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目標管理とは?目標管理制度や、目標設定、導入や流れを解説!

目標管理

目標管理は、組織マネジメントのうちの一つで、社員が自発的に業務に取り組むような仕組みになります。現在、日本の多くの企業で取り入れられている目標管理制度として代表的なものがMBOになります。MBOとは、1950年代にアメリカの経営学者P.F.ドラッカーによって提唱された手法です。その後、日本において多くの書籍が出版されるようになったこともあり、日本の企業で導入されるようになりました。最近では、MBOから派生して、OKRやKPIといった手法もあります。ここでは、目標管理から、目標設定方法、目標管理シートまで説明します。

目標管理とは?

目標管理とは、従業員が能動的に業務に取り組むように組織を動かしていくマネジメントの方法になります。従業員一人一人がかかげる目標と組織目標が連動しており、従業員が目標を達成することによって会社の目標を達成していくことを目指しています。目標を社員自らで管理するため、従業員の積極性や、主体性が培われることができます。

目標管理の導入による効果

目標管理を導入することで、次の効果が得られやすくなります。

評価しやすくなる

具体的な目標を設定することで、目標に対してのプロセスや、進歩、成果など様々な観点から評価を行うことができます。公平な評価制度の活用ができるようになります。

従業員のモチベーション向上につながる

目標管理によって、従業員が自らの目標設定を行い、その目標の管理を自分で管理するようになります。それによって、従業員が自主的に業務に取り組むようになります。目標管理の導入は、従業員が能動的に、積極性をもって業務に取り組むことにつながります。

従業員の能力やスキル向上によって企業の経営目標達成につながる

社員自ら自分の目標設定を行い、それを達成するために、能動的に業務に取り組むようになるため、社員の能力やスキルが向上するようになります。一人一人の社員のスキルが上がれば、組織や企業全体の力も向上するようになるため、経営目標も達成に向かうことができます。

目標管理の運用で起こりがちな恐れ

一方で、目標管理を正しく運用できないと以下のような失敗が起こってしまいます。

目標至上主義

目標自体に重きを置くようになるうちに、成果のみを評価するようになってしまい、目標をノルマの管理の一つとしてしか用いられなくなってしまう場合です。このような目標至上主義になってしまうと、社員のモチベーションが低下し、スキルの向上につながらなくなってしまう恐れがあります。

社員のモチベーション低下

目標管理を正しく運用できないと、単なるノルマ管理になり、従業員の主体性が損なわれ、モチベーションや、生産性が低下する恐れにつながります。本来は目標管理によって従業員が積極的に業務を行い、モチベーションなどが向上する効果があるのにもかかわらず、誤った運用方法によって、メリットが損なわれてしまいます。

手段の目的化

目標管理では、批評価者である従業員が立てた目標の進捗や結果を検証するために、上司である評価者と面談を行います。評価者の負担が大きくなるため、評価をすることが目的となってしまい、評価そのものが大きな負担となってしまいます。

目標管理制度のポイント

目標管理を正しく運用するためには、期間を設けて、具体的でわかりやすい目標にする必要があります。目標達成のプロセスも具体的にし、企業としての戦略と関連があるものにすると良いです。また、目標のレベルは、高すぎたり、低すぎたりせず、創意工夫をすれば達成可能な範囲にすることが重要です。

 

 

目標管理制度の流れ

実際に目標管理を正しく運用するには、以下の手順を踏むことが大切です。

適切な目標設定

まず、企業やチームなどの組織単位の全体目標を設定し、決定した目標を所属している従業員に周知する必要があります。全体的な目標を共有することで、各従業員がそれに沿った目標を設定できるようになります。従業員が自主性をもって目標を設定することが重要です。従業員が目標管理制度や評価者に不信感を抱いたりしないよう、上司と従業員との間で目標達成基準のビジョンをきちんとすり合わせることが大切になります。

実際の行動計画と実行

設定した目標を達成するために実際の行動をどのように行うのかを計画し、業務を行います。その際に数値を使った行動計画を立てるようにすると、目標実現に向けて行動しやすくなったり、評価の際に客観的に達成度を確認できます。

進捗確認

目標を設定した後も進捗確認や見直しをする必要があります。日報で管理したり、定期的に面談をすることで確認ができます。設定した目標が適切か振り返り、適切でない場合は目標や計画行動を設定しなおすよう従業員が主体性をもって検討させるようにします。

客観的な評価・評価後のフロー

評価対象期間後に各個人の目標達成度を評価します。目標未達成の場合は、原因や対策を従業員に考えさせ、サポートすることで成長につながります。また、上司と部下の信頼関係を損なわないようコミュニケーションにも気を付けましょう。評価が振るわなかった従業員に対しても、従業員の業務に対する姿勢や努力をフォローするなど、納得のいかない評価による従業員のモチベーション低下を防ぐことができます。

目標管理の手法の種類

では、目標管理は具体的にどのように運用していけばよいのでしょうか。現在ではMBOをはじめとして様々な手法があります。それぞれの特徴から企業にあった手法で目標管理を行うことができます。

MBO

MBOとは「Management By Objectives」のことを言い、ドラッカーが唱えた手法となります。大きな特徴としては、目標と評価や報酬が結びつくため、「上司と部下のみ」の公開になります。目標期間は、半年か、1年間で、目標達成水準は100%になります。現在の多くの日本の企業が、このMBOを導入しています。

メリット

目標設定と結果が明確なため、評価しやすく、人事考課の参考値としても使用できます。目標達成の結果が給与等に反映されるため、従業員のモチベーション向上につながりやすくなります。また、自分自身で目標設定を行うため、スキルの向上にもつながります。

