コラム

人事関連でお役に立つ情報を掲載しています。
ぜひご活用ください。

すべてのコラム

パラダイムとは?ビジネスでの使い方やパラダイムシフトの具体例を解説

時代が大きく変わると、わたしたちの生活様式も著しく変化することがあります。昔の時代と今の生活がまったく異なるのも、この大きな変革が何回も起こったことによるものでしょう。 このような事象を「パラダイム」の変化といい、個人・社会が成長するには欠かせない要素です。この記事では、パラダイムがどのように使用されているのか、どのような重要性を持っているのかを解説します。 パラダイムとは パラダイムとは「その時代では当たり前になっている考え方」や「その分野で基本となるとらえ方」などを指す言葉です。現在では、経済や科学などの幅広い領域で使用されています。科学の分野では、地球の形が明確ではなかったころに唱えられていた「天動説・地動説」の意味として使用されていた時期もありました。 また、時代の流れにともなって現れる革新的な改変が起こると、パラダイムが変化する可能性があります。たとえば、以下の事例があげられます。 このように、ポジティブ・ネガティブなものかは問わず、世界的に大きく変化した事例をパラダイムシフトと呼びます。 パラダイムの語源とビジネスシーンでの使い方 実際のビジネス場面では、どのように使っているのでしょうか。ここでは、言葉の由来や使用方法についてご紹介します。 パラダイムの語源 パラダイムは、もともとギリシア語が起源で、概念として生まれたのは科学哲学者である「トーマス・トークン」による書籍が最初とされています。最初に使用されたときは「専門家に対して問答のモデルを付与させるもの」という意味がありました。これは一部の分野だけでなく、幅広い領域の学問に多大な影響がありました。 専門用語として使用されていたその言葉は、意味合いとしても抽象的なものでした。時代の流れとともに変化して、少しずつ現在の意味合いに近づいていったのです。このように、昔に使用されていた言葉の意味が変化するのはよくあることです。同じ言葉でも、職種や領域によって内容が異なるケースも多いでしょう。 ビジネスシーンでの使い方 ビジネス場面で使用するときは「ある時代の当たり前の思考パターンを支えるための観念・理念」のことを指します。一定のパラダイムの思考に則って進めていくことは、ある種の定石ともいえるため、多くの会社が取り入れながら経営を進めています。 その他にも、時代の流れとともに新しい変化を生み出すために、固定化されている概念を題材としたディスカッションを行うこともあるでしょう。この新しい取り組みによって画期的な考え方・物事が生まれる可能性もあります。その結果、個人だけでなくチーム全体に新しい価値観が生まれ、会社としての飛躍につながるのです。 日本語では翻訳が難しい パラダイムは一定の意味を持っているわけではなく、非常にバリエーションのある使い方をされています。そのため、日本語としてわかりやすく表現することがむずかしく、マッチする言葉が見つからないのが現状です。 もともと、この言葉は科学の領域で使用されていました。しかし、革新的な考え方を発見したときに「今までの思考のこと=パラダイム」と受け取るようになりました。このような背景から、日本語としてフィットしている言葉が見つからず、翻訳が困難となっています。 パラダイムに関連する言葉 パラダイムにはさまざまに派生した言葉があるのはご存じでしょうか。ここでは関連する言葉についてご紹介します。 ◯◯パラダイム 特有の領域によるパラダイムを表すときに、その前に「○○」をつけて使用されるケースがあります。その時代の流れや領域のベースとなっていた「とらえ方」や「考え方」が、今までにない革新的な変容をしたときに用いられます。 たとえば「企業」や「ファイナンス」など、それぞれの領域で新しい変換がともなったときに使用されることが多いです。最近では、ビジネスやファイナンスの領域では、以下のパラダイムの転換がみられています。 このような変換によって、徐々に世界各国の技術が進化しているのです。 パラダイムトレーダー 外国為替取引の領域で用いられているサービス名のことで、トレードを行うときに使用される言葉です。この領域では、信頼性が高く実績を残している方が開示しているデータから、外国為替取引による変動を推測し、売買を行うケースが多いです。ここ最近では、同じようなソフトを活用して、外国為替取引を実施する方法が注目を浴びています。 パラダイムロスト 感情のなかに潜んでいる「スティグマ」を解決するために書かれた、本のタイトルです。この本はロジックとその行動方法を表しています。スティグマとは「差別」や「偏見」などに関連した意味を持っています。 より詳しく解説すると「その人が持つ何かしらの原因によって、差別や偏見が生まれて不当なあつかいをされる」という意味合いがあるのです。このような心に関係する問題を解決する方法を示したのがおもなテーマです。 パラダイムシフト(パラダイム転換)の意味や具体例 「パラダイムシフト」という言葉も用いられる機会はよくあります。ここではその意味や具体的な例についてご紹介します。 パラダイムシフトとは その時期に当たり前だと判断されていた事項が革新的に転換したことをパラダイムシフトと呼びます。この言葉が生まれたことによって、さまざまな意味が分岐するようになりました。現在では、以下の出来事で用いられるケースが多いです。 このように、使用する際にどれも共通しているのが「新しい変化」であることがわかります。 パラダイムシフトが起こる理由 このような大きな変化が起こる理由として、「今までの思考では新しい壁を突破できない」という状態が発生するからです。これはヒトの本来の性質ともいえるでしょう。なかには「ある課題は今までの思考では解決できない」という言葉もあります。 なにかの課題にぶつかったときに「今までのパターンでは解決ができない」「当たり前だと思っていたものを変えていかなければいけない」という考え方が大きな変化をもたらしているのです。また、最近ではさらにパラダイムシフトが進むようになりました。その理由として以下があげられます。 このような技術の進化およびウイルスのパンデミックにより、さらに加速すると考えられます。 パラダイムシフトの具体例 世界中でさまざまなパラダイムシフトが生まれてきました。その例としては以下の通りです。 このように、今までの時代では大きな変化が繰り返し行われていることがわかります。 個人におけるパラダイムシフト 本来、ある一定の時期における当たり前の事象といわれるものを指す言葉ですが、最近では「その物事のとらえ方」や「想像の仕方」などを表しています。また「物事のとらえ方を大きく変える」という考え方で、幅広い領域で使用されています。 一方で、時期に限らずに一人ひとりのレベルでパラダイムシフトを発生させることも十分にできるでしょう。しかし、ねじれたとらえ方で実行しようとすると、かえって思わしくない方向に向かってしまう危険性もあります。もともとの意味を理解しつつ、大きな変化によってどのような方向に向かうのかを考えてみましょう。 身近なパラダイムシフト わたしたちの身近なところでも、いろいろなパラダイムシフトを体験しているのはご存じでしょうか。そのおもな例として、以下のものがあげられます。 ガラケー時代でも携帯ゲームや音楽の機能は搭載されていましたが、メール・電話などの連絡手段として使用するのがおもな用途でした。しかし、スマートフォンはそれ以上にさまざまなコンテンツを利用できるようになりました。 またサステナブルな考え方が普及している今、共有の意識が高まっています。カーシェアやシェアオフィスなど、1つのものを複数人であつかうことでムダな消費を避けて環境に配慮した戦略がとられています。電車を切符ではなくICカードをタッチするだけで利用できるのも、大きな変化といえるでしょう。 パラダイムシフトで押さえておくべきポイント 新しい変化が起こると、今までの常識が通用しなくなることもあるでしょう。ここでは、そのために持っておきたいポイントについてご紹介します。 柔軟に対応する姿勢 物事に執着せずに、どんなことでもスムーズに対応できるようなスタンスを持っておきましょう。なにかに執着してしまうと、大きな変化が起きたときの精神的な負担が大きくなります。新しい考え方や新しい製品に遭遇したときに、自分はどのような気持ちになるのかを深堀してみましょう。 「順応するのがむずかしい」「ついその考え方を否定してしまう」などの反応をしてしまうのなら、その考え方をさらに追求します。新しい物事を受け入れられない場合、その理由の裏に本当の気持ちが潜んでいる可能性は高いでしょう。自分をあらためて見直して、少しずつ柔軟に受け入れる気持ちを持っていきましょう。 変化を敏感につかむ 技術が進歩するにつれて、時代はわたしたちの想像以上に変化していることもあります。その流れに気づけるように、ちょっとした変化も把握しておくことをおすすめします。時代が変わるにつれ、そのときにフィットした考え方や対応が必要です。 このように、日々の変化を察知するために新しい需要や世界情勢に注目しておくと対応しやすいです。経営者であれば、あらゆる状況を予測したうえでゴールを設定するスキルが求められます。 […]

