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OKRとは?個人目標を設定するポイントと導入事例を徹底解説

OKRとは?

近年、目標の統一化やモチベーションアップのためにOKR導入企業が増えています。実際に採用企業は右肩上がりで業績が上がっているのです。ではOKRとは一体どんな人事制度なのでしょうか。今回は導入メリットや他の指標との違いを中心に徹底解説していきます。

OKRとは?

OKR(Objective and Key Result)は言い換えると「目標と具体的な結果」と呼ばれる人事評価制度です。会社全体で目標が統一され、同じビジョンに向かって社員一人一人が結果を追求できます。

一般的に会社全体・部署・個人の3部門に分け、まずは大枠である会社の目標を設定。設定したゴールに対する明確な指標を考えていきます。その後、示した指標から部署の目標へと共有されていくのです。最後は個人の目標と行動や結果に落とし込まれ、会社全体から個人に掛けてピラミッド状に形成されていきます。

優先順位を明確化し計画を進められるメリットからも、Googleやメルカリなどの大企業も導入中。OKRは今や世界を代表する人事制度として普及されています。

⇒OKRについて詳しく知りたい方はこちら

OKR導入のメリット

OKR導入メリットは以下のとおりです。

チームに一体感が生まれる

OKRを導入すると、チームに一体感が生まれやすいです。前述の通り、会社全体の目標が部署・個人に細かく共有されていくため、全社員の矢印が同じ方向に向いていくのです。よりコミュニケーションが円滑になり、一致団結してゴールに向かっていけるでしょう。

「社員が意図とは違った行動を取る」「目標とはかけ離れた方向に進んでいる」などの課題も十分解決に向かえます。とくに大企業などの社員数が多い組織はチームを一致団結させるのに一苦労かもしれません。OKRならそんな問題も解決してくれます。

社員のやる気を引き出せる

OKRには社員のやる気を引き出せる利点があります。OKRで管理される目標は明確かつ数値化されているのが不可欠。漠然とした以前の目標よりもゴールがはっきりすると、社員のモチベーションは自然と上がっていくでしょう。社員が精力的に働いてくれれば、生産性が上がり業績アップにつながります。さらに、結果的に退職率が下がるため、優秀な社員は残り続けるのです。

以上のように社員のやる気を引き出すだけでも多数のメリットがあります。まずはOKRを導入し、社員のモチベーションアップへとつなげていきましょう。

主体的に考えて行動できるようになる

OKRを導入すると、社員が主体的に考えて行動できるようになります。なぜなら、共有された目標が会社のビジョンとつながっているため、各社員が当事者意識を持つからです。責任感が芽生えれば仕事内容が効率化され、生産性向上が見込まれます。

さらに、各自が自信を持ちはじめ、リーダーシップが自然と身に付いていくでしょう。社員全体が自発的に行動するよう促しても、実際は目立った効果が得られないケースも多いです。OKRなら統率力に優れた社員の育成が実現できます。

企業におけるOKRの設定方法とその手順

OKRの設定方法と手順は以下のとおりです。

企業の目標(O)を設定

OKRを導入する際、まずはじめに取り組むのは「企業の目標 O(Objective)」の設定です。会社全体のゴールはチーム・個人へ細かく落とし込まれます。そのため「シンプルで誰もが共感できる」「あえて明確化・数値化しない」がポイントです。

組織には老若男女様々な社員がいます。難解なビジョンであると理解に苦しみ、モチベーションアップにつながりません。そして、数値化せずあえて正確性を求めないことで、チームや個人が自主性を持って目標管理できます。まずは企業の目標設定が重要であり、社員全員が賛同できるゴールを決めていきましょう。

企業の成果指標(KR)を設定

続いて取り組むのは「企業の成果指標 KR(Key Result)」の設定です。前述した目標に対しての指標を決めていきます。企業の成果指標におけるポイントは「明瞭かつ具体的」「進捗は3つ前後」などです。最も特徴的なのは数値化し明確化する点。抽象的な目標設定とは異なり、わかりやすくイメージしていきます。

また、進捗は3つ前後が望ましいです。多くても少なくても社員のやる気を維持するのは困難になります。3つ前後であると、設定ハードルも下がります。ポイントを押さえて明確な成果指標を設定していきましょう。

チーム、個人の成果指標(OKR)を設定

企業の成果指標設定が完了したら、次に取り組むのはチーム・個人のOKR設定です。会社全体の成果指標がチーム目標に共有され、組織の成果指標が個人目標に伝達されていきます。

まずはチーム目標を設定するにあたり、会社のビジョンが反映されているかの再チェックをしましょう。ブレてしまうと、個人目標に行き違いが生じてしまいます。あとは目標に従って成果指標を決めていくだけです。前述のとおり、具体的かつ数値化すると社員がより自覚を持って働けるでしょう。

定期的なミーティングとフィードバック

OKRを適正に運用するには定期的なミーティングとフィードバックが欠かせません。なぜなら、目標や成果指標にズレが生じると、企業本来の目的から逸脱してしまうからです。

そのため、週に一度のミーティングを行い「会社全体の目標に見合った行動をしているか?」「企業が求める人物像に沿った社員育成ができているか?」などの確認が必要不可欠。定期的にミーティングを行っていれば、即時の軌道修正が可能です。

