コラム

人事関連でお役に立つ情報を掲載しています。ぜひご活用ください。

  1. トップ
  2. コラム
  3. 人材育成・マネジメント
  4. 経営人材の育成に必要なことは?手順やポイントを具体的な事例を交えて徹底解説

経営人材の育成に必要なことは?手順やポイントを具体的な事例を交えて徹底解説

経営人材の育成に必要なことは?

経営人材の育成に力を入れたいが、どんな人が向いているのだろう。
そんな疑問を抱えている経営者の方もいらっしゃると思います。

今回の記事では、経営人材に求められる要素や育成の手順をまとめました。
この記事を読めば、理解が進み、事業継承にも役に立つでしょう。

経営人材とは

経営人材の定義は、役職でいうと社長、副社長、専務、常務とされています。
自社の会社経営の責任を負う役割の人たちです。

また、東京商工リサーチの調査によると、
2021年1月-10月の後継者難倒産は309件に達しているとの調査結果もあります。
経営人材の育成は会社の存続にも関わる大きな問題です。

経営人材に求められる要素

自社の会社経営の責任を負う経営人材ですが、
具体的にどのような性格や経験を持つ人が向いているのか疑問に思う方も多いでしょう。
ここでは、具体的に求められる要素である4点を紹介します。

冷静な判断力・決断力

経営人材には冷静な判断力と決断力が必要です。
会社には業績のよい時期も、悪い時期もあります。
決断力がないリーダーは問題が先送りとなり、会社経営に大きな影響がでます。

具体的には、今回新型コロナウイルスが流行した時も、
リスクを考慮しながら、限りある時間でテレワークの導入を判断した
経営者の方も少なくなかったと思います。

中には会社の存続に関わる決断を迫られる場合もあります。
その時に冷静な判断力と決断力が求められる要素です。

安定したメンタル

経営人材には、安定したメンタルも必要です。
精神的に不安定な状態になりやすい人は、周りへの対応にも精神的不安が現れるものです。

警察庁の調査によると、令和2年の自殺者数の内訳で、自営業・家族従業者は1,266名です。
決して少ない人数とはいえません。経営者はある程度の精神面の強さが要求される職務といえます。
安定したメンタルは、経営人材に求められる要素といえるでしょう。

ポジティブ思考

経営人材には、ポジティブ思考も重要です。
時には、何百万という損失を出してしまうケースもあり、
その時にポジティブ思考で、社員全員を引っ張って乗り越えられる人材は経営人材に向いています。
逆にいつまでも従業員を責めるような人材は、
従業員が委縮してしまい、社内の雰囲気も悪くなってしまいます。

ピンチをチャンスと捉えるような人材の方が、経営人材には向いているでしょう。

創造性

創造性も経営人材に求められる要素です。
会社のビジョンやサービスのゴールを共有することも求められます。

ビジョンを明確にすることで、
従業員のモチベーション向上にもつながり、会社全体の活性化にもなります。

10年前まではスマホの普及も考えられなかったですよね。
そんな早い時代についていき、ビジョンを明確にできる人材こそ、
自社の会社経営を担う人材にふさわしいのではないでしょうか。

育成の手順

前述ではどのような人材が、経営人材として求められるのかを説明しました。
では、この人物が良さそうだと考えたところで、
次の疑問は、経営人材をどうやって育成するのかということですよね。

ここでは、経営人材の育成の手順を、3つに分けて説明します。

必要人材のイメージを明確化

育成の手順として、必要人材のイメージを明確化することから始めましょう。
基準となるのが自社のビジョンや経営戦略です。
ビジョン、経営戦略がないという経営者の方は、まずは策定を急ぎましょう。

この2点ができたら、どの時点でどのような人材が何名程度必要なのか、
イメージを明確に持つことができます。

まず、必要人材のイメージを明確化するところから考えてみましょう。

候補者の選定

次は具体的に既存の従業員から候補者の選定をしていきます。
社内の人材を把握することが必要です。

人事評価の結果を確認し、上司の推薦や人事の判断から選ぶ必要がありますが、
その時に気を付けておきたいのが、全社で同じ判断基準を基にすることです。

また、自社の従業員の中に、候補者がいない場合も考えられます。
その際には、社外からの採用も必要となるでしょう。
最近では経営人材に特化した人材紹介サービスや、
国が行っている先導的人材マッチング事業として、経営人材のマッチングサービスもあります。
社外からの経営人材の採用に活用してみるのも良いですね。

