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タレントマネジメントの課題とは?課題の解決策や注意点もあわせて解説!

タレントマネジメントは、社員一人ひとりの能力や特性を最大限に活かし、組織全体のパフォーマンス向上を目指す取り組みです。

しかし、導入・運用には「ゴールや戦略の共有不足」「自社課題の整理不足」など、さまざまな課題が伴います。

本コラムでは、タレントマネジメントの主な課題とその解決策、実践時の注意点をわかりやすく解説し、成功に近づくためのポイントをお伝えします。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、企業が従業員一人ひとりの能力や適性、キャリア志向を把握し、最適な配置や育成をおこなうことで組織全体のパフォーマンス向上を目指す人材管理の手法です。

これにより、優秀な人材の発掘や育成、適材適所の配置が可能となり、社員のモチベーションや定着率の向上にもつながります。企業の持続的成長に欠かせない戦略的な取り組みです。

近年、少子高齢化や労働人口の低下にともない、人材活用の重要性が高まっており、タレントマネジメントが注目されています。

タレントマネジメントについては、下記記事で詳しく解説しているので、ぜひご参照ください。

タレントマネジメントの進行段階に応じた課題とその対処法

タレントマネジメントにはいくつかの進行段階とそれに応じた課題があります。

本項目ではそれぞれの課題とその対処方法について解説します。

導入段階での課題

まず最初に、タレントマネジメントを導入する際の課題とその対処方法について解説します。

ゴールや戦略の共有不足

タレントマネジメントは人事部門だけで完結するものではありません。

経営層の確固たる意思とトップの強いリーダーシップが求められ、それを全社員と共有し、組織全体で取り組むことが重要です。

このようなゴールや戦略の共有が不足すると、社内でのタレントマネジメントの目的意識がずれてしまうため、注意が必要です。

自社課題の整理・分析が不十分

自社の人事戦略上の課題が不明確なままでは、タレントマネジメントを導入しても、その効果やメリットを具体的にイメージすることが困難です。

まずは自社の人事戦略を明確にし、長期的に取り組むべき人事上の課題を整理・特定することが出発点となるため、自社課題の整理・分析を事前に徹底することが重要です。

自社の実情に適したシステムを選定できない

現在、タレントマネジメントを支援するシステムやサービスは数多く存在しており、それぞれに特徴や得意分野があります。

そのため導入にあたっては、自社が何を重視するのかを明確にし、優先順位を整理した上で最適なサービスを選定することが重要となります。

経営層の理解・関与が弱い

タレントマネジメントは経営戦略と密接に関連する取り組みであるため、人事部門だけでなく、経営層においても一定の理解と知識を持つことが求められます。

タレントマネジメントの重要性を経営層に理解してもらうためには、経営層向けの研修やセミナーへの参加を促すといった働きかけも不可欠となります。

運用・実践段階の課題

次に、実際にタレントマネジメントを運用・実践する段階での課題とその対処方法について解説します。

既存の業務フローにうまく組み込めない

タレントマネジメントを導入する際には、既存の業務フローの中でどのように活用し、全体の工数削減につなげるかまでを見据えた設計が求められます。

人事が一元管理する個人の基本情報に加え、人事評価などのデータも各マネージャーの入力が直接タレントマネジメントシステムに反映されるような仕組みを整えておくことで、入力の重複や業務の非効率を防ぎ、工数が増加する原因をなくすことができるでしょう。

人事評価との連携不足

タレントマネジメントと人事評価が別々に管理されている場合、運用における工数が増加するだけでなく、両者のデータを効果的に連携させることが困難になります。

そのため、タレントマネジメントの導入にあたっては、人事評価制度の設計と一体的に検討し、人事評価と連携させることで、運用・実践を円滑におこなうことができるでしょう。

データ不足による分析の限界

社内のどこにどのような人材がいるのか、保有スキルやノウハウが把握できなければ、適切な分析や戦略的な活用は困難です。

Excelやスプレッドシートによる人事情報の管理では限界があり、タレントマネジメントの目的には適さないため、タレントマネジメントシステムなどの専用ツールを活用し、人材情報の収集・可視化を図ることが大切です。

人的リソースへの負担

タレントマネジメントは新たに取り組むべき要素が多く、人事業務全体にかかる負荷が増加する可能性があります。

そのため、事前に業務の効率化をはからなければ、既存の業務を圧迫する要因となりかねません。

人的リソースへの負担を削減するためにも、効率化できる業務は積極的に仕組み化・自動化し、人事部門や経営層が戦略的な意思決定に注力できる体制を整えることが重要です。

定着・継続フェーズの課題

最後に、タレントマネジメントを定着・継続させる段階での課題とその対処方法について解説します。

人材データの更新・管理の停滞

タレントマネジメントを効果的におこなうには、従業員の基本情報に加え、資格、スキル、過去の評価といった多様なデータが必要となります。

これらの情報を常に最新の状態に保つことが重要ですが、手作業での更新には大きな負荷がかかります。

タレントマネジメントを定着・継続するためには、タレントマネジメントシステムの導入や、基幹システムとの連携によって、情報更新の負担を軽減することが必要です。

手段の目的化によるゴールの曖昧化

人材育成においては、中長期的な視点に立った計画が必要とされますが、初期に設定した目標に過度に依存すると、単に研修をこなし記録を残すだけの形式的な運用に終始してしまう可能性があります。

