な数字やデータで目標設定を行い、その目標をもとに達成具合を評価していきます。本人のやる気や勤勉さを評価対象とする情意評価とははっきり違いが分かるはずです。

能力評価との違いは本人のスキルに着目しているかが焦点になります。能力評価はプレゼンテーション・企画・トラブル対処能力などの、本人が持ち合わせているスキルが評価されます。

一方、情意評価は周囲とのコミュニケーションの有無や業務に取り組む姿勢が評価対象となるのです。業績評価同様、違いは明確と言えます。

以上のように、業務・能力評価は評価対象が目に見えてはっきりしているのに対し、情意評価はあいまいになりがちです。3つの評価をバランス良く採用する場合、それぞれのメリットとデメリットを分析しておくと良いでしょう。

情意評価を導入する際のポイント

情意評価導入のポイントは以下のとおりです。

客観的に評価する

情意評価導入の際は客観的に評価していきましょう。数字やデータで具体的な目標設定が困難な分、より広い視野で評価する必要があります。一人一人に合った目標を設定し、面談の機会を多く設けてみると良いでしょう。評価対象者へ思いが明確に伝わり、目標設定のブレがなくなるはずです。

さらに、定期的にコミュニケーションが取れるため、部下の不満や悩みを早い段階で吸い上げられます。社員の成長スピードを速められ、結果的に社内全体のモチベーションアップにつながります。

情意評価は評価者の主観が入りがちであり、いかに平等な視点で評価できるかがポイントです。

具体例を挙げながらフィードバックを行う

情意評価では具体例を用いるのがおすすめです。前述のとおり、本評価は目標が抽象的になりがちです。そのため、フィードバックをより具体的に行えば、被評価者も納得して次に切り替えられるでしょう。

例えば「会議では最後の質問コーナーで1回は発言すると良い」「週に一度、メンバーの意見をまとめて報告するのが理想」など、数字を使って提案すると分かりやすいです。

お互いの意思疎通における誤解がうまれにくく、良好なコミュニケーションが取れます。結果、被評価者はより自分を見つめ直せ、成長していけるのです。フィードバックをする際は具体例を挙げると良いでしょう。

情意評価の手法

情意評価の手法は次のとおりです。

コンピテンシー評価

情意評価の質を上げるには、コンピテンシー評価を上手く活用すると良いでしょう。コンピテンシー評価は社内で優秀な人材をモデルとし、設定したモデルを基準にして評価していく方式です。

実際に目に見える目標がそばにいるため、イメージがしやすいのも特徴。情意評価のデメリットである、曖昧さを補える評価手法です。さらに、会社が理想とする人物をモデルに設定しているため、社員が希望の人材に育ちやすいメリットもあります。思うように人材が育たない場合は導入を検討してみると良いでしょう。

また、社内に設定できそうなモデルがいなければ、自社で独自に作り上げるのもおすすめです。現実とはややかけ離れてしまう可能性もありますが、評価項目を一段とアレンジできます。

以上のように、理想とするモデルを設定すれば、評価もしやすくなります。

バリュー評価

バリュー評価は現代において浸透し始めている評価手法です。会社が定めた考え方や行動指針を正しく理解し、実行できているか評価する方式。

企業の団結力がより試される時代となり、会社の思いがいかに社内全体へ共有できているかが重要となりました。本評価を導入すれば、企業のビジョンを理解した社員が育つでしょう。狙いとは違った言動を取る社員も格段に少なくなるはずです。

さらに、業務の取り組み方が統一されるため、効率化が図れます。結果的に社員だけでなく、会社全体が右肩上がりに成長できるのです。現在は世界的に有名な企業もバリュー評価を取り入れています。考え方が社内で共有できない場合は本評価の導入を検討してみましょう。

まとめ

情意評価は被評価者の能力や業績では測れない、勤務態度や積極性などを評価する方式です。多角的に評価が可能だったり、組織の連携を強化できたりするメリットがあります。

とくに、さまざまな角度で評価できる利点は大きいです。結果が出なくても、誠実に働き続ける社員を評価できます。モチベーションが上がり、本人の成長へとつながるでしょう。

導入時には主観を排除して客観的に評価し、具体例を用いてフィードバックすると良いです。まずは情意評価の特性を理解し、必要であれば導入を検討していきましょう。