ビジネス用語・基礎知識

業務委託とはどんな契約?他の業務形態との違いやメリットとデメリットを詳しく解説

テレワークや在宅勤務など、場所や時間にとらわれない働き方が注目を集める昨今、「業務委託」という働き方を導入する企業が増えています。 業務委託は企業と雇用関係を結ばない働き方で、働き手と企業の双方にメリットがあります。自由度の高さが魅力ですが、注意して扱わなければトラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。 今回は業務委託のメリットとデメリットを、働き手と企業の両面からご紹介します。具体的な注意点も含めて解説するので、自社の人事採用に役立ててください。 業務委託とは 業務委託とは、企業が雇用している従業員ではない人材に社内業務の一部を依頼することを意味します。正社員やアルバイト、パートタイマーなどは企業と雇用契約を結び、企業の指示に従って仕事をします。一方で業務委託の受託者は、企業との雇用関係にないため立場は対等です。 業務委託契約を結ぶと、就業した時間数ではなく、納品した成果に対する報酬が得られるようになります。就業時間や就業場所の定めがないため、好きな時間に仕事を進められる自由さが魅力的な働き方です。 社外の人物に仕事を依頼して任せる契約形態の特性上、企業はセキュリティ対策やトラブルを未然に防ぐ予防策を講じる必要があります。準備は必要ですが、導入するとメリットの多い働き方なので、必要に応じて導入を検討すると企業にとって良い効果がもたらされるはずです。 請負契約とは 業務委託ではなく「請負契約」があることをご存じでしょうか。これは民法第632条において定められた契約形態のことで、「業務を請け負った人が、受託した業務を完遂することを約束し、発注者は成果物に対して報酬を支払う」契約を指します。 業務委託契約と請負契約の違いは、成果物に対する責任の有無です。請負契約では業務の完遂はもちろん、成果物にミスがあれば修正対応までしなければならないと規定されています。もう一方は、修正対応の有無等も含めて法的な規定がないため、契約内容は企業によって変化するのが特徴です。 成果物だけを基準に判断されるため、プログラマやデザイナーなどの職種との相性が良いのが請負契約です。 委任契約とは 民法第643条では「委任契約」の規定が記載されています。これは受託した法的な業務の遂行を目的としています。業務に従事すること自体を目的としているので、成果物に対する責任が生じない点が特徴だといえます。 委任契約は成果物ではなく、成果を生み出す過程にある行為そのものに報酬が支払われます。そのため、客観的に明らかな成果物を提出しない弁護士や医師などは、委任契約との相性が良いでしょう。 準委任契約とは 委任契約は弁護士に代表されるような法律行為を行う業務に対して締結する契約ですが、それ以外の業務を委託する場合は「準委任契約」が適用となります。 該当する職種として、経営コンサルタントや受付などが挙げられます。両者の違いは対象職種だけで、行為そのものに報酬が発生する点は共通していると判断できます。 業務委託契約に関する法律 業務委託契約という名称はさまざまな場面で使われていますが、実際に「業務委託契約」を規定する法律は存在しないのが現状です。 法律上の規定がない契約なのに、法的な効力があるのでしょうか。 実は、民法が業務委託契約の法的根拠になり得るとされています。ただし、業務委託契約の内容は企業や業務内容によってさまざまなので、民法でカバーしきれないケースもあります。 そのためトラブルを未然に防ぐためにも、業務の受託者一人ひとりとの契約内容を細かく定め、契約書に明記しておく必要があるのです。 業務委託と他業務形態の違い 業務委託と似た働き方はいくつかありますが、その違いはどんなところにあるのでしょうか。企業はさまざまな契約形態の内容を正確に把握し、その違いから従業員一人ひとりにとって適切な働き方を選択することが求められます。 さまざまな業務形態との違いを詳しく解説します。 労働者派遣 労働者派遣は、働き手が登録している派遣元企業の指示に従って派遣先企業の業務を遂行します。業務委託と同様に、クライアントとなる企業と働き手が直接雇用契約を結ぶことはありません。 大きな違いは2つあります。 1つは、労働者派遣の場合、指揮監督権を持つのは派遣先企業となります。業務委託は仕事の進め方や働く時間や場所に関する指示を受けず、自分で決めて働けます。 一方で労働者派遣の働き方は、就業場所や時間、仕事の進め方などは派遣先企業が決定するため、働き手の裁量は大きくありません。クライアント企業が指示できる範囲が異なる点が両者の大きな違いの1つです。 もう1つは、成果物や業務内容に対する責任の所在です。派遣契約を結んで勤務する場合は、就業中の労働に対する責任は派遣元企業が持ちます。一方で業務委託は、成果物に対して働き手本人が責任を負います。もしも成果物に不備があった場合や契約内容に反した場合に生じた不利益は、業務委託の受託者本人が賠償する必要があるでしょう。 例えば、著作権フリーではない素材を使ってデザインしたバナー広告を納品後、著作権違反していると発覚した場合について考えてみましょう。このとき、著作権侵害した際の賠償金や、依頼元企業がバナー広告を使って打ち出した広告費用などを受託者が負担しなければならないかもしれません。 業務委託契約を結んで働くなら、自身が請け負った成果物にしっかりと責任を持たなければならないのです。 出向 出向とは、勤め先企業の関連会社やグループ会社、小会社などで勤務することです。この目的は人材育成や雇用調整、人材戦略のためなどとする場合が多くありますが、企業によって異なります。 勤務先の企業との雇用関係はそのままに、出向元と出向先企業の間で出向契約を締結するのが特徴です。この契約では、雇用関係における権利の一部を出向先の企業に譲渡するとする内容が記載される場合が多いでしょう。 このとき、従業員は2つの企業と雇用関係を結ぶことになるのが、業務委託との大きな違いです。また、指揮監督権を出向先企業が有する場合とは違い、業務委託では自身で裁量を持って仕事を進められます。 業務委託のメリット さまざまな働き方が選択できる現代において、業務委託契約を結んで働く良さはどんなところなのでしょうか。新しい働き方として注目を集めている今、働き方を具体的にイメージしたいと考える人は少なくありません。 働き手にとっても業務委託を導入する企業にとってもメリットがあるため、積極的に導入を検討してはいかがでしょうか。両者からみた導入のメリットをそれぞれ解説します。 労働者のメリット 労働者が得られるメリットは4つです。 得意な業務のみを請け負える 雇用契約を結ばない働き方である業務委託は、どの仕事を請け負うか決める権利を有しています。そのため、自身が得意な仕事だけを選んで受託可能となり、少ないストレスで業務を進められます。 雇用契約を結ぶ場合は、労働者が仕事内容を選択することは難しいでしょう。企業の人事戦略などに従って異動や昇進などが決定されるので、本来は担当したくない業務であっても拒否できません。 得意な業務ややりたい業務がはっきりしている人にとって、業務内容を決められる業務委託の働き方は適しているといえるでしょう。得意な業務を引き受けることで専門性が増すため、多くの実績を積むことが期待できます。 高収入を狙える 業務委託で請け負える仕事内容は多岐にわたります。データ入力や文字起こしなど、特別なスキルが必要ない仕事から、高難度な資格やスキルを求められる仕事までさまざまあるため、得られる収入額も人によって異なります。 専門性が高く資格取得が難しい職種の場合は、報酬額が高めに設定される傾向にあるため、仕事内容によっては高収入を目指せるでしょう。 業務委託はやればやるだけ収入が増えるため、給与の月額があらかじめ固定されている働き方とは違って、頑張りが収入に反映されやすいといえます。 仕事に使える時間が多い人や専門的なスキルを持っている人は、雇用されて働くよりも高い収入を得られる可能性が高いというメリットを感じやすいでしょう。 時間や休日に縛られず自由に業務を行える 裁量権が大きい働き方である業務委託では、働く場所や時間、仕事の進め方など、業務にかかわる全般的な内容を自分で決められます。指揮監督権が就業先の企業にある雇用契約では、仕事をするオフィスの場所や業務に従事すべき時間、休憩時間、休日、仕事内容から進め方まで、企業の指示に従わなければなりません。 業務委託は自由度が高いため、体調や家庭の事情に合わせて当日に休暇を取ったりしても問題ありません。その分、企業から受託された業務を納期までに納品する責任が生じます。 働き方について指示されないということは、自分が最も働きやすいやり方を選べるということです。人によっては日中より夜の方が集中できるなど、自分の性格に合わせて仕事を効率的に終えられる方法を見つけられるのは大きなメリットです。 […]