従業員の成長のペースや企業の目指す方向性と常に照らし合わせながら、育成施策を適宜見直し、実効性のある運用体制を維持していくことが不可欠となります。

PDCAの不徹底による形骸化

タレントマネジメントは継続的に運用・改善してこそ意味があります。

タレントマネジメントの目的は人材の力を最大限に引き出すことであり、その結果として従業員の成長促進や退職防止、さらには後継者育成にもつながります。

PDCAを徹底しないと形骸化してしまう恐れがあるため、PDCAを回しながら、長期的視点で取り組むことが重要です。

タレントマネジメントを実践する際に押さえておきたいこと

前項では、タレントマネジメントを実践する際の課題について解説しました。

本項目ではタレントマネジメントを実践する際のポイントを解説します。

実践時に気をつけたいポイント

タレントマネジメントを実践する際に、注意すべきポイントについて解説します。

人材データを更新・管理し続ける体制を整える

タレントマネジメントを継続的に成果に結び付けるには、人材情報を常にアップデートし、現状を正確に把握することが必要です。

そのために、タレントマネジメントを実践する際には、事前に人材データを更新・管理し続けることのできる体制を整備するようにしましょう。

手段が目的化していないか見直す

タレントマネジメントはあくまで手段であり、タレントマネジメントを実施することが目的ではありません。

そのため、タレントマネジメントを実施する真の目的を、経営陣や人事部門の全メンバーが常に共通認識として持ち、それを社内全体に継続的に浸透させていくことが不可欠です。

継続的に取り組むこと

タレントマネジメントは、実践し始めてすぐに効果がでるものではありません。

そのため、タレントマネジメントを成功に導くためには、社員の理解と協力を得ながら、長期的な視野で継続的に改善を重ねていく粘り強い取り組みが求められることに気をつけましょう。

成功に近づけるための実践ポイント

タレントマネジメントを成功に近づけるためにはどのような点に気をつければよいのでしょうか。

本項目では実践ポイントを3つ解説します。

一部の部署だけでなく全社で活用する

タレントマネジメントを成功に近づけるためには、タレントマネジメントを一部の部署だけでなく、全社で活用することがポイントになります。

人事情報を全社的に活用するためには、経営や人事部門に限らず現場社員にもアクセス可能なシステム基盤を整備することが重要です。

ゴールと目的のズレをなくす

タレントマネジメントの実践を進める中では、目的が現行の経営計画と整合していなかったり、ゴールが不明瞭になってしまうケースもしばしば発生します。

そのような場合は、経営計画を再確認しつつ、目標やゴールを改めて明確に言語化し、ゴールと目的のズレをなくすことが重要です。

PDCAを回す

タレントマネジメントは短期間で成果が見える取り組みではありません。

タレントマネジメントの効果がなかなか見えにくいからといって中断してしまっては、真の価値を引き出すことはできないため、中長期的な視点で継続的にPDCAを回すことが重要です。

タレントマネジメントシステム導入の主な効果

タレントマネジメントを効果的に進めるためには、タレントマネジメントシステムを導入することがおすすめです。

本項目ではタレントマネジメントシステムを導入した際の主な効果について解説します。

人材データの管理・更新がスムーズにできる

タレントマネジメントシステムに人材データベース機能を組み合わせることで、社員のスキルや経験、評価などの人材情報の一元管理が実現できます。

これにより、各部署や拠点に分散していたデータを効率的に収集でき、必要なときにすぐ参照可能になります。

また、継続的な情報更新も容易になり、常に最新かつ正確なデータを基に人事戦略を立てられるため、意思決定の精度やスピードが向上します。

人材情報をすぐに検索・活用できる

人材に関するスキル、経験、資格、評価などの多様な情報をタレントマネジメントシステム上で管理することで、情報の検索性が向上します。

これにより、特定の条件に合うタレント人材をスムーズに検索でき、プロジェクトへの最適配置や人材育成計画の立案などの活用が効率的におこなえるようになります。

必要な情報を簡単に共有できる

クラウド型のタレントマネジメントシステムを活用することで、上司や部下、他部門との間で人材情報を簡単に共有できます。

アクセス権限を設定することで必要な情報だけを安全に共有でき、URL送信のみでタレントプールを共有することも可能です。

これにより、部門間の連携がスムーズになり、人材活用や配置検討のスピードと精度が向上し、組織全体の人事戦略遂行を後押しします。

まとめ

タレントマネジメントは、すぐに効果がでるものではありませんが、近年の少子高齢化や人材不足に対応し、人材を活用していくためにも非常に重要な取り組みです。

タレントマネジメントを実践する際には、経営層の明確な方針共有や自社課題の整理、全社的な情報活用体制など、多面的な準備と継続的なデータの更新・管理やPDCAを回した運用の双方が必要となります。

このような課題を解決するためにも、タレントマネジメントシステムの導入は有効な手段といえるでしょう。

これからタレントマネジメントを実践する方だけでなく、現在タレントマネジメントを実践している方も、本コラムの内容を参考にタレントマネジメントを実践してみてはいかがでしょうか。