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自律はビジネスにおけるキーワード!VUCA時代の人材育成、組織づくりのヒントとは

自立とは

あらゆる変化が激しい現代において、重要視されている「自律」というキーワードをご存じでしょうか。自律とは、指示がなくても、個人がそれぞれの価値観や判断で、目的達成のために行動することです。

企業においても、自律的思考を持つ人材の確保や育成は、激しい市場や業界で成果を残すために、重要となります。

本記事では、自律型人材の育成方法や自律学習の重要性、自律型組織の構築方法などを紹介します。

ビジネスで注目される「自律」とは

自律とは、従来の指示を待つ働き方ではなく、自らの意志で考え行動し、能動的な姿勢を持つ姿勢を指します。自律は、自己管理や自己責任だけでなく、主体的な行動や意思決定の能力も含みます。

ビジネス環境は急速に変化しており、従来の仕組みやルール通りに行動するだけでは、対応が難しくなります。自律を重視することで、個々の能力やアイディアが最大限に引き出され、組織全体の生産力や業績向上に役立てられるのです。

本記事では、なぜ自律が注目されるのか、自律型人材の育て方などを紹介します。組織の活性化や業績拡大のためにも、参考にしてみてください。

なぜ「自律」が注目されている?

自律が注目されている理由を紹介します。

  • VUCA時代にマッチしているから
  • 働き方が多様化しているから

自律は、変化の激しい現代社会で、個人と組織の成長に欠かせない概念です。なぜ今、自律が注目されるのかを把握しておきましょう。

VUCA時代にマッチしているから

現代のVUCA時代に、自律はマッチしています。

VUCAとは、不確実性・不安定性・複雑性・曖昧性が高く、変化が多くなっている現代社会を指す言葉です。個人や組織が柔軟かつ効果的に対応するために、VUCA時代において、自律が重要視されるのです。

自律を持つ人材は、変化にも柔軟に適応し、新たな状況にも適切な行動や挑戦する姿勢を持ちます。自己主導的な行動が、変化の多いビジネスの場面でも対応力を活かし、市場の変化に順応する力を生み出すのです。

働き方が多様化しているから

働き方が多様化してきているのも、自律が注目される理由です。自律型人材は、柔軟で自主的な働き方に適応しやすく、自分自身の能力やスケジュールを適切に管理しつつ、成果を上げます。

働き方の変化により、作業フローや効率的に進める仕組みも変わるため、生産力向上のために適切な判断能力が求められます。リモートワーク、フレックスタイムなど、多様な労働環境においても主体性を発揮できるように、自律の重要性が高まっているのです。

①自律型人材とは

自律型人材とは、指示を受けるだけではなく、個人の意志で判断し、行動しながら成果を残す人物を指します。詳細な指示がなくても、自分が持つスキルや役割を認識し、チームの目的や課題解決に向けて行動できるのが特徴です。

自律型人材は、柔軟で主体的な姿勢を持ち、変化に適応しながら自らのスキルアップを目指す姿勢があります。組織においても、自律型人材が多くなることで、組織全体の意思決定のスピードが向上し、新たなアイデアを生み出す環境が育まれやすくなる利点も持ちます。

自律型人材が組織内に増えることで、組織全体の成果向上や持続的な成長が実現し、変化の激しいビジネス環境にも対応できる、強力な資産となるでしょう。

自律型人材が求められる理由

自律型人材が求められる理由として、「高い順応性」や「雇用形態の変化」が関わっています。

変化のスピードについていける順応性が求められるから

IT技術や経済の発展など、順応性が求められる変化が多い現代では、自律型人材の存在が重要になります。企業が継続的に発展・成長していくためには、時代の情勢変化に合わせた、柔軟な対応が不可欠です。

自律型人材は、環境や規則が変化しても順応し、場面に応じて判断・行動し、主体的に適切に動く能力を持ちます。新しい知識やスキルを積極的に学び、自分自身を成長させながら、変化に対応していくことができるため、自律型人材は企業の競争力強化に向けて欠かせない存在と言えます。