評価者研修の目的は?研修で学べる内容もあわせて徹底解説

近年、正しい評価を行うために査定する側の研修や基準確認が積極的に実施されています。背景には年功序列制度の廃止加速化による、評価制度の見直しが挙げられます。では具体的に評価時に起きやすい問題は何でしょうか。評価者研修で学べる内容を含めて解説していきます。 評価者研修とは? 評価者研修とは評価側社員の評価知識を深めたり、OJTで評価スキルを高めたりする制度です。一般的に「研修」と言えば、新入社員や転職者などの、在籍歴が浅い社員に対して行われるでしょう。 しかし、本制度は勤続年数関係なく、評価者に該当する社員が対象となります。社員の仕事に対する価値観が以前よりも変化しているため、数多くの企業で評価者研修が導入され始めているのです。 評価者研修の導入状況 研修の導入状況は約7割を超えています。(2016年産労総合研究所による調査)日本における大半の企業が、評価者に対して研修制度を実施していると分かるでしょう。 現在は売り手市場により、優秀な社員の確保が困難な状況です。在籍社員への育成やモチベーション向上が重要になるため、評価者研修への注目が集まっています。そのため、今後も評価研修の導入件数は増えていくでしょう。 評価者研修の目的 評価者研修最大の目的は評価の平等性を保つためにあります。査定は評価者の力量や考え方に左右される部分が大きいです。例えば、上司の部下に対する好き嫌いで評価にバラつきが出るケースも多くなります。結果を残しても上司の好みでなければ出世できないのです。そんな状況を限りなくゼロに近づけるため、評価者の基準を一定にするための研修が行われます。 また、評価者研修は企業文化を醸成させる効果もあるのが事実です。一般的に指導方針は評価者の思いが優先されます。となると、企業ビジョンに沿わない人材が育ってしまうのは否めません。方向性にバラつきが生じ、希望の人材が育つ可能性は低いでしょう。 そのため、研修で評価者の育成方針を明確にすれば、企業が描いた社員へ育てられます。以上のように、評価者研修は評価の平等性と指導方針の明確化が大きな目的です。 評価者研修の対象者 評価者研修の対象者を解説します。 人材業界、人事担当者 まず最初に押さえておきたい対象者は人材業界・人事担当者です。評価者研修を受ければ評価で大事にすべきポイントや設定すべき項目などが分かります。 年功序列制度が崩れている日本の中で、徐々に評価が能力主義へとシフトされているのも事実。評価すべき項目が在籍年数や年齢などから「どれだけ業績を上げたか?」「どのくらいスキルを伸ばしたか?」といった成果や力量へと変わっているのです。 となれば評価項目が複雑になるのは言うまでもありません。一般的に人事評価は人事担当者が作成するか、もしくは人材業界の企業が開発した評価システムを使うかに絞られます。 このような流れから人材業界と人事担当者は評価研修を受けるべきなのです。人事評価の知識がなければ品質の高いものは出来上がりません。評価に対する学びを深めてこそ、人材育成につながります。 経営者 とくに大きな会社であれば人事評価は人事担当者へ一任している場合も多いでしょう。人事における業務全般を委任し、経営者自身は業績を追う仕事に専念する場合もあります。 とはいえ経営者が人事評価評価業務を放任するのは得策ではありません。なぜなら、人事評価は会社の業績に大きく関わる業務だからです。 例えば人事評価の抜本改革に乗り出せば、社員の成長へとつながって売上アップが期待できるでしょう。質の高い評価ができると、優秀な人材の流出も防げるはず。古くから「人は財産」と言われる通り、お金をうみ出すのは人材なのです。 そのためにも、経営者自ら評価研修を受ける必要があります。学んだ知識をいかして評価制度の見直しを図ったり、評価システムのビジョンをより明確にしたり。今までの評価制度よりもレベルアップが期待できます。 被評価者 一般的には評価研修対象者は人事担当者と経営者です。 実際に様々な企業を見渡しても、被評価者は研修をほぼ受けていません。とはいえ、被評価者も評価制度研修を受けられます。被評価者が評価者研修を受ければ、評価に対するギャップを埋められるメリットがあるのです。 例えば「どんな行動が評価に結び付くか?」「評価はどれくらいの項目に分けられているか?」などを知っておけば、自分自身がどんな行動を取っていけば良いか明確になります。実際に取った行動が評価へ結び付けば、昇給や昇格のチャンスとなるでしょう。 結果的に仕事へのモチベーションが上がっていくのです。評価者にとっては被評価者から不満が出る心配も少なくなるため、お互いにとってメリットがあります。 被評価者も評価者研修の受講を検討してみましょう。 人事評価で起きやすい問題とは 人事評価で起きやすい問題は次のとおりです。 無難で甘い評価をしがち 人事評価は無難で甘い評価をしがちです。嫌われ役を買って出る人は現代において少ないでしょう。誰しも波風立てずに業務へ取り組みたいと思うはずです。 例えば、5段階評価で1と5を中心に査定すれば、社内で不満が出てしまうかもしれません。指示通りに業務をこなしているにも関わらず、1と評価されれば納得できない社員も出てきます。 そのため、評価者は3~5の間で甘い評価をつけ、社員から嫌われないよう査定しているのです。とくに社員へ意見が言えない評価者に該当するケースが多く、すべてにおいて緩い空気が流れてしまう原因にもなります。当たり障りのない評価は社員からの反発を防げるかもしれませんが、チーム力の低下は否めません。 評価手順が逆になってしまう 評価手順が正しい順序とは逆になるケースもあります。本来であれば、評価項目を基準に査定。その後、社内で検討し昇格や昇給を決めるのが正しい流れです。 しかし、人事評価の現場では先に出世する社員を決め、評価は後付けしているケースもあります。評価項目通りでいくと出世できないのにも関わらず、評価者の独断と偏見で昇格や昇給を決めてしまっているのです。 当然「業績が伴っていないのになぜ出世できるのか」「正しい評価項目通りにいけば昇格できないのでは」などの不満がうまれます。このように、適正な順序で評価が行われないケースが頻繁に見受けられるため、評価者研修での正しい指導が必要になります。 ハロー効果 ハロー効果によって評価が歪んでしまうケースもあります。ハロー効果は人の良い面や口コミによってポジティブなイメージが膨らみすぎたばかりに、他の部分が見られなくなる現象です。 例えば「社内評判が良いから仕事でも結果を出せるだろう」「挨拶が出来るから営業成績も良いはず」などの良いイメージが先行しすぎて正当に査定されないケースが多々見受けられます。印象と実際の成績は異なるため、他の社員にとっては疑問が生じてしまうでしょう。 また、社内の評判によって評価がゆがんでしまう危険性もあります。部内の評判が良ければ、仕事の能力を度外視してポジティブな思いを巡らせます。結果、本来の評価とは異なったイメージだけの査定になるのです。 とくに強く印象に残ってしまうと、なかなか印象を覆すことは出来ません。評価者研修では、そんな状況でも冷静に判断できる力も養われるのです。 思い込みによる評価 評価者の被評価者に対する思い込みは人事評価で起きやすい問題でもあります。思い込みによって正当な判断ができず、評価を本来よりも上げてしまうのです。 例えば「優秀な学校を卒業しているから仕事もできる」「資格を多数保有しているから成績を残してくれるだろう」など、勝手な先入観によって評価が歪んでしまいます。また思い込みは評価に悪影響を与えるだけでなく、部下の成長を阻む原因でもあります。「口数が多くないから営業から経理へ異動させよう」と、可能性を妨げてしまうのです。口数が多くなくても聞く力に長けていれば、成長できるチャンスもあったでしょう。 以上のように、上司の思い込みにより、部下への正当な評価や育成ができないケースもあります。 自分と比較して評価しがち 人事の現場では評価者自身と被評価者を比較して査定する場合も多いです。上司と似た人が高く評価され、特徴が違う社員は低く評価されやすいのも本ケースに該当します。 例えば、営業部門において、上司自身がアポイント取りに長けている一方、数字をもとにした調査が苦手だとします。評価に関してはコミュニケーション力項目のハードルは高く、分析については低く設定されるのです。 そのため、上司と似た部下が圧倒的に評価されやすいと言えます。データ分析を行い現状を多角的に見ても、評価にはつながりにくいです。評価の軸が自分自身になってしまい、冷静な判断を下せていない状況になります。当ケースを防ぐためにも、評価者研修によって正しい査定方法を学んでいくのです。 評価期末の印象による誤差 評価期末の印象だけで判断するケースも多いです。 例えば、査定直前の成績だけ社内で一番良かったり、反対に全体的に好成績だったものの最後だけ落ち込んだり。断片的に切り取って評価してしまうのです。当然、評価は対象期間トータルで考える必要があります。社員間に不満が生じ、仕事へのモチベーションを下げる原因となります。 […]

人事評価・評価制度
人時生産性とは?

