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EQとは

AI時代の今こそ必須のEQとは?次世代の人材に求められる心の知能指数

ChatGTPをはじめ、さまざまなAIツールが話題になっている昨今、企業は時代に合わせた人材戦略を立てる必要に迫られています。 しかし「これからの時代に合った人材像がわからない」と悩む人事担当者は少なくありません。 次世代に必要なのは、感情をコントロールできる「EQ」の高い人材です。EQは、企業の生産性向上や人材教育に役立つ指標となるため、従業員のEQアップには早めに取り組みましょう。 今回は、EQの定義や関係する要素、高めるメリット、高い人の特徴などを解説します。 EQとは 「EQ」とは、「Emotional Intelligence Quotient」の頭文字を取った略語です。 日本語では、 などと訳されます。 これは、人が自身の感情をコントロールして応用する力を指しています。日常生活はもちろん、ビジネスでも活用できるとして、昨今注目を集める能力です。 EQの基本となる理論は、ニューハンプシャー大学教授のジョン・メイヤー博士と、エール大学学長のピーター・サロベイ博士が1990年に提唱しています。 アメリカの心理学者である2人の研究により、ビジネスの成功者は対人関係を築く能力が高いことが明らかにされました。つまり成功者の多くは、自身の感情を操りながら、良好な人間関係を維持している(EQが高い)といえるのです。 自他の感情の動きに敏感な人ほどEQが高く、相手の気持ちを察したり自分の感情を冷静に保てたりするので、無用なトラブルが生じにくくなります。 IQとの違い 多くの人にとって「EQ]よりも「IQ」という言葉の方が耳慣れているでしょう。この2つはよく似た言葉ですが、意味は大きく異なります。 「IQ(Intelligence Quotient)」は、日本語で「知能指数」と訳されます。IQが高い人は、高い記憶力と頭の回転の速さを持っているのが特徴です。いわゆる「頭の良い人」は、IQが高い傾向にあるでしょう。 IQが頭脳の知能指数である一方、EQは心の知能指数です。他人の気持ちや自分の気持ちを敏感に察する能力のことを指し、IQとは全く異なる意味を持ちます。 IQが高い人がビジネスで成功すると思いがちですが、昨今はビジネスでの成功のカギはEQにあると考えられるようになってきました。そのため、今後はEQの高い人材を確保するとともに、従業員のEQ向上に努めることが重要です。 EQを構成する要素 EQと一口に言っても、EQの値を決める要素は複数あります。それぞれの要素の資質を総合的に高めることが、EQ向上を早めるでしょう。 ここでは、4つの構成要素を紹介します。 感情の識別:気持ちを感じる力 「人の気持ちに敏感だ」と言われる人材に出会った経験はあるでしょうか。 自他の気持ちを感じられる能力は、高いEQを保つために欠かせません。今どのような感情を抱いているのかを正しく識別することで、人は適切な行動を取れるようになります。 反対に、感情を識別できなければ他人が何を考えているかわからない状況に陥ります。自分が何を感じているかもわからず、自分自身を大切にする行動ができなくなってしまうかもしれません。 感情の利用:モチベーションを作る力 感情を利用すると、自分自身をコントロールしやすくなります。仕事をしているとさまざまなプレッシャーに向き合う機会があるでしょう。このとき役立つのが、感情の利用です。 例えば、 といったシーンで役立ちます。 状況や目的に合わせて、そのときどきで必要な感情を自ら作り出すことで、仕事に対するモチベーションを高く維持できるでしょう。 感情の理解:気持ちについて考える力 気持ちについて考える力が、感情の理解力です。「なぜその感情が表れているのか」を深く考えることで、他人や自分への理解を深めることができます。 例えば、同僚が感情的に怒っている場合、怒りの感情が芽生えた理由について考えます。もしかすると、プライベートでイライラして感情的になっているかもしれません。スケジュールに余裕がなくて「早くしてほしい」という思いが表面化している可能性もあります。 相手の立場にたって気持ちを理解しようと努める能力は、人間関係を円滑にする上で重要です。正しく理解できれば、適切な対処ができるようになるでしょう。 感情の調整:感情をコントロールする力 感情の識別・利用・理解ができても、より良い行動につなげられなければ意味がありません。EQの高い人は、気持ちをコントロールする「感情調整力」が高い状態にあります。 感情の調整ができると、自分や周囲の感情の変化に合わせて、柔軟に行動を変更できるようになります。 自分の気持ちをうまく操れるため、感情に振り回されるリスクが少なくなるでしょう。その結果、周囲から「身勝手だ」と評価されることなく、良好な人間関係を築きやすくなるのです。 EQが左右する5つの能力 密接な関わりのある5つの能力を解説します。 傾聴力 マネジメントや人事に関わった人なら傾聴することの重要性をよくご存じではないでしょうか。人の話にしっかりと耳を傾ける「傾聴力」は、相手の感情理解につながる重要な能力です。 EQが高まると、いわゆる「聞き上手」な人になれるでしょう。相手の話に割り込むことなく、主観的ではなく客観的に話の内容を受け入れます。 相手の意見を理解した上で、自分の意見を述べるようになるため、ビジネスをスムーズに進めるために重要な力です。 また、相手を否定しないことにより、良好な人間関係を築きやすいのもメリットだといえます。 共感力 「共感力」とは、他者の感情に理解を示す力です。EQが高まると、自分だけでなく他者の感情の動きも敏感に感じ取れるようになります。その結果、相手が感じたことを否定することなく、理解して寄り添えるようになるでしょう。 共感力が高い人は「思いやりがある」と評価されやすいのが特徴です。 能力の高さや内容によっては、相手が「自分のことを深く理解してくれている」と実感できるでしょう。その結果、周囲からの信頼感が増し、円滑な人間関係が形成されます。 協調性 多くの仕事は、職場の同僚や取引先、上司とコミュニケーションを取りながら進めます。そのため、周囲の人とスムーズにやり取りできる「協調性」は、ビジネスパーソンに欠かせない要素だといえるでしょう。 EQが高いと、周囲の意見をしっかり聞き入れながら仕事を進められるようになります。相手の意見や思いを理解した上で、自分の気持ちを伝えられるようになるため、ミスコミュニケーションが少なくなるでしょう。 柔軟性 […]

ビジネス用語・基礎知識
バイアスとは

バイアスとは?ビジネスシーンで起こりうる悪影響や対策を解説

ビジネス場面では、我々が気づかないうちに「バイアス」という影響が隠れていることがあります。これが意思決定にどのような影響があるのかを深く理解することは、ビジネスで成功するうえで欠かせない課題です。本記事では、バイアスの意味や種類を詳細に解説し、それが企業に与える影響についてご紹介します。バイアスを理解することで、組織における意思決定をより客観的に導けるでしょう。 バイアス(アンコンシャス・バイアス)とは バイアスとは、無意識の思考の偏りのことを指します。これは日常生活でさまざまな情報に触れるなかで、特定の考え方に影響される現象です。バイアスがあると客観的な判断に偏りが生じやすくなり、ビジネス場面では企業や組織にさまざま影響をおよぼすこともあります。 そのため、バイアスの種類や影響を理解し、適切な対策をとることが重要です。無意識の思考の偏りに気づき、客観性を持った意思決定をするには、公正な環境の調整が求められます。 バイアスの種類はたくさんある ここではバイアスのさまざまな種類についてご紹介します。 ハロー効果 ハロー効果は、特徴的な印象が全体的な評価に影響を及ぼすバイアスのことです。魅力的な外見や高い地位を持つ方の場合、それにともなって他の側面も良い評価を受ける傾向があります。公平な評価をするためには、複数の視点を持ってハロー効果による評価の偏りを軽減することが大切です。 特徴的な印象にとらわれることなく、客観性を持つことで本当の価値を見出せます。より客観的な判断ができる環境を整えることが、ビジネスにおいて大切な要素となるでしょう。 アンカリング効果 はじめに得られた情報に強く影響を受けるバイアスで、その後の判断にも関係します。ビジネスでは価格交渉で高額な見積もりを提示すると、顧客がその金額を基準に判断する傾向があります。この影響を根本的に解消するためには、主観的な根拠を持たずに視野を広げて情報を取捨選択することが重要です。この効果に注意しつつ、偏りのない判断をすることでビジネスの成功や成果向上につなげられるでしょう。 自己評価バイアス このバイアスは、自分自身に偏ったとらえ方をして、偏った評価をしてしまうことです。これが生じると現実と理想のギャップが極端となり、自己成長を妨げることもあります。 また、ビジネスでは組織のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性もあります。自己評価が過剰だとやり取りや協力が難しくなり、作業の質低下が懸念されるでしょう。この現象を克服するには、客観的なフィードバックを受け入れる姿勢が重要です。他者との意見交換や評価を通じて客観性を持ち、自己成長につなげることが必要です。 バンドワゴン効果 この効果は、周囲の人々が参加していることで、他の方も参加意欲が高まる現象です。広告や宣伝では、「多くの人が利用している」「大人気の商品」という表現がよく用いられることがあります。これによって購買意欲が高まり、売り上げの向上につながっているのです。 しかし、この効果には注意が必要で、意思決定を無意識に省略する恐れもあります。組織や個人は客観的な判断をして、他の情報に流されないようにすることが重要です。 確証バイアス これは自分の求めていることを裏付けるような情報を選んでしまう現象です。つまり、すでに持っている信念を強化するために、都合の良い情報に焦点を当てているのです。ビジネス場面では、意見の対立がある場合にそれを裏付ける情報ばかりを集めることで、客観的な判断が阻害されてしまいます。 結果として、重要な情報や他の視点を見落としてしまう恐れがあります。このバイアスを克服するには、意思決定において客観的な視点を持つことが大切です。 バイアスが企業に悪影響を与える理由 バイアスがあると、なぜ企業に悪い影響が出るのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。 ハラスメントが起こる バイアスが悪影響をおよぼす理由の1つには、ハラスメントがあげられます。特定の方に対して偏見や差別的な態度を持つと、職場内の人間関係が悪化し、この問題が発生する可能性が高まります。ハラスメントは被害者に大きなストレスを与え、パフォーマンスの低下や退職の原因となることもあるでしょう。 この問題を解決するには、バイアスを意識して職場環境で偏見が起こらないように配慮することが重要です。多様性を尊重し、すべてのスタッフが平等な職場作りを目指しましょう。 非合理的な判断が起こる バイアスがあると、整合性のない判断が起こる可能性があります。人は意識せずに、過去の経験や信念に基づいて判断を下す傾向があります。これにより、本来優先すべき客観的事実を活用せず、感情的な判断をしたりしてしまうことがあるのです。 特定のスタッフに好意的な印象を持っていると、その方の提案や意見に対して肯定的になることがあるでしょう。バイアスを克服するには、確証のあるデータを重視して個人的な感情に左右されない冷静な考えを心掛けましょう。 社員のモチベーションが低下する バイアスが組織内に浸透すると、社員の意欲に悪影響をおよぼすことがあります。たとえば、優遇される特定のグループに属しているスタッフはモチベーションが高まりやすくなるでしょう。しかし、他グループのスタッフは不公平を感じて、やる気が低下する可能性があります。 不公平なあつかいを防ぐためには、公平性と多様性を重視した取り組みが必要です。誰もが公平な環境を整えることで、すべてのスタッフの意欲向上につなげられるでしょう。 間違った人事評価をしてしまう バイアスが存在する環境では、人事評価にも誤りが生じることがあります。特定の社員が好意的に評価されるハロー効果や、先入観によるアンカリング効果は実際に起こりやすいといえるでしょう。その影響で、実際の実績・能力と乖離した評価が下される可能性があります。 この問題に対処するには客観的な基準を導入し、個々の成果や能力を公平に評価する仕組みの構築が重要です。これによって、組織全体のパフォーマンス向上につながる人事評価が行われるでしょう。 バイアスがかからない組織にするコツ バイアスがかからないような組織を作るには、どのようなポイントが重要なのでしょうか。ここではそのコツについて解説します。 肩書きで判断しない 組織において、スタッフの肩書きだけを基準にして評価や意思決定を決めることは、バイアスを引き起こす要因となります。肩書きだけで個人の能力や実績を判断してしまうと、その方の本当の実力が見過ごされる恐れがあります。肩書きを基準とした思考の偏りを避けるには、客観的なデータや実績を重視して評価をすることが重要です。プロジェクトの成果や貢献度、能力を客観的に評価するための指標を導入すれば、公平な判断ができるでしょう。 客観的な意見を聞く 肩書きや人間関係にとらわれず、客観的な意見を積極的に取り入れることが重要です。他者からのフィードバックや意見を真摯に受け止め、自分の視点と比較すれば、より客観的な判断ができます。組織の異なる立場や部門の方とコミュニケーションをとることで、偏った思考が解消され、より多角的な視点を持てるようになるでしょう。 また、クライアントや顧客からのフィードバックも異なる視点を得られるきっかけとなるので、ビジネスにとって貴重な情報源となります。 社員の能力を客観視できる仕組みを導入する 社員の能力を客観的に評価するには、適切な基準や仕組みを導入する必要があります。定量的なデータや実績に基づいて評価をすることで、バイアスの影響を最小限に抑えられます。たとえば、具体的な目標と定量的なKPIを設定し、定期的な評価をすることで、社員の成果や貢献度を客観的に測れるでしょう。客観的な評価手法を組織に浸透させることで、スタッフ全体のモチベーションと生産性の向上が期待できます。 バイアスの対処法を理解しましょう 本記事では、さまざまなバイアスの種類と、企業に与える悪影響や対策について解説しました。非合理的な判断やスタッフの意欲低下など、バイアスがもたらすリスクを理解することは大切です。肩書きで判断せず、スタッフの能力を客観的に評価する仕組みを導入することで、バイアスがかからない組織を築けるようになります。その結果、より合理的な意思決定が行われ、企業の成長につながるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にして、バイアスの対処方法を実践してみてください。 スキルナビ編集部