コミュニケーション

自社で経営人材の候補者が見つかった。中途採用で採用に成功したなど、
候補者の選定が済んだら、次は育成計画をたてて、育てることが必要です。

その間、経営者は育成担当に一任するのではなく、経営に関わる立場として、
候補者にきちんとしたコミュニケーションを取る必要があります。
自分が経営人材として、会社経営に関わる立場になるという意識を植え付ける目的もあります。

経営人材の育成を成功させるポイント

前述では、選定まで説明しました。
選定後、中途採用も含めてようやく見つかった候補を育てていくフェーズに移ります。
会社経営を担っていく為に、どうやって育てたらうまくいくのだろう?
自社でうまく育てられるだろうか?
と不安に持つ方もおられるでしょう。

ここでは、経営人材の育成を成功させる具体的なポイント4点を紹介します。

合理的な人材選抜

候補者の選定で、人事評価の結果を確認し、上司の推薦や人事の判断から選ぶ必要があると
紹介しましたが、上司の推薦や評価が客観的で合理的なものであれば、優秀な人材の選抜が可能です。

また、日本独自の雇用システムとして、新卒一括採用があります。
若手を経営人材として選抜すると、自社内での強い抵抗やモチベーション低下につながる可能性を考え、
若手の登用を考えない企業もありますが、優秀な人材の選抜という目的を意識して若手からも選抜していく必要があるでしょう。

計画的な人材配置

どんな経営人材を育てたいのかというイメージがあると思いますので、
それに沿った人材配置にしましょう。

多くの部署や役職を経験させることで、多角的に考えることのできる人材が育ちます。
ただ、候補者には育成方針のために、異動が必要ということを共有しておきましょう。
目的もなく部署を多く経験することは、候補者のストレスにもつながります

成長機会の提供

座学の研修も重要ですが、さらに重要なのは実務を経験するということです。
早い段階で、会社経営に関する経験させるのも候補者の成長につながります。
また、従業員と経営人材ではスキルや考え方も異なり、
従業員は、リスクに関する知識などを意味するテクニカルスキルのみでも良いですが、
経営人材となると、企業全体や組織の実態を捉える、新規立案する力など、
コンセプチュアルスキルが必要です。

自社で育成が難しい場合には、外部の研修を実施するのも一つの手でしょう。

経営層を巻き込んで育成を行う

実際に現場を見ることで、考え方を学ぶことが可能です。
自社の経営層を巻き込む育成の仕方も重要となるでしょう。
外部で研修することもできますが、企業によって規模感も違えば、経営の仕方も異なります。
社長や人事が動くだけでは、経営層にも育成の意識をもって取り組んでもらうことも成功のカギです。

経営人材育成事例

他社での取り組みが気になるという方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、育成に取り組んでいる3社の具体的な取り組みを説明します。
事例を見ることで、より人材の育成の取り組み方を理解し、実践に向けて進むことが可能です。

株式会社日立製作所

世界有数の総合電機メーカーの株式会社日立製作所では、
経営リーダーの指名委員会を設けて、経営人材の育成に取り組んでいます。
経営人材の選抜方法としては、世界中のグループの人材から数百名の候補を選抜。
ストレッチアサインメントと呼ばれる、達成が難しい仕事をあえて任せるという施策をしたうえで、
社外でのコーチングトレーニングにも取り組んでいます。

カゴメ株式会社

飲料、食品、調味料の大手総合メーカーのカゴメ株式会社では、
人材会議・報酬指名諮問委員会を設けて、人材に関しての議論をしています。
ポジションごとに候補者マップを作成し、候補人数についても明確にしているため、
経営人材の不足が起こることがありません。
各ポジションの育成計画についても、経験させる部署、地位が決まっているので、
迷わず育成に取り組むことが可能となっています。

サントリーホールディングス株式会社

飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社では、経営人材育成のための学びの場を多く設定しています。具体的に、サントリー・ハーバードプログラムという制度では、ハーバード大学内で世界のビジネストレンド理解の研修やグローバルマインドを学ぶ研修があります。他にも、経営トップ自らが経営視点を教える研修なども用意され、経営人材の育成に取り組んでいます。

まとめ

今回の記事では、経営人材の育成の手順や成功のポイントなどを紹介してきました。
後継者育成は企業にとって、存続にまつわる大きな課題となります。
経営人材の育成について理解が進み、具体的に経営人材の育成にまつわる課題を解決できたら幸いです。