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タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化~第1回「採用管理とタレントマネジメントの関係」

タレントマネジメントとは

ゴール到達のために、スタッフの知識や技術、経験を細かくチェックし、適切な研修や配属を実行することを指します。ここでは、その概要について深掘りしていきます。

タレントマネジメントの目的

おもな目的として、以下の3つに分類されることが多いです。

  1. ビジネスの現実化のための戦略構築
  2. 人材それぞれの個性を活かした教育
  3. 理想の運営戦略の現実化

1つ目は、スタッフ一人ひとりの能力や個性を見える化して管理したうえで、適切な作業配置を実行します。

2つ目では、それぞれの性格や今後の展望、目標を把握したうえで独自の教育体制を作ることを目的とします。そのため、意欲の向上や離職率の低下につながりやすいです。

最後の3つ目では、到達したいゴールに向けた戦略の構築を行うために導入します。

タレントマネジメントが注目される背景

この戦略は海外で開始されましたが、近年では国内でも注目が広がっています。ここでは、そのきっかけについて解説します。

少子高齢化・労働力不足

国内では高齢者の人口が増えている反面、労働者の人口が減り続けています。今後さらにその幅は進行し、2065年には高齢者の割合が40%近くとなるといわれています。

この状況のなかで海外に負けずに競り合うためには、スタッフそれぞれのパフォーマンスを高めていくことが大前提となるでしょう。

もともと日本の生産性は、他の国と比べると高水準に達しているわけではありません。そのため、新しい戦略を展開していかないとさらに衰退が進んでしまう危険性があるのです。

人材の流動性が高まっている

昔は生涯雇用や年号序列の制度が当然でしたが、時代が進むにつれて、その風潮は衰退しつつあります。現在では人材が企業に長い期間在職する割合が減少し、転職が当たり前になりつつあるのです。

また能力が高い人材であるほど、成果に見合った報酬を得られる企業に集約する傾向にあります。

つまり、実績によって報酬が左右されにくい昔のスタイルを保っている企業には、秀でた人材は残りにくいのです。そのため、成長できる人材を確保するには、新しい戦略が求められています。

仕事に対する価値観の多様化

時代の流れとともに、仕事の形態にも大きな変化がみられてきました。たとえば、正社員だけでなく副業や個人事業主としての独立、短時間業務など、いろいろな仕事のスタイルが増えました。

この経緯には、勤務先の固定化がなくなってきたこと、会社ではなく労働者が中心の雇用になったことがあげられます。

そのため、離れてほしくないスタッフがいる場合は、その方が快適にワークライフバランスを整えられるような環境作りを行う必要性があるのです。

DX推進の一環

技術が徐々に進化することで、生活にも大きな変化を迎えつつありますが、それを「DX」といいます。あらゆる情報を収集して質の高い人材をキープしたり、活躍できる場を設けたりすることも、その要素の1つです。

そのため、各地の会社がDXを推し進めています。またタレントマネジメントを取り入れることで、DXで求められる人事情報の積み重ねや応用的な活用に加えて、質の高い人材の確保が可能となります。

このような背景もあり、近年ではDXの推進に注目が集まっているのです。

タレントマネジメントの効果

実際に、どのようなベネフィットを得られるのでしょうか。ここではそれぞれの効果についてご紹介します。

多様で優秀な人材が活躍する場を作ることができる

会社の型にはめ込むような仕事ではなく、個人として活躍ができるような業務を行えます。さらに、正社員としての枠組みだけでなく、短時間業務やアウトソーシングなど、その方が希望している仕事形態の選択が可能です。

そのスタッフのスキルを十分にリサーチしておけば、仕事形態にかかわらず、期待通りのパフォーマンスを発揮できるでしょう。また妊娠・出産や介護などのイベントによって、人材が離れてしまうリスクも軽減できます。

適切な人員配置が可能になる

企業によっては、その人材のスキルに見合った業務を配置していない可能性があります。そのため、生産性が思うように高くならなかったり、スタッフの意欲低下につながって離職が増えたりするリスクが出てきます。

企業内でどこが足りていないのか、どんなスキルを持った人材を求めているのかを十分に理解できていれば、適切な配置が可能となるでしょう。まずは手持ち無沙汰のスタッフがいないか確認しつつ、それぞれが持っているスキルを把握してみましょう。

主体的なキャリア開発の促進に繋がる

適切な戦略構築でスタッフのスキルを活かした職場環境を整えられたら、今後の選択肢も大きく広がるでしょう。スタッフも「自分にはなにが苦手で、なにが得意なのか」を理解しやすくなるので、どんなスキルを伸ばしていくべきかが明確となります。