さらに、コンスタントなフィードバックによって社員の成長が見込めます。OKR導入時は各目標と成果指標をもとに、密なコミュニケーションを取っていきましょう。

OKRの個人目標を設定するポイント

個人目標を設定するポイントは以下のとおりです。

目標は企業から個人へ細分化する

OKRの目標は企業から個人へ細かく分けていきましょう。OKRはピラミッド型に企業からチーム、そして個人へ反映させるのが重要です。会社全体が定めた目標からトップダウンさせることで、ゴールが明確化します。

そして、設定した個人目標は社内全体へ共有されるため、結果的にそれぞれの目標が見える化されるのです。社内の士気を高める効果も期待でき、会社全体の成長へとつながります。

まずは企業から個人目標へ細分化していきましょう。

達成度が60〜70%程度の目標を設定する

OKRは達成度が60~70%程度の個人目標で設定しましょう。60~70%程度であれば、社員のモチベーションを保ちながら成長へとつながります。達成度が高すぎると未達成確率が上がり、やる気を下げてしまうでしょう。

責任感がうまれず、やらされ感が出てしまうかもしれません。また、達成度が低すぎると進歩が無く、仕事のマンネリ化がうまれます。

以上の理由より、60~70%程度の目標は手が届きやすく、成功体験を積み重ねられるのです。ゴール設定は適切に設定していきましょう。

OKRの達成度と人事評価は切り離す

OKRの達成度と人事評価は切り離すのが鉄則です。OKRを報酬の対象となる人事評価と分断すると、達成度の目標設定が適正になります。

一方、くっつけてしまうと、報酬の獲得を狙いに目標設定を低くする社員が続出するでしょう。ラインを低くすれば会社の発展につながらず、チャレンジ精神が失われます。無気力な状態が続き、こじんまりとした会社になるかもしれません。

実際にOKR導入で成功している企業は達成度と人事評価は切り離しています。OKRはあくまでも社員と会社の成長を促す目的でつくられているのを念頭に置いていきましょう。

状況に合わせられるよう四半期ごとに設定

OKRの個人目標では状況に合わせられるよう四半期ごとに設定していきましょう。会社は社会情勢や経済の動向によってめまぐるしく変化していきます。四半期ごとであれば、変化に対応した最前線の目標設定が可能です。

さらに、社員は日進月歩成長していきます。今まで達成が困難であった目標も、日々の成長で低い目標へと変化しているでしょう。随時目標を見直せば、社員の成長が実感できます。

他の指標との違いとは?

OKRと他の指標との違いは以下のとおりです。

KPIは目標達成のための指標

OKRとKPIにおける大きな違いは目標の在り方です。KPIは目標達成における指標であり、達成具合を定期的に確認します。一方、OKRは企業全体の目標を設定した上で、個人へ細分化されていくのです。

あくまで、企業目標の統一化や意思疎通の向上が目的であり、目標達成第一のKPIとは少し意味合いが異なります。

また、個人目標の達成はOKRは60%前後であるのに対し、KPIは100%。OKRは手が届きやすい範囲であるものの、KPIは社員の努力が不可欠な数値です。達成度の違いはKPIが目標達成優先の指標であるからと言えます。OKRとKPIは表面上似ているものの、根本的に違うのは念頭に置いておきましょう。

MBOは企業の目標達成や人事評価の指標等

OKRとMBOにおける異なる点は目的です。MBOは企業の目標達成や人事評価の指標で利用されます。一方、OKRは円滑な意思疎通を目的とし、人事評価とも切り離されるのです。いかにモチベーションを高い位置に保ち、社員がそれだけ育つかにフォーカスしていきます。

また、個人目標が共有される領域も異なるのが現状。MBOは社員と上司だけであるのに対し、OKRは企業全体に伝達されます。そのため、MBOはOKRと比べて意思疎通が取れにくいかもしれません。両人事システムのメリットを理解した上でOKRを導入していきましょう。

GoogleとメルカリのOKR導入例

GoogleとメルカリはOKRを導入して成功した世界を代表する企業です。

Googleは「社員一人一人に業務の効率化を図る」目的でOKRを導入しました。3ヵ月に1度、会社全体でミーティングを行い、決められた企業の目標を個人へと落とし込んでいきます。目標と成果指標は個人の価値観を盛り込んだ上で、入念かつ繊細に設定されていくのです。設定内容は全社に共有されるため、個人目標はもちろん、自分の考えがスムーズに全社へ伝達されていきます。結果的に社内全体の風通しが良くなり、世界を代表する企業へと成長しました。

一方、メルカリは社員数が100人に増えたタイミングで「会社と個人目標の統一化」を目的に導入。全体目標を一元化した上で、とくに個人目標は徹底的にこだわっています。チャレンジ精神や責任感を目標に組み込み、リーダー育成を最優先に考えているのです。結果、現在約2,000人にのぼるビッグカンパニーへと成長し、誰もが知るネットショッピングサービス企業へ躍り出ました。

まとめ

OKRは会社の目標を社員全体へ浸透させる目的で導入されています。ピラミッド型で企業目標からチーム・個人へとトップダウンされるため、ビジョンの細分化が実現可能。さらに、組織全体のコミュニケーション良化やリーダー育成にもつながり、メリットは多いです。

OKRはGoogleとメルカリに代表される大企業も導入しており、自社に合った人事評価システムをアレンジして利用するのもおすすめできます。まずは設定ポイントを理解した上で、導入を検討していきましょう。