人時生産性とは?正しい算出方法と人時生産性向上のための具体的な方法

働き方改革が推進される昨今の風潮やグローバル化に伴う国際競争の激化に対応するために、「生産性向上」が課題となっている企業が増えつつあります。 生産性を図る指標は複数ありますが、中でも従業員個人に焦点を当てた「人時生産性」に注目が集まっています。 今回は人時生産性とは何か、具体的な算出方法と向上のための方法を紹介します。 人時生産性とは? そもそも「生産性」とは、投入した時間や金銭、労力などのインプット量に対してどれだけの成果(アウトプット)が得られたかを測る指標です。そして、「人時生産性(にんじせいさんせい)」とは、従業員一人当たりの単位時間当たりに生み出した粗利高を意味しています。 算出された数字が大きいほど従業員の生産性が高く、会社全体の生産性向上に寄与しているといえるでしょう。人時生産性は評価対象を労働力に絞っている点が特徴です。 人事生産性を算出し、生産性向上を目指していくことは今後の競争社会を生き抜く上でも重要です。なぜなら、国境による制限もなく世界的に各社が競争する国際競争が当たり前の時代に突入しているからです。 会社がしっかりと世界に通用する競争力をつけているか、成長を続けているかを確認する意味でも参考になる値なので、適切なサイクルで人時生産性の評価と分析、検証、改善策の実行をしていくと良いでしょう。 労働生産性との違い 「生産性」というと、一般的には「労働生産性」のことを指します。労働生産性とは、会社が投入した労働力全体に対してどれだけの利益を得られたかを測る指標です。 労働力としては従業員の総数を基準としたり、従業員全体での労働時間を基準としたりするため広い意味で用いられます。それに対して人時生産性は従業員一人が一時間当たりに生み出した成果を算出する指標であるため、より厳密に正確な数値が得られるのです。 ただ、会社全体の生産性を求める際には数ある指標のうち一つだけを参照するのではなく、複数の指標を組み合わせて総合的に判断する必要があるでしょう。あらゆる視点から生産性を分析して会社の課題点や生産性向上への糸口を見つけ出すと効果的です。 人時売上高との違い スタッフ1人が1時間で、どのくらいの売り上げになったかを表したのが人時売上高です。人時生産性と異なる点として、素材やマンパワーをどのくらい消費したかを念頭に入れているかです。後者は1人が1時間のなかで作り出した成果を中心に計算しますが、前者は単純に売り上げだけを考慮します。 その点から、同じ職種間での生産性を比べるときにも役立ちます。どちらも考え方は違いますが、会社がプラスアルファの価値を作るために、ビジネス戦略の構築をする材料として活用されているのです。 どちらかの考えに偏るのではなく、2つの視点から抽出されたものを解析し、全体的に判断することが大切です。 生産性が注目されている理由 生産性向上が課題となっている背景には、時代の変化が関係しています。現代において生産性が注目を集めている理由は、大きく分けると以下の2つが挙げられるでしょう。 労働人口とは「15 歳以上の人のうち就業者と完全失業者を合わせた人の数」を指しますが、少子高齢化の影響もあり労働人口は減少の一途を辿っています。1995年頃には8000万人を突破していた日本の労働人口が、2060年には4793万人になると予測されているのです。総務省が発表する今後の日本の人口割合を見ると、2060年には65歳以上の高齢者が全人口の38.1%を占めるとされており、世界的にも珍しいほどの超高齢化社会に突入するのです。 今後も減少が続く労働人口に対応するためには、限られた労働力でより効率的に成果を生み出すことが重要です。そのために、生産性を測ることに意義があるのです。 2019年4月1日、厚生労働省により働き方改革関連法案の一部が施行されました。働き方改革では長過ぎる労働時間の改善や、正規雇用と非正規雇用の格差をなくし、人種や年齢によらず就業できる、「多種多様な働き方を選択できる社会の実現」を目指しています。 この改革によって各企業には短時間でより成果を上げる必要性が浮上し、生産性向上に注目が集まるようになりました。主要な先進国の中でも労働生産性が最下位に位置している日本において、生産性は全社的な課題なのです。 人時生産性の算出方法 人時生産性は「従業員全員での粗利益高÷総労働時間」で算出されます。この値が高いほど従業員一人の時間当たりの粗利率が高いといえるでしょう。 もちろん、従業員全体ではなく個人単位での算出も可能です。ただし、多くの仕事は個人ではなくチーム単位で進めていたり、各部署が複雑に関係したりして利益を生み出しているため、個人単位での算出が必ずしも適切ではない場合もあると理解しておく必要があります。 具体的には以下のように求められます。 Q.粗利高200万、従業員全体の総労働時間が200時間の場合の人時生産性は?  計算式に数値を当てはめてみると「200万÷200時間」で計算できます。これより、この会社の人時生産性は「10,000円」であると分かるでしょう。 さらに、2社を比較してみます。 Q.以下のA社とB社ではどちらの方が、人時生産性が高いといえるでしょうか。 成果のみに着目するとB社が多くなっています。しかし、計算してみるとA社の人時生産性は2000円、B社は約1333円になります。これにより、A社の方が生産性が高く、効率的に業務を進めていると判断できるのです。 注意が必要なのは、労働時間と粗利益高の数値を正確に把握しておかなければ計算結果も間違った数値になってしまうということです。計算結果と実際の数値に差があると、会社の現状を正しく理解することが難しくなるでしょう。 特に労働時間は、勤怠管理体制が整備されていないと把握しにくい数値です。また、把握しきれないサービス残業などが発生しないように、業務量や職場の働きやすさ改善に取り組むことも重要です。 業種別にみる人時生産性の分析結果 得られる生産性は一定ではなく、職種によって異なります。中小企業庁によると、職種ごとの平均的な値は以下のような結果でした。 このように、飲食は製造と大きな差が出ており、他の職種のなかでも低い値です。ゴールを設定するときは、あらかじめ上記のような職種ごとの特徴をよく考えることが重要です。 人時生産性の向上が求められる理由 生産性を測る指標の中でも、特に人時生産性の向上が必要なのはなぜでしょうか。 公益財団法人日本生産本部が発表した2021年度版の「労働生産性の国際比較」によると、日本の時間当たり労働生産性は49.5ドルであり、OECD加盟38カ国中23位でした。さらに、一人当たり労働生産性は78,655ドルと、OECD加盟38カ国中28位という下位に位置しています。 日本の生産性は世界的に見てもかなり低く、労働時間の短縮や効率化に対する意識改革や取り組みも不十分なのが現状です。それを受けて日本政府が働き方改革を推進したり、業務の自動化が取り沙汰されているなど、日本国内でも世界水準に近づけるための対策が徐々に取られているのです。 人時生産性向上は、従業員一人ひとりの作業効率化を把握するために有効な指標です。人時生産性を定期的に算出して変化を確認しながら、一人が単位時間当たりに生み出す成果を最大化すると良いでしょう。 人時生産性を低下させるロス 生産性が下がる際は、どのようなロスが原因なのでしょうか。ここではおもなロスについてご紹介します。 生産ロス 製造の場で発生する差損を指す言葉です。生産ロスが発生する原因は1つだけではありません。品物を運ぶ作業をはじめとした製造以外の業務に手間がかかったり、商品として扱えない物の修正を行ったりなど、その原因はさまざまです。 このロスを改善するためには、どのプロセスが差損の原因になっているのかを明確にする必要があるでしょう。 例えば「品物を運ぶのには時間がかかって当たり前」という固定概念があっては、その差損に気づかないでしょう。業務全体のロスを理解するためにも、各仕事をあらためて振り返り、配分量を設定し直すことが第一です。 管理ロス 管理する際に発生する待ち時間を指す言葉です。管理チームが作成した生産や修理といったプランが、調整不足や突発的な問題の発生でストップしてしまうときに起きます。そのため、資材待ちや命令待ち、リペア待ちなど、さまざまなロスに派生します。 これは実際の作業上で発生したものではなく、管理側の問題でもあるでしょう。このロスはコントロールできない範囲が広いため、プランの立て直しに難渋するケースが多いです。 動作ロス 配属されているスタッフの動きや仕事の仕方、割り振りのミスなどから発生するロスを指す言葉です。 作業の動きが効率的ではなかったり、材料を配備する環境が良くなくて時間がかかったりなど、ムダな工程が原因であることが多いです。そのため余分に時間をかけてしまい、その分生産性が下がってしまいます。 自動化しないことによるロス […]

