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人事制度の運用とは?導入時のポイントや注意点を解説

人事制度の運用とは?

人事制度を導入して業務効率化を狙う企業が増えています。しかし、制度を採用するだけでは効果がなく、運用してはじめて成果が上がっていくのです。では運用時に押さえるべき点は何があるのでしょうか。今回は運用のメリットと設計のポイントを中心に徹底解説していきます。

人事制度の運用とは

人事制度の運用とは、システム導入後に社員へ周知・適用させる働きです。人事制度採用後はいかに定着させるかが重要であり、不満なく活用させる必要があります。立派な人事制度を導入してもスムーズに動かさなければ意味がありません。人事制度は「導入」「運用」の2点が揃い、初めて力を発揮するのは念頭に置いておきましょう。

人事制度運用のメリット

人事制度運用のメリットは以下のとおりです。

企業理念やビジョンの浸透

人事制度を効率的に運用できれば、企業理念やビジョンが浸透できます。経営者自ら先頭に立って将来の展望を掲げても、やはり社員へ気持ちを共有させるには限界があるのです。いかに人事制度を利用し、理念やビジョンを浸透させるかが重要になります。人事制度は企業理念に基づいた各社員の目標設定が可能であり、理想とする行動を取ってくれるでしょう。会社の行動指針が上手く伝わっていない企業は人事制度を運用する価値ありです。

目に見えない不満を解消

人事制度を活用すると目に見えない不満も解消できます。人事制度は業務効率化を図るだけでなく、社内コミュニケーションの活性化が可能です。例えば、年に1回の面談が3ヵ月に1度へ変更されたり、上司だけでなく同僚や部下との面談が増えたり。意思疎通がスムーズになり、気付かなかった点も指摘し合えます。とくに人事制度では評価対象者の長所・短所をフィードバックできる点に優れており、社員一人一人の成長につながるでしょう。今までなかなか言い合えなかった点も本音で語り合えます。

社員のモチベーション向上

制度をうまく運用できれば、社員のモチベーション向上につながります。人事制度は対象者を的確に精査できるため、普段の頑張りが適切に給与として反映されます。結果、社員の士気が上がり、より熱心に働いてくれるでしょう。成果を出し続ける社員が増え、会社の成長に大きく貢献してくれます。制度の運用は社員全体に意欲を持たせられるのです。

人事制度の設計、導入のポイント

設計・導入のポイントは以下のとおりです。

課題の確認

人事制度導入の際は問題点がどこにあるか確認しましょう。課題が明確であれば、後の目標設定やフィードバックに軸ができます。反対に、問題点の確認を怠ると、本来解決しなければいけないポイントがズレてしまうのです。そのためにも、課題は「組織」「個人」で分けて抽出していきましょう。組織なら、社員のモチベーション低下や人材育成が遅れている点。個人であれば、目標未達成や新規顧客獲得が困難な点をあげていくと良いです。まずは自社の課題に着目していきましょう。

現人事制度の現状分析

人事制度を導入する場合、現人事制度の現状分析を行いましょう。目指したい企業の姿と現在の人事システムを把握できれば、自然と問題点も浮かび上がっていきます。目標とする姿とのギャップが分かると、今後の取るべき行動も明確になるのです。人事制度を見直す機会はなかなか無いはず。良いキッカケと捉え、多方面から現状分析していきましょう。

理想の人材像の明確化

人事制度の設計・導入時は理想の人材像を明確化していきましょう。求める人材をハッキリさせることで、本来採用すべき社員の確保が実現できます。そのためには、まず「マネージャー」「システムエンジニア」などの全体像を決めていきましょう。その後「能力」「やる気」「人柄」などの項目でイメージを具現化していくのがおすすめです。理想とする人材像はより明確化するのが重要になります。