嘱託社員とは

嘱託社員はどんな雇用形態?必要とされる理由と労働条件について解説

高齢化社会が進むにつれ、嘱託社員という言葉を耳にするケースが増えました。企業・労働者双方に大きなメリットがあるため、今後も嘱託社員を積極的に導入する企業が増加すると予想されています。一方、若い方を中心に嘱託社員を知らない方もいるはずです。そこで今回は嘱託社員のメリットと、給料や待遇について解説します。 嘱託(しょくたく)とは 嘱託とは仕事を依頼する際に使う言葉です。「嘱」にはゆだねる・まかせる・たのむ、「託」にはたのむ・たよる・あずけるといった意味があります。2つの意味からも、業務を任せるシーンで使う言葉だと分かるでしょう。具体的には嘱託社員・嘱託制度・嘱託員などと呼ばれ、部分的な仕事を任せるケースで耳にします。現在は正社員としての働き方が絶対ではなくなり、多種多様な雇用形態がクローズアップされはじめました。嘱託社員も例外ではなく、現代の時代に合った働き方と言えるでしょう。 嘱託と委嘱の違い 嘱託と委嘱は同じ「嘱」の漢字を使っている背景からも、ほぼ同じ意味として使われます。嘱にはゆだねる・まかせる・たのむといった意味があり、仕事や役職を人へ依頼する際に用いられます。しかし、意味はほとんど同じであっても、依頼対象者によって使い分けが行われているのです。具体的に嘱託は正社員や正規の職員以外の人に依頼するケースで使います。一般的には定年退職後、正社員として雇用しない人に依頼する場合が多いです。 反対に委嘱は対象範囲が定められていません。正社員や契約社員などの雇用形態は問わず、仕事を依頼したり役職を任せたりするケースで使われます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、行政の世界では使用される場合も。例えば審議会のメンバーに、その組織に属さない人間を任命する際に用いられます。 嘱託社員とは 嘱託社員について解説します。 定年後に再雇用された人 嘱託社員と呼ぶケースは大きく2通りありますが、もっとも代表的なのは定年後に再雇用された人です。企業は一般的に定年制を導入しています。基本的には60歳で設定している場合が大半であるものの、最近では65歳まで引き上げる企業も見受けられます。会社が定年制を導入している大きな理由は、企業の新陳代謝を促すためです。日本はアメリカとは違い、従業員を身勝手に解雇できません。何かしらの問題がなければ、企業側から解雇通告はできないのです。 そこで60歳の節目でキャリアを一旦ストップさせ、あらたな人材の育成につとめるのです。とはいえ、定年を迎えた人の中には優秀な人材もいます。スキルと経験を兼ね備えた人は企業も雇用継続させたいはずです。そこで定年後に再雇用し、戦力として貢献してもらいます。これが嘱託社員の代表的な例です。 特殊なスキルや知識を持ち依頼を受けた人 定年退職後に再雇用するケース以外にも嘱託社員と呼ぶケースがあります。それは特殊な能力や知識を持ち合わせた人を雇用する場合です。前述のとおり嘱託には頼む・任せる・依頼するといった意味があります。企業のリソースには限界があり、社内だけでは対応できない瞬間は幾度となくあるでしょう。多くの場合は専門家やプロフェッショナルに業務を依頼します。 その際、依頼を受けた人は嘱託社員と呼ばれるのです。例えば、医師や弁護士などに業務をお願いした場合は、60歳以上の方でなくても嘱託社員と呼ばれます。「嘱託社員=定年後に再雇用された人」と認識している方にとっては、混乱をまねいてしまうかもしれません。このように、嘱託社員と呼ぶケースは大きく2つあると念頭に置いておきましょう。 嘱託の雇用形態 嘱託の雇用形態について解説します。 有期雇用契約(非正規雇用)、業務委託契約 嘱託の雇用形態は一般的に雇用期間が定められている有期雇用契約となります。1年ないしは2年程度の契約を結び、仕事の成果と健康状態によって随時契約を更新していくのです。若い世代と異なり健康状態を一層考慮しなければいけないため、無期雇用(正規社員)では企業側が大きなリスクを抱えてしまいます。結果、たとえ優秀であっても、ほとんどのケースでは有期雇用として契約するのが一般的です。 また、嘱託社員は業務委託契約として働く場合もあります。嘱託という言葉からも、一部の業務を専門的に任せるために業務委託契約を結ぶのです。契約期間は1ヵ月~1年となり、こちらも年齢や業務成績次第で都度更新となります。他にも、委任契約や請負契約などの雇用形態を結ぶ企業もあります。 似た雇用形態との違い 似た雇用形態との違いについて解説します。 嘱託社員と契約社員の違い 嘱託社員と契約社員は有期契約の面で見ると同じです。就業先の企業と直接契約する点からも、両者はほぼ変わらないでしょう。実際に嘱託社員と呼ばず、契約社員として再雇用するケースもあります。ただ、一般的には「フルタイム勤務であるかどうか」が区別のポイントです。契約社員はほとんどの場合、フルタイムで働く雇用形態。反対に嘱託社員は週3~4日、一日4~5時間など、スポット勤務で働くケースが大半です。 定年退職した社員という背景もあり、健康に配慮した雇用契約を結んでいるのです。ちなみに社会保険は嘱託社員・契約社員ともに、条件を満たせば加入できます。給与面で見ると、当然ながら労働時間の長い契約社員が嘱託社員を上回ります。 嘱託社員とパートの違い 嘱託社員とパートは共に有期契約であり、短時間勤務である点も同じです。法律上の違いはなく、呼び方が異なるだけのケースもあります。しかし、唯一と言える違いは給与形態。嘱託社員は月給制、パートは時給制を導入している場合が多いです。月給制は欠勤をしない限り、月の給与が一定と言えます。 反対にパートは働いた時間だけ、給与が支払われる形態です。例えば、祝日が多い月の場合、時給制ではどうしても給与が下がってしまいます。月給制は祝日があっても給与は変わらないため、その点だけを見れば、月給制のメリットは大きいでしょう。尚、嘱託社員とパートは正社員と同様、条件を満たせば有給休暇が付与されます。ボーナスに関しても、企業によっては支給する場合もあります。 嘱託社員が必要とされる理由 嘱託社員が必要とされる理由を解説します。 シニア世代の活躍 高齢化社会と聞くと、どうしても悪いイメージが思い浮かぶ人も多いでしょう。高齢化社会は少子化とセットのため「これから若い世代がどんどん少なくなる」「経済規模が縮小していく」などとネガティブに考えてしまいがち。しかし、高齢化社会も考え方次第で、日本に明るい未来をもたらします。若い世代にあって、シニア世代にあるもの、それは知恵と経験です。 長年働いて得た財産は年齢関係なく発揮されます。シニア世代ならではのアイディアや工夫により、企業が大きく成長できます。実際に右肩上がりに伸びている企業は若手だけでなく、ベテラン社員の活躍も顕著です。若い人が活躍できるのも、シニア世代が働きやすい環境をつくっているからかもしれません。 年金受給年齢の開始繰下げによる影響 現在日本の年金支給は65歳からです。定年退職年齢は企業によってばらつきがあるものの、一般的には60歳と定めている企業が大半。となれば、60歳から65歳までの5年間は無給で暮らさなければいけません。定年までに貯金額が多ければ問題ないです。しかし貯金に余裕がないと、切り詰めた生活を送る事態となります。 世間一般的に老後資金は3,000万円必要と言われており、若い頃から貯金を意識していなければ、とうてい貯まっていきません。このような背景もあり「定年退職しても働きたい」「年金をもらうまでは元気なうちに稼ぎたい」と希望する方が増えているのです。老後資金の不安から、働かざるをえないとも言えるでしょう。 嘱託社員のメリットとデメリット 嘱託社員のメリットとデメリットを解説します。 嘱託社員のメリット 嘱託社員のメリットを解説します。 従業員 日本では雇用形態の中で正社員が最も評価されやすいため、嘱託・契約・派遣社員といった形態は良いイメージを持てないかもしれません。しかし、嘱託社員ならではのメリットも多くあります。代表的なのは働きやすい環境で継続して勤務できる点です。定年退職まで働いたということは、人間関係・仕事内容・通勤スタイルが自分の希望と合っていたのでしょう。 給与や勤務時間は違っても、環境を維持して働けるのは働く側にとって大きなメリットです。また、これまで正社員として働いていた方は嘱託社員になって給与が減るかもしれませんが、責任ある仕事から解放される利点もあります。責任がのしかかった状態で仕事をしていると、心身的にも大きな負担がかかるものです。勤務範囲を守って仕事できるのは、嘱託社員だからこそ実現するメリットです。 企業 企業側が嘱託社員を採用するメリットは大きく2つです。1点目は雇用リスクの圧倒的な低さです。もともと働いていた従業員を再雇用する点が特徴です。その人の性格・スキル・コミュニケーション力などはすでに把握しているため、新規人材雇用と比べて失敗がほとんどありません。そのため「どこの部署に配属させれば力を発揮できるか」「どのチームだったら他の人とうまくやれそうか」などの問題も、スムーズにクリアできるでしょう。一から人材を雇用し、育成や指導するよりも、生産性の高さが期待できます。 2点目は労働条件が締結しやすい点です。対象者における仕事のレベルを熟知しているため、企業が求めるスキルと給与が一致しやすいのは大きなメリット。「給料に見合った業務をしてくれない」「もう少し給与を低く設定すべきだった」などの失敗は少ないです。 嘱託社員のデメリット 嘱託社員のデメリットを解説します。 従業員 嘱託社員のメリットは多いものの、デメリットもあるため確認しておきましょう。まず有期契約の点に目を向けておかなければいけません。正社員と異なり、数か月ないしは1年ごとに更新するケースが一般的。生涯雇用を約束されているわけではないのです。万が一契約を更新できなかった場合、次の手段を考える必要があります。65歳まで貯金を切り崩して生活していくのか、あるいは新たな仕事先を探すのか、どちらかの選択を余儀なくされます。 加えて、60歳を迎えている事実からも、他の企業は気軽に雇用できないのが現状です。よほど目を見張る経験やスキルがなければ、働き口を探すのはむずかしいでしょう。あるいは希望条件の見直しを行い、シニア世代を歓迎しているアルバイトにチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。 企業 嘱託社員のデメリットは企業側にもあります。まず1点目は契約手続きが煩雑な点です。歴史の長い企業であれば問題ありませんが、ほとんどの会社は嘱託社員契約を結んだ経験が少ないでしょう。更新手続きや給与交渉などに時間がかかると、本来の業務時間を確保できなくなります。 2点目は企業全体の世代交代における問題です。ベテラン社員が残る事実は、言い換えれば若手の活躍を奪うデメリットもあります。「やりがいのある仕事が若い社員にまわってこない」「いつまでも先輩社員に頼って自覚が芽生えてこない」などの問題点もうまれてくるでしょう。そのため、最近では重要な業務は積極的に若い世代に譲り、ベテラン社員は相談役として接する企業も増えています。 定年後再雇用制度における嘱託社員 定年後の再雇用制度について解説します。 […]