新しい選択肢を見つけられないことが原因で離職してしまう場合でも、このような柔軟な対応ができれば、長く企業に残ってくれるでしょう。さらに相性がいい仕事と出会いやすくなり、意欲向上にもつながります。

企業に必要な人材を計画的に育成できる

一人ひとりのステータスをしっかりと把握していれば、企業のニーズに適した教育を効率的に行えます。

企業にとってどんな知識・技術を保有している人材を確保すべきなのかを整理し、集めた情報からフィットしたスタッフを発見できます。

そしてスタッフの今までの経歴や達成した成果、今後の方向性をチェックしたうえで、それぞれに必要な教育プログラムを作成可能です。

従業員エンゲージメントの向上

スタッフの仕事に対する意欲が低下すると、業務内容の質も下がるだけでなく、離職のリスクも増加するでしょう。新しい戦略を導入すれば、スタッフの希望している方向性に着実に進められます。

また、それぞれに適した仕事配属、教育プログラムを実行できます。そのため、スタッフ自身も「この業務が得意だ」「着実にスキルが上がっている」「企業に役立っている」という実感が持てるでしょう。

業務への意欲だけでなく、企業への信頼性も高まるので、良好なサイクルが生まれます。

採用管理とは

採用管理とは、入社希望者の応募から採用決定までの一連のプロセスを管理する業務のことで、採用管理業務の対象となる一連のプロセスは、次の図のようになります。

それぞれのフェーズにおいて、テスト/面接の実施、結果の記録、判定が行われるため、進捗を把握するためには、様々なデータを保管し、簡単に閲覧できるようにする必要があります。

多くの企業では、この採用管理業務でExcelが使用されていますが、テスト/面接の実施予定の通知、結果の記録、進捗状況の把握といった情報伝達が、電子メールやファイルサーバーを経由したExcelファイルのダウンロード、アップロードによって行われる場合、業務ワークフローは非効率で不正確なものとなり、結果として、見落としによる遅延や、採用の進捗状況がわからなくなるといった課題が発生します。

この課題を解決するために、採用管理システムと呼ばれる採用管理業務を支援するシステムを導入する企業もあります。採用管理システムは、応募者(Applicant)の採用プロセスにおける状況を追跡(Tracking)するシステムであることから、ATS(Applicant Tracking System)と呼ばれることもあります。

タレントマネジメントを採用で活用するメリット

採用の場面では、どのような利点があるのでしょうか。ここでは利点を4つにまとめて、詳しく解説します。

採用すべき人材が明確化する

企業内のあらゆる人材データを収集しておけば、質が高くなりやすい傾向や個性が明確になります。その分析を行えば、採用の面で個性が共通している求職者を発見しやすく、どの人材を確保すべきかが把握可能です。

またスタッフのデータを一括管理して見える化することで、人材が足りていない、あるいは溢れているなどの状況をおさえられます。

どのようなスペックを持った方をどのくらい求めているのかを理解すれば、スムーズな採用活動を行えるでしょう。

採用のミスマッチを防ぐ

あらかじめ集約しておいた情報をもとにすれば、企業に求めている基準の設定が可能です。

その基準に沿って採用活動を行うことで、求職者との不一致を避けやすく、本当に必要な人材を迎え入れられます。

また求める人物像にフォーカスするだけでなく、過去に辞職していった方の性格や動向を把握して、両方向からの目線で求職者を見極められるでしょう。

定着率の向上に繋がる

人材の確保だけでなく、その後のフォロー体制の構築にも貢献できます。たとえば、あらかじめスタッフの情報を詳細に取得して、それぞれに適した配属・教育を実行できれば、早期の段階で能力をうまく発揮できるでしょう。

そのような環境を早期の段階で整えておけば、スタッフの意欲も高まり、企業としての生産力の向上も期待できます。また自分の思った通りに業務を行える実感は、企業に対しての信頼性が高まり、離職の低下につながります。

採用管理がスムーズになる

各スタッフのデータを細かい箇所まで管理しておけば、新入職の方が増えてもスムーズにカテゴリに分けながら入力できます。

企業内の社員が多ければ多いほど人材管理が困難となるので、なるべく早期にデータをまとめておけば、今後も業務の負担が軽減されるでしょう。

また特性や研修内容に分類しながら一覧表を作ることで、その後の新人研修の流れも滞りなく行いやすいです。

タレントマネジメントを採用に活かすためのポイント

採用で活用するためには、どのようなコツが必要なのでしょうか。ここではそのポイントについてご紹介します。

必要な人材情報を揃える

今後新しい戦略を構築するためには、スタッフそれぞれのスキルや個性などをまとめておくことがなによりも求められます。採用活動で質の高い人材を確保したり、辞職の予防策を構築したりするためには、スタッフの情報が必要不可欠だからです。

