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エンパシーとは?その意味やシンパシーとの違い、ビジネスで重要とされる理由を解説!

エンパシーとは、相手の立場に立って物事を捉える力を指します。

様々なビジネスシーンにおいてエンパシーは重要とされていますが、エンパシーとはなにか、どのように高めればいいのか、なぜ重要とされているのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事ではエンパシーの意味やシンパシーとの違い、ビジネスで重要とされる理由や、エンパシーを高める方法について具体例も交えながら解説します。

エンパシーとは

エンパシーの意味

エンパシー(Empathy)とは、自分とは異なる価値観や考え方を持つ他人に自己を投影し、相手の立場に立って物事を捉える力を指します。

相手が何を考え、どのように感じているのかを想像する力であり、対人関係やビジネスなどの協働の場で重要な役割を果たします。

エンパシーとシンパシーの違いって?

「エンパシー」と混同しやすい言葉に「シンパシー」があります。

シンパシーは思いやりや同情といった感情を共有する意味合いを持つ言葉です。

一方、エンパシーは自分とは異なる価値観や考え方を持つ相手に対し、相手の立場に立ってその心情を想像し、理解しようとする力です。

共感という点では似ていますが、エンパシーはより客観的な理解に重きを置いています。

エンパシーの4つの種類

エンパシーには大きく分けて4つの種類があります。

本項目ではそれぞれの意味と概要を解説いたします。

エモーショナル(感情的)・エンパシー

感情的共感とも呼ばれるエモーショナル・エンパシーは、他者の感情を直感的に感じ取り、共感する能力のことです。

この能力によって信頼関係を深め、チーム内の安心感や一体感を高めることができ、その結果、メンバーのモチベーションが向上し、組織やチームのパフォーマンスにも良い影響をもたらすことが期待できます。

コグニティブ(認知的)・エンパシー

認知的共感とも呼ばれるコグニティブ・エンパシーは、他者の視点や考え方を論理的に理解し、推察する能力です。

感情に寄り添うだけでなく、相手の立場や背景を踏まえて思考を想像する意味合いがあります。

ビジネスにおいては、本来自分とは異なる価値観を持つ相手がいた場合でも協力しなければならないため、コグニティブ・エンパシーによってコミュニケーションを深める必要があり、コグニティブ・エンパシーは重要な能力といえるでしょう。

コンパッショネイト・エンパシー

コンパッショネイト・エンパシーは、相手の立場に立って心情を想像し、共感するだけでなく、そのうえで状況を改善するための行動を起こすエンパシーです。

単なる理解や感情の共有にとどまらず、相手のために何ができるかを考え、支援やサポートに踏み出す姿勢が特徴です。特にリーダーシップやチームマネジメントにおいて重要な能力とされています。

ソマティック・エンパシー

ソマティック・エンパシーとは、相手の苦しみやつらさを想像し理解しようとすることで、自分自身も同じように身体に苦しみを感じてしまうエンパシーです。

身体感覚に焦点が向いた共感であり、深い共感ゆえに負担も大きく、ビジネスシーンにおいては、適切なセルフケアや感情のコントロールが求められます。

エンパシーがビジネスで重要な理由

エンパシーがビジネスで重要な理由は、どのようなものがあるのでしょうか。

本項目では、5つの理由について解説いたします。

他者との信頼関係を築ける

相手の悩みを深く理解することで、適切な対応をとることができ、それにより相手からの信頼度が高まり、他者との信頼関係を築くことができます。

ビジネスでは基本的に単独の業務ではなく、チームを作り、良好な関係を築くことが必要なため、エンパシーが重要となります。

チームワークを向上させる

共感を持って接することで、職場内での人間関係が円滑になり、また、部下や同僚のモチベーションを理解することで、適切なフィードバックやフォローができます。

エンパシーの姿勢と能力がチームワークを向上させることにつながるでしょう。

優れたリーダーシップを発揮できる

エンパシーを持つリーダーは、メンバーの意見を尊重し、柔軟な対応ができるようになります。

そうすることで、組織内の心理的安全性を高め、イノベーションを促進することができるようになるため、エンパシーは重要な能力だとといえるでしょう。

交渉や営業で成功しやすくなる

相手の価値観やニーズを理解し、本当の課題をヒアリングすることにより、適切な提案が可能になります。

また、一方的な売り込みではなく、相手にとって本当に必要としていることを提供できるようになるため、交渉や営業のうえでもエンパシーは重要な能力だといえるでしょう。

問題解決能力が向上する

相手の視点に立つことで、多角的な視点から解決策を考えられるようになります。

感情的な対立が起こることを回避し、建設的な議論を行うことができるため、ビジネスの場面で適切な問題解決を行ううえで、エンパシーは重要な能力だといえるでしょう。

エンパシーが高い人ってどんな人?

本項目では、エンパシーが高い人の特徴について解説します。

好奇心旺盛で多様な視点を取り入れる人

好奇心旺盛で幅広いことに興味を持ち、理解しようとする人はエンパシーが高い傾向にあります。

背景や価値観の異なる人々の考えや感情を理解しようとする姿勢を持つことで、他者の立場や感情を想像しやすくなり、共感力を活かした柔軟なコミュニケーションが可能になります。

相手の立場に立ち柔軟に対応できる人

相手の立場に立ち柔軟に対応できる人も、エンパシーが高い人の特徴です。

相手の視点や状況を理解し、柔軟な対応ができるため、円滑なコミュニケーションを取ることができます。

こうした人は、信頼関係を築きやすく、チームや組織の中でも調整役として力を発揮することが多いです。

傾聴力に優れ、偏見なく受け入れる人

傾聴力に優れ、偏見なく受け入れる人も、エンパシーが高い人の特徴です。

このような傾向がある人は、相手の言葉に真摯に耳を傾け、偏見を持たず、あるがままに受け入れようとする能力が高く、その結果、相手からの信頼を得やすくなり、心の内を話してもらいやすくなるため、より深いコミュニケーションや関係構築につながります。

無意識に相手の隠れた意図を読み取る人

無意識に相手の隠れた意図を読み取る人も、エンパシーが高い人の特徴です。

他者が言葉にしない思いや意図を直感的に察知し、その意図を汲み取って行動することができます。

その結果、他者に安心感を与えることができ、信頼関係の構築や円滑な人間関係に大きく寄与します。

エンパシーが不足している人の特徴とは?