ビジネス用語・基礎知識

アセスメントとは?種類やメリット、プロセスを分かりやすく解説

さまざまな分野で利用されているものの一つに「アセスメント」があります。この手法は、能力やスキルを客観的に評価し、判断する際に頻繁に使用されます。 なお、ビジネスの場では、人事や人材に関連した事柄において特に活用されることが多いです。本記事では、アセスメントの定義や種類、その利点、そしてプロセスなどについて紹介していきます。 もしもアセスメントを業務で活用したいと考えている方がいらっしゃれば、ぜひこの記事を参考にしてみてください。 アセスメントとは? アセスメントは、英語の「assessment」という語源を持つ言葉であり、直訳すると「評価」や「査定」といった意味を持ちます。この手法は、人や物を客観的に評価し、判断する場面や、税金や資産などを評価や査定する場面で一般的に使用されます。 ビジネスの文脈では、アセスメントは「客観的な評価を行い、適切な対策を立てること」として頻繁に用いられます。さまざまなビジネス分野で利用されており、一般的な意味合いは同じですが、分野によって使用方法が異なるため、注意が必要です。 アセスメントには類似した言葉として、エバリュエーションやモニタリングがあります。エバリュエーションは「評価」という意味を持ち、事後評価の場面でよく用いられます。一方、モニタリングは「把握」という意味を持ち、現在進行中の状況を評価し把握するために使用されます。 ビジネス分野による言葉の違いや、類似語との違いを把握した上で、適切に使い分けましょう。 業界によって異なる「アセスメント」という言葉の定義や種類 業界により、アセスメントの言葉の定義も異なります。代表的なものをご紹介していきます。 医療・看護の業界におけるアセスメント 医療・看護の分野において、アセスメントは重要な要素の一つであり、患者の状態を分析・評価することによって看護計画を立てます。 アセスメントでは、問診や観察、測定や検査結果などの「客観的情報」と、患者が自身の痛みや不安・不調などとして感じている「主観的情報」を総合的に考慮します。これにより、患者の現状を正確に把握し、適切な看護介入を計画することが可能です。 アセスメントは、看護の質を向上させることはもちろん、患者の安全確保に不可欠なプロセスであり、非常に重要な作業の一つと言えるでしょう。 介護・福祉の業界におけるアセスメント 介護・福祉アセスメントは、介護対象者やその家族との対話や情報収集を通じて、心身の状態や日常生活の状況などの情報を収集し、対象者の要望や意向を把握することを目指します。収集した情報はアセスメントシートに整理され、対象者に合わせた個別の介護計画が策定されます。 このアセスメントプロセスにより、対象者の個別のケアニーズを正確に把握し、必要なサービスや支援を提供することが可能となります。  介護アセスメントは、福祉の現場において個別化されたケアの提供と利用者の満足度向上において、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 使われるシーンによって異なる言葉の定義や意味 業界だけでなく、使われるシーンによってもアセスメントの定義や意味が異なります。それぞれのシーンごとに、ご紹介していきます。 人材アセスメント 企業の人事部門における人材アセスメントは、人材の適性を評価・分析することを意味します。人材採用や社内での人事異動などで、主に行われています。 外部に委託したり、ツールを使用してアセスメントが進めたりすることが多く、適性検査やパフォーマンス評価などが実施されます。 それぞれの能力や適性を客観的に判断した上で、評価が可能なため、適切な人材を選ぶ際や、配置換えがより的確に行うことが。 人材アセスメントの目的は、適切な人材採用、人材配置を行うことで、組織で掲げた目標を達成し、結果を出すことです。効果的な人材の管理を通して、組織を成長させることが大きな役割だと言えるでしょう。 このように、人材アセスメントは企業の人事部門が活用している手段の一つです。人材を評価し、組織の成果につなげるためのツールとして活用されています。 リスクアセスメント リスクアセスメントとは、職場環境におけるリスクを評価し、判断するプロセスを指します。主に、危険性の高い職場や事故が予想される場所や状況を事前に把握し、安全管理に活用されています。 リスクアセスメントを通じて、職場の危険要因やリスクの程度を明確に把握することで、予防策や安全対策を講じることができ、事故や災害の発生を最小限に抑えることが可能です。 さらに、リスクアセスメントは社員間で情報共有を必要とするため、コミュニケーションの機会ともなります。これにより、職場の安全意識を高め、従業員の安全と健康を保護するために欠かせない活動と言えるでしょう。 環境アセスメント 環境アセスメントは、大規模な建築物の建設などにおいて行われる環境調査のことを指します。建物が周辺環境に及ぼす影響を評価するため、専門家の意見を取り入れながら調査を行います。 特に周辺の住民に対する健康被害の有無を確認することは重要な調査項目であり、建設後のトラブルを予防するためにも重要な取り組みです。 また、環境アセスメントによって、建築物の建設による騒音、振動、大気汚染、景観変化などの影響を評価し、適切な対策を講じることが可能となります。 これによって、建物の設計や運用段階で環境への悪影響を最小限に抑え、周辺における環境を保全することが目指されます。 政策アセスメント 政策アセスメントは、事業評価方式としても知られているものです。国土交通省の設定目標との整合性を考慮しながら、新たな施策の企画や立案において必要性、効率性、有効性などの観点から評価を行います。 この評価によって、政策の妥当性や実現可能性を客観的に把握し、意思決定の根拠とすることができます。 政策アセスメントは、社会的なニーズやリスク、環境への影響などを総合的に考慮し、将来の成果や効果を予測することによって、より効果的な政策の策定や改善を目指します。 参考:国土交通省|政策評価「環境アセスメント」 心理アセスメント 心理アセスメントは、カウンセリング時に使用される手法であり、相談者の状態を評価し、治療方針の立案に役立ちます。面接や心理テストなどの手法を用いることで、カウンセラーは相談者の状況をより深く理解することができます。 相談者にとってもメリットがあり、自身の内面と向き合い、客観的に状況を把握する機会となります。心理アセスメントは、相談者の感情や思考、行動パターンなどを明らかにする上でも有用なツールです。 また、相談者との信頼関係を構築し、適切な治療計画を策定するための指標ともなります。カウンセラーは心理アセスメントの結果を基に、相談者のニーズや目標に応じた効果的なアプローチを選択し、支援を行うことが目指されます。 教育アセスメント 子どもの教育において評価を行うことは、子供に最適な教育方法を特定するために必要不可欠です。日常の観察に加えて、テストや面接などの手法を用いることで、個々の子供に合った教育方針を判断します。総合的な視点から子供を捉えることで、彼らの課題や能力に基づいた意思決定が可能となります。 評価のプロセスでは、子供の学習スタイルや興味関心、個別のニーズなどを理解するために、豊富な情報が収集されます。 これにより、子供の強みや弱み、学習の進捗状況などを把握し、彼らの成長を促すための適切な教育プランを策定することが可能です。 教育アセスメントは、子供一人ひとりの発達や学習に焦点を当てながら、個別のニーズに合致した支援を提供するための重要な手段と言えるでしょう。 保育アセスメント 保育の現場では、子供の発達状況を評価し把握するために、発達アセスメントが実施されています。子供の発達状況を明確にすることで、保護者や教師が子供の発達状況や課題を明確にすることが目的です。それをお互いに共有し、適切な支援を行うための環境を整えます。 発達アセスメントでは、主に「指導計画」と呼ばれるものや、3歳未満の園児を対象とした「個別計画」の作成に活用されます。 アセスメントシートを使用しながら、子供の発達状況を保育所や福祉事業所で共有し、支援方針を策定する際にも役立ちます。 アセスメントの過程では、子供の発達領域や能力、行動パターンなどを観察し評価し、定量的・定性的な情報を収集します。これにより、子供の成長や発達の進捗状況を把握し、個々のニーズに合わせた支援を計画することが可能となります。 発達アセスメントは、保護者や教育関係者とのコミュニケーションや協働を促し、子供の健全な成長を支援するための重要な手段となっており、保育の現場で幅広く活用されています。 […]

