【看護師向け】目標管理シートの書き方と例文を解説

看護業務の多忙な現場においても、自分の成長やチーム医療への貢献を意識して働くことはとても大切です。
この記事では、看護師の個人目標の意味や立て方、目標管理シートの記入例まで、具体的に解説します。目標設定を通じて、自身の成長を加速させましょう。
そもそも看護師の個人目標とは?
個人目標とは、看護部が策定した目標や、自分が取り組むべき業務に沿って個人単位で立てる目標のことを言います。
看護部の目標を意識し、看護師一人一人に達成してもらうために、個人単位で目標設定を行っています。結果として、「個人目標の達成=看護部全体の目標の達成」に繫がります。このように個人目標は、看護師全体にとっても重要なものになります。
また、個人に組織全体の目標を意識させ、行動につなげるという点は、目標管理シートの目的にも当てはまります。
なぜ看護師にとって個人目標が必要なのか
わざわざ目標を立て、管理するのに意味があるのか、という疑問をもつ人もいるのではないでしょうか。
今回は、なぜ個人目標が必要なのかを、3つに分けて紹介します。
先輩看護師からの指導を行いやすくする
実際に個人目標を立てる際には、先輩看護師や看護師長のアドバイスを受け、擦り合わせを行いながら決定していきます。
新人看護師で、立て方が分からないときは、面談や指導が繰り返し行われます。
指導を行うたびに、目標設定の理由や達成するための具体的な方法を伝えられます。学習する機会を意識的に設けることができるので、より的確な指導が可能になります。
看護師や看護部全体のレベルを上げる
看護師の業務内容は多忙であるため、具体的な目標に従って行動しないと、ただ忙しく、流される毎日となってしまいます。
業務終わりなどに行われる勉強会なども、業務の疲労から参加できなくなってしまいます。
具体的な目標が定まっていると、達成のために意欲的に業務を行うことができ、勉強会にも進んで参加することができます。一人一人が個人目標の達成に向かって努めることで、看護師全体のレベルアップにつながります。
看護師全体のレベルが上がるということは、看護の質が向上し、結果として病院全体の質が上がるということになるので、個人目標は病院にとっても、大きな役割を果たしています。
個人目標を達成することで、やりがいを感じる
個人目標を達成するために努力を続けることで、達成したときにやりがいや達成感を感じることができます。
やりがいを感じることで、確実に成長できているという実感が湧き、業務のモチベーション向上にもつながります。
看護目標設定時に押さえておきたい重要なポイント
看護師が個人目標を立てる際は、具体的な行動、期限、誰でも理解できる表現を使用することが重要です。
本項目では、看護目標を設定する際に押さえておきたいポイントについて、説明します。
目標達成のための行動計画を具体化する
個人目標は、漠然とした理想ではなく、日々の業務にどう落とし込むかが重要です。
達成に向けてどのような行動をいつ・どのように実施するのかを明確にすることで、進捗や改善点を具体的に振り返りやすくなります。
達成可能な期間で目標設定を行う
目標は現実的に達成できる範囲で設定することが大切です。
期間が長すぎるとモチベーションが続かず、逆に短すぎると無理が生じます。
実行可能なステップを段階的に設け、無理なく目標を達成できる計画を立てましょう。
評価しやすい目標を設定する
目標は他者から見ても達成状況が判断できるよう、定量的・具体的に記載するのが基本です。
「しっかり頑張る」「知識を深める」など抽象的な表現は避け、数値や行動ベースで評価できる目標にしましょう。
個人目標を設定する3つの手順
では実際に個人目標はどのように立てたらよいのでしょうか。
今回は個人目標を立てるときのポイントを3つに絞って紹介します。
課題を設定する
まずは自身の業務やスキルの中から、改善したい点や伸ばしたい能力を明確にしましょう。
課題を洗い出すことで、目標の方向性が定まり、行動計画も立てやすくなります。第三者が見ても評価しやすいよう、課題は具体的に記載することが大切です。
期限を設定する
看護師の個人目標は、最低でも毎年1回は立て、1年間は立てた目標の達成に向けて行動します。そのため、達成に何年もかかってしまうものや、短い期間で達成できるような目標は設定しないようにしましょう。
自分のレベルを考慮したうえで、決められた期間内で取り組み、達成できるような目標を立てましょう。
行動計画を立てる
目標を達成するためには、具体的な行動計画を立てることが重要です。