エンパシーが不足している人は、自分とは立場が異なる相手への理解や共感が難しく、相手の感情に無関心な傾向があります。

そのため、冷淡な態度を取ってしまうことがあり、対人関係で誤解や摩擦を生みやすくなります。

特にチームや組織での協働においては、相手の気持ちを汲み取る力が求められるため、エンパシーの欠如は円滑なコミュニケーションの妨げとなることがあります。

エンパシーを高める方法

エンパシーは意識することで高めていくことができます。

本項目では、エンパシーを高める方法を紹介します。

相手の立場に立って考える

自分の視点だけにとらわれず、相手の視点に立って物事を考える習慣をつけ、立場や考え方の違う人の意見を積極的に聞いたり、映画や本などを通じてさまざまな価値観に触れることで多角的な視点を養うことができます。

こうした「相手の立場に立って考える」ことは、エンパシーを高めるうえで欠かせない習慣です。

傾聴力を高める

相手の話を「ただ聞く」のではなく、下記のような関心を持って聴く姿勢を意識することも重要です。

・途中で話をさえぎらず、相手の話を最後まで聞く

・うなずきや相槌を入れて理解していることを行動で表現する

・共感を示す言葉をきちんと伝える

こういった姿勢を意識することで傾聴力を高めることができ、エンパシーの向上につながります。

感情を言語化する

自分や相手の感情を正しく理解し、それを言葉にする力を身につけることも重要です。

相手の気持ちを振り返り、それを言葉で表現し伝えることを意識することで、感情を言語化する力が身に付き、エンパシーを高めることにつながります。

相手の表情・仕草に注目する

相手が発している言葉だけではなく、声のトーンや表情も同時に意識的に注目し、「明るく話しているが、本当は落ち込んでいるのでは?」など察する力も重要となります。

このような力を高めることで、相手が言葉にしない思いや意図を察知し、その意図を汲み取って行動することができるため、エンパシーを高めることにつながります。

ビジネスにおけるエンパシーの具体例

ビジネスにおいてエンパシーはどのように活用されているのでしょうか。

本項目では、上司、部下の間でのエンパシー例について紹介します。

上司から部下へのエンパシー例

エンパシーを意識する上司は、部下の業務状況を適切に把握しており、緊急で優先してほしい仕事が発生した際、今の仕事の優先度や仕事を中断させられることにより困るということを想像し、配慮を示すことができます。

例えば、部下へ緊急の仕事を依頼する際に、現在の業務を自身が巻き取ったり、調整することを提案し、部下に安心感を与えることができます。

部下から上司へのエンパシー例

部下が上司に対してエンパシーを示すには、上司の立場や状況を想像し、指示の背景にある意図を理解する努力が必要です。

エンパシーを意識することで、相手の状況や考え方に配慮した伝え方ができるようになります。

例えば、上司からの進捗確認に対して、上司が抱えている業務や状況を想像したうえで、現在の進捗報告とともに、完了の見込み時期を伝えるなど、上司が求める回答を的確に行うことができます。

エンパシーを活かしたビジネスシーン

社内のコミュニケーションだけでなく、エンパシーが必要とされるビジネスシーンはさまざまな場面で発生します。

本項目では、3つの場面を紹介します。

営業活動におけるエンパシー

営業活動では、顧客とのコミュニケーションから信頼関係を築くことが重要です。

エンパシーを意識して対話することで、取引先の立場や感情をより深く理解し、信頼される振る舞いができるようになります。

また、エンパシーを生かすことで取引先のニーズを的確に把握し、提案することができるようになるため、取引先との信頼関係をより強固に構築することができるでしょう。

マーケティングにおけるエンパシー

マーケティングにおいては、ターゲット層の視点に立って物事を考える力が重要になります。

エンパシーを発揮することで、ターゲット層の視点に立って物事を考えることが可能になり、ターゲット層のニーズや感情を深く理解し、より相手に響く提案を行うことが可能になります。

ただ情報を伝えるだけでなく、共感を呼び起こすアプローチができるため、商品やサービスへの関心や信頼を高める効果も期待できます。

商品開発におけるエンパシー

商品開発においては、ターゲットとなる顧客の状況や感情を深く理解することが重要です。

エンパシーを活かすことで、ターゲットとなる顧客の状況などを深く理解することができ、潜在的なニーズを発見し、本当に必要とされている商品やサービスを見極めることができます。

その結果、顧客の共感を得ることができ、より高い満足度と信頼を生む商品開発につなげることが可能になるでしょう。

エンパシーを向上させ、よりよい職場環境にしましょう

エンパシーを高めるためには、まず相手の話にしっかり耳を傾け、共感を示すことから始めることが大切です。

その積み重ねが、誰もが発言しやすい環境を生み出し、より適切なサポートや協力体制を築くことにつながります。

エンパシーを意識して行動することで、職場の人間関係が良好になり、働く意欲やチームの生産性も大きく向上します。

日頃から意識をすることでエンパシーを高めていくことは可能です。

ぜひエンパシーを向上させ、よりよい職場環境をつくっていきましょう。