人事労務・制度設計・運用

36協定を分かりやすく解説。基礎知識や残業時間の上限について

36(サブロク)協定とは、労働者の労働時間に関するき取り決めです。労働基準法に基づき定められており、従業員の労働環境を整える上でも重要なもので、正しい手続きを行わないと企業は罰則を科される恐れもあります。 本記事では36協定について分かりやすく解説し、基本的な知識や残業時間に関する取り決めなどについてもご紹介していきます。 36協定(サブロク協定)とは? 36協定(サブロクきょうてい)とは、法定労働時間(1日8時間、1週間で40時間)を超えた労働を命じる場合に必要な合意です。この名称は、労働基準法の36条に基づいて付けられています。 労働時間、休日、賃金、労働条件などの項目を取り決めることができ、労働者と企業の関係をより良いものとし、労働条件の改善を促進することを目的としています。労働者団体と企業が合意のもとで締結し、労働者の権益向上や生産性の向上に貢献することが期待されています。 36協定は、労働組合が労働者の過半数を代表して企業と書面で締結する場合や、労働者の過半数を代表者として企業と書面で締結する場合など、定められた条件で成立します。企業は所轄の労働基準局監督署長に対して届け出を行うことが義務付けられています。 ただし、2018年6月の改正労働基準法では、36協定を締結した後に所轄の労働基準監督署への届け出を怠ると、法定労働時間を超えた場合に労働基準法違反として罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。労働環境を適切に整備し、法令順守を徹底することが重要です。 36協定の届出が必要なケース 36協定の届出が必要なケースは、具体的に定められています。該当する条件について、確認しておきましょう。 従業員が法定労働時間を超えて残業する場合 1日8時間や週40時間を超える場合は、必ず労働時間の届出を行いましょう。ただし、企業ごとに異なる労働契約や就業規則で定められた時間である所定労働時間を考慮する必要があります。 例えば、1日8時間と定めた場合なら、1時間の残業をしても労働時間の合計は8時間になり、法定労働時間を超えることはありません。 そのため、届出が必要かどうかを判断する際には、所定労働時間を念頭に置いてください。もし超える可能性がある場合は、労働時間の届出手続きをきちんと行いましょう。 労働時間の届出は、労働基準法に基づく重要な義務です。適切な労働時間管理と届出手続きを遵守することで、労働者の健康と安全を守り、労働環境の改善にも寄与します。労働者と企業は、労働時間の制約を順守し、健全な労働条件を確保するために協力して取り組むことが大切です。 従業員が法定休日に業務をする場合 法定休日とは、法律で定められている、従業員に与えなくてはいけない休日のことです。1週間に最低1回、または4週間で4回以上の休日を与えなくてはなりません。 休日に出勤した場合、先ほどの法定労働時間を超えていないか、法定休日の要件を満たしているか、どちらも確認する必要があります。 36協定が除外適用となるケース 36協定が除外適用となるケースは、18歳未満の労働者に対して36協定や変形労働時間制が原則的に適用されない場合を指します。これには以下のような理由があります。 18歳未満 18歳未満の労働者に対しては、労働基準法第60条第1項および第61条第1項の規定により、次の労働を禁止しています。つまり、本人の希望があっても、以下の条件に該当する労働には従事させることができません。 ・法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働 ・22時から翌日5時の時間帯の労働(深夜労働) ・休日労働 以上のような制限があるため、18歳未満の労働者に対しては36協定が除外適用となります。この規定を守り、適切な労働環境を提供することが重要です。 育児・介護をしている 育児介護休業法では、特定の条件下にある育児・介護をしている人からの申告があった場合、月24時間、年間150時間を超える残業ならびに深夜労働(22時〜翌日5時)を禁じています。 さらに、下記の条件に合致する期間を過ぎると、適用外となります。 ・小学校就学の始期(6歳になる日を含む年度の3月31日まで)の子供を育てている場合。 ・要介護状態にある対象家族(配偶者、子、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護している場合。 育児介護休業法の規定を遵守し、労働者の権利と労働環境を適切に保護することが重要です。 妊産婦 妊娠中の女性または出産後1年未満の女性従業員からの要求に対しては、労働基準法第64条の3および第66条により、法定労働時間を超える残業や深夜労働、休日労働を行わせることはできません。 妊産婦の場合、36協定以外にも様々な請求が可能です。これには危険有害業務の制限や産前・産後休業の取得などが含まれます。該当する方は、これらの権利や制度を事前に確認しておくことをおすすめします。 妊娠や出産は労働者にとって重要なライフイベントであり、労働環境を適切に配慮することは非常に重要です。労働者の健康と安全を守りながら、適切な労働条件を提供するために、労働法の規定に従って適切な措置を講じるべきです。 管理監督者 36協定の適用範囲は、一般従業員(正社員、契約社員、パート、アルバイトなど)であり、管理監督者は除外されています。 従って、労働基準法第41条第2項に規定される「監督もしくは管理の地位にあるもの」は、36協定の適用外となることに留意してください。 ただし、課長や部長、チーフなどの役職に就いている管理職であっても、管理監督者に該当しない場合があるため、該当条件を確認することが重要です。 なお、管理監督者には36協定の締結が義務付けられていません。したがって、時間外労働や休日労働には制限や上限が存在しませんが、深夜労働については割増賃金の適用がありますので、注意が必要です。 特に、管理監督者が妊産婦である場合には以下のような対応があります。行政の通達によれば ・36協定の対象外であるため、時間外労働や休日労働には制限がありません。 ・ただし、管理監督者も深夜労働の制限を請求することが可能です。 上記のように、監理監察官の状況に応じて異なる対応が必要となるため、注意が必要です。 一部業種・職種に就いている 労働基準法が改正され、大企業は2019年4月1日、中小企業は2020年4月1日から36協定が施行されましたが、以下の業種や職種に従事している場合は対象外となります。 これは、改正に対応するには時間がかかるためであり、2024年3月31日までの猶予期間が設けられています。 ただし、猶予期間中でも労働者の権利保護は重要視され、適切な労働条件を確保するための措置が求められます。改正法の普及啓発や労使双方の協力により、円滑な移行を図ることが目指されています。 建設業とは、建築物や土木工事などの建設、修繕、解体などを専門に行う業界や産業のことを指し、住宅や商業施設、道路や橋梁、ダムや港湾など、社会基盤や生活環境の整備に欠かせない役割を果たしています。 36協定の対象外となっていますが、これまで該当していなかった災害の復旧や復興以外の建設業についても、2024年4月1日以降は協定が適用されないこととなっています。 トラック、バス、タクシー、船舶、航空機などの輸送手段を利用して、貨物や乗客を運ぶ業種が運送業です。運送業は法律や規制に基づいて運営され、安全性や環境への配慮が求められる重要な業界でもあります。 2024年4月1日以降、特別な条件付きで36協定に合意していても、年間における時間外労働に制限が設けられています。960時間が労働時間の最大上限となるため、注意が必要です。 医師は、36協定における上限の規制からには該当しません。ただし、医療従事者の中には、以下の一部の職種は36協定の適用を受ける可能性があるため、注意が必要です。2024年4月1日以降については、具体的な規定がまだ確定しておらず、省令によって定められる予定です。 【36協定の適用を受ける可能性のある職種】 ・鹿児島県や沖縄県の砂糖製造業 […]

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ビジネスにおける日報とは?利用するメリットや注意点について解説

「日報」とは、毎日の仕事や作業内容をまとめるためのものです。正確にまとめることで上司や同僚に対してスムーズな意思疎通を行えるだけでなく、自己成長にもつながります。毎日の記載は面倒に感じるかもしれませんが、自分や企業の成長には欠かせないものといえるでしょう。 この記事では日報の書き方や効果、気をつけるべき点などについてご紹介します。企業と仕事の活性化を図りたい方は、ぜひこの記事を読んでみてください。 日報とは 毎日の仕事内容について記録する書類を日報といいます。ここでは、実際の現場ではどのような意味を持ち、どのような使い方をしているのかについてみていきましょう。 日報の意味 日報は、ただ淡々と毎日の仕事やイベントについて記載しておくだけではありません。仕事でうまくいった点やうまくいかなかった点について見直し、問題点に対してどのように改善すべきかを検討することが重要です。 このように、日報は企業が目指しているゴールに近づくためのものではなく、従業員のレベルアップにも大きく関係しているのです。従業員が率先して悩んでいる点や疑問点などを記載しておけば、日報の存在意義も大きくなるでしょう。 日報の目的 目的には、以下の点があげられます。 ただなんとなく記載しているだけでは、従業員にとって大きなメリットは生まれてきません。上記の目的を意識して記載すれば、日報で得られる効果も高くなるでしょう。企業ではどのような点が課題なのか、どのような点を重視したいのかを検討したうえで、明確な目的を選ぶことも大切です。 日報を書くメリット 実際に、日報にはどのような影響があるのでしょうか。ここではおもな内容について解説します。 成長につながる 従業員のスキルや仕事能力の向上につながります。その日にあった内容を端的に記載するのではあまり意味がありません。どのような改善点・反省点があったのか、目指していたゴールにどれくらい近づいたのかを記載することで、成長するヒントを得られるのです。 仕事内容の振り返りによって改善を繰り返していけば、今後の効率や生産性の向上にも期待できるでしょう。 情報共有、管理ができる 内容をチーム内で共有できる点も、大きな利点といえるでしょう。毎日のプロセスを管理しておくだけでなく、上司からのアドバイスや従業員同士のディスカッションにもつなげられます。 その結果、お互いのやり取りもスムーズとなり、仕事も効率的に行えます。とくに内勤だけでなく、外出の機会が多く直接やり取りができない従業員との情報交換の手段としても有効です。 PDCAサイクルを回せる 日報はPDCAをうまく回転させられるきっかけとなるので、仕事の効率アップにもつながるでしょう。サイクルを意識しながら記載することで、ゴールや仕事内容、反省点などが明確となります。以下の流れを意識しながら記載するのがおすすめです。 このような流れで記載しておけば、より質の高い日報となるのでテンプレート化しておくのもいいでしょう。 ノウハウを蓄積できる 日報は従業員や上司からの知見の収集にもつながります。記載内容をシェアしておけば、仕事で見直すべき点やその対策方法などが知見として徐々に貯まります。知見が集まれば特定の仕事が以前よりもスムーズとなったり、属人的な作業が生まれるリスクを低下させたりできるでしょう。 さらに、仕事の引き継ぎの際にかかる時間の削減にも期待できます。知見をすぐに活かすためには、すぐに見つけられるような管理体制を作っておきましょう。 コミュニケーションが取れる 日報は、上司や他の従業員とのやり取りを円滑にするための手段でもあります。ただ記載して終わりにするのではなく、上司へのチェック・アドバイスをもらうことで、連携が取りやすくなります。 気になる点や困っている点などを記載することで、他の従業員とのやり取りも頻繁に行えるでしょう。また、外出の機会が多い従業員との連携をするためにも、日報でのやり取りは欠かせません。 日報に関する注意点 日報では、どのような点に気をつけるべきでしょうか。ここでは記載するときと確認するときの2つに分けてご紹介します。 書くときの注意点 まずは記載するときに気をつけるべきポイントをご紹介します。 当日中に書く その日の出来事は、なるべく当日のうちに記載するようにしましょう。記憶が新しいうちに記載しておけば、仕事について振り返りやすくなり、他の従業員に細かい部分まで内容を伝えられます。 「今日はクタクタだから明日の朝書こう」とズルズルと延ばしてしまうと質の高い内容を記載できないうえ、他の従業員の迷惑にもつながる可能性もあります。できる限り「今日の仕事が終わったら日報に取り組む」というルーティンを作るようにしましょう。 必要な情報だけを書く わかりやすく端的にまとめられた内容を記載しましょう。要らない情報が載っていたり、煩雑な文章だったりすると読み手にうまく伝わらない恐れがあります。 見やすい内容を記載するには「いつ・誰が・どこで・何をした」という情報を整理し、仕事面で伝えたい点を明確にすることが大切です。 日報の目的にあった内容をピックアップするだけでなく、仕事に必要ない情報は避けるようにしましょう。 テンプレートを活用する あらかじめテンプレートを用意しておけば、何を伝えるべきか迷う必要がなくなります。書くべきポイントを把握しておくことで、他の従業員にも内容が伝わりやすくなるほか、慣れていない新人が記載する際もスムーズとなるでしょう。 一方で、記載内容が固定化されると、それ以外の情報の漏れが発生する可能性があるので、その点を踏まえたフォーマットにしておくのがおすすめです。どのようなパターンにするのかは企業のスタイルによって異なるため、事前に検討しておきましょう。 人に見せることを意識する 日報は他者への確認を行ってはじめて効果が高まるものなので、その点を意識しておきましょう。とくに以下のポイントに注意して記載しましょう。 内容によってはチーム全体で共有が必須になるケースもあるので、1度記載したらあらためて見直すようにしましょう。 見るときの注意点 続いて、見るときに注意すべきポイントについてご紹介します。 叱責しない 上司は従業員に対して、日報の内容について厳しい指摘をしないように気をつけましょう。直接的なものではないとしても、日報は上司だけでなく、チーム内の従業員全員が見るものです。 当人は全員の前で怒られているのと同じ感覚となるため、ストレスが蓄積されて仕事の意欲低下につながります。フィードバックをする際は厳しくするのではなく、相手に寄り添った文言で伝えるように意識しましょう。 フィードバックを行う 日報をチェックしたときは、必ず内容についてコメントをしましょう。悩んでいる点や改善点などについてアドバイスを行うことで、従業員の新しい発見を促せます。 また、やり取りを繰り返し行えば、お互いの信頼関係の構築にもつながるでしょう。コメントをする際は端的に記載するのではなく、ポジティブな文言を意識したり、行動に対する深掘りをしたりすることが大切です。 資産情報という意識を持つ 日報の内容も重要な情報である点に注意しましょう。仕事や企業に関する重要な内容を記載しているケースが多いため、管理には十分に気をつける必要があります。「仕事について記録しただけのもの」というとらえ方で管理をずさんにしていると、情報漏洩のリスクが高まります。 紙媒体で管理している場合は、ページが破れて別の場所に紛れ込んだり、失くしてしまったりする可能性もあるでしょう。その場合は、電子媒体に変更するなどの対策をとりましょう。 […]