人事労務・制度設計・運用

タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化~第1回「採用管理とタレントマネジメントの関係」

タレントマネジメントとは ゴール到達のために、スタッフの知識や技術、経験を細かくチェックし、適切な研修や配属を実行することを指します。ここでは、その概要について深掘りしていきます。 タレントマネジメントの目的 おもな目的として、以下の3つに分類されることが多いです。 1つ目は、スタッフ一人ひとりの能力や個性を見える化して管理したうえで、適切な作業配置を実行します。 2つ目では、それぞれの性格や今後の展望、目標を把握したうえで独自の教育体制を作ることを目的とします。そのため、意欲の向上や離職率の低下につながりやすいです。 最後の3つ目では、到達したいゴールに向けた戦略の構築を行うために導入します。 タレントマネジメントが注目される背景 この戦略は海外で開始されましたが、近年では国内でも注目が広がっています。ここでは、そのきっかけについて解説します。 ■少子高齢化・労働力不足 国内では高齢者の人口が増えている反面、労働者の人口が減り続けています。今後さらにその幅は進行し、2065年には高齢者の割合が40%近くとなるといわれています。 この状況のなかで海外に負けずに競り合うためには、スタッフそれぞれのパフォーマンスを高めていくことが大前提となるでしょう。 もともと日本の生産性は、他の国と比べると高水準に達しているわけではありません。そのため、新しい戦略を展開していかないとさらに衰退が進んでしまう危険性があるのです。 ■人材の流動性が高まっている 昔は生涯雇用や年号序列の制度が当然でしたが、時代が進むにつれて、その風潮は衰退しつつあります。現在では人材が企業に長い期間在職する割合が減少し、転職が当たり前になりつつあるのです。 また能力が高い人材であるほど、成果に見合った報酬を得られる企業に集約する傾向にあります。 つまり、実績によって報酬が左右されにくい昔のスタイルを保っている企業には、秀でた人材は残りにくいのです。そのため、成長できる人材を確保するには、新しい戦略が求められています。 ■仕事に対する価値観の多様化 時代の流れとともに、仕事の形態にも大きな変化がみられてきました。たとえば、正社員だけでなく副業や個人事業主としての独立、短時間業務など、いろいろな仕事のスタイルが増えました。 この経緯には、勤務先の固定化がなくなってきたこと、会社ではなく労働者が中心の雇用になったことがあげられます。 そのため、離れてほしくないスタッフがいる場合は、その方が快適にワークライフバランスを整えられるような環境作りを行う必要性があるのです。 ■DX推進の一環 技術が徐々に進化することで、生活にも大きな変化を迎えつつありますが、それを「DX」といいます。あらゆる情報を収集して質の高い人材をキープしたり、活躍できる場を設けたりすることも、その要素の1つです。 そのため、各地の会社がDXを推し進めています。またタレントマネジメントを取り入れることで、DXで求められる人事情報の積み重ねや応用的な活用に加えて、質の高い人材の確保が可能となります。 このような背景もあり、近年ではDXの推進に注目が集まっているのです。 タレントマネジメントの効果 実際に、どのようなベネフィットを得られるのでしょうか。ここではそれぞれの効果についてご紹介します。 ■多様で優秀な人材が活躍する場を作ることができる 会社の型にはめ込むような仕事ではなく、個人として活躍ができるような業務を行えます。さらに、正社員としての枠組みだけでなく、短時間業務やアウトソーシングなど、その方が希望している仕事形態の選択が可能です。 そのスタッフのスキルを十分にリサーチしておけば、仕事形態にかかわらず、期待通りのパフォーマンスを発揮できるでしょう。また妊娠・出産や介護などのイベントによって、人材が離れてしまうリスクも軽減できます。 ■適切な人員配置が可能になる 企業によっては、その人材のスキルに見合った業務を配置していない可能性があります。そのため、生産性が思うように高くならなかったり、スタッフの意欲低下につながって離職が増えたりするリスクが出てきます。 企業内でどこが足りていないのか、どんなスキルを持った人材を求めているのかを十分に理解できていれば、適切な配置が可能となるでしょう。まずは手持ち無沙汰のスタッフがいないか確認しつつ、それぞれが持っているスキルを把握してみましょう。 ■主体的なキャリア開発の促進に繋がる 適切な戦略構築でスタッフのスキルを活かした職場環境を整えられたら、今後の選択肢も大きく広がるでしょう。スタッフも「自分にはなにが苦手で、なにが得意なのか」を理解しやすくなるので、どんなスキルを伸ばしていくべきかが明確となります。 新しい選択肢を見つけられないことが原因で離職してしまう場合でも、このような柔軟な対応ができれば、長く企業に残ってくれるでしょう。さらに相性がいい仕事と出会いやすくなり、意欲向上にもつながります。 ■企業に必要な人材を計画的に育成できる 一人ひとりのステータスをしっかりと把握していれば、企業のニーズに適した教育を効率的に行えます。 企業にとってどんな知識・技術を保有している人材を確保すべきなのかを整理し、集めた情報からフィットしたスタッフを発見できます。 そしてスタッフの今までの経歴や達成した成果、今後の方向性をチェックしたうえで、それぞれに必要な教育プログラムを作成可能です。 ■従業員エンゲージメントの向上 スタッフの仕事に対する意欲が低下すると、業務内容の質も下がるだけでなく、離職のリスクも増加するでしょう。新しい戦略を導入すれば、スタッフの希望している方向性に着実に進められます。 また、それぞれに適した仕事配属、教育プログラムを実行できます。そのため、スタッフ自身も「この業務が得意だ」「着実にスキルが上がっている」「企業に役立っている」という実感が持てるでしょう。 業務への意欲だけでなく、企業への信頼性も高まるので、良好なサイクルが生まれます。 採用管理とは 採用管理とは、入社希望者の応募から採用決定までの一連のプロセスを管理する業務のことで、採用管理業務の対象となる一連のプロセスは、次の図のようになります。 それぞれのフェーズにおいて、テスト/面接の実施、結果の記録、判定が行われるため、進捗を把握するためには、様々なデータを保管し、簡単に閲覧できるようにする必要があります。 多くの企業では、この採用管理業務でExcelが使用されていますが、テスト/面接の実施予定の通知、結果の記録、進捗状況の把握といった情報伝達が、電子メールやファイルサーバーを経由したExcelファイルのダウンロード、アップロードによって行われる場合、業務ワークフローは非効率で不正確なものとなり、結果として、見落としによる遅延や、採用の進捗状況がわからなくなるといった課題が発生します。 この課題を解決するために、採用管理システムと呼ばれる採用管理業務を支援するシステムを導入する企業もあります。採用管理システムは、応募者(Applicant)の採用プロセスにおける状況を追跡(Tracking)するシステムであることから、ATS(Applicant Tracking System)と呼ばれることもあります。 タレントマネジメントを採用で活用するメリット 採用の場面では、どのような利点があるのでしょうか。ここでは利点を4つにまとめて、詳しく解説します。 採用すべき人材が明確化する 企業内のあらゆる人材データを収集しておけば、質が高くなりやすい傾向や個性が明確になります。その分析を行えば、採用の面で個性が共通している求職者を発見しやすく、どの人材を確保すべきかが把握可能です。 […]

タレントマネジメント・人材管理

人材開発とは?人材育成との違いや種類について解説

労働人口が減少している現在、昔の時代と異なり豊富な人材を確保することが難しくなりました。そのため企業が生き延びるためには、人材の「量」ではなく「質」が求められています。今回紹介する「人材開発」は、社員の質を高めるためには重要な鍵となる施策であり、企業として必ずおさえるべきポイントといえるでしょう。 人材開発とは何か 指導や研修により、社員のスキルや知識だけでなく、人としての対応力を身につけることを「人材開発」といいます。さらに具体的に述べると、以下の2つに分類します。 知識を提供することを「教育」 スキルを身に付けさせることを「訓練」 この両方をうまく活用して、はじめてパフォーマンスを発揮するといえるでしょう。このポイントをおさえれば、社員のさらなる成長が期待できます。もちろん業界やチーム内で求められている能力は異なるので、それぞれに対応した点を中心に指導する必要があります。 人材開発と人材育成の違い 類似している言葉として、社員が足りていない能力を補う、あるいは新しいスキルを獲得するために実施する「人材育成」があげられます。この言葉は対象が若手の社員、あるいは管理職を指して使用する場合が多いです。反対に人材開発は、特定の社員を対象とするのではなく、すべての社員をターゲットとして使用します。 しかしどちらも「社員の能力を高める、スキルを身につける」という部分では、同じ言葉といえるでしょう。実際に使用するときは、両者を厳密に区別せずにどちらも同じような意味で扱うこともあります。 人材開発と組織開発の違い 人材開発とともに耳にする機会が多い言葉に、「組織開発」があります。これは、組織を対象にアプローチするもので、組織がより良い状態になることを目的とします。 例えば、従業員間のコミュニケーションの活性化を図るなどして、組織全体を活発にするなどの施策が挙げられるでしょう。 人材開発と組織開発は意味の異なる言葉ですが、両者は密接に関係しています。組織を構成している従業員の人材開発が不十分なまま、組織開発に取り組んでも期待する効果は得にくくなります。逆に、組織開発が不十分だと社内の雰囲気に悪影響を及ぼして、人材開発の進捗が悪くなる場合もあるでしょう。 人間の行動は、個人が持つ特性と個人が置かれた環境や状況が相互に作用して決まるとする「場の理論」をご存じでしょうか。これは、「組織開発の祖父」として親しまれる、ユダヤ系ドイツ人である心理学者クルト・レヴィンが提唱した理論です。 「場の理論」を企業に当てはめて考えてみましょう。従業員個人の能力や特性を伸ばす人材開発と、従業員が置かれる職場環境や社内の雰囲気や人間関係を改善する組織開発、両側面からのアプローチを行うことが重要だとわかるでしょう。 人材育成の対象と目的 入社して間もない社員を対象に、業務の基本となるスキルの定着を目的に実施します。具体的な項目として、以下があげられます。 WordやExcelといったソフトの操作スキル 他社員と意思疎通を図るためのスキル 時間管理スキル これらを修得した後は、それぞれのチームで必須となるスキルの獲得を目指します。対象が管理職の場合、マネジメントや適切な評価を下せるためのスキルが必要となるでしょう。その他にも業務配置の変更、あるいは職そのものの変化が起こったときも、新たな育成を実施します。 人材開発の対象と目的 特定の誰かを指定することはなく、対象は基本的にすべての社員であり、それぞれの能力の向上を目的に実施します。業務に対しての姿勢や考え方を見直すことでモチベーションを高めたり、今後のキャリアの選択肢を広げたりすることもあります。 人材育成と比べると目的の具体性に欠ける場面もあるため、社員が困惑することもあるでしょう。効果を最大化させるために、人事部を中心に取り組みを推進するだけでなく、他の社員と協力できるようなサポート体制の構築が大切です。 これからの人材開発に必要なこと 必要なことは3つあります。 組織開発と人材開発を同時に進める 人材開発の効果を最大限に発揮するためには、組織開発を同時進行することが欠かせません。人材開発と組織開発はお互いに影響しあっているため、どちらか一方だけ進めても思うような効果が得られないかもしれないのです。 同時進行する上で大切なのは、組織開発と人材開発を進める担当者同士がしっかり情報共有や議論を交わして連携することです。 もしも人材開発において「IT系に強い人材を育成したい」という目標があるとしたら、組織開発でもIT化やDX化などに取り組む必要があるでしょう。環境が整わないと、求める人材が育ちにくくなり、従業員個々の能力も伸びにくくなります。 社員が主体となる仕組み作り 人材開発を適切に進める上で重要なのが、従業員一人ひとりが主体性を持って取り組む仕組みや環境を整えることです。 人材開発では、強制的に研修時間を設けてセミナーや勉強会を受けさせるのは効果的ではありません。従業員個人の能力を伸ばし、必要な知識や経験が身につくように、従業員一人ひとりに合わせた実践の機会を提供するように心がけましょう。 何が成功して何が失敗したのか、その原因など、実体験を通して得た学びは従業員の成長の糧となるでしょう。だからこそ、従業員が自ら意欲的に学べる仕組みづくりに注力することをおすすめします。 しかし、従業員自身が経験を通して学びを得ることは容易ではありません。上司などによるコーチングや会話の機会を設けて、考え方や反省点などを導き出すサポートをしてあげるとより効果的です。 スキルアップのサポート体制を充実させる せっかくやる気を持ってスキルアップに取り組んでいても、小さなことで行き詰まって取り組みを中断してしまう従業員がいます。従業員がモチベーションを維持するためには、いざというときに相談できるメンターの存在が必要です。 企業が人材開発を推し進めるなら、社内のサポート体制を充実させることが成功の鍵となるでしょう。 企業ができるサポートとして効果的な施策は、メンター制度だけではありません。従業員一人ひとりが、各々の好みで伸ばすスキルを検討できる制度や社内環境を整えても良いでしょう。個々がそれぞれのキャリアプランを考えながら、自主的にスキルアップに取り組むことが大切です。 人材開発部の役割・仕事・ミッション ただ社員の開発を進めるだけでは思うような効果は得られません。ここでは以下の具体的な役割について理解しておきましょう。 経営戦略のブレイクダウン 人材開発のためのプラン作成 プランの実行 ①経営戦略・経営計画のブレイクダウン 現在行っている事業や今後の展望を見据えたうえで、細かい部分まで戦略を構築します。育成のために考えるポイントは、役職や立場によって異なるでしょう。経営に関係する部門では、以下のようなポイントについて検討します。 経営の視点で求められる社員について 条件に当てはまった人材を確保するためにはどのようなプランが必要か また現場の各チームでは以下のようなポイントを考えます。 業務に対してのモチベーションが高まるか 専門の知識・スキルを保有するための指導を行うべきか それぞれの視点を尊重しつつ、徐々にプランをすり合わせることが大切です。 ②人材開発計画の作成 今後の方針が決定したら、研修カリキュラムやプログラムを作成します。直近で成果を生み出すだけでなく、今後戦力として活躍するために長期的な視点を持ったプランニングを行うことも重要です。 現在主戦力として業務に携わっているベテラン・中堅社員の活用も大切ですが、世代変化に対応するためにも、若手の社員を中心にプランを進めていきましょう。また人材を効率よく成長させるには、最新の社会のトレンドも理解しつつ、新しい技術を柔軟に取り入れることをおすすめします。 […]