ジョブ型雇用が広がっているから

現代では、ジョブ型雇用が広まっている点も、自律型人材が求められる理由です。ジョブ型雇用とは、職種に適した専門的なスキルや経験を重視する採用形態です。

従業員が自身のスキルを向上させ、業務に即した即戦力となる能力が求められます。

ジョブ型雇用では、企業から研修や教育を実施するケースが少なくなり、従業員自身が主体的に学び成長を促進する必要があります。自律型人材は、自らで学びや成長の機会を生み出し、常にスキルアップを目指す姿勢を持っていることが重要です。

自己成長の意欲と継続的な学習が、ジョブ型雇用の環境に適応するための大きな要因となるでしょう。

自律型人材を育成する5ステップ

自律型人材を育成するための5つのステップは、以下のとおりです。

  1. 自律型人材を定義する
  2. 主体的な行動をしやすい風土を作る
  3. 環境づくりを行う
  4. 企業の方針を社員と共有する
  5. 研修と実務のサイクルを作る

どのようにして自律型人材を育てるべきか、具体的な手順を解説します。

自律型人材を定義する

自律型人材の定義を明確にしましょう。組織において求められる特性や行動を整理し、育成の方針を確立します。主体的な行動やチーム協力など、具体的な行動特性を明示化することで、従業員は自身の役割と責任を理解しやすくなります。

自己管理能力や柔軟性、問題解決力なども重要なスキルとして定義し、向上を目指す方針も設定しましょう。明確な定義があれば、育成プロセスをスムーズに進め、組織全体の目標達成に貢献します。

主体的な行動をしやすい風土を作る

自律型人材を育成するためには、風土の整備も重要です。自律的な行動を促し、失敗を恐れずに挑戦する文化を作ります。

リーダーシップやチームワークの重要性も強調し、自律的取り組みを周囲がサポートする環境作りを意識しましょう。上司と従業員とのコミュニケーションを円滑にし、目標設定や進捗報告をしやすくする環境作りも大切です。

環境づくりを行う

自律型人材を育成するには、適切な環境を整えることも意識しましょう。効果的な情報共有やコミュニケーションツールの整備、柔軟なワークスペースの提供など、自律的な働き方をサポートする環境を作ります。

成果を評価する仕組みを導入し、自律的な取り組みが公正に評価される環境の構築も大切です。従業員が自身の能力を発揮し、適切に評価される環境整備が、自律型人材の成長を促進する大きな要素となります。

企業の方針を社員と共有する

自律型人材を育てるために、組織の方針や目標を社員と共有しましょう。個人の取り組みが組織のビジョンや経営方針と、どのように関係するかを把握することで、業務のモチベーションにつながり、自律的行動の促進が期待できます。

従業員間のコミュニケーションを通じて、各従業員が自身の役割が組織全体にどのように貢献するかを理解し、主体的なアプローチを取る意欲を高めましょう。組織と個人の目標が一致する環境が、自律型人材の成長を後押しします。

研修と実務のサイクルを作る

継続的な学習と実践も自律型人材を育成するためには不可欠です。研修プログラムや実務プロジェクトを組み合わせて、スキルの向上と実践力の強化を促進します。

継続的な学びをサポートする仕組みを確立し、自己成長しやすいサイクルを作りましょう。定期的なフィードバックや評価を通じて、自身の成果と向上点を確認し、次のステップに向けた計画を立てる習慣を養います。

自己啓発のサイクルを循環させることで、従業員の自律的なスキルの向上が実現しやすくなります。

②自律学習とは

自律学習とは、個人が自発的に新たな知識やスキルを習得するプロセスを指します。伝統的な学習の枠組みにとらわれず、自身の興味やニーズに基づいて、学びの機会を創出することが特徴です。

自律学習は、学習内容やペース、方法を個々に合わせて選択できます。今やインターネットの普及やオンラインレッスンの充実により、自己学習の手段が大幅に広がりました。仕事に関連するスキルや知識を学び、従業員の成長に対する主体的な姿勢を養うための手段として、自律学習は効果的です。

自律学習を促すことにより、従業員は自分のペースで学びを進め、持続的な組織の成長を達成するための一助となるでしょう。

自律学習が必要な理由

自律学習が、現代のビジネスにおいて必要な理由として、以下を紹介します。

  • 社員の専門性が求められるから
  • 個性を評価する風潮が広がっているから

自律学習の重要性を把握し、従業員が自発的にスキルアップを目指せる環境作りを進めましょう。

社員の専門性が求められるから

急速な変化と進化を遂げる現代社会において、社員の専門性がますます重要となります。新たな技術や知識が次々と登場する中で、常に最新の情報にアクセスし、スキルを磨く能力が重要となるです。

