OKRの設定方法とは?注意点や成功事例を紹介!

OKRとは、目標を管理するうえでの手法の1つで、O(Objective=目標)とKR(Key Results=主要な成果)を設定し、目標の設定から成果の確認、評価の流れを高い精度で行うことを指します。
さらにOKRは、目標を企業単位や個人単位で設定できることが特徴となっています。
近年ではメルカリやGoogleなど、多くの企業がOKRを取り入れたことにより、日本でも主流な目標管理方法となりました。
企業内のチームのパフォーマンスを向上させるOKRの効果をもとに、導入を検討している企業も多くあるかと思います。
今回は、OKRの設定やそれにかかる時間、注意点や成功事例を詳しく解説します。
そもそもOKRとは?
OKRは「Objectives and Key Results」の略で、目標管理手法の一つです。
具体的には、「Objectives(目標)」を定め、目標を達成するための「Key Results(成果指標)」を設定することです。
OKRは「組織として何を目指し、何を成したいか?」という目標を明確にすることで、目標達成への過程で企業と個人の結束力を高めることができます。
OKRの主な特徴
OKRで目標を管理する特徴としては、達成率が60~70%で成功と見なされる点が挙げられます。
挑戦的な目標設定をすることで、未達成項目よりも達成項目に着目出来るためです。
実際に2015年からOKRを導入しているメルカリでは、OKRのうちKR(key results:主要な結果)に関して、「KRを考慮する上で、全てが50%程度の達成率のものである必要はない」と述べています。
難しい目標だけを設定して社員のモチベーションが減少することを危惧し、適度なバランスでKRを設定する一事例です。
O(objectives:目標)の設定方法
まずはO(objectives:目標)を決め、その後の各数値に下ろしていくことが重要になってきます。
目標は、その目標に取り組む従業員が、取り組みを実施していくなかで気分が高揚するようなもので設定するのがおすすめです。
難易度も少し難しいくらいのレベルで、期限内で達成可能なものを目標に設定することがおすすめです。
O(objectives:目標)の設定手順
Objectivesは企業として目指すべきゴールであり、こうなっていたいという状態のことを指します。
そのため、数値では測れない定性的な目標を設定するのが特徴ともいえます。
OKRの設定手順として、まず始めに企業の目標=Oを決める必要があるでしょう。
OKRを設定する際に重要となってくるのが、目標の一貫性を持つことです。
段階ごとに目標を立てていく際に一貫性がなければ、社員が協力して同じ目標に向かって行動するということは難しくなってしまいます。
また、企業としての目標を設定する際には、企業に勤める社員の理解を得やすいものにすることが良いでしょう。
O(objectives:目標)設定の際の注意点とポイント
OKRの設定手順として、まず始めに企業の目標=「Objectives(目標)」を決める必要があります。
OKRを設定する際に重要となってくるのが、目標の一貫性を持つことです。
段階ごとに目標を立てていく際の数値の歩留まりに一貫性がなければ、社員が協力して同じ目標に向かって行動するということは難しくなってしまいます。
また、企業としての目標を設定する際には、企業に勤める社員の理解を得やすいものにすることが良いでしょう。
O(objectives:目標)を設定する際の注意点として、下記2点を挙げます。
・維持や継続はNG
・具体的な目標を設定する
O(Objectives)設定の際のポイントとして、Objectivesを設定する際には、以下のような点を意識して設定しましょう。
・Oは1つが望ましいが、最大でも5つ以下にする
・定性的な目標にする
・期間は1か月から四半期を想定する
・部署や従業員が独立して達成できる内容にする
・従業員のやる気が出るポジティブな内容にする
KR(key results:主要な結果)の設定方法
Oが決まったら、KR(key results:主要な結果)を設定します。
設定手順として基本的な3点を挙げます。
・定量的に計測できる
・客観的に評価できる
・困難だが不可能ではないもの
『売り上げ○%UP』『新規顧客○人獲得』といったものが例にあげられるでしょう。
KR(key results:主要な結果)設定手順
Key Resultは「難しい目標ではあるものの、頑張れば達成できる可能性がある」というような高めの目標が望ましいとされています。
KRは目標を達成するための指標であり、企業が定めた目標との関連性が高いものである必要があります。
設定した目標を達成するために欠かせない指標はどのようなものであるかを検討しながら決めていきましょう。
KRはあまり多く設定しすぎてもかえって目標達成が困難になってしまうため、大きく影響を与えるものを厳選し、最終的には3~5つに絞り込むと良いでしょう。