人材のデータをうまく役立てていないケースは以下のとおりです。

  • 名前や勤怠情報などの大前提となるデータはあるが、それ以上のコアなデータをピックアップしていない
  • 上層部がおさえておくべきデータが、1段階下のレイヤーで途絶えている
  • データを紙面で管理しているので、調べたいデータを探すのに苦労する

データ収集がうまくいかない場合は、このような点が発生していないか確認してみましょう。

人材情報の収集に力を入れる

データを集めるのは労力と時間がかかりますが、この工程を経ることで新しいビジネス戦略の構築が可能となります。そのため、断念しないように根気よく収集に力を入れましょう。

とくに、以下のような点が課題といえるでしょう。

  • 紙面やデータ上での質問票の作成
  • 質問票を回答した後の回収・集計作業
  • 質問に答えていないスタッフの誘導作業 など

どれも負担のかかりやすい作業のため、なるべく労力を分散できるような体制を整えておきましょう。

人材情報を更新し続ける

常に新しい戦略を先取りするためには、当然新しいデータを活用しなければいけません。過去のデータを参考にして人材の配属、教育、採用を実行しても、思ったような成果をあげられない可能性が高いです。

データの項目によって、変化しにくい部分や常に変えないといけない部分があります。それぞれのスタッフの情報を収集するだけでも労力と時間がかかりますが、この更新作業も行わなければいけません。

企業として成長につなげるための核となる要素であることは変わりないので、こちらも同様に労力を偏らせないような配慮が必要です。

人材情報を活用する

常に新しい戦略を先取りするためには、当然新しいデータを活用しなければいけません。過去のデータを参考にして人材の配属、教育、採用を実行しても、思ったような成果をあげられない可能性が高いです。

データの項目によって、変化しにくい部分や常に変えないといけない部分があります。それぞれのスタッフの情報を収集するだけでも労力と時間がかかりますが、この更新作業も行わなければいけません。

企業として成長につなげるための核となる要素であることは変わりないので、こちらも同様に労力を偏らせないような配慮が必要です。

人材情報を活用する

これまで収集し、更新し続けてきた人材データを活用してこそ、はじめて新しい戦略をスタートできます。逆に、せっかく収集してもうまく活用できなかったら、これまでの時間と労力がムダとなってしまうのです。

実際の応用例として、質の高い人材を絞り込んでどんな働きをしているのか、どんなスキルを保有しているのかを解析する、という方法もあります。

また解析する場合は、マニュアルを作成したり、周囲と共有したりして、属人的な作業とならないように注意しましょう。

タレントマネジメントを導入する際のポイント

新しい戦略をさらに高めるためには、導入時にどのようなコツが必要なのでしょうか。ここでは、そのポイントについてご紹介します。

目的を明確化する

実際に導入を決定するときは、どんなことを達成したいのか、どういう切り口でビジネスに活かすのかをハッキリしておきましょう。狙いが不明瞭のまま取り入れたとしても、うまく運用できずに費用対効果を得られないからです。

「ただ人材のデータを集めたい、管理したい」という考えだけではうまくいかないでしょう。集めたデータをどのように活かすのか、将来的にどんなゴールを目指したいのかをハッキリしておくと、効果は高まります。

人材要件を明確化する

新しい戦略の実行を満たすためには、どのような条件が必要なのかをハッキリさせておくことも大切です。

どの組織にどんなスキルを保有した人材が足りていないのか、どのくらい補充すべきなのかを可視化できていれば、スムーズに対応が可能です。この場合「短い期間」と「中長期」の目線で条件を分類分けしておくことをおすすめします。

求める人材のステータスが可視化されたら、採用活動にてマッチしている求職者をピックアップしてみましょう。その他にも、条件を満たせるように企業内のスタッフを教育する方法も1つの手段です。

人事部門を見直す

新しい戦略の立ち上げには人事部の改革も重要です。今まで行ってきたような採用や配属、評価といった業務だけでなく、会社の今後のあり方を明確にするための戦略を整えていく必要があるからです。

当然、仕事の役割が変われば、その内容に適した人材が求められます。部署内に戦略構築に長けている人材がいるのかを再度確認し、足りていないようであれば、どんな方法で補充するべきかを考えてみましょう。