人事労務・制度設計・運用

タレントマネジメントシステムの魅力は?利用メリットと正しい選び方を解説

昨今では評価における考え方も変わり、人材を多角的に見る必要が出てきました。 そこで効率的に運用できるのがタレントマネジメントシステムです。企業のグローバル化や働き方改革にも対応できるとあって導入企業が増加しています。 今回は利用メリットや使える機能を中心に解説していきます。 タレントマネジメントシステムとは タレントマネジメントシステムとは社員のスキル・資質・才能など、目に見えにくい部分までをトータルで評価するシステムです。システムを使うことで一人一人に合った人材育成ができ、企業が求める人材へと成長させられます。 結果、個人の成長だけでなく企業全体が育っていけるのです。そのような理由から、タレントマネジメントシステムは近年最も注目されている人事システムと言ってもよいでしょう。 タレントマネジメントとは タレントマネジメントとは業績や経験だけでなく、従業員個々が持つ才能や潜在能力をトータルで管理する手法です。 タレントは人気者やテレビ出演者などといった意味もありますが、人事で言うタレントは個々の才能を意味します。そのため、特定のリーダーだけではなく、全社員が対象となるのは念頭に置いておきましょう。 また、タレントマネジメントは1990年代にアメリカでうまれ、2010年頃より日本で普及しはじめました。2010年代は団塊世代の大量退職に伴い、ゆとり世代が入社した時期。人事評価が大きく見直された背景もあり、徐々に浸透しはじめたのです。 タレントマネジメントの必要性 タレントマネジメントシステムの必要性は現代の人材戦略と大きく関係しています。企業のグローバル化に伴い、海外で活躍できる人材の育成が急務となりました。 ポテンシャルのある人材を効率的に見つけるには、表面上の業績や経験以外の能力も加味する必要があります。例えば「海外で生活していける忍耐力はあるか?」「外国人と話せるコミュニケーション力は備わっているか?」など、本人の性格やスキルなどに注目する必要が出てきました。 また、現在は人材不足の世の中であり、かんたんに質の高い人材を獲得するのは困難です。結果的に在籍社員の育成に舵を切る企業が大半。効率的に育成するには従業員が備えている能力やポテンシャルに注目する必要があります。 このような理由からタレントマネジメントシステムは重要視されているのです。 タレントマネジメントシステムの目的・メリット ここからは利用目的やメリットを解説します。 評価業務の自動化、効率化 タレントマネジメントシステムは評価業務を自動化してくれます。 例えば「入力したファイルを自動で別のファイルへ移行する」「能力採点をシステムが自動で組み合わせてくれる」などのメリットがあります。今までのような手入力による作業は減っていくでしょう。 加えて蓄積したデータをグラフ化やチャート化してくれるため、分析に掛かる時間も大幅に削減できるはずです。人事評価の効率化を目指す企業にとっては導入する価値はあります。 効果的、計画的な人材開発 システム上で人事評価が完結しているため、紙やエクセルを用意する手間が省けます。個人目標や達成具合なども一目で分かり、効率的に運用可能です。 また、人材育成計画も細かく設定できるため、育成担当者は現在どのような方針を取ったら良いかがすぐに分かります。例えば「入社1年目は営業件数を重視させる」「5年目はリーダー職を見据えて部下の育成に携わらせる」など、部下に対する行動が明確になるのです。 社員全員が目標持って行動できるのは人材開発にとって大きいと言えます。 最適な人材配置 システム上には全社員のデータベースが蓄積されています。そのため、在籍年数・所有スキル・経歴などが誰でも一目で確認可能です。 従業員にとって仕事がしやすくなるのはもちろん、管理者側は「誰にどの仕事を行ってもらうか」「今取り掛かっているプロジェクトは本人にとって合っているのか」が分かります。 会社全体の人材配置が的確に行えるのです。イメージが具体的に浮かび、結果が伴いやすいシステムと言えます。 モチベーションの維持、向上 面談やミーティングで話した内容も細かく記録されていきます。社員の不満や希望がシステム上に残されていくため、管理者側は問題解決に取り掛かりやすいのです。 例えば「3年営業をやっても結果が出ないから企画部に行きたい」と従業員から希望があれば、その内容をシステム上で企画部と共有できます。結果的に異動が叶えば本人のモチベーションアップにつながるでしょう。 このようにシステムを導入すれば、社員にとって気持ちよく働ける環境がつくれます。 定着率の向上 タレントマネジメントシステムは公平な評価が可能です。一般的な業績や経験年数以外にも、目には見えない貢献度がリアルに分かります。 そのため「表面上の営業成績だけが重視されて納得がいかない」「サポート役ももう少し評価してほしい」といった不満も少ないです。 結果的に離職者が減り、定着率が大きく向上します。定着率が上がれば周囲からの評判も高まり、優秀な人材も獲得しやすくなるもの。良い循環がうまれ、会社として大きく成長できます。 タレントマネジメントシステムの機能、できること ここからは利用可能な機能について解説します。 人材データベースの構築・管理(スキル管理) 最も代表的な機能はデータベースの構築や管理です。在籍社員の行動様式から性格まで一括管理できます。履歴書や職務経歴書なども保存できるため、書面をわざわざ確認する手間も省けるのです。 加えて蓄積したデータをもとに人材配置にも役立てられます。説得力のあるデータの活用により、社員から不満がうまれるケースも少なくなるはずです。 また、座席表や組織図などを図や画像としても管理できるため効率化へとつながるでしょう。 後継者管理 リーダー候補を見つけるのはむずかしいですが、そのような後継者管理もシステムで行えます。 まずシステム上で現リーダーのスキルや潜在能力を記録させておきます。その記録をもとにリーダーにふさわしい人物を社内で洗い出してくれるのです。もし後継者がいなくても、どんな人材を採用すれば後継者に適任かを教えてくれます。 また、リーダーをロールモデルとし人材育成することで、新しくリーダー候補を導けます。システムを効率的に使えば、後継者に困る瞬間は減っていくはずです。 目標、人事評価の管理 タレントマネジメントシステムでは全社員の目標や人事評価を一括管理できます。誰がいつどのような目標を立てたのかが一目で分かるのです。 管理者は従業員の目標を把握しておけば、的確なフィードバックを行えます。設定した目標と異なる行動を取っていれば、早急な軌道修正が可能になるのです。結果的に目標達成に大きく近づけます。 目標達成した社員の行動履歴をシステム上で全社員へ共有すれば、目標達成者は増えていくでしょう。 要員計画、配置シュミレーション 会社の戦略に基づいた要員計画や配置シミュレーションが可能です。 例えば「5年後には売上5000万円アップを目指していく」と希望を出せば、年間採用人数の目安を教えてくれます。加えてどの部署に何人配置すべきかを、該当部署の収益を計算した上で導き出してくれるのです。 とくに人材採用の経験が浅い企業や採用担当のスペシャリストがいない場合は頼もしい味方となってくれるでしょう。 […]

