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MBOとは?その定義やメリット、デメリット、企業事例、導入方法、HRテックの活用について

OKRやタレントマネジメント等のトレンドワードとともに、昨今話題になることの多い、MBO。皆さんは、その定義を明確にご存知ですか?今回のコラムでは、MBOの定義、メリット、デメリット、導入方法、HRテックの活用についてご紹介します。

MBOとは?

MBOは”Management By Objective”の略です。直訳すると「目標によって従業員をマネジメントすること」となります。

上記の定義からは、従業員の目標を設定することによって厳しく従業員を管理する、というように解釈できますが、そうではありません。

MBOは、一般的に下記のように定義されます。
個々の社員が自身で目標を設定して進捗や実行も主体的に管理することで、本人の自律性が尊重された上で主体性が発揮されて大きな成果が出ることを期待した手法

具体的には、上司と部下がにコミュニケーションをとることで、組織と個人の目標をすりあわせていき、部下が、部下自身の目標と評価基準を設定し、上司と合意を交わすことになります。

MBOとOKRの違いとは?

日本の人事評価として発展したMBOの目的は、人事の評価によっての報酬の決定に対し、
世界の企業で採用されることで知られたOKRの目的は会社としての目標達成や業務効率化です。
目標を見直すサイクルがMBOは半年から一年であるのに対し、OKRは1〜3ヶ月と短い期間での見直しです。
また、MBOに求められる成功基準は100%に近いのに対し、OKRは60〜70%程度でも良しとされています。

そして、決定的な違いとしては個人目標の共有範囲の違いが挙げられます。
MBOは上司と部下の間など、少ない人数に対して目標を共有されますが、OKRは会社全体で目標を共有されます。
MBOは個人主義の側面が強いですが、OKRは全体主義の側面が強い傾向にあります。

MBOが広まった背景

日本に目標管理制度が導入されたのは1990年代です。
目標管理制度が導入されるまで、日本は「職務資格制度」という職務を遂行する能力レベルに応じて等級を定める制度を運用していました。
年功序列制度が当たり前で、従業員の能力とは関係なく人件費がかかってしまうので、企業としては改善するべき課題となっていました。

そこで注目されたのが、目標に対する成果によって人事評価や報酬を決める目標管理制度です。
目標管理制度を導入することで今までの年功序列制度によって増える人件費を削減することが可能になりました。
また、従業員一人ひとりが目標達成を掲げ、その成果によって人事評価や報酬を決めるため、企業の業績向上も期待できるようになり、一気に浸透していきました。

MBOのメリットとは?

主に二つのメリットが挙げられます。

従業員のモチベーション向上に繋がる

MBOでは、従業員の内発的動機付けを促進するため、モチベーションを高めることが可能です。
内発的動機は、パフォーマンスの継続的な向上に繋がると言われています。そのため、従業員のモチベーション向上を経て、個々人の生産性の向上、延いては組織全体の成果向上に繋がると考えられています。

人材育成に有効

MBOを実施することによって、従業員の自信の設定した目標を基にPDCAを回すことが期待されています。そのため、人材育成に貢献すると考えられます。

MBOのデメリットとは?

それでは、MBOのデメリットはあるのでしょうか?
最も懸念されることは、上司と部下のコミュニケーションが滞ったり、両者間での不和が生じるたりすると、MBOのPDCAが機能しなくなり、個人の生産性延いては、組織の成果が低下してしまう可能性があります。
一度機能しなくなったMBOのPDCAを、当事者のみで復旧することは簡単ではありません。復旧させるためには、人事担当者などの介入が必要になるなど、様々なトラブルが生じることが考えられるのです。

MBOの導入方法とは?

主に4つのステップに分かれます。

目標設定

従業員の目標設定は、従業員のモチベーションを向上させることが可能な目標を設定することを心掛ける必要があります。達成が可能でありつつ、目標達成にむけてある程度ハードルの高い目標でる必要があります。

目標管理シート

課題の書き出し→目標設定→実行計画策定、の順で目標管理シートを作成する必要があります。

進捗確認

目標に沿った途中経過や結果がでているのかを、上長が確認する必要があります。
MBOにおいては、本人の主体性を尊重することが重要ですが、上長が部下の進捗を管理し、状況に応じて部下をサポートすることが必須です。

評価とフィードバック

目標達成度合いや、目標に至るまでのプロセスの評価を行います。また、来期に向けたフィードバックを行います。

MBOを正しく運用するためのポイント

ここではMBOを正しく効果的に運用するためのポイントを紹介します。

明確で具体的な目標を立てる

目標を立てる際に、明確かつ具体的な目標を立てることが重要です。
目標が曖昧で達成基準が不明確だと客観的な評価がしづらくなります。
「営業に100件行く」「受注件数を5件から10件にする」などできるだけ数値化し、測定しやすい目標を立てましょう。
上司も評価しやすくなり、従業員も達成に向かって努力しやすくなるでしょう。

従業員が自主的に目標を設定する

従業員が自ら目標を決め、自主的に目標を立てることが大切です。
MBOは自主性を引き出す制度です。
上司が目標を押し付けるのではなく、従業員自ら目標を設定し、自ら目標達成に向けて取り組むことに意味があるのです。
上司は部下の目標を承認し、時には軌道修正を加えたり結果のフィードバックを行うなど目標達成のためのサポートにまわり、決して目標を押し付けることがないようにしましょう。

無理な目標を立てない

設定した目標があまりにも高すぎると、従業員のモチベーションが低下してしまうこともあります。
高すぎる目標ではなく、従業員の能力や成長度合いに応じて達成可能な目標をたてるようにしましょう。
反対に低すぎる目標を立ててしまっても、従業員のモチベーションは上がらず、従業員の成長も見込めません。
高すぎず低すぎないレベルの目標を立てれば、従業員の成長を感じることができるでしょう。

組織の目標と個人の目標を結びつける

組織の目標と個人の目標があまりにもかけ離れていては目標をたてる意味がありません。
組織の目標をきちんと理解し、それを見据えて個人の目標をたてるようにしましょう。
従業員が組織の一員であることを認識し、達成感を味わいやすいでしょう。

成果以外にプロセスも評価する

成果だけではなく、成果につながる行動も評価するようにしましょう。
目標管理制度は目標を数値化して客観的に評価するため、成果だけを見て評価してしまうと冷たい印象を受ける従業員もいます。
成果のみを評価するのではなくプロセスも評価するといいでしょう。
目標達成に向けたプロセスを評価することで、従業員は次も頑張ろうと思えるようになります。

MBOへのHRテックの活用について

MBOでは、従業員の状況をリアルタイムでモニタリングする必要があります。しかし、上長が複数人の部下の状況をExcelや紙ベースで管理するのはなかなかに困難です。その際、タレントマネジメントシステム等のHRテックは非常に有用です。
また、期末に目標にたいする実績を振り返る際にも、非常に便利です。

まとめ

今回はMBOについて紹介しました。
MBOは社員が自主的に目標を掲げ、上司が部下のサポートをするサイクルを回していく制度です。
MBOをうまく導入すれば、従業員のモチベーション向上が見込めるようになり、上司が部下のサポートをすることで会社の団結力も強まることでしょう。
是非今回の記事を参考にMBOの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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