自律学習は、積極的な学びを通じて、専門性を向上させる手段として不可欠です。従業員が、自己主導的な学習を通じて、自身の専門性を磨くことで、組織において不可欠な存在となるでしょう。

個性を評価する風潮が広がっているから

多様性が尊重される現代社会において、個性的な能力や特性が高く評価される傾向があります。自律学習は、個々の個性を発揮し、強化のためにも有力な手段です。

組織は、従業員それぞれの得意分野や興味に基づいて、自己学習の機会を提供することで、より総合的な価値を生み出しやすくなります。個性を尊重し、育成する環境が、組織の成果を高める要因となるでしょう。

企業が自律学習を支援するには

従業員の自律的な学びを促進するためには、適切な環境作りを進めることが大切です。自律学習を支援するポイントを、それぞれ詳しく紹介します。

自律学習の重要性を周知する

自律学習が組織全体の成果や、個人の成長に与えるポジティブな影響を、従業員に広く伝えることが重要です。成功事例や専門家の見解を共有し、自己成長がいかに価値あるものであるかを認識させましょう。

自己成長が組織のパフォーマンスを高め、個人のスキルを強化する重要な意味があることを、従業員に理解させることが目的です。

学習機会を提供する

自律学習を支援するためには、多様な学習機会を提供することが大切です。内外部の専門家によるセミナーやワークショップ、社内外のオンラインコースや学習ツールの活用など、幅広い選択肢を提供します。

個々のニーズや得意分野に合わせた学習プランを作成し、従業員が自分のスケジュールに合わせて学べる環境を整えることが重要です。学習の成果を評価し、従業員の成長を支援する体制の構築を検討してみてください。

自律学習を継続する仕組みを作る

1度の学習だけでなく、自律学習を継続的に促進する仕組みを構築することが重要です。従業員が継続的に学び、成果を挙げるためには、長期的なプロセスを整える必要があります。

定期的な評価や目標設定を通じて、自己成長の進捗を確認し、新たな学習目標を立てるサイクルを作ります。

学習の成果を組織全体で共有し、過去の成功事例や効率的な学習法を広めることで、従業員の意欲を高める効果が期待できます。自律学習を習慣化するための支援体制を築くことで、従業員のスキル向上と組織の成果向上を実現しましょう。

③自律型組織とは

自律型組織について、従来型組織の違いと、種類を紹介します。

従来型組織との違い

従来型組織と自律型組織の大きな違いとして、組織内の権限や意思決定のあり方が挙げられます。従来では、上位の指示が各メンバーに伝達される体制が主流でした。指示者が明確で、従業員は所定の指示に従うスタイルが一般的とされます。

一方、自律型組織では指示がなくても、従業員が主体的に意思決定し、柔軟に働けるのが特徴です。自律型組織では、階層や立場による差がなく、各従業員の主体的な行動が促進され、アイデアの発信や問題解決が活発化しやすくなるのがメリットです。

自律型組織は、従来よりも組織の進化や成果に影響を与える要因となります。従来型組織との違いを認識し、組織を変革することで、持続可能な競争力を得る可能性を広げられるでしょう。

自律型組織の種類

自律型組織にも、さまざまな概念が存在し、以下に示す3つのタイプに分かれます。

①ティール組織・役職や階級を定めず、個人が意思決定を行う
②ホラクラシー組織・役職や階級がない
・組織の明確なルールに基づいて、従業員が行動し意思決定を行う
・短期プロジェクトや変化が多い業界に向いている
③アジャイル型組織・現場のチームや社員に権限を与え、個人が意思決定を行う
・詳細な計画を立てず、実行と改善を繰り返しながら意思決定を行う