KR(key results:主要な結果)設定の際の注意点とポイント
設定の際の注意点として、OKRは設定したら期限まで放置するのではなく、週次のミーティングなどで毎回確認します。
OKRを設定し、そのうえで更に定期的な見直しを行わなければ、個人や企業の成長にはあまり効果が出ない可能性があります。
そのため、例えば週1回ミーティングを行って社員一人一人のOKRを確認するとことで、企業に合わない目標を設定していないかなどの判断が可能になります。
また、週末にフィードバックを行うことで、社員の進捗確認や設定した成果目標は適切かどうかを確認することができます。
KR(key results:主要な結果)設定の際のポイントとして、下記が重要になります。
・O(Objectives)1つにつきKRを3~5つ設定する
・KRは企業の目標達成に極力強く関連しているものにする
・達成率60~70%程度の困難だが・実現不可能ではない数値を設定する
・計測可能な数値を設定する
忘れてはいけない!健全性指標の設定
OやKRとは別に設定しなければいけない項目がひとつあります。
それが『健全性指標』という数値です。
健全性指標とは、OKRそのものには記載はされていませんが、OKRを達成するためになくてはならない指標のことを指します。
例えば、O(Objectives)を『セールスの目標必達』に設定し、KR(key results:主要な結果)を『売上を○%UP』『商談数を〇件獲得する』などに設定すると仮定します。
この場合の健全性指標としては、『メンバーの健康』や『顧客満足度』など、組織運営をする際に大前提として必要となる要素のことをいいます。
達成しないといけない項目がOKRとするのであれば、健全性指標は、目標達成の有無にかかわらず、常に監視し続けることが重要となる項目を指します。
OKRを企業全体に浸透させるための設定プロセス
OKRを成功に導くためには、組織単位から個人単位へ、数値を下ろしていくことが重要です。
本項目では、設定の際に必要となるプロセスについて解説します。
step1. 企業のビジョンと目標の明確化
OKRの設定手順では、まず始めに、企業の目標やビジョンを明確にすることが必要です。
OKRは、定性的な目標から成り立てることが重要であるため、前提として企業全体として向かいたい方向はどちらなのかをあらためて理解を深め、目標を明確化することが必要となります。
step2. 企業全体のOKR設定
続いて、企業としてOKRを設定しましょう。
企業全体としてOKRを設定する際は、次の四半期でどのような状態を目指すべきか(Objective)を鑑みて、定性目標として設定します。
OKRは数多くの従業員が取り組む目標指標であるため、本項目で設定する内容は、どの従業員も理解できるようにする必要があります。
また、最終的には従業員が一丸となって取り組め、取り組みの最中に業務に対してわくわくする感情が湧きやすいような、わかりやすい内容が望ましいとされています。
step3. 部署やチームのOKR設定
ネクストステップとして、企業全体のOKR達成のために、部署やチームが貢献できるようなOKRを設定しましょう。
部署やチームのOKRの立て方も企業と同様、O(Objectives)とに設定し、KR(key results:主要な結果)をベースに組立てましょう。
本内容は、よりミクロな単位で従業員一人ひとりがに影響を及ぼすため、従業員が企業のOKRを正しく理解したうえで、各組織に落とし込めるように設定ができるよう、促すことが重要であるといえます。
step4. 個人のOKR設定
最後に組織の最小単位である従業員個人で、OKRを設定しましょう。
個人OKRを設定する際は、部署やチームのOKRをもとに設定する必要があります。
会社全体、そして組織や部署のOKRを理解できていなければ、関連がある目標設定ができない可能性が考えられるため、上司やチームメンバーとも調整しながら設定することがおすすめです。
目標設定のアイデアが浮かばない時の解決
目標は何にすべきかと考えても、なかなか浮かんでこないことや、達成したいものがたくさん思いつきすぎて、なかなか絞りこめないというケースもあるかもしれません。
考える際は、「現在の状態を維持したり継続をするのではなく、更に高い状態を目指す目標にすること」と「具体的な目標にすること」を心がけましょう。
目標設定の時点で今の状態でも達成できる容易なもので設定してしまうと、最初から目標を低く設定してしまった場合に、最高の状態で目標を達成することが困難となってしまいます。
また、例えば他人が夢物語と感じるような遠い目標であっても、達成までの道のりのイメージができないこともあるでしょう。
これは個人と部署、組織、会社同様であり、目標は達成まで少しアッパーではあるが、努力をすれば達成でき、且つ具体的行動を実践したら達成できそうなまでに具体的に定めることが重要です。
OKRの効果を発揮するために重要なこと