人材育成

主任技術者とは?特徴や監理技術者との違いを解説

建設業に携わる方は主任技術者と呼ばれる技術担当者を聞いた経験があるでしょう。工事現場においては配置が不可欠であり、これからなりたい方や工事に関係する人も仕事内容を知っておく必要があります。 そこで今回は主任技術者の特徴や業務内容を中心に解説していきます。 主任技術者とは? 主任技術者とは工事を行う際に配置を義務付けられている担当者です。建設業法には「建設業者は工事を請け負う際、建設現場の管理を行う技術者を配置しなければいけない」と記載があります。 要約すると工事現場ではリーダーを置き、リーダーの指示のもと業務にあたらなければいけないということです。 主任技術者の特徴 主任技術者は現場の管理や指導を行う立場の仕事です。この職種は、工場の規模や元請・下請に関係なく現場に配属する必要があります。 また、主任技術者になるには資格を取得するか実務経験の基準をクリアする必要があるため、後述する内容を確認しておきましょう。 主任技術者の業務内容 主な業務は労働者の管理・監督の仕事がメインです。依頼内容に沿って従業員へ指示を出し、完成に向けて舵を取っていきます。 とはいえ主任技術者は一般的なリーダーの仕事だけではありません。工事計画からはじまり品質管理や安全管理など、幅広い業務を担っています。 そのため主任技術者は負担も大きいですが、やりがいのある仕事と言えるでしょう。 専任と非専任の違い 専任と非専任の違いについて解説します。 専任と非専任は、建設業法第26条第3項により規定されています。 担当建設現場の数 まず最初の違いは担当建設現場数です。専任はその名の通りある特定の現場だけを担当します。他現場との兼任を認められていません。それは安全確保と適切な依頼遂行に向けた意図があるからです。 一方、非専任は一つの現場にとどまらず、複数の現場を受け持ちます。また、専任は一定の請負金額を超えた際に配置する必要があり、非専任とはそのような違いもあります。 具体的な請負金額の違いについて次から見ていきましょう。 工事請負金額 続いては具体的な工事請負金額の違いです。土木一式工事などであれば、3500万円が基準となり、基準を超える場合は専任担当者の配置が不可欠。 建築一式工事は7000万円が基準であり、基準を超える際は専任担当者が必要です。このように請負金額によって非専任で担当できるケースが異なります。事前に確認しておきましょう。 専任と非専任の工事規模 土木一式工事などの工事請負金額 建築一式工事の工事請負金額 専任の主任技術者が必要な工事規模 3,500万円以上 7,000万円以上 非専任の主任技術者でも可能な工事規模 3,500万円未満 7,000万円未満 非専任でも対応できるケース 非専任は前述したとおり、基本的には請負金額の基準を超える工事を担当できません。しかし例外があります。 例えば請負金額が基準を超える現場でも、それぞれの工事内容が深く関係していれば、専任技術者を非専任として複数現場を請け負えるのです。 また、工事内容が深く関係していなくても、それぞれの現場が近ければ二つ以上の現場を掛け持ちできます。 監理技術者とは 監理技術者とは主任技術者の仕事と大きく変わりませんが、請負金額が4000万円以上の場合は主任技術者に変わって配置が必要です。 請負金額の基準が上がるのとあわせて、主任技術者よりも求められるスキルが上がっていきます。事実、資格取得も困難となります。主任技術者であれば、担当する工事内容によって国家資格1級もしくは2級取得を所持していれば良かったです。 しかし監理技術者は国家資格1級の所持と限定されるため、さらなる知識や経験が必要になります。(一定期間以上の実務経験を積んでいても、資格取得用件を満たします) 監理技術者の業務内容 業務内容は指導や監督以外にも工程や品質管理などの職務も担います。 また、工事計画作成にも携わります。このあたりは主任技術者とほぼ変わりません。そのため主任技術者同様やりがいを感じられるでしょう。 一般建設業と特定建設業の違い 一般建設業と特定建設業の違いを説明していきましょう。二つの大きな違いは「工事を請け負っているかどうか?」が基準となります。 ある企業から依頼され自社で工事を行えば一般建設業。反対に工事依頼を出して実施してもらう場合は特定建設業です。それぞれ建設業許可が必要となるため、あらかじめ確認しておきましょう。 比較項目 主任技術者 監理技術者 資格 2級土木施工管理技士2級建築施工管理技士二級建築士 等(一般建設業許可の専任技術者要件と同一) 1級土木施工管理技士1級建築施工管理技士一級建築士監理技術者講習修了者 等(特定建設業許可の専任技術者要件と同一) 工事1件当たりの発注額 土木一式工事など […]

製造業特化

製造業ではスキルアップできる?取得可能なスキルや意識するポイントを解説

多種多様な製品を展開するためには欠かせない製造業。仕事内容は単調なルーティン作業が多いと思われがちですが、実はさまざまなスキルを獲得できるのはご存じでしょうか。 製造業で身につくスキルは現場だけでなく、さまざまな場面で役立つことが多いです。関連した仕事に現在就いており、キャリアアップができるか悩んでいる方に見てもらいたい記事です。 製造業でスキルアップはできるのか 製造業は仕事をしている過程でスキルアップができるのか、イマイチわからない人もいると思います。また、あらかじめ資格を取得する必要があるのでしょうか。ここではスキルや資格の必要性について説明します。 資格を取得する必要はある? 製造業では仕事を続けていくうちに、機器の取りあつかい方や現場の専門的な知識が自然と定着しやすいです。そのため、他の仕事と比べるとスキルアップができない、ということはありません。 また資格に関しても必ず事前に取得する必要もないです。資格を取るためには現場での経験年数が求められることもあるため、それまではスキルアップしつつ、その期間まで待ちましょう。資格があると昇給が見込める職場もあるので、取得が可能なタイミングになったら積極的にチャレンジしましょう。 製造業で取得できるスキル 製造業で取得できるスキルは多数あり、なかには仕事以外でも活用できるものもあります。ここではおもな内容についてご紹介します。 取り扱っている機材や材料の専門知識 毎日の仕事でルーティンのように機器や材料をあつかっていると、意識せずとも知識が積み重なります。これは頭で覚えるより、感覚で身につくようなスキルといえるでしょう。 少しの違和感に気づいたり、効率的なあつかい方を発見したりなど、長年の経験によって仕事がさらに洗練されます。 フォークリフト、危険物取扱者などの資格 現場に必要な知識が積み重なると、専門性の高い資格の取得もしやすいです。とくにフォークリフトをはじめとした資格は、仕事を行ううえで非常に有利となります。 職場によっては資格の保有で手当がもらえたり、取得のための補助金を得られたりすることも。職場を変えたいと思ったときも、資格が役に立つケースが多いです。 実務経験 実務経験を積み重ねて、仕事に必要なスキルや知識を身につけられます。経験年数を積むことは、資格を手に入れるときにも役に立ちます。資格によっては経験年数がある程度求められることがあるので、仕事でスキルを身につけつつ取得を目指せるのは大きなメリットです。 これは製造業に限ったことではありませんが、毎日の仕事自体がその人の飛躍につながります。 スケジュール管理能力 実際の仕事では、決められた納期が設定されていることも珍しくありません。決められたノルマを計画通りに遂行するためには、細やかな管理スキルが求められます。 ノルマを達成するためには、どの程度のスタッフで、どのくらいのペースで作業をすればいいかを考える必要があります。このタスクを管理するスキルは製造業以外にも、さまざまな仕事で活用が可能です。そのため、職が変わったとしても役立つ機会は多いでしょう。 製造業でスキルアップを目指す際に意識するポイント 毎日なにも考えずに仕事をしていると、スキルが身につく機会は減ってしまいます。ここでは、スキルを身につける、あるいは高めるために意識すべき点について説明します。 変化を見逃さない 毎日の仕事で大切なのが、機器や材料などのちょっとした変化に気づくことです。仕事を継続して、ある程度仕事が定着すると、作業の途中でいつもとは違う感覚を覚えることがあります。 その違和感は、もしかしたらなにかしらの変化かもしれません。変化を見逃さず、その原因を諦めずに探ることで、さらなる知識につながります。 常に改善策を考える 現状維持を目指すことなく、常に新しい改善策を考えることが大切です。「このままでもいいか」と考えてしまうと、それ以上スキルや知識の研鑽が望めません。どのような方法で改善を目指すのか、その向上心が成長につながるのです。 とくに、現在うまくいっていない部分の改善は、新しい経験のきっかけになるでしょう。より専門的なスキルを高めるためにも、向上心は忘れないようにしましょう。 スキルアップに必要なものを自己分析する 今の自分の状況を客観的に判断し、スキルを高めるためにはどうすべきかを分析します。自分自身をあらためて見直すと、どの点がすぐれているのか、どこが不足しているのかが明確になります。 今後、自分にはどんなスキルが必要なのかが明確になるので、効率的なアクションを実行できるきっかけにもなるでしょう。 工場の仕事で出世する人の特徴と必要なスキル 工場で成長する人には、以下の点を満たしていることが多いとされています。 職場での昇進を目指す場合、上記のような点をおさえておくことが重要です。これらのポイントは仕事の種類に関係なく、すべてに共通する大切なスキルといえるでしょう。 出世に経歴や学歴は関係ない 職場での出世において、経歴・学歴による影響は少ないといえます。そのようなステータスよりも、実際の現場で必要な技術や知識が求められる業界なので、その点を十分に理解しておきましょう。 学歴に関係なく、入社時期が早いスタッフの方が昇進するケースは多いです。大切なのは、仕事にまじめに取り組むことや、いつまでも学ぶ姿勢を忘れないことです。 スキルが必要な製造業の職種や業務 製造業のなかでも、より高いスキルを求められる分野があります。ここでは、そのなかでも代表的な職種についてご紹介します。 製造技術職 製造技術職は、製造のプロセスの効率化を図る仕事です。この仕事に求められるスキルは以下の通りです。 このように、クリエイティブ性の高いスキルを保有していることが大切です。この職種は、現場の見えない部分をサポートする役割でもあるため、通常の製造業とは違ったやりがいがあります。 生産管理の仕事 生産までのプロセスをチェックし、プラン通りの量を維持する仕事です。この仕事に求められるスキルは以下の通りです。 このように生産までの計画だけでなく、販売に関する知識も必要なので、それらに関するスキルが重要になります。生産管理だけでなく、スタッフに対してのマネジメントが得意な人や、データを用いた分析が得意な人におすすめの仕事です。 製造業で取得できるスキルはたくさんあります 製造業の仕事内容は、一見シンプルなように感じますが、スキルアップにつながる要素がたくさんあります。毎日の成長を実感するためには、常に意識しながら仕事に向きあう姿勢が大切です。 製造業で得た知識や技術は、別の業界の仕事や日常生活でも役立つものが多く、資格の取得にもつながります。自分のキャリアを見据えつつ、今必要なスキルの獲得に励んでみましょう。 スキルナビ編集部