組織の方針や、プロジェクトの規模などによって、適した自律型組織のタイプを選択することが、効率的に業務を進めるために重要となります。

自律型組織のメリットとデメリット

自律型組織のメリットと、デメリットについて紹介します。自律型組織の構築を検討する際には、利点や課題となるポイントを押さえておきましょう。

自律型組織のメリット

自律型組織のメリットとして、以下が挙げられます。

  • 個人の能力や経験を活かせる
  • 個人で意思決定ができるため、市場の変化に素早く対応できる
  • 主体的な姿勢が評価されるため、労働意欲の向上につながる

従業員は自身のアイデアや知識を活かし、より主体的な働き方が可能です。柔軟な意思決定と迅速な対応が可能なため、変化の激しいビジネス環境にも適応しやすい特徴があります。

自律型組織の構築は、組織全体の成果にも、ポジティブな影響をもたらすでしょう。

自律型組織のデメリット

一方で、自律型組織のデメリットは、以下のとおりです。

  • 個々の高い能力が求められる
  • 個人で意思決定するため、情報共有が難しい
  • 人材の育成に時間がかかる

上司やリーダーが指示を出さずに、個人が意思決定するため、判断能力がある人材が揃っていなければ、組織がまとまるのが難しくなります。情報共有の点でも、企業の規模によっては、組織全体への伝達がしづらくなる点にも気をつけなければいけません。

自律型組織の構築には、デメリットを把握し、バランスを取りながら実現を目指す必要があります。

自律型組織が必要な理由

自律型組織が必要な理由として、変化への対応力や、新しいアイデアの想像力があります。

時代の変化にスピーディーに対応するため

急速なテクノロジーの進化や市場の変動など、VUCA時代と呼ばれる現代になり、ますます自律型組織が求められるようになりました。

自律型組織は、従業員が自ら判断し、意思決定を行う体制を築くことで、変化への適応力を高める役割を果たします。予測が立てづらい情勢や市場の変化にも、柔軟な施策を立てられる組織文化が、成果を残せる企業に必要となります。

自律型組織の構築は、変化と不確実性が多い時代において、企業の競争力を保つ手段となるのです。

新たなものを創り出すことが求められるから

競争の激化や市場の変化により、新たなアイデアや革新的なサービスの創造が重要となっています。自律型組織は、従業員が自らのアイデアを発信し、実現する環境を生み出しやすいのも強みです。

従業員の多様な視点やアイデアを活かし、新たな価値の創出が促進されます。自律型組織の構築により、創造性や革新性を持ったアイデアが生まれやすくなり、組織の競争力を向上させるでしょう。

自律型組織を構築する方法

自律型組織を構築する方法として、以下を紹介します。

  • 企業のビジョンを共有し、行動指針を理解してもらう
  • 個人が意思決定しやすい環境を作る

自律型組織の構築は、組織の持続的な成長と生産力を高める鍵となります。組織に貢献できる人材を育成するために、適切な環境作りも大切なポイントです。

企業のビジョンを共有し、行動指針を理解してもらう

自律型組織を構築するためには、従業員に組織のビジョンや目標を理解させることも大切です。企業全体の方針を明確に伝え、どのような価値を提供したいのかを共有します。

自らの意志で動けても、企業が求める指標に沿わない行動をする従業員は、本当の自律とは言えません。具体的な行動指針やルールを定め、従業員が自分の行動を方針に合わせて判断できるようにサポートしましょう。

従業員がビジョンに共感し、自身の行動に反映させることで、組織全体が目標に向かう力が生まれます。

個人が意思決定しやすい環境を作る

自律的な行動を促進するためには、従業員が意思決定しやすい環境を整えるのも大切です。

上下関係をなくし、組織全体がフラットな関係を構築することで、従業員がより自由な発想と行動ができるような環境を作ります。定期的なコミュニケーションや、フィードバックの機会を提供し、従業員のアイデアや提案が尊重される仕組み作りも大切です。

個人の意見や判断が尊重される環境が整えば、自律的な行動が促されやすくなるでしょう。個人のアイデアが採用されやすい環境が作れれば、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上につなげられる利点もあります。

自律した組織を目指しましょう

自律はビジネスにおいて重要な要素であり、多様化する働き方にも対応するためにも、求められています。従業員が、主体的に行動し、スキルアップに向けて努力することで、組織の競争力や生産力につながります。

自律の重要性を理解し、柔軟な組織文化を築くことは、組織全体が成功を収める可能性を高められる大切な要素となるでしょう。