「できた・できなかった」の2択で評価できるように設定することで、達成状況が明確になり、自己評価がしやすくなります。これにより、現状を客観的に把握しやすくなり、次に優先して取り組むべき課題にも気付きやすくなります。
個人目標の設定に役立つ「SMARTの法則」
SMARTの法則とは、目標を効果的に設定するためのフレームワークです。
Specific(具体的)、Measurable(計測可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限が明確)の頭文字を取ったものです。
この5つの視点を意識することで、現実的かつ行動に移しやすい目標が立てられます。
- Specific(具体的)
目標は抽象的ではなく、誰が・何を・どのように行うのかを明確にすることが重要です。
内容が具体的であればあるほど、行動計画に落とし込みやすくなり、日々の業務の中でも意識的に取り組むことができるようになります。
- Measurable(計測可能)
目標は、行動や成果が数値などで「見える化」できるように設定しましょう。
定量的に評価できる目標は、達成したかどうかの判断がしやすく、振り返りや次の改善にもつながります。効果を検証できるよう意識しましょう。
- Achievable(達成可能)
目標が現実離れしていると、途中で挫折しやすくなります。
現在の自分のスキルやリソースを踏まえて、努力すれば届く範囲の「少し高めの目標」を設定することが、モチベーションの維持にもつながります。
- Relevant(関連性)
目標は、自分の役割や看護師としてのキャリアに関連している必要があります。
「何のためにこの目標を達成したいのか」「その先にどんな成長があるのか」といった目的を意識することで、目標への納得感と意義が生まれます。
- Time-bound(期限が明確)
目標には明確な期限を設けることで、日々の業務の中で計画的に取り組むことができます。
期限があることで優先順位をつけやすくなり、集中して行動に移しやすくなります。無期限の目標は後回しになりやすいため注意が必要です。
⇒目標管理シートについて詳しく知りたい方はこちら
目標管理シートの書き方と例文【キャリアステージ別】
本項目では、看護師のキャリアステージ別で、目標管理シートを記載する方法を解説します。
新人看護師の場合
新人看護師は、日々の業務に慣れることがまず大切です。
「早く一人前になりたい」と高すぎる目標を掲げると、挫折しやすくなってしまいます。
まずは自分のスキルや知識を客観的に分析し、現時点での課題を明確にしたうえで、無理なく達成できる目標を設定しましょう。段階的な成長を意識することが重要です。
中堅看護師の場合
中堅看護師になると、業務の正確性やスピードだけでなく、後輩への指導力やチームへの貢献が求められます。
そのため、資格取得や教育担当としてのスキル向上など、キャリア形成を意識した目標を立てるとよいでしょう。
自らの看護観や役割を再確認し、組織全体の中でどのように貢献できるかを考えることがポイントです。
ベテラン看護師の場合
ベテラン看護師は、臨床経験だけでなく、組織やチームをリードする立場となることが多いため、管理職視点での目標設定が必要です。
具体的には、スタッフマネジメントや業務改善、委員会活動などを通じて病棟全体の質を高める取り組みが挙げられます。現場のリーダーとして、次世代の育成も含めた視点を持つことが求められます。
目標設定時の注意点
目標設定時には、SMARTの法則を基に設計することが重要ですが、他にも注意すべきポイントがあるため、下記にて説明します。
現実的な目標を設定する
目標は高すぎても低すぎても、成長につながりにくくなります。
今の自分のスキルや経験を冷静に見つめ、背伸びしすぎない現実的な目標を立てましょう。
どの程度のレベルが適切か分からないときは、先輩や上司に相談するのも効果的です。他者の視点を取り入れることで、自分では気づけない改善点が見えてくることもあります。
最終的な目標は自分で決定する
目標を上司から一方的に与えられるのではなく、自分自身で決めることが重要です。
自分で選んだ目標は主体的に取り組みやすく、達成に向けた行動への意欲も高まります。
モチベーションを維持するうえでも「自分で決めた」という納得感は欠かせません。周囲の意見を参考にしつつも、最終判断は自分の意思で行いましょう。
具体的な目標管理で看護師として成長しよう
個人目標は自分の成長につながる重要な項目です。先輩看護師や看護師長から正しく指導してもらえるように具体的な内容、かつ評価しやすい個人目標を立てられるよう心がけましょう
また、自分のレベルを振り返り、達成できるような目標の設定を行いましょう。