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組織開発の成功事例とは?導入メリットや実践に向けたステップを解説

組織開発の成功事例とは?

近年、企業成長を目的として組織開発へ積極的に取り組む会社が増えています。実際に導入企業は業績が順調に伸びているのです。では組織開発とは一体どんな人事アプローチなのでしょうか。今回は採用メリットや実践に向けたステップを中心に徹底解説していきます。

組織開発の定義やメリットは?

組織開発の定義やメリットは以下のとおりです。

目的

組織開発はグループやチームの強化を図り、会社全体を成長させる目的があります。組織の働きは社員にとって分かりづらいです。「グループ成績が上がらない原因は何か?」「組織全体で上手くコミュニケーションが取りづらいのはなぜか?」など、内部からでは原因を突き止めるのは困難かもしれません。そのため、トップが主導となり、課題や悩みを組織ぐるみで解決していくのです。組織開発はチームに焦点を当て、会社を成長させていく目的があると、まずは念頭に置いておきましょう。

メリット

組織開発に取り組む大きなメリットは組織の生産効率向上です。グループの課題や悩みを解決できれば、所属する社員ひとりひとりのパフォーマンスアップが見込めます。結果、ビジョンに合った組織活動がうまれ、業績が好転していくでしょう。また、現在は経済状況や社会情勢により、環境が目まぐるしく変化します。組織開発を導入すれば、急速な変化にもフレキシブルに対応できるのです。組織開発は企業にとってメリットが大きいと言えます。

組織開発が注目される背景

組織開発が注目される背景には社員の働き方における変化です。近年、評価対象は勤続年数よりも個人成績が重視され始めました。社員成績に目が行くばかり、組織の動きに課題や悩みがうまれはじめたのです。チームワークが低下した結果、業績が落ちた企業もありました。また、時代の流れで在宅勤務が増えたのも要因でしょう。チーム同士対面で顔を合せる機会が減り、コミュニケーションが上手く取れない企業も続出しています。以上の問題を解決すべく、組織開発に取り組む企業が増えたのです。

⇒組織開発について詳しく知りたい方はこちら

組織開発と人材開発との違いとは?

組織開発と人材開発の違いは以下のとおりです。

人材開発とは

人材開発は社内トレーニングやOJTなどによって、社員を育てる目的があります。「人材育成」と呼ばれるケースが多いものの、意味はほぼ同じです。人材の成長を経て、会社全体を引き上げる効果が期待できます。さらに、人材開発によって社員ひとりひとりの進歩を促すだけでなく、モチベーションを上げる狙いがあるのです。意識が高まれば、責任を持って仕事に取り組め、リーダーシップのある社員がうまれやすいでしょう。人材開発は社員の成長にフォーカスさせた手法となります。

組織開発と人材開発の取り扱う対象の違い

組織開発と人材開発は取り扱う対象が異なります。組織開発はグループやチームに焦点を当てるのに対し、人材開発は社員に対象を絞るのです。例えば、会社全体のモチベーション低下が問題になっているとしましょう。組織開発は人と人の関係性改善へ取り組みます。一方、人材開発はメンタルトレーニングや社内研修を通じ、個人のやる気を引き上げていくのです。組織開発と人材開発は意識を向ける方向が異なり、以降の実践に向けたステップも大きく変わります。

組織開発と人材開発のアプローチの違い

組織開発と人材開発ではアプローチに違いがあります。前述の通り、組織開発はチームにフォーカスするため、グループ面談や社内会議によって解決を図っていきます。一方、人材開発は社員の課題を徹底的に落とし込み、成長に向けて資源を投資していくのです。組織開発と人材開発は取り扱う対象も違えば、アプローチも異なります。企業の問題が組織か人材にあるのかをまずは分析していきましょう。

組織開発を行う目的

組織開発はチーム間の関係性を強化し、企業のイノベーションを成功させる目的があります。前述の通り、人材に注目するのではなく、あくまで組織の問題点を吸い上げて解決させていくのです。そのためには正しいステップを踏む必要があり、各段階でポイントを押さえる必要があります。次から取り組みに向けた流れを見ていきましょう。

組織開発の実践に向けたステップ

組織開発の実践に向けたステップは以下のとおりです。

目的の決定 

まずは組織開発の実践に向けて目的を決めていきましょう。「どんな組織に生まれ変わりたいのか?」「関係性を深めて企業がどうありたいのか?」を精査していく必要があります。さらに、目的がいつ?どれだけ?いくら資金を投資して実現できるかまで落とし込むのが重要です。目的は組織開発の実践に向けて最重要ステップとなるため、時間を掛けて丁寧に取り決めていきましょう。

現状把握と課題の可視化

目的が決定したら、次は現状把握と課題の可視化です。組織の問題点を客観的かつ理論的にまとめていきましょう。主観的な意見が入ると方針がブレてしまうため、データや数字を使って課題を見える化させるのがおすすめです。