効果を最大限発揮するためには、常にOKRを意識すること、そして改善を続けていくことが重要になります。
OKRは達成度が6〜7割程の難易度の高い目標を設定し、達成度の指標を明確化することによって、普段以上のことを達成する目標管理の手法です。
他の手法とは違い、目標に向かってチームや個人が自主的に最大限の力を発揮するために作られています。
どんな目標管理手法も、それを行う企業や人次第で効果は大きく変わります。
使い方を間違えてしまうと、想定通りの効果は期待できないこともあるでしょう。
本項目では、OKRの効果を発揮するために重要となるポイントを解説します。
OKR導入の目的を明確化
OKRを成功させるためには、導入目的やメリットを従業員に共有し、理解を深めてもらうことが重要です。
達成がイメージできない目標だと、従業員はその目標に取り組む意味が分からなかったり、目標を自分事と捉えることができません。
従業員が都度目標に対して行動を起こせるよう、従業員と上司、企業どのステークホルダーも目的を明確にしておきましょう。
目標設定の透明化とコミュニケーション
OKRを成功させるためには、上司と部下が積極的にコミュニケーションを取り、目標を形骸化させないことが重要です。
週次のMTGや、部下と接するタイミングでその都度進捗の確認をしたり、認識が相違ないかを確認することで、目標達成に向けて共に進む姿勢が重要です。
OKRと人事評価を切り離す
人事評価と直結させず、高い目標に挑戦することが重要です。
OKRを評価と結びつけると、なるべく目標が達成できるようにするために、従業員や組織の目標設定の基準が低くなってしまう危険性があります。
そのため、OKRと人事評価は別にすることが肝心です。
OKRの管理と進捗確認
各従業員個人ごとのOKRを個別で管理すると、確認工数や更新の手間がかかり現実的とはいえません。
ツールやシステムを活用して目標を集約し、また、同一のシステムに1on1や面談などの記録も残すことで、効率的かつ統一的な人事管理が可能になります。
OKR目標を継続
Oを期間内に変更してしまうと、Oに向かって努力していたチームや社員のモチベーションが減少してしまいます。
また、企業への不信感も強まってしまう可能性があるので、Oを途中で変更することは避けましょう。
Oを変更する際は、一度達成した後に、その結果を踏まえて次のOを設定しましょう。
立てた目標を忘れずに管理
OKRを達成できない理由としてよく挙げられるのが「せっかく設定したOKRを忘れてしまう」ことです。
定期的にミーティングを行い、その都度OKRを確認するのが良いでしょう。
また、KRの達成度も定期的に確認することで、自信度の向上にも繋がり、社員の状況の把握が容易になります。
OKRの成功事例
ここでは、実際にOKRを導入し、成功した企業の例として2つを紹介します。
- メルカリ
メルカリ
大手フリマサイトのメルカリが、OKRの設定で重要視している観点は以下の2つです。
- 達成率が50%程度のOKRを設定すること
- ワクワクするOKRにすること
メルカリは、個人単位でOKRを設定する際にはマネージャーが大きく関わります。企業のOKRは高く設定することが可能であっても、個人のOKRまで反映させると、通常業務に視点をあてがちになってしまい、現実的なOKRができてしまうという課題があります。これに対してマネージャーは個人とミーティングを行うことで、その都度適切なアドバイスを与え、解決することを得意としています。また、「KRを考慮する上で、全てが50%程度の達成率のものである必要はない」と述べています。これは難しい目標だけを設定して社員のモチベーションが減少することを危ぶみ、適度なバランスでKRを設定しています。
このように、OKRの基礎と企業独自の手法を組み合わせることも重要であると言えます。
GoogleにおけるOKRの設定は、様々な役職の社員が提案できる仕組みになっています。経営者やリーダーだけでなく、全社をあげて企業の目標を構成するのがGoogleのOKRに関する特徴です。
また目標設定の面では、Googleは以下の4個をおさえていることが必要であるとしています。
- 具体的であること
- 客観的であること
- 達成に価値のあること
- 達成度が60〜70%に落ち着きそうな、ストレッチゴールであること
これらを遵守した企業のOKRを設定したあと、個人単位でのOKRを設定します。そして設定したOKRは全社で公開される仕様になっています。
Googleでは、OKRを評価する場面は1.5ヶ月に1回で、再構成することもあります。
適切なOKRを設定し、生産性を向上させましょう
OKRは、目標を企業やチーム、個人ごとに設定することが魅力の1つであると言えます。つまり、1つの目標に対して様々な視点で、達成に向かって主体的に行動することができます。
適切な目標の設定を行うことで、企業や個人の生産性をさらに向上させることが可能になります。今回の記事を参考に、OKRの設定を行ってみてはいかがでしょうか。