タレントを把握する

人材に求める条件が明瞭となった後は、スタッフの素質を見極め、定量的に判断します。条件に適しているスタッフは何人いるのか、何人足りていないのかを抽出します。

また今の段階で十分に確保できていたとしても、今後どのようなことが考えられるのか、これからどんな教育をすべきなのかを考えることも重要です。

これらの分析によって、企業として新しいビジネス戦略の発見につながるでしょう。

自社に合ったタレントマネジメントシステムを選定する

必要に応じてシステム運用を検討してみましょう。うまく活用できれば、より精密かつスムーズにさまざまな仕事を進めやすくなり、企業の生産性の向上につながるでしょう。また入力した情報を積み重ねられるので、あらゆる視点での戦略に活用できるでしょう。

その反面、システムにはたくさんのバリエーションがあり、それぞれ特徴が異なります。そのため、企業のスタイルに適したものをピックアップして運用することが大切です。

まずは導入する明確な理由を持ったうえで、どのようなシステムがいいのかを話し合ってみましょう。

最初は扱う範囲を限定する

いきなり多数の部署で新しい試みを行っても、効果判定がしにくく、すべてを管理するのは困難です。

そのため、仕事内容やチームの範囲を狭めて実行し、トライアンドエラーを繰り返したうえで徐々に範囲を広げましょう。「ひとまず導入したものの、どんな効果が出ているのかわからない」とならないように、焦らず少しずつ進めていくといいでしょう。

社員の声を聞きPDCAを回す

試運転中や本番にかかわらず、スタッフにとってどのような影響があるのかを把握することは大切です。新しい戦略を取り入れることで、上層部だけでなく、スタッフも大きな影響を受けているはずです。

スタッフの不満や疑問が積み重なっていては意味がないので、一定周期で生の声を聞いたり、アンケートを実施したりしてみましょう。改善点や評価点を聞いてトライアンドエラーを繰り返すことで、ビジネスの歯車が円滑に回るのです。

タレントマネジメントシステムとは

スタッフの能力や技術、経歴などの細かいデータをまとめて管理するシステムを指します。積み重ねてきたデータを分析することで、最適な業務配置をしたり、人材のスキルに応じた教育・研修を行うことが可能です。

システムによってさまざまな特徴を持っていて、そのバリエーションは非常に豊富です。たとえば、以下のような機能があります。

  • データ解析だけでなく人事戦略も行える
  • スタッフごとの勤務時間と成果で生産性を割り出せる
  • 人材の備わっている能力をリスト化して閲覧できる
  • スタッフのモチベーションや傾向が見える化されている など

上記のように、多くのデータをまとめたうえで、ビジネス戦略をサポートできるのが特徴です。

採用に役立つタレントマネジメントシステムの機能

採用の場面では、どのような利点があるのでしょうか。活用できる機能について解説します。

人材情報を一元化、必要な人材をピックアップする

求める人材のスペックをクリアにして、求職者とのミスマッチを防ぎやすくなります。その他にも、退職者の解析に必要なデータをまとめて、スムーズに管理可能です。

またスペックのレベルや入職時期などを限定してスタッフを抽出できます。そのため、管理職向きのスタッフや教育が必要な人材を見つけやすくなります。

人材情報の効率的に収集、更新する

質問形式の機能の活用によって煩雑なスタッフデータを集める作業が効率的に行えます。

たとえば、データを集めるためには質問票を制作して、それを一斉に送信します。そして回答が完了したら、再度集めて解析を行うのが通常ですが、その工程をワンストップで実行可能です。

さらに回答していない方の絞り込みもできるので、スタッフに促す労力も軽減できるでしょう。

また保有している資格の更改が必要になったときに、スタッフ自身で新しいデータをインプットできるシステムもあります。

このような機能によって、普段では必要な労力の軽減によって、新しいビジネスを立ち上げられる時間を確保できます。

収集した人材情報を分析、活用する

まとめて管理したスタッフデータを、さまざまな方法で解析が可能となります。

たとえば、企業内のスタッフのデータを項目別に分類し、あらゆる視点からの解析が可能です。そして質の高い人材をピックアップできたり、退職者の特徴を把握したりできます。

それにより、解析を行うスタッフの業務負担の軽減につながり、より時間を設けるべき仕事にコミットできるでしょう。

採用管理ツール(ATS)と連携させる

ATSと併用して使うことで、面談時のチェック内容や履歴書といったデータを一括で管理が可能です。連携によって意思疎通を円滑にすれば、一方通行でのコミュニケーションとなることを防止できます。

また積み重なったデータは、新入社員のための新人教育や研修の質向上につながるでしょう。

タレントマネジメントシステムによる採用管理のメリット

採用管理システムは、応募者が多くExcelによる管理が難しい大企業を中心に、徐々に導入が進んでいますが、最近になって、タレントマネジメントシステムが採用管理の機能を搭載するケースが増えており、採用管理のシステム化における新たな選択肢として注目されています。