人事制度のメカニズムの構築

人事制度を設計する場合、システムのメカニズムを構築していきましょう。実際に構成を組み立てていく段階でもあり、家で言えば土台を作り上げる重要なステップです。具体的には等級・評価・報酬制度に沿って組み立ていきます。等級は各社員の能力をランク付けする制度であり、評価は社員の行動や強みを明確にする制度。報酬は等級と評価制度の結果から給与を決定する制度です。3つの柱をバランス良く吟味していきましょう。

運用を開始してよく浮上する問題

運用を開始してよく浮上する問題は以下のとおりです。

初期の目標設定

人事制度運用後に生じる問題は初期の目標設定です。導入時に社員へ目標を設定指導・共有を行ってもスムーズにいかないかもしれません。例えば、自分を卑下して目標が低すぎたり、自信過剰で高すぎたり。適正な目標設定に四苦八苦するでしょう。そのため、目標を決める際は上司をまじえて設定するのが良いです。自分に合った目標が決まるはず。

評価のばらつき

人事評価運用当初は評価にばらつきが出るかもしれません。評価者も導入当初は手探りの状態。本来、評価項目に沿った査定をしなければいけないものの、経験の少なさから偏った評価が出るケースもあるでしょう。上司自身の価値観が優先されたり、好き嫌いが考課に影響出たり。未然に防ぐ為にも、評価者の査定癖をあらかじめ把握しておくのが良いです。

人事制度の目的が理解できていない

人事制度を運用しても、本来の目的を理解できない社員も多数います。「前より人事評価がしっかりしたな」くらいの軽い気持ちでいる方もいるでしょう。一社員にとって評価方法が変わるのは、そこまで重要ではないのかもしれません。そのため、制度を導入・設計時は目的を明確にしておくと良いでしょう。

給与や賞与

人事制度を運用当初は給与や賞与に影響が出るかもしれません。人事制度を導入すると、今までの評価方法がガラリと変わります。例えば、上司のひいきによって高評価を受けていた社員は給与が下がる可能性も。反対に、日の目を浴びずサポート役に徹した方でも、努力が報われる日が来るでしょう。人事制度の運用は社員の給与や賞与に大きく左右します。導入時はあらためて情報の周知徹底を行うのが良いです。

よりよい人事制度のつくり方

よりよい人事制度のつくり方は以下のとおりです。

人事制度の目的を認識する

よりよい人事制度をつくるには社員に目的を認識させていきましょう。意図を明確にしておかなければ、社員全体の成長につながりません。加えて、企業理念やビジョンを上手く共有できないでしょう。そのため「何のために人事制度を導入するか?」「制度採用によって社員にどんなメリットがあるか?」など、社内でコミュニケーションを取るのがおすすめです。目的が明確化されると、各社員のモチベーションが上がり、会社全体の業績につながります。

評価基準の明確化

ワンランク上の人事制度をつくるには評価基準を明確化させておきましょう。基準をはっきりさせておけば、いざ給与が下がっても不満を持つ社員は減るはずです。また、評価項目に沿った行動を取る社員も増加していきます。そのためにも「成約数よりもアポイント数で評価される」「積極的にプレゼンを行った社員が高評価を得る」などと、共有しておきましょう。会社が望む社員へと成長してくれます。

フィードバックを確実に行う

よりよい人事制度をつくるにはフィードバックを確実に行いましょう。フィードバックを行ってはじめて社員と会社の成長につながります。社員が取った行動に対して指摘・評価をし、正しいアクションを取るよう道しるべを示していきましょう。とくに設定した目標・評価項目に対して「どのような行動を取ったか?」の裏付けを明確にすると良いです。各社員が取る行動に対して責任感がうまれます。人事制度運用時はフィードバックも重要視していきましょう。

まとめ

人事制度を導入するだけでは効果が期待できず、運用してはじめて成果をもたらします。制度の運用するメリットは、企業理念やビジョンの浸透が期待でき、コミュニケーションの活発化により目に見えない不満を解消できます。運用開始こそ問題が出るケースもありますが、社内制度の目的や評価を明確化しておけばトラブルは防げるはずです。是非人事制度導入時は運用についても議論していきましょう。