ビジネス用語・基礎知識

さとり世代はどんな人が該当する?特徴と効果的な指導方法を解説

20代~30代前半の社員はさとり世代と呼ばれている年代です。40代以降の方からすると「当時の自分達と仕事に取り組む姿勢が違う」「性格や価値観も自分が若い時代とは異なる」と感じているのではないでしょうか。 また、さとり世代の部下の扱いに困っている方もいるはず。そこで今回はさとり世代の特徴と効果的な指導方法について解説します。 さとり世代とは? さとり世代は1980年後半~2000年代前半にうまれた方達です。その語源は「悟りを開く」からきていると言われています。悟りを開くとは迷いがなく、信念を貫く意味。時代背景もあり、自分が思ったままに生きる人達が多いのです。現在の20~30代前半の方達は人に左右されず、まずは自分自身の考えを優先させる傾向があるでしょう。 また、悟りを開くには欲や執着を持たない意味もあります。出世欲・物欲・金銭欲などが他の世代よりもない人達が多い印象です。実際にどの会社を見渡しても「自分が一番になって目立ちたい」「営業部門で他の人に負けたくない」などと向上心を持った方は減少傾向にあるでしょう。 これは会社の経営にも関わっており、若者の競争意欲の低下によって新陳代謝が起きにくくなっている問題点もあります。下からの突き上げがなく上層部に変化もなければ、会社として成長しません。そのため近年はさとり世代に合った、以前とは異なった経営手法が求められています。 ゆとり世代との違い さとり世代とゆとり世代は混同されやすいものの、似て非なる部分は多いです。まずさとり世代は1980年後半~2000年代前半にうまれた方達を指すのに対し、ゆとり世代は1987年~2004年までが対象。被っている時期こそありますが、厳密にはさとり世代より一つ前の世代を指します。 さとり世代が「脱ゆとり世代」と呼ばれる所以も、この時代背景からきているのです。そして、何より違うのは性格や価値観。ゆとり世代では教育の週休2日制が採用されており、教育以外の交流や遊びにも注力しはじめました。結果、ゆとり世代の社員は「プライベートを優先しがち」「仕事において保守的」などの傾向が見られます。 一方、さとり世代はゆとり世代の政治的背景を見て育ったため「人に左右されず自分の考えで生きる」「安定志向」などといった特徴があるのです。一見すると似た性格や価値観であるものの、考え方の軸が異なるのは念頭に置いておきましょう。 つくし世代との違い さとり世代やゆとり世代と似た言葉でつくし世代があります。つくし世代の対象は1980年代以降にうまれた方達です。さとり世代やゆとり世代とほぼ対象の年代は変わりません。ゆとり教育を経験している事実からも、さとり世代と被る人達もいるでしょう。とはいえ明確な年代の違いこそないものの、性格や価値観は異なります。 一般的にゆとり教育を受けて大きく2つのパターンに分類されるのも事実。一つは前述したさとり世代やゆとり世代です。ゆとり教育によってプライベートを充実させたり、指示待ちの人が多かったりする傾向にあります。そして二つ目のパターンがまさにつくし世代です。ゆとり教育の良い面が人格や性格に反映されています。 例えば「自分よりも相手を優先させる」「なんとか相手の役に立ちたい」など、奉仕精神が目立つ傾向にあるもの。コミュニケーション力も高く、チームプレーを得意としているのです。このように同じ年代にうまれた方でも、ゆとり教育によって受ける影響の違いで性格や価値観が変わるのは覚えておきましょう。 さとり世代が誕生した背景 さとり世代がうまれたのには時代背景が大きく関係しています。さとり世代の対象である1980年後半~2000年前半は歴史に名を残す出来事が多々発生しているのも事実です。1991~1993年バブル崩壊、1995年阪神淡路大震災、2009年リーマンショック、2011年東日本大震災。20年の間に世界を揺るがす出来事が4つもありました。 この出来事を目の当たりにした方達は「事件が起きても自分の力で生きる力が必要」と考えたのです。周囲の意見よりも自分の考えを優先し、価値観や考え方を若い時期から確立させていきました。結果、他人に左右されず自分中心の生き方を貫く方達が増えていったもの。 また「今後事件が起きることを想定して贅沢はできない」と考えた人も目立ちました。安定性が重視され、ブランド物の買い控えや出世欲のない方が人目につきはじめたのです。 さとり世代の特徴 さとり世代の特徴を解説します。 非ブランド思考 1980年より前にうまれた方とさとり世代では物に対する価値観にも差があります。1980年のいわゆるバブル世代と呼ばれる方達はブランド志向が強かったです。高級ブランドのスーツや海外製の車を持っている事実がステータスと認識される時代でした。バブルの影響で現在よりも高級品に手を出しやすかった背景もあるでしょう。 一方、さとり世代はブランド物に興味や関心が薄い傾向にあります。堅実な若者が一般的となった世の中で、ブランド品よりも実用性の高い物が重宝されはじめました。例えばプレゼントの人気ランキングを見てると、その事実は明らかです。 以前まではブランド品が上位に来ていたものの、現在は時短家電やキッチングッズなどがトップにきています。見栄やステータスよりも、目的や使い勝手に着目しているのが分かるでしょう。インターネットの普及で口コミやレビューが確認できる世の中となり、ブランド品よりは万人受けする物に人気が集中しているのかもしれません。 デジタルネイティブ デジタルネイティブとはデジタル機器を問題なく使いこなせる意味です。さとり世代の1980年代後半以降はまさにデジタル機器が普及しはじめた時期。海外や日本のコンピュータが世に出回ったのも1980年代後半です。 そして2000年代に入ると携帯電話が登場。さとり世代が学生の頃には電子機器が日本中に広まっている状態でした。プライベートでパソコンや携帯電話を使うのが当たり前となり、コミュニケーション手段も電子ツールが一般的となったのです。 コミュニケーションに手紙や伝言掲示板を活用していた時代とはまったく異なります。時代の流れで電子機器はコミュニケーションだけに利用するものではなく、知りたい情報を調べるツールへと変化していきました。このように、さとり世代は物心ついた時期から電子機器に触れる環境にあり、自由に使いこなせるスキルを持ち合わせています。 現実主義 さとり世代は現実主義な方達が多い傾向にあります。それはリーマンショックや東日本大震災を目の当たりにしてきたからです。 「今お金を使っては有事の際に対応できなくなる」「ぜいたくは浪費につながる」と考え、節約志向や現実志向が若者達の間で強まっています。実際にここ数年、ボーナスの使い道は「貯金」と答えるさとり世代は多く、ボーナスは買い物や旅行に消費していた昔と比べれば違いが歴然でしょう。 もちろん数十年前よりも平均給与の低下が影響しているものの、全額貯金する方達が多い事実を見ると現実主義傾向なのです。「夢や欲望よりもまずはリスク管理に取り組む」姿勢が見られます。以前よりも壮大な夢を語る若者が少なくなっているのも、生まれ育った環境が影響しているかもしれません。 安定性重視 さとり世代は「失われた20年」を生きてきた方達です。失われた20年とは具体的に1990年~2010年代初期を指し、バブル崩壊後の経済低迷期を指します。世の中が不況に陥った時代であり、贅沢は禁物とされていたのです。堅実な生活を送る日々となり、確実な将来だけを求めはじめました。 するとさとり世代は失敗を極端に嫌がり、成功するための方法を追求します。「挑戦すると失敗する危険性があるから現状維持でいい」「失敗したら時間が無駄になるから余計なチャレンジはしない」などと考えはじめました。 結果的に夢よりも堅実な生活を優先させる思考へと変わったのです。そのため、以前よりも「出世して社長になりたい」「大企業へ入社してバリバリ働きたい」と希望を持つ方は少なくなりました。 競争心が低い 競争心が低いのもさとり世代の特徴です。ゆとり教育はそもそも競争を避ける方針のもとにうまれた教育です。争うことなく個人を尊重し、自由にのびのびと生きる若者を増やす狙いがありました。実際に個性的で自由な発想がうまれたのも事実です。 その反面、競争の少ない社会がうまれてしまいました。運動会や発表会では順位が撤廃され、それぞれが楽しむための発表会へと生まれ変わったのです。通知表は相対評価から絶対評価へと変わり、他者を意識して学習を進める習慣は少なくなりました。 結果的に生徒の学習能力が低下し、一時は社会問題へと発展します。このように、さとり世代は幼少期から競争する習慣がなく、いざ競争を求められても窮屈に感じてしまうもの。競争が一般的であった現在の40代以降の方達からすると、異様な光景に映るかもしれません。 好きなことにお金をかける さとり世代は高級品やブランド品に出費しないものの、好きなことにはお金をかける傾向にあります。例えばライブ・旅行・映画鑑賞など、どちらかと言えば娯楽に出費しがちなのも事実です。これには現実主義ならではの思考が大きく関係しています。高級品やブランドは「物」であるため、いつかは使えなくなったり価値が下がったりするでしょう。 一方、娯楽は「思い出」として一生残るため、さとり世代は物よりも意義の大きさを感じます。「物に高いお金を払っても結局無くなるよね」「だったら記憶に残しておきたい」などと現実的に考えるのです。また、さとり世代は幼少期から趣味に費やせる時間も多かったため、大人になっても娯楽に対する愛着は変わらないのかもしれません。 人当たりが良い さとり世代の若者を見渡すと人当たりの良さがうかがえます。ギスギスした雰囲気もなく、ギラギラとした姿勢もほぼ感じられません。 背景には競争意識の低さが関係しているでしょう。人を出し抜いて自分の利益を優先する考えもなく「協力して成功に導いていければいいかな」「自分よりも他人の成功を応援したい」と感じています。実際にさとり世代はコミュニケーションに長けた方も多く、協調性は問題ないと言えるでしょう。 その反面、相手の意見や考えを優先させるあまり「何を考えているか分からない」「本音で話し合いができない」と感じる場面も見受けられます。人当たりの良さは一見ポジティブに感じられますが、このようにデメリットをもたらすのは念頭に置いておきましょう。 さとり世代の仕事スタイルの特徴 さとり世代の仕事スタイルの特徴を解説します。 効率を重視する さとり世代はデジタルネイティブである背景からも、仕事では効率重視です。 デジタル機器の扱いはお手のもの。幼少期からネット社会で生きてきたさとり世代はデジタルツールを駆使して業務に取り組みます。一日のスケジュールを手帳ではなくスマホやタブレットで管理したり、データはエクセルではなくデータ集計専用アプリケーションを使ったり。無駄を最大限省いて効率的に進めていくのです。 場合によっては40代以降の社員が、20代の若手へデジタル機器の使い方を教わるシーンもあるかもしれません。非効率な物事に対しても愚直に取り組んだ以前の職場と比べれば、現在はガラリと業務内容が変わってきているでしょう。 指示に忠実に従う さとり世代は上司の指示に忠実に従う傾向があります。背景にはゆとり教育で導入された絶対評価が関係しているでしょう。それまでの教育は相対評価。他の学生と比べながら採点付けが行われました。 […]