タレントマネジメントシステムに搭載されている採用管理の機能は、基本的には採用管理システムと同等ですが、独立した採用管理システムと比較した場合、応募者データと社員データの統合、UI/UXの共通化という2つの大きなメリットがあります。

タレントマネジメントシステムで採用管理を行うことで、応募者データと社員データの統合の統合が可能になります。独立した採用管理システムの場合、内定/入社した新入社員のデータは、再度社員データとして再登録する必要がありますが、タレントマネジメントシステムでは、従業員データが格納されているデータベースに、応募者データも格納されるため、内定/入社した新入社員の採用時のデータを、そのまま社員データとして利用することができます。

タレントマネジメントシステムで採用管理を行うことで、採用管理業務と人事評価などのタレントマネジメント業務でUI/UXを共通化することができます。採用管理業務に要する工数は、時期により大きく変動します。

したがって、採用管理システムを日常的に利用する担当者だけではなく、繁忙期だけ利用する担当も相当数存在します。このような担当者に対しては、日常的に使用しているタレントマネジメントシステムと同じUI/UXを提供することで、業務効率を大きく向上させることができます。

タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化

タレントマネジメントシステムで採用管理を行うことで、ジョブ型採用への対応やポータブルスキルの評価といったより高度な採用管理を実現することができます。

ジョブ型採用とは、職務内容に基づいて人材を雇用する「ジョブ型雇用」に基づいた採用プロセスのことをいいます。ジョブ型採用においては、職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づいた人材募集が行われ、採用プロセスにおける判定も、職務記述書の内容に従って行われます。

職務記述書には、職務内容、責任、職務の範囲、求められるスキル・知識・資格などが具体的に記載されなければならないため、タレントマネジメントシステムに格納されているタスク(職務)定義とスキル定義のデータが必ず必要になります。

したがって、ジョブ型採用を行う場合は、単独の採用管理システムよりタレントマネジメントシステムを利用する方が、はるかに簡単に職務記述書を作成し、募集を開始することができます。

ポータブルスキルは、「真面目さ」、「積極性」、「几帳面さ」といった特定の業種・職種・経歴にとらわれない能力のことを指します。特に、環境の変化や新しい業務内容への適応が必要になったときに重要となるスキルであるため、最近では、中途採用において重要視されるようになってきています。

ポータブルスキルは、テストや面接でレベルを判定することは、なかなか難しく、採用する側では、診断ツール、診断サービスを利用するケースが増えてきています。だたし、これらは、ある種の性格診断となりますので、絶対的な優劣が判定されるわけではありません。

したがって、ポータブルスキルを判定するためには、事前に自社の求める人材像を明確にしておく必要があり、そのためには、タレントマネジメントシステムにおいて設定されている自社の求める人材像に関する情報が必須といえます。

タレントマネジメントを活用した採用事例

実際にシステム導入を開始した企業の事例について解説します。

【ソフトバンク株式会社】

通信キャリア事業と新しい領域を展開するための事業を中心としているソフトバンクでは、その両面を意識した人材教育を行う必要がありました。新しい領域でも対応できるようなスタッフ育成の目的のために、システム導入を実施。IT領域に関連したスタッフを対象に、現状のスキルの把握や今後希望している職種のチェック、今まで手がけてきた職種の診断などを行いました。スタッフの状況と今後の方向性が明確となる感触を得られています。

人事に求められていること

人事として、どのようなポイントが今後必要となるのかをご紹介します。

人材戦略を最重要項目とすること

なによりも優先したいのが、人材を活用した戦略構築です。少子高齢化の今、秀逸な人材を確保したり、ずっと会社に残ってくれることが少なくなってきています。質の高いスタッフが少なくなると、会社の勢いも減衰する危険性があるでしょう。

この現状を打破するためには、各チームからの希望に則って採用を実施する「守り」の体制だけではいけません。スタッフの有効活用によってビジネスのゴール達成につなげられるような、攻撃的な体制が重要です。

そのような体制を作るためにも、新しいビジネス戦略をうまく立ち上げられるようなシステムが必要なのです。

人事領域のDXを進めること

もう1つは、技術の進歩を活用して、環境の変化を進めることです。とくにDXは、ビジネスとしてのゴールを達成するための戦略を構築するためには重要なファクターとなるでしょう。

この考え方を推し進めることで、積み重ねてきた人材情報の解析が可能となり、求めている戦力の確保につながるのです。

企業として達成したいゴールや、そのための問題点を洗い出し、人材に関わる視点でなにが行えるのかを考えてみましょう。