スキルマップ(力量管理表)の作り方とは?項目例やテンプレートも紹介
スキルマップの作り方(力量管理表の作り方)を理解することは、人材育成を属人化させず、計画的に進めるための第一歩です。
スキルマップは従業員一人ひとりのスキルや習熟度を一覧で可視化し、「誰に・何を・どこまで育成すべきか」を明確にします。本記事では、人材育成担当者が現場で実践しやすいスキルマップの作り方を、具体的な手順・フォーマット・テンプレート例とあわせて解説します。
そもそもスキルマップ(力量管理表)とは?
スキルマップとは、従業員が保有する知識・技能・経験を一覧表にまとめ、習熟度ごとに整理した管理表のことです。
企業によっては「力量管理表」「スキルマトリックス」と呼ばれることもあり、ISO9001における力量管理や、人材育成・配置検討の基礎資料として活用されます。単なるスキルの棚卸しではなく、育成計画や評価制度と連動させることで、継続的な人材育成を実現できる点が特徴です。
スキルマップを作成する効果・メリット
スキルマップを導入する最大の目的は、人材育成の「属人化」を防ぎ、育成・配置・評価を客観的に行える状態をつくることです。
誰がどの業務をどのレベルで担えるのかが明確になることで、育成の優先順位付けや教育計画の精度が向上します。また、従業員本人にとっても成長の指標が可視化され、納得感のある育成・評価につながります。
スキルマップ(力量管理表)の作り方
①活用目的を明らかにする
スキルマップの作り方の第一歩は、「何のために使うのか」を明確にすることです。
人材育成、配置検討、評価制度、ISO監査対応など、目的によって必要なスキル項目や粒度は異なります。目的が曖昧なまま作成すると、形だけの力量管理表になり、運用されなくなる原因になります。
②スキル項目を挙げる
次に、職種・役割ごとに必要なスキル項目を洗い出します。
営業職であれば「商品知識」「提案力」「ヒアリング力」など、業務遂行に直結するスキルを中心に整理します。検索者がイメージしやすいよう、営業職のスキル項目を表形式で一覧化するのがおすすめです。
・知識系:商品理解・業界理解
・対人スキル:ヒアリング・提案・交渉
・業務遂行スキル:案件管理・社内連携
・成長・改善スキル:振り返り・改善
この分類により、「知識不足なのか」「スキルはあるが実践が弱いのか」
といった育成ポイントが一目で把握できます。
(例)営業職のスキル項目一覧
| 分類 | スキル項目 | 内容例 |
| 基礎知識 | 自社商品・サービス理解 | 機能・価格・強みを説明できる |
| 基礎知識 | 業界知識 | 顧客業界の課題・動向を把握している |
| ヒアリング | 課題ヒアリング力 | 顧客の表面的・潜在的課題を引き出せる |
| ヒアリング | 要件整理力 | ヒアリング内容を構造化できる |
| 提案 | 提案資料作成力 | 課題に即した提案資料を作成できる |
| 提案 | プレゼンテーション力 | 論理的かつ分かりやすく説明できる |
| 交渉 | 価格交渉力 | 顧客・社内双方を調整できる |
| 交渉 | クロージング力 | 成約に向けた意思決定を促せる |
| 業務遂行 | 案件管理力 | 進捗・タスク・期限を管理できる |
| 業務遂行 | 社内連携力 | CS・開発・上長と連携できる |
| 関係構築 | 顧客関係構築力 | 継続的な信頼関係を築ける |
| 改善 | 振り返り・改善力 | 商談結果を次回に活かせる |
③スキル項目を分類する
洗い出したスキルは、そのまま並べるのではなく、要素や技術ごとに分類します。
たとえば「知識系」「実務スキル」「対人スキル」などに分けることで、スキル同士の関連性が分かりやすくなります。分類することで、育成の抜け漏れ防止や教育施策との紐づけが容易になります。
④スキル体系を分類する
スキル体系とは、スキル全体を構造的に整理したものです。
職種別・業務プロセス別に階層化することで、スキルマップ全体の見通しが良くなります。競合サイトのように分類例を図やビジュアルで示すと、現場・経営層双方に理解されやすくなります。
⑤評価基準を決める
力量管理表では、スキルの有無だけでなく「どのレベルまでできるか」を定義することが重要です。
たとえば「未経験/補助が必要/単独で実施可能/指導できる」など、評価段階を明確にします。評価基準と段階を表で示すことで、評価のブレを防げます。
(例)評価基準・評価段階の例
| 評価レベル | 定義 | 行動イメージ |
| Lv1 | 未経験 | 業務を理解していない |
| Lv2 | 補助が必要 | 指示・フォローがあれば実施できる |
| Lv3 | 単独で実施可能 | 一人で安定して対応できる |
| Lv4 | 応用・改善ができる | 状況に応じた工夫ができる |
| Lv5 | 指導できる | 他者への指導・標準化ができる |
⑥スキルマップを作る
ここまで整理した内容をもとに、実際のスキルマップ(力量管理表)を作成します。