ビジネス用語・基礎知識

ブレイクスルーとは?ビジネスにおける使い方や種類について解説

どの時代にも限らず、大きな変化が生じた背景には、今までの常識から外れた戦略で挑戦した結果であるケースが多いといえるでしょう。その現象は「ブレイクスルー」とも呼ばれており、わたし達の社会を発展させるには欠かせない要素でもあります。 しかし、その実現は決して簡単なものではなく、今まで積み重なった土台を根本的に覆すようなアクションが必要です。この記事では、その言葉の使い方や種類についてご紹介します。 ブレイクスルーとは 意味としては「新規性のある手段で困難を乗り越えること」であり、「ブレイク」と「スルー」の2つの英語が組み合わさってできた言葉のことです。 日本語におけるブレイクスルーの使い方 日本語でも通常の英語と意味はさほど変わらず、以下のような場面で用いられています。 また、乗り越えるべき課題が明確であるときに使用する言葉でもあります。とくに今までにない打開策で解決するときに用いられる場面が多いといえるでしょう。 反対に、到達すべきポイントが不明瞭な状態で突破することを「マドルスルー」と呼びます。状況によって「○○スルー」の言葉が異なる点には注意しましょう。 ブレイクスルーとイノベーションの違い 類似するものとして「イノベーション」という言葉があります。これは「革命的」や「新しい思考」などの意味で用いられるため、イメージ的にはさらに具体的に落とし込んだ言葉といえるでしょう。さらに細かく説明すると「新たなバリューを作り、社会を大きく変えること」を表しており、「課題や問題を乗り越える」だけに限らないのが特徴です。 それぞれ「今の状況を著しく変える」という表現として捉えがちですが、厳密には異なることがわかります。どちらの言葉もよく使う機会がある方は、この違いについてはおさえておきましょう。 ブレイクスルーの企業事例 ここではブレイクスルーについて理解するために、実際の企業で実施された例についてみていきましょう。 コクヨ 1つ目は、文房具だけでなく会社用品に関連したサービスをオファーしているコクヨです。サービス展開のために、商品を国内だけでなく中国へ販売する方針となりました。しかし、当時は日本との関係が険悪の状態であったため、コクヨをはじめとした国内の商品の売り上げは芳しくなく、経済的にも窮地に追い込まれていました。 このときに自社の模倣品である中国商品の製造を、請け負うという戦略を実施。結果的に、今までの売り上げの不調から脱却し、中国でも多くの商品が売れるようになりました。 ベネトン 2つ目は、アパレル分野を中心とした企業ベネトンです。アパレル関連の業界は時期によって流行り廃りが大きく変化するため、ニーズの流動性が大きいという問題がありました。そのため、今までの流行を分析して、人気となる生地を大量に製造する方法では柔軟な対応が困難と感じていました。 この状況を打開するために、あらかじめ無色の生地を製造し、その時代の流行に適した色をつける「後染め」を実施。どのような色でも対応できる体制を整えた結果、ニーズにあわせた商品をスムーズに提供できるようになり、全世界でも有名なメーカーとなったのです。 ソニー 3つ目は大手電気機器メーカーでもあるソニーです。とくに「WALKMAN」の開発は、今までの生活に大きな影響を残したといえます。それまでは、音楽はカセットテープやラジオなどの媒体で聴くのが普通でした。しかし、ソニーはそれらの媒体をよりコンパクトにして、いつでも音楽を聴けるようにできないかを考えていました。 その結果生まれたのがWALKMANで、多くの売り上げを出すことに成功したのです。「外でも気軽に音楽を聴ける」という文化は、この瞬間がはじまりだったといえるでしょう。 ブレイクスルーの種類 ブレイクスルーはいくつかの種類に分けられることが多いです。ここではその分類についてご紹介します。 タイプ0 このタイプは、今までのスキルをグレードアップして新たなサービスを作り上げることです。しかし、このタイプは何かしらの課題を乗り越えるものではなく、その前のフェーズといえます。該当すべきかは一考の余地があるため、この段階では「0」という設定なのです。 タイプ1 このタイプは、今までの成果や分析を深堀りすることで課題を乗り越えることです。その他にも以下のような成功もタイプ1に該当します。 このタイプで代表的なものとして「LED」があげられます。それまではスキル的にも開発するのは困難だと考えられていましたが、幾度もなく行われてきた実験によって生まれたのです。 このように、偶然による発見も1つのターニングポイントですが、既存のイメージに縛られることのないアイデアを生み出すことも重要です。 タイプ2 今までのスキルや実験によって得られたユーティリティについて考え直し、新しいバリューを作ることがタイプ2です。現在持っているものの延長としてブラッシュアップするのではなく、バリュー自体を一新して別の視点で可能性を見つける考え方です。 このタイプはまた1からのスタートとなりやすいので、それなりのコストが必要となります。そのため、以下の方法で進めていくケースが多いです。 タイプ3 タイプ1・2を組み合わせたものがタイプ3です。基本的な実験を深堀りしつつ、今までのスキルをうまく活用して新しいバリューを生み出していきます。基本となる研究を積み重ねることでも、新規性のあるバリューを発見するきっかけになり得ます。 そして、普段行われているスキルの延長で研究で得られた新しい成果を活かせば、十分に新しい課題の突破につながるでしょう。このように、困難だと思われていた課題を乗り越えるための方法には、さまざまな種類があることがわかります。 ブレイクスルー思考とは この思考は、それまでの経験や現在のデータを集めて解析するのではなく、はじめから求めている未来を考えてトップダウン的に戦略を作る考え方です。 革新的な考え方が必要な場面では、今までのスキルや当たり前を根本的に見直し、新しい思考を抽出することも大切です。この思考を持つ利点には以下の4つがあげられます。 このように、目覚ましく変化していく今の社会にとっても必要な思考だといえるでしょう。 非凡ブレイクスルー思考とは 課題を乗り越えるために重要となる基本的な考え方のことを非凡的な思考といいます。ここでは、その原理について詳しく説明します。 目的情報 課題を達成するために求められるデータのことです。困難なことに対して立ち向かい、乗り越えるためには考えなしに進めても意味がありません。 まずはどの要素が必要なのかをよく解析することが大切です。ここで以下のようなポイントがキーとなっていきます。 情報過多となってしまうと、どのように乗り越えるべきかを見失ってしまう可能性がある点には注意しましょう。 ユニーク これは「新規性のある」「独自的」「既存には当てはまらない」などのニュアンスのある言葉です。今まで積み重ねてきたスキルや知識を土台として活用したとしても、やがて限界を感じるでしょう。 新規性のある要素を盛り込み、今までの常識から外れた視点で物事を観察すれば、新しい突破口が見つかる可能性があります。その考え方をもとに、以下のポイントを理解することが大切です。 システム 過去とその先を線で結びつけるのでなく、課題の達成に必要な本質的なシステム構築が求められます。その要素として重要なのは、以下の4つのポイントです。 時代が大きく変わっていくなかでうまく解決の糸口を見つけるためには、1つ目である変化に対応して最適解を見つけることが大切です。 また2つ目のターゲットでは「コアとなる一番重要なポイントを見つける」「ピックアップした大切なポイントを精査する」という2点を意識してみましょう。 3つ目は、1人ではなくさまざまな協力者とともに進めることで、困難な物事の突破につながるという意味です。 4つ目は、将来のビジョンに向けて現在の成長を促進するために、戦略を立てることです。 […]

ビジネス用語・基礎知識

委託とは?受託との違い・業務委託の意味と契約書の書き方をわかりやすく解説

業務委託など、ビジネスシーンで「委託」という言葉を耳にする機会が増えています。混同しやすい言葉として「請負」や「委任」などがありますが、それぞれどのような意味を持つのでしょうか。 今回は、「委託」を中心によく似たさまざまな言葉との違いや、契約形態の種類、業務委託契約書に含めるべき項目について詳しく解説します。 委託の意味 「委託(いたく)」とは、「他人に任せる、代わりにやってもらう」といった意味を持つ言葉です。自分以外の誰かに何かをお願いする場面などに使うことが多いでしょう。ただし、かしこまった言葉なので日常生活で使う機会は多くありません。 ビジネスにおいては、自社の業務を外部の企業や個人に任せることを指します。可能な範囲で仕事を外部に任せることで、自社の従業員がコア業務に集中しやすい環境を整えられるというメリットが得られるでしょう。 委託と受託の違い よく似た2つの言葉の相違点を解説します。 委託と受託の違い 「受託」は仕事を任せられることを指します。何かを他者に依頼するとき、「委託する」と使うのに対して、何かを他者から依頼されたときを「受託する」と表現します。 仕事を受ける側か依頼する側かという、立場の違いによって使い分けられます。 例えば、仕事を発注するなら「委託」になりますが、もし他社の仕事を受ける場合は「受託」といえます。 委託者と受託者の違い 「委託」が何かを任せることを指し「受託」が何かを任せられることを指していることからわかるように、委託者と受託者の違いは立場の違いで差別化できます。 ビジネスシーンにおける「委託者」は業務を外部へ依頼する個人または事業者です。反対に「受託者」は外部からの依頼を引き受ける個人または事業者を指しています。 言葉は似ていますが意味は反対になるので、使い分けに注意しましょう。 委託の類義語 6つの言葉を紹介します。 受託請負 受託の一種である「請負」は、仕事の成果に対して報酬が支払われることを指します。 何かを任されるという意味は共通していますが、違いは報酬の支払いタイミングです。受託は成果物の納品ではなく業務に従事することが目的とされます。一方、請負では成果物の納品が目的となります。 派遣 派遣会社に働き手として登録した人が、派遣先企業が求める業務に従事する働き方を指しています。この働き方は、出勤する企業と雇用契約を結ぶ企業が異なる点が特徴の一つです。 就業規則や給与形態は派遣先の企業に準じるので、雇用関係となる企業が違うだけで、通常の働き方と大きな違いはないといえるでしょう。 委任 「委任」は仕事を任せるという点で「委託」と同じ意味を持つ言葉です。ただし、「委任」は「信頼できる人に任せる」という意味を持つため、委託と全く同じ意味の言葉ではありません。 仕事を依頼する際は、企業と働き手が委任契約を締結することが求められます。仕事を他者に委任する場合は、契約書を用意するように注意しましょう。 準委任 「委任」とよく似た言葉に、「準委任」があります。この2つの言葉の違いは、任せる仕事内容にあります。 「委任」に該当する業務は、弁護士や行政書士の担当業務といった、法律に関わるものとされています。対して「準委任」に該当するのは、法律行為ではない業務です。 嘱託 「業務を頼み、任せる」という意味の言葉です。他者に任せるという点では「委託」と同じ意味を持っています。 会社によっては嘱託社員を導入しているところがあるでしょう。嘱託社員に明確な定義はありませんが、多くの場合は「正式な任命を受けずに会社から仕事を任せられた人」を指します。 アウトソーシング 英語で「outsourcing」と表記される言葉ですが、日本語では「外部委託」と訳されます。 その意味は、社内の業務を遂行するために必要な材料や人材を社外から確保することです。業務を社外に発注する形態がこれに該当します。 委託販売とは さまざまな場面で使われる「委託」という言葉ですが、「委託販売」はどのような意味を持つのかご存じでしょうか。 これは、自社製品を代理店やインターネットショップに預けて、販売や発送業務を任せる販売形態を指します。例えば、個人のハンドメイド作品を雑貨屋やセレクトショップ、ネットショップで販売してもらうことが該当します。 委託販売を行う業者に販売手数料を支払う必要があるため、販売を委託する側は売上から手数料等を差し引いた額を受け取るのが一般的です。 この販売形態は、自分の店舗をゼロから立ち上げる必要がない簡便さと、大手販売会社を利用すれば消費者の目に止まる機会が増える効率の高さが魅力です。 しかし、思うように販売数が伸びなかった場合は、大きな損失につながりかねません。販売を委託する際は、適切な管理と運用ができる販売業者を選ぶことが大切です。 業務委託とは 働き方改革やIT技術の発達などの影響で、耳にする機会が増えているのが「業務委託」ではないでしょうか。 業務委託とは、自社の業務を社外の専門家やスキルを持つ個人または事業者に任せることです。一般的には「業務委託契約」を締結して業務をスタートします。 昨今は社内にいなくてもオンラインツールを利用して、外部から仕事を進められるようになりました。その結果、業務委託を導入する企業が増えています。企業は重要度の低い業務を外注するので、従業員はより経営や売上に直結するコア業務に集中できるようになるでしょう。 業務委託契約に関する法律 「業務委託契約」というと、法律上で定められた契約形態のように感じられますが、実は業務委託契約に関する法律上の表記はありません。そのため、業務委託をする場合には民法第632条における「請負契約」や民法第643条における「委任契約」が法的根拠とされています。 法律上の定めがないため契約書の内容は企業によってさまざまですが、業務委託契約を締結するにあたっては、この2つの契約の条項も参考にすると良いでしょう。 のちのちトラブルに発展しないように、記載する内容は細かく定め、企業と働き手の双方の合意を得るようにすることが大切です。  業務委託契約と請負契約の違い 業務委託契約の法的根拠として扱われることの多い請負契約ですが、両者の違いは責任の所在にあります。 請負契約では、仕事を請け負う側が納品した成果物に対して責任を持つという特徴があります。契約内容で取り決めた条件に従って成果物を納品することが業務完了の目安となることから、納品する義務が発生している点に注意が必要です。 一方、業務委託契約では契約完了の条件を自由に規定できます。自由度の高さから契約内容を作り込むのは大変ですが、大きなトラブルにならないように契約段階でしっかりと取り決めておくと良いでしょう。 業務委託契約と委任契約の違い 民法第643条における委任契約とは「受注した業務に関して、行為の遂行を目指す」ものだと定められています。つまり、成果物の納品が必ずしも必要ではなく、業務に従事することが目的となっているのが特徴です。 […]