デメリット

評価に紐づくことから、簡単に達成できるような目標を設定する可能性があります。また、結果を出せば、評価が上がるため、中長期的な目標より短期の結果が重視されてしまう傾向があります。目標以外の業務は取り組まなくなる恐れがあります。また従業員一人一人に対して目標設定と進歩管理のサポートを行うようになるため、上司などの管理者の負担が増えてしまう恐れがあります。

OKR

OKRとは「Objective and Key Result」の略称であり、インテル社のアンディ・グローブ元社長が構築した手法です。Objective(目標)に対して、Key Result(主要な結果)をセットにしています。チームメンバーが同じ目標に行くための手法であり、個人目標を設定するMBOとは特徴が異なります。また、達成率は60~70%くらいの比較的高い目標を設定します。目標情報はオープンになっているため、同じチームの目標はお互い共有できる状態です。

メリット

会社全員で高い目標に挑戦するため、組織力が向上し、エンゲージメントが上昇します。また、目標の情報が公開になっているため、コミュニケーションが活発になります。目標期間は3か月1サイクルなどの短期間のため、世の中の変化などに柔軟に対応ができます。

デメリット

高い目標を設定するため、難易度が高くなります。フィードバックは頻繁におこなうため、時間を確保する必要があり、負担につながる恐れがあります。また、目標管理の手法のため、人事評価などと直接結びつけることはできません。

KPI

KPIは、「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。プロジェクトや部署単位の目標を達成するための手法となります。KGIは、「Key Goal Indicator」といい、「重要目標達成指標」と訳されます。これは、最終の目標を定量的に評価できる手法になります。KPIは、KGIを達成するため過程を計測する中間指標のことになります。数値で計測するため、定量目標に向いています。

メリット

定量的な目標を設定することができるため、解釈に相違が少なくなります。また、目標達成までのプロセスを可視化し、計測することができます。また、数字での進捗を短いスパンで確認することができるため、方向転換がしやすいといったメリットがあります。

デメリット

定量目標が重視されることで、質が下がってします恐れがあります。また、数値を追う指標のため、イノベーションの余地が少なく、従業員のモチベーション低下につながりやすくなります。また、KGIと目標の関係性が直接的でないと、KPIを達成しても、目標が達成しないということが起きる場合があります。

目標管理のメソッド

ここでは、目標を設定する上での使用できる目標設定方法を説明します。

ベーシック法

最も基礎的な目標設定方法になります。「目標項目」、「達成水準」、「期限」の手順で設定し、それらを基にした「達成計画」を設定します。定めた目標を、より具体的にし、どう行動するかを明確にしたものです。この達成計画通りに行動して、目標達成を目指すという設定方法になります。

SMARTの法則

ドラッカーが発案した目標設定方法です。KPIやOKRの目標を設定する際に取り入れられています。Specific(具体的)、 Measurable(計測可能な)、 Agreed upon(達成可能である)、 Realistic(現実的)、 Timely(期限の明確)の頭文字をとっています。従業員全員が同じ水準で、だれが見ても明確になる目標を設定できる特徴があります。

HARDゴール

ベストセラー作家のマーク・マーフィーが提唱している目標設定方法です。Heartfelt(心の底から)、Animated(生き生きとした) Required(必要とされている)、Difficult(困難)の頭文字をとっており、より感情に根付いた目標設定方法になります。自身のキャリアに紐づく目標設定に用いられます。

ランクアップ法

自分を成長させるための目標設定方法です。ネガティブな部分を解決する改善、自分よりレベルの高い人の仕事の代行、あるテーマについての研究、異なるジャンルのスキル、知識を身につける多能化、自分のスキルや知識をノウハウ化するノウハウの普及、特定の分野のプロとなるプロ化の6つの観点で目標項目を設定します。

マンダラチャート(マンダラート)

少し前にメジャーリーグの大谷翔平選手が高校時代に作成した目標設定が話題となりました。9個×9個のマス目を用いて記入する目標設定手法です。まず、中心のマスに最終達成目標を記入します。周辺の8マスに達成するために行動を記入します。記入した周辺の8マスをそれぞれ周囲の中心のマスに移し、その周りにそれぞれ達成するための行動を記入します。周囲のマスから達成していく手法です。目標とやるべき行動が細分化されるため、より良い行動指針を作成することができます。

目標管理シートとは

目標管理シートとは、MBOなどといった目標管理を行うためのシートです。Excelなどや、人事システムを使用して作成します。目標管理シートでは、目標設定や計画、進捗確認のほかにプロセスを残した記録があると良いでしょう。より具体的な改善施策や人事育成に使用したり、従業員に納得してもらえるような評価理由にもなります。

目標管理シートの作成手順

具体的な作成手順を説明していきます。

課題の洗い出し

まず、従業員に現状の評価や役職や部署などを確認してもらい、今後の必要な課題について洗い出していきます。

目標設定

次に、目標の設定を行います。目標は売上などの数値化される定量的な目標と、サービスなどの定性的目標から考えると良いでしょう。

行動計画

最後に目標がきまったら、目標達成するための行動も計画しましょう。期間から逆算して設定し、進捗を確認できるようにすると良いです。また、計画の進捗具合や途中で気づいたことがあれば、それらを記録しておくことで、振り返りをしやすくなります。期間終了後は、シートを基に評価とフィードバックを行います。

ツールの活用ならスキルナビ

目標評価シートではExcelやスプレットシートで活用する方法もありますが、従業員数が増えてきたり、企業の状況が変化すると、どうしても管理が難しくなる場合もあるかと思います。その時は、人材システムを導入してみてはいかがでしょうか。スキルナビでは、様々な企業に沿った活用が可能となっております。御社で困っていることは、スキルナビで解決しましょう。この機会に是非ご検討くださいませ。