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タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化~第3回「ジョブ型採用への対応」

ジョブ型採用とは

職務内容に基づいて人材を雇用する「ジョブ型雇用」が、「働き方改革」に対応する人事制度として注目されています。このジョブ型雇用に基づいた採用プロセスが「ジョブ型採用」と呼ばれます。

ジョブ型採用においては、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)に基づいた人材募集が行われ、採用プロセスにおける判定も、職務記述書の内容に従って行われます。職務記述書には、職務内容、責任、職務の範囲、求められるスキル・知識・資格などが具体的に記載されなければなりません。

従来の採用管理では、これらの項目を満たすために、新たにデータを作成する必要がありました。一方、タレントマネジメントシステムでは、社員の人事評価、スキル管理に必要なデータとしてタスク(職務)定義とスキル定義のデータがすでに設定されており、これらのデータを利用することができれば、簡単に職務記述書を作成し、募集を開始することができます。

元来、ジョブ型採用は「ジョブ型雇用」を実現している企業が実施するものであり、在籍する社員のタスク(職務)定義とスキル定義データを、人材募集データと共有するのが自然です。そのためには、採用管理の機能を搭載するタレントマネジメントシステムの利用が望ましいといえるでしょう。

タスク(職務)定義とスキル定義

それでは、タレントマネジメントシステムで設定されるタスク(職務)定義とスキル定義とは、どのようなものでしょうか。ここでは、クラウド型タレントマネジメントシステムであるスキルナビを例にとってご説明します。

まず、タスクは特定業務を遂行するために必要な能力要素を指します。特定業種向けに作成されたスキルテンプレートは、多くの場合このタスクを定義したものとなっています。例えばIT業向けに作成されたITSS(ITスキル標準)では、「アプリケーションシステム開発・構築」業務に必要なタスクが次のように定義されています。

  • アプリケーション開発
  • アプリケーション基盤の構築・テスト
  • システムテスト計画
  • ソフトウェア方式設計
  • ソフトウェア要求分析
  • テスト
  • 運用・移行設計
  • 開発環境の構築
  • 業務プロセスの設計

しかし、このタスクのレベルでは、客観的で公平な評価はできません。そこでスキルナビでは、タスクとは別にスキルを定義します。スキルは客観的で公正な評価が可能であると同時に、研修講座など修得に必要な具体的な施策が設定可能なレベルで定義します。先ほどのタスク例のうち、「アプリケーション開発」に関連するスキルとしては、例えば以下のようなものが考えられます。

  • アプリケーション開発技法と、開発ツールの評価
  • オブジェクト指向の活用
  • セキュリティ(機密保護、改ざん防止など)への配慮
  • ソフトウェア部品やフレームワークの活用
  • 既存のプログラムソースの解読
  • プログラミングツールの活用
  • データ構造の理解とSQLプログラミング
  • プログラム管理方法の理解と実践
  • フローチャートの記述
  • プログラムの書き換えによる影響範囲の特定
  • 処理速度を意識したプログラミング
  • 単体テスト計画書の作成

これらスキルの洗い出しは、当初はタスクを細分化することで行ってもかまいませんが、多くのスキルは複数のタスクで必要とされますので、最終的にはタスクとは別の体系として管理する方が効率的です。スキルナビの場合、タスクとスキルは別々の体系として管理されますが、タスクとスキルを関連付けることで、双方から参照できるようになっています。

また、客観的で公正な評価を可能にするために、スキルナビの場合、各スキルについて習熟度レベルと呼ばれる点数を定義することができるようになっています。

タスクとスキル双方の定義と関連付けが完了したら、応募者の自己評価や面接官による評価が可能になります。評価はスキル単位で行われますが、タスクと関連付けられているため、特定のタスクに必要なスキルが現時点でどういう評価になっているかが一目でわかるようになります。

以下の図は、スキルナビで営業職の「顧客アプローチ」タスクに関連付けられたスキルの自己評価を行う画面の例です。この例では、個々のスキルの習熟度をR0からR5の6段階で回答するように設定されています。

以上のように、タレントマネジメントシステムでは、職務経歴書に必要なタスク(職務)定義とスキル定義を体系的に作成することができますので、ジョブ型採用においても、データ作成の2度手間をなくし、ジョブ型雇用の社員に適用されているタスク(職務)定義とスキル定義と矛盾のない内容で、職務経歴書を作成することができます。

次回は、タレントマネジメントシステムによるポータブルスキルの評価について解説します。