人事労務・制度設計・運用
中小企業の人事制度とは?

中小企業の人事制度とは?設計のポイントや注意点について

企業を大きく発展させる上で、なくてはならない存在である人材。そんな人材を最大限に活かすための制度が人事制度です。ただ重要であることは分かっていても、それをどうやって設計、運用していけばいいのかわからない方も多いと思います。そこで今回は中小企業における人事制度の設計ポイントや運用する際の注意点について解説していきます。 人事制度とは? 経営のありとあらゆる場面で語られるときに出てくる仕組み。人材を管理するためになくてはならないこの仕組みは、主に3つに分類されています。 これらの制度について詳しく見ていきましょう。 等級制度 企業における等級制度とは、その人に備わっている資質や現在行っている業務内容、役職などに合わせて組織における序列を決める制度のことを言います。 等級制度を活用することで適切な人員配置や給与の策定、本人に合わせたスキルアップなどがやりやすくなります。 企業ではこの等級制度を働く意欲を促進させる材料として利用されることがあります。 人事評価制度 その組織にいる人たちの働きぶりや働いたことによってもたらされた成果を評価する制度のことを言います。 個人レベルでの成果はもちろんのこと、企業によっては会社の方針の体現性や個人の成長度合いなども評価の対象に含まれていることがあります。 こうした評価に基づいて従業員ごとに賃金や役職などが決められています。 賃金制度 賃金制度とは、従業員がもらう毎月の給料やボーナスなどを決める制度のことを言います。 先ほどの人事評価制度に基づいて、給料やボーナスなどの金額を決めていきます。 具体的にどういった業務や成果に対して報酬を上げる要因とするのかについては企業ごとの特色や行動方針によって異なる場合があります。 人事制度の設計、導入、見直しのポイント そんな大切な仕組みをどのようにつくっていったらいいのでしょうか。理想の人事制度をつくるためには目的の認識やスケジュールが重要です。 人事制度導入の目的 どんな制度でも策定するにあたってはその目的をしっかり認識することが必要です。 企業という組織の目的は企業が果たそうとしている事業を行い、それを成長へとつなげていくことにあります。 それを果たすためには従業員という人材がなくてはならないため、個々の従業員がいかに能力を発揮していくのかをきちんと考えなくてはなりません。 従業員の能力を最大限高めるためには適材適所の人材配置はもちろん、昇進や昇給などのモチベーション向上を図っていくことも大切です。 こうしたことから、人事制度は従業員の能力を最大限に活かし、それを業績と成長に結び付けていくことにあるのです。 人事制度導入が必要なタイミングは? ベンチャー企業をはじめ、規模の小さい中小企業の場合はどのタイミングで人事制度を導入するかが重要になってきます。 中小企業では従業員の人数が30名を超えた辺りから人事制度について考え始めることが多いです。 30名以上になると会社内では次のような課題に直面します。 30名以下の規模が小さい会社ですと、経営者の目が行き届きやすく、従業員全体に会社の方針や業務の目的の共有がしやすいです。 しかし、規模が大きくなるにつれて経営者が個々の従業員を見ることが難しくなり、他の管理職に経営方針の伝達や人事マネジメントなどの業務を任せる必要があります。 設計から導入までのスケジュール 多くの企業では人事評価の導入を決めてから実施するまでには約12カ月かかります。 1カ月目は経営者が企業の現状の認識と今後の方向性の把握を行います。 2~4カ月目までは能力基準を作成し、具体的にどのような職位を用意するのか、業務内容やその役職に就くために必要なスキルなどを決めていきます。 5~7カ月目までは評価体系の作成を行い、役職ごとの成果の基準や勤務態度、具体的な能力などを定義します。 8~10カ月目までは報酬体系の作成を行い、基本給や職務給、勤続給といった報酬の具体的な金額を決めていきます。 11カ月目は人事評価を担当する管理職を決めて、適切なマネジメントを行えるように訓練してもらいます。 12カ月目は人事評価制度の導入を開始する時期であり、全従業員に対して人事評価制度の説明会を行ったり、管理職の辞令交付を行ったりします。 中小企業の人事制度設計のポイント 組織においてこうした仕組みをしっかり機能していくにあたっては、個々人の目標制度やバリューなど知っておきたいことがあります。 目標管理制度の運用 企業ごとの理念に基づき、全従業員が一丸となって行動するために必要なのが目標管理制度。 この制度は、働いている人それぞれが持っている仕事や役割での目標を決めて、それをどれだけ成し遂げたかに応じて評価していく仕組みのことです。 それを実現していくにあたって重要なことは、 をきちんと決めること。 バリューの明確化 会社が持つ理念や経営方針を実現させるためには、そこで働いている人すべてに守ってもらいたいバリュー(会社独自の価値観)を決めておくことが大切です。 バリューを明確化しておくことで、日々の業務の達成度合いを評価する中で従業員がどれだけ会社の方針に合致した行動ができているかを把握でき、人事評価がしやすくなります。 バリュー評価 会社が持っている価値観をどれくらい体現できているのかを確かめることがバリュー評価です。 バリュー評価を導入することで、働いている人が会社の方針に合った行動をとりやすくなり、会社の組織力を大幅に高めることができます。 ただしバリューに関しては売り上げ目標や従業員の業務量などとは異なり、数字によって表現することが難しいです。 そのため、評価を行う管理職の間で意見交換をして認識を共有したり、企業研修や表賞制度などを通して会社のバリューを認識させるきっかけをつくってあげたりする必要があります。 中小企業における人事制度の注意点 所属にかかわらず、新しい仕組みを導入するにあたっては考えないといけないことがあります。 […]

タレントマネジメント・人材管理

監査はなぜ必要?実施される理由と具体的な実施手順を解説

監査と聞くと背筋が伸びる人もいるかもしれません。「明日は監査が入るから身のまわりの整頓をしておくように」「チェックが厳しいから書類を整理しておきなさい」このように上司から一度は言われた経験のある方も多いでしょう。 とはいえ実際にどのような目的で、どんな流れで行われているのかを正しく理解している人は少ないはずです。そこで今回は監査の狙いと実施手順を中心に解説していきます。 監査とは まずは監査について解説します。 監査とは 監査とは会社の財務・経営状況を確認する作業です。法律や社内規定の内容に沿って「ルールは守られているか?」「違反行為は行われていないか?」などを監査員が検査します。 万が一検査で指摘事項があると、罰金が科せられるケースも。違反の重さによっては罰金ではすまされない場合もあるのは念頭に置いておきましょう。 近年では粉飾決算や資金使途不正によって倒産に追い込まれた企業もあります。そのためにも、企業は日々身のまわりの会計状況や業務実態を把握しておかなければいけません。 監査について定める会社法 会社法のルールに基づき書類作成を義務付けられているのが会社法監査です。会社法監査の目的は株主及び債権者の保護です。 会社の運営状況や財務状態を示す資料に誤りや改ざんがあったり、計算書類が見当たらなかったりすれば株主や債権者は利益を害する危険性があります。そのような事態を避けるために会社法監査が実施されるのです。 また、後ほど詳しく解説しますが、会社法監査が義務付けられているのはすべての会社ではありません。基本的には大企業が対象となるのは念頭に置いておきましょう。 反対に利害関係者が少ない中小企業は監査の対象とはなりません。自社が会社法監査の対象となるのかはかならず確認しておきましょう。 監査が必要な理由 監査の必要性について解説しましたが、ここからはさらに詳しく見ていきましょう。監査が入らなければ投資家・株主・債権者・利害関係者などは重い責任を負ってしまいます。 例えば投資家は企業の損益計算書や貸借対照表を参考に投資しているのも事実。決算書の情報から出資の判断を下しています。ところが決算書の内容に誤りがあれば、その情報をもとに出資した投資家は多大な損失をこうむるのは言うまでもありません。 また、企業間取引においても決算書は大きな目安となります。「負債項目が少ないから安心して付き合えるな」「自己資本比率が高いから将来に期待できるな」などと決算書から読み取れるのです。 しかし、決算書の数値が事実と違えば、損害を受けてしまいます。金額以上に今まで作り上げた関係構築の時間が無駄になってしまうのも大きいです。そのために監査を行い、経営状態や経済状況の健全性や信頼性を確認しています。 2種類の監査 2種類の監査について解説します。 法定監査 法定監査とは法律で決められている監査です。後述する任意監査とは違い、すべての企業で義務付けられている監査となります。 具体的には税務職員が行う調査の一種であり、主に法定調書合計表の提出書類の審査です。法定調書合計表とは支払った給与の合計や源泉徴収税額の合計を記載した書類。法定調書と一緒に税務署へ提出する書類であり、この法定調書合計表に誤りがないかを確認するのが法定監査です。 ちなみに法定調書合計表には他にも、不動産の使用料等の支払調書・不動産の譲受けの対価の支払調書・不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書などの項目があります。これらの項目もかならず確認されるため、管理はミスなくスムーズに進める必要があるでしょう。 任意監査 法律によって義務付けられていない監査をトータルで任意監査と呼んでいます。明確なルールはなく、監査会社と被監査会社の中で監査内容や対象範囲を契約で決められるのも特徴。 目的は外部からの信頼性と安全性の向上です。第三者視点から経営状態や財務状況についての意見をもらえるため、客観的に内部統制機能を高められます。 例えば今後上場を行うための準備監査や株式交換比率を算定するための監査などが対象です。監査を滞りなくクリアすれば上場も夢ではありません。 とはいえ任意監査にはデメリットも。例えば任意監査では提出書類が必要です。書類を揃えるまでに多大な労力と時間を要します。 加えて監査法人や会計士に対して報酬を支払う義務があるのも事実。金銭面に余裕がなければ監査は受けられないかもしれません。 このようにメリットデメリットを把握した上で任意監査を依頼しましょう。 監査とレビューの違い 監査とレビューはともに決算書の内容を確認するためにありますが、意味合いは若干異なります。大きな違いは保証性です。 そもそもレビューは四半期財務諸表に誤りがないかをある程度のレベルで確認する作業となります。完全なNGが無いかをチェックするためであり、OKかNGか微妙なラインの場合は一旦OKとするケースもあるでしょう。妥当な保証レベルが確約されている監査とは異なります。 また、確認範囲も監査が内部だけでなく外部にまで及ぶのに対し、レビューは社員へのヒアリングや社内資料確認に留まるのも事実。必然的にレビューよりも監査の保証性が高くなるのはうなずけるでしょう。 反対にレビューのメリットは低コストで確認作業が受けられる点です。確認範囲が狭く、短期間で行う点から費用面の負担が少なくなります。 監査が義務付けられている企業 監査が義務付けられている企業について解説します。 大会社 ある条件に満たした大規模な会社は監査が義務付けられます。その条件とは「最終事業年度における資本金が5億円以上」または「最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上である株式会社」です。 ここで言う「最終事業年度に係る」とは具体的には株主総会で承認された貸借対照表を指します。例えば2018年3月期の負債額180億円、2019年の3月期の負債額220億円だったとしましょう。2019年6月の株主総会で承認されれば、2020年3月より会計監査が必要となります。 このように大会社と該当される条件やタイミングは確実に押さえておきましょう。 監査等委員会設置会社と監査役会設置会社 監査等委員会設置会社は2015年の会社法改正によって導入されました。監査役会を廃止する代わりに、3名以上かつ半数以上の社外取締役から構成された監査等委員会を取締役会の中に設置している形態を指します。 現在は大企業だけでなく中小企業でも採用されており、該当する場合は監査が義務付けられるのです。 会計監査人の任意設置を行った会社 株式会社では株主総会と取締役会を設置しなければならないと法律で決められています。しかし、それ以外の機関では会社法に沿って対応する必要があるのです。 そこで会計監査人を設置した場合は監査が義務付けられています。会計監査人の他にも監査役・監査役会・取締役会・会計参与などが置けますが、それぞれのルールに従って対応していきましょう。 どのような期間でも会計監査人を設置できるものの、設置した場合は監査が義務付けられるのは頭に入れておく必要があります。 監査を置かなくてもよいケース 以前までは取締役会・監査役・株主総会が必須であったものの、平成18年の法改正により条件を満たせば監査の設置は不要となりました。 代表される条件のひとつが株式譲渡制限会社です。株式譲渡制限会社とは持株の譲渡制限をかけている会社。持株を譲渡する際には株主総会の承認を得なければいけません。大きな特徴は経営権を握れる点にあります。 例えば家族経営の場合、見知らぬ人に株式が渡って干渉されては経営も滞るでしょう。その点では株式譲渡制限会社は安心と言えます。 一般的には株式譲渡制限会社は中小企業向け、大企業は公開会社に該当します。他にも取締役会を設置しない場合や取締役会を設置して監査役の代わりに会計参与を設置する場合も、監査を置かなくても問題ありません。 【実施者による分類】監査の種類と目的 […]