試験的アプローチ

目的と問題点が明確になれば、実際に試験的アプローチを行っていきましょう。当段階は本格的運用ではないため、チームやグループを限定して行うと良いです。不都合が無ければ導入範囲を広げ、大々的に取り組んでいきましょう。

効果検証とフィードバック

試験的アプローチが終われば、効果検証とフィードバックに移ります。「どのくらい希望通りにいったか?」「次はどの程度資源を追加すれば実現できるか?」などを振り返っていきましょう。フィードバックと実行は繰り返し行われ、失敗を糧に自社に合った組織開発の導入を進めていく必要があります。

成功事例を会社に展開

組織開発の導入を進めて行く中で成功事例が出たら、全社に展開していきましょう。成功事例を共有できれば、他の組織でも活用できる場合があります。「なぜ成功を収めたのか?」「どんな取り組みで希望通りに進められたのか?」などの伝達が必要不可欠。特に、思いどおりに行かない組織は是非とも成功事例は欲しいはず。成功の秘訣は積極的に広げていきましょう。

コミュニケーションやチームワークを強化する具体的手法

意思疎通や連携を強化する手法は以下のとおりです。

手法1.コーチング

コミュニケーションやチームワーク強化を図るなら、コーチングの活用がおすすめです。本来コーチングは人材に向けて行われてきましたが、組織開発導入によりチームも対象となりました。指導は主に管理職に対して行われ「部下とどうやって良好な関係を保てるか?」「どのようにチーム全体の風通しを良くするか?」などの解決につとめていきます。

手法2.アクション、リサーチ

アクション・リサーチはグループやチームで課題に対しての解決策を練る方法です。社員同士のコミュニケーション強化が図れ、各個人の価値観を知れる良いきっかけとなります。「考える力」が育てられるため、トラブルにも強い組織ができあがるでしょう。

手法3.AI

続いて紹介する手法はAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)です。今までは企業の弱点(課題)を克服し、会社全体の成長につなげてきました。しかし、AIはほぼ逆の路線です。あえて組織の良い部分を見つけ、全体をポジティブな雰囲気につくりあげます。良いムードになったところで、理想像を描いていくのです。以降は本来の流れと同様、計画から改善までを1サイクルとします。以上のように、AIは前向きな企業風土づくりが進めやすい手法です。

手法4.フューチャーサーチ

フューチャーサーチはテーマに関わる利害関係者を集め、過去や未来から議題について話し合う手法です。参加者は代表者直々に指名があった社員に限られ、出席者自身で進めていきます。その後、好ましい未来への行動を指し示していくのです。世界では共同体の活性化で利用されるケースがあります。

手法5.ワールド・カフェ

最後に紹介する手法はワールド・カフェです。ワールド・カフェは会話を通して組織の問題点を解決する手法。カフェのように1つの机に4~6人着席させた後、議題に沿って話していきます。その後、メンバーをシャッフルさせ、引き続き議論を進めていくのです。ワールド・カフェはテーマに複数の意見を集められるメリットがあります。優秀な司会者を用意して会を進めていくと良いでしょう。

組織開発の成功事例

組織開発の成功事例は以下のとおりです。

ヤフー株式会社

最初に紹介する事例はヤフー株式会社です。ヤフーは知る人ぞ知る世界を代表するIT企業。社員数が増えるにあたり、組織力の低下に直面。優秀な社員が揃ったものの、チームの情熱が薄れた事態に悩みを抱えていました。そんな中、社員主導で問題解決に向かえるワールド・カフェを導入。結果、ひとりひとりが主体性を持ち、変化に対応できる組織が出来上がりました。

株式会社ニトリホールディングス

続いては株式会社ニトリホールディングスです。ニトリは人材・組織開発を混合させた手法を取り入れています。人材の成長が組織発展に直結すると考えているからです。とくに人事教育はニトリ独自の教育システムを導入。ビジョンに合った人材育成を進めています。

楽天株式会社

楽天は組織開発の基盤をつくるため、2018年に楽天ピープル&カルチャー研究所を設立。国際性豊かな企業において、組織の構築づくりは必要不可欠です。「どのような結果が出たか?」「最良の仕組みをつくるにはどうしたら良いか?」など、現場からの声を参考に組織開発を進めています。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

最後に紹介するのはスターバックスコーヒージャパン株式会社です。スターバックスは個人業務がいかに組織の利益に直結するかを常々伝えています。結果的にひとりひとりが責任感を持ち、コミュニケーションが積極的なのです。事実、売場ではお客様に話題を振りまいている姿を多く見掛けます。フレンドリーな体制はスターバックス独自の組織開発が背景にありました。

まとめ

組織開発はグループやチームに焦点を当て、コミュニケーション向上やチームワーク強化目的で取り入れられています。まずは目的を決めた上で、現状把握と問題の可視化を行います。以降、試験的に導入し、効果検証やフィードバックを欠かさず行うのがポイントです。自社に合った組織開発を進め、組織力を強化していきましょう。