Excelやスプレッドシートでも作成可能ですが、ゼロから作るのは負荷が高いため、後述するテンプレートの活用がおすすめです。フォーマットを統一することで、運用しやすくなります。
⑦人事担当と共有する
作成したスキルマップは、人事担当者だけでなく、現場責任者や上長と共有します。評価や育成に関わる関係者間で認識を揃えることで、形骸化を防ぎ、実運用につなげることができます。
⑧運用しながら改善していく
最初から完璧なスキルマップを作る必要はありません。小規模なテスト運用を行い、課題を洗い出したうえでブラッシュアップし、その後全社展開するのが現実的です。事業や人材の変化に合わせて、定期的に見直しましょう。
スキルマップ(力量管理表)のフォーマット
スキルマップのフォーマットは、「縦軸にスキル項目」「横軸に従業員名または職位」「交点に評価レベル」を配置する形式が一般的です。
文章だけではイメージしにくいため、表や画像でフォーマット例を掲載すると理解が深まります。フォーマットはシンプルに保ち、更新しやすさを重視することがポイントです。
(例)スキルマップ(力量管理表)フォーマット例【簡易】
| スキル項目 | Aさん | Bさん | Cさん |
|---|---|---|---|
| 商品理解 | Lv4 | Lv3 | Lv2 |
| 課題ヒアリング力 | Lv3 | Lv2 | Lv1 |
| 提案力 | Lv4 | Lv3 | Lv2 |
| 案件管理力 | Lv3 | Lv3 | Lv2 |
ここに育成施策(研修・OJT)や目標管理シートを紐づけると、「評価だけで終わらないスキルマップ」になります。
スキルマップ(力量管理表)のテンプレート
スキルマップを一から設計するのが難しい場合は、公的機関が提供するテンプレートを活用すると効率的です。
- 厚生労働省:職業能力評価シート
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08021.html
- IPA:情報システムユーザースキル標準
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/uiss.html
スキルマップとともに活用できる人材育成ツール
スキルマップ(力量管理表)は、従業員のスキルを可視化するうえで非常に有効ですが、単体で運用すると「把握」で止まりやすいという課題があります。
育成を実効性のあるものにするには、「いつまでに」「どのレベルまで」「どうやって伸ばすか」を設計し、評価・配置・育成施策と連動させることが重要です。
ここでは、スキルマップと組み合わせて活用したい代表的な人材育成ツールを紹介します。
ロードマップ
ロードマップは、従業員がどのスキルをどの順番で習得していくのかを時系列で整理するためのツールです。
スキルマップが「現状の可視化」だとすると、ロードマップは「将来像から逆算した育成計画」を示す役割を担います。
たとえば「3年後に一人前の担当者として自走できる状態」をゴールに設定し、必要なスキルを段階的に配置することで、育成の道筋が明確になります。
スキルマップとロードマップを併用することで、場当たり的な教育から脱却し、計画的な人材育成が可能になります。
目標管理シート
目標管理シートは、従業員一人ひとりの目標と日々の業務を結びつけるためのツールです。
スキルマップで明らかになった「不足スキル」を、目標管理シート上の目標として落とし込むことで、育成が行動レベルまで具体化されます。
たとえば「提案力:Lv2 → Lv3」を目指す場合、目標管理シートに「月◯件の提案実施」「上長レビューを通じた改善」などの行動目標を設定します。
このように、スキルマップと目標管理シートを連動させることで、評価と育成の納得感を高める運用が実現できます。
タレントマネジメントシステム
スキルマップや目標管理をExcelで運用している場合、更新負荷や属人化が課題になりがちです。
タレントマネジメントシステムを活用すれば、スキル情報・評価・育成履歴を一元管理でき、運用の効率化と可視化が進みます。
特に、従業員数が増えてきた企業や、ISO対応・人事評価と連動させたい企業にとっては、仕組みとして回せる状態を作ることが重要になります。
スキルマップを起点に、育成・配置・評価までつなげたい場合、有力な選択肢となるでしょう。
スキルマップ(力量管理表)を従業員のスキル向上に活用しよう
スキルマップ(力量管理表)は、作成して終わりではなく、継続的に更新・活用してこそ価値を発揮します。Excelやテンプレートでの運用は手軽な一方、更新負荷や属人化、評価・育成との分断が起きやすいのも事実です。
こうした課題を解消し、スキルの可視化から育成・配置・評価までを一気通貫で管理したい場合は、スキルナビの活用も選択肢の一つです。
スキルマップを“作る”段階から、“人材育成に活かす”段階へ進めたい方は、ぜひ一度ご確認ください。