人事労務・制度設計・運用

メンタリングとは?コーチングとの違いや運用時のメリット・デメリットについて解説

労働人口の減少にともない、人材の育成方法も少しずつ変化しています。流動性の高い今の時代で優秀な従業員を確保するためには、一人ひとりを考えたアプローチが必要です。今回紹介する「メンタリング」では、昨今で課題となる離職率の防止だけでなく、企業の成長にも大きく関わる手法といえるでしょう。 メンタリングとは? メンタリングは人材育成として行われる1つの手法であり、アメリカで導入がはじまりました。この手法は1on1で実施することがほとんどで、指導する側を「メンター」、指導される側を「メンティー」といいます。新しい従業員の研修として実施されることが多く、聞き慣れている人もいるのではないでしょうか。 メンターはベテランや中堅ではなく、新人と年齢が近い若手の従業員からピックアップされます。この理由として、お互いが学べる環境を作るためです。一方通行の指導ではなく、メンター自身も新しい知見を得られやすいので、両者ともに効率的に成長を促せます。 メンタリングとコーチングの違い 類似する言葉としてあげられるのは「コーチング」です。この手法も同様に、一方通行での指導ではなくお互いの意思疎通を図り、課題達成のために具体的なアクションを計画して実行します。一方メンタリングは全体を包括した1on1でのサポートを行うため、仕事だけではなくライフスタイルにも影響を及ぼします。 どちらも方向性は同じように感じられますが、上記のように異なる点があることをおさえておきましょう。 メンタリングマネジメントとは 1on1でのコミュニケーションでお互いの信頼性を築き、チームの生産性を高める戦略がメンタリングマネジメントです。立場や権力を利用した一方通行での指導では、かえって従業員を困惑させてしまう原因になるでしょう。 自分で気づき、意欲的に成長を促すためには、一人ひとりと意思疎通を図ることが大切です。時間がかかる戦略でもありますが、企業として飛躍するためには従業員が何に困っているのか、何をしたいのかをよく傾聴する必要があります。 メンタリングのメリット メンタリングを導入するメリットとして、おもに以下の点があげられます。 このように相談しやすい環境が整っていると、指導される側としては安心感が生まれます。さらにコミュニケーションが密になるため、先輩・上司との信頼性も向上し高いパフォーマンスの発揮にもつながるでしょう。 指導する側としても、ヒアリング力やマネジメント力といった育成に必要なスキルを身につけられます。お互いが切磋琢磨することで、効率的な成長のサイクルが生まれます。 メンタルケアが可能 メンタリングを行うと精神的なケアが可能となります。メンタリングはメンターがメンティーに寄り添って答えを導き出していくもの。メンティーにとっては「話を聞いてくれる存在」「一緒に悩みを相談できる味方」などと感じ、安心感がうまれるのです。 たとえその場で答えが見つからなくても、話を聞いてくれた事実が心の支えとなります。とくに新入社員は右も左も分からない状態で毎日を過ごしているのが現状。仕事で失敗したり、上司から叱られたりするのは日常茶飯事です。 そんな日常の中でメンターが寄り添ってくれれば、精神的負担も減っていくでしょう。心のよりどころとなり、一緒に居るだけでメンタルケアにつながるのです。 信頼性向上につながる メンタリングによって日々会話量を増やしていけば信頼性向上へとつながります。会話量と信頼関係の深まりは比例するとはならないものの、会話を増やしていけば少なからず認識のズレは無くしていけるでしょう。 お互いの考え方が分かってくれば「この考え方は自分と一緒だな」「仕事に対する価値観が似ていそうだな」などと理解し合えるのです。 結果、一緒に仕事をして安心感が芽生え、心地良さがうまれてきます。自然体で働ける関係になれば憧れの気持ちも出てくるでしょう。「将来はあんな風になりたい」となれば、仕事に対するモチベーションも上がるはずです。 自主的な行動ができる メンタリングを行えば自主性がうまれます。メンタリングは一方通行のコミュニケーションではありません。上司から部下へアドバイスを押し付けるのではなく、メンティーの自発的な行動を促すのが目的です。 そのためにメンターは会話によって気付きを与えていきます。「今回失敗した原因は何だと思う?」「次成功させるには何が必要?」など精神的なケアを行いつつ、新しい発見を与えていくのです。 自分自身で答えが見つかったメンティーは今までよりも行動が自主的になるでしょう。積極性が身に付き、自分で考えて行動できるまでに成長します。 これが一方通行のコミュニケーションであると、部下は受け身になります。失敗を怖がってチャレンジせず、何も学べず日々を過ごすでしょう。 お互いの成長のきっかけになる メンタリングによってメンティーはメンターから多くの学びを得て、大きく成長できるでしょう。成長を実感できれば仕事へのやる気も一層上がってきます。 実はメンタリングで成長するのはメンティーだけではありません。成長を支える側と思われがちなメンターも大きく成長できるのです。 メンタリングは相談役やカウンセラーなどの役目であるため「誰でもできるだろう」「簡単な仕事だよね」と認識される機会が多いのも事実。とはいえ、詳しくは後述しますがメンタリングに必要な能力は実に多いです。 ヒアリング力にはじまり、指導力・パフォーマンスを引き出す力・モチベーターとしての力などが最低限不可欠。逆に言うと、メンタリングを通じてこのような力を身に付けられるのです。メンティーだけでなくメンターも成長できるのは大きなメリットでしょう。 メンタリングのデメリット もちろんメリットだけではなく、以下のようなデメリットも存在します。 メンタリングを実施するためには、時間と人員の確保が必要不可欠です。計画なしにこの手法を実行すると、新人だけでなく先輩の負担が大きくなり業務にも悪影響をおよぼすリスクがあります。 また実施結果の有無も定量的に判断ができないため、どの程度の効果があるのかが不明瞭となります。うまく運用するためには、指導者の仕事量をうまく調整したり、離職率や業績などの数値として判断できる評価を参考にしたりする必要があるでしょう。 指導に必要なリソースの確保 メンタリングによって信頼関係を構築するのは簡単ではありません。時間や労力が今まで以上に必要になるのは念頭に置いておきましょう。 例えばメンティーと話し合いの場を設ければ、1回1時間以上へと及ぶ可能性もあります。面談の機会を週3日設ければ、1週間に3時間以上費やす結果となるのです。 メンター自身の業務に支障が出るのは言うまでもありません。業務に集中できる時間がないと成績を落とす場合もあるでしょう。結果的にメンターの評価が下がる可能性もあります。メンタリングを実施する際はそのようなデメリットも加味しなければいけません。 あらかじめメンターの業務を減らしてメンタリングに注力させたり、メンタリング実施時間を評価項目に入れたり。今まで以上に運用の対策が必要です。 効果の検証が困難 コーチングの場合は問題点や目標に対してアプローチするため、効果の検証がしやすいです。 例えば「指導したら今まで月間販売数10台が30台へと上がった」「営業目標1,000万円の壁を一緒に乗り越えられた」など、数字やデータなどでリアルに分かります。 とはいえメンタリングはメンタルにアプローチするため、真偽を判定するのがむずかしいです。「なんとなく表情が明るくなってきたな」「最近自分から話しかけるようになった」などで判断するケースも多くなります。 実際にいざメンタリングを導入しても効果検証で苦労する企業は多いです。そのため、離職率のようなデータで検証しても良いかもしれません。 メンタリングに必要な能力とは メンタリングを実施するにあたって、求められるスキルは以下のとおりです。 お互いのコミュニケーションを円滑に行い、うまく能力を引き出すためにはこれらのスキルが大切です。しかし普段の業務ではヒアリングや指導の方法を身につける機会が少ないため、事前にマネジメント関連を学ぶことをおすすめします。指導される立場から指導する立場にステップアップするためにも、少しずつ勉強していきましょう。 ヒアリング力 メンタリングに最も必要な能力はヒアリング力と言っても過言ではないでしょう。メンタルと名付けられている背景からも、精神的な部分に寄り添う必要があります。 悩みや疑問を解消するためには聞く力が不可欠です。「なぜ悩んでいるのか?」「どんな行動を取ればモチベーションが上がるのか?」などを考えてヒアリングしていきます。メンティーの話をよく聞くのはもちろん、質問の中で本質を見抜く力も必要になるでしょう。 さらにメンティーから話を引き出すには雰囲気づくりも大切です。このようなスキルをトータルしたのがヒアリング力。メンティーの話をただ聞くだけでなく、様々なスキルが求められるのです。 指導力 メンタリングはメンティーの精神面に寄り添うのはもちろんです。とはいえ本来メンターの役割はメンティーの指導です。会社の求める仕事をメンティーが遂行させるためにサポートしていきます。 […]

人材育成