製造業特化

製造業の人事評価表とは?項目の作り方・記入例・スキルマップ連携まで解説

「人事評価表を作ったが、現場から『何を基準に評価されているかわからない』と言われてしまった」「毎年同じフォーマットで評価しているが、それが育成にも配置にもつながっている実感がない」——製造業の人事担当者がこうした壁に当たる根本的な原因は、評価表の項目が業務実態から切り離されていることにあります。 本記事では、製造業の人事評価表に入れるべき項目の設計手順・評価基準の言語化サンプル・スキルマップとの連携方法を、実務に直結する形で解説します。 製造業の人事評価表とは(役割と設計の考え方) 人事評価表とは、従業員1人ひとりの仕事の成果・能力・態度を会社の基準に沿って評価する個人評価シートです。賞与額・昇給・昇進・キャリアプランの判断に使われる重要な書類であると同時に、評価基準を社内に周知することで「会社がどんな人材を求めているか」という方向性を共有するためのツールでもあります。 製造業の人事評価表を機能させる上で特に重要なのは、評価項目を「会社が求める人材像」ではなく「実際の業務を遂行するために必要なスキル・行動」から逆算して設計することです。評価基準が業務実態と乖離していると、評価者によってばらつきが生じ、従業員の納得感も失われます。 人事評価表とスキルマップの違いと使い分け 人事評価表とスキルマップは目的が異なります。人事評価表は「従業員の成果・能力・態度を総合的に評価し、処遇(給与・昇格)の根拠にする」ものです。スキルマップは「誰がどの工程・技術をどのレベルで担当できるかを可視化し、育成計画・配置の根拠にする」ものです。 両者は補完関係にあります。スキルマップがあることで、人事評価表の「技術スキル」項目に客観的な根拠が生まれ、「なぜこの評価か」を数値で説明できるようになります。スキルマップの作り方・テンプレートについてはスキルマップとは?作り方・テンプレート・活用事例を徹底解説を参照してください。 製造現場で評価表が形骸化する3つの原因 製造業で人事評価表が機能しなくなる原因は共通しています。 一つ目は評価項目が抽象的なことです。「積極性がある」「チームワークを発揮している」といった項目では、評価者によって判断がバラバラになります。観察できる行動と成果で定義しない限り、評価の客観性は担保できません。 二つ目は業務定義書(スキル定義)がないことです。従業員が「何を達成すれば高い評価を得られるか」を理解できていない状態では、評価表への参加意欲が生まれません。 三つ目は評価結果が育成・配置に活かされないことです。評価を行うだけで、その結果がキャリア設計や研修テーマの選定につながっていなければ、「評価されても何も変わらない」という感覚が現場に広がります。 製造業の人事評価表に入れるべき項目一覧 人事評価表の評価要素は「成果基準」「能力基準(技術スキル・専門知識)」「情意基準(ヒューマンスキル・態度)」の3つで構成するのが基本です。 技術スキル・専門知識の評価項目(例:設備操作・品質管理・安全管理) 製造業の評価表で最も重要な軸が技術スキルです。職種・工程別の具体的な項目例は以下の通りです。 カテゴリ 評価項目サンプル プレス加工 SOPに従い、安全確認から完了記録まで1人で完遂できる 溶接 指定された溶接条件で規定品質の溶接ビードを安定して形成できる 品質検査 社内規定に照らし、合否を独力で判定・記録・報告できる 設備保全 定期点検項目を手順書に従い単独で実施・記録できる 安全管理 ヒヤリハット発生時に報告・原因分析・再発防止案を1人でまとめられる 図面読解 製品図面から公差・材質・加工手順を独力で読み取り作業指示を出せる 「プレス機を使える」「品質検査ができる」という曖昧な表現は避け、観察・確認できる行動と成果で記述することが重要です。この定義の精度が、評価のバラつきを最小化します。 ヒューマンスキルの評価項目(例:チームワーク・改善提案・指導力) 技術スキルだけでなく、組織力に貢献する行動も評価対象に含めます。 カテゴリ 評価項目サンプル 改善提案 生産工程のボトルネックを見つけ、具体的な改善案を提案・実行できた 後輩指導 OJTで担当した後輩が対象スキルの自立レベルに到達した 情報共有 不良発生時に関連部署へ即時連絡・水平展開の行動をとった 協調性 ライン変更時に他工程を積極的にサポートし、ラインの停滞を防いだ 安全意識 ヒヤリハットの報告率が前期比で向上し、職場の安全水準に貢献した 情意基準(態度・やる気)は定量化しにくいため、「積極的に取り組んでいる」という主観的な記述ではなく、上記のように具体的な行動と結果をセットで記載することで評価の根拠になります。 等級・役割別の項目調整の考え方 評価項目は等級・役割によって比重を変えます。一般作業員は技術スキルの習得度を中心に評価し、中堅・リーダー層は改善提案・後輩指導・多能工化への貢献を加えます。管理職層はライン全体の生産性・育成の仕組みづくり・ISO対応の推進といった組織貢献の項目を中心に据えます。 同じ「安全管理」という項目でも、一般作業員には「手順通り実施できているか」を、リーダー層には「ラインへの安全教育を実施したか」を問うように、同じカテゴリの中で等級ごとに期待行動を変えることが、評価の公平感を生みます。 スキルマップと評価表を連動させることで、「このスキルがLv.3になったから評価が上がった」というプラスの加点要素が明確になります。従来の「ダメ出しの場」になりがちな人事評価が、「挑戦すれば数値で認められる」というモチベーションを引き出すツールへと進化します。 人事評価表の作り方(5ステップ) Step1:評価軸と等級体系の整理 まず自社の等級体系(一般作業員・中堅・リーダー・管理職など)を整理し、各等級に「何を期待するか」を言語化します。ここで決まった期待行動が評価項目の骨格になります。 Step2:各項目の評価基準(1〜5段階)の言語化 […]

製造業特化

人的資本開示とは?義務化される19の開示項目について解説!

現代ではITや科学技術の発達が目覚ましい中で、人が備える資本についてもあらためて注目されています。同時に、人的資本の情報開示が重要とされはじめたのです。では一体重要視される背景は何でしょうか。そこで今回は人的資本の情報開示が必要な理由と開示する際の注意点などを解説します。 人的資本開示とは? 人的資本とは人間が備えている知識・技能・資格などを指します。人的資本という言葉に聞き慣れないかもしれませんが、「人的資本への投資」と言われれば馴染み深いでしょう。学校での教育・職場での研修・子育てなど、人に対して投資を行う活動を言います。 人的資本に投資を行えば、一人一人が成長するだけでなく、実力を存分に発揮できるのです。例えば、社内研修を積極的に行うと、実践的なスキルが身に付きます。習得したスキルで成績が上がれば、さらに仕事に対するモチベーションが上がるはずです。最終的には企業全体の利益向上につながります。 実際、最先端技術を用いて事業成長を遂げている企業は、人的投資を積極的に行っているのです。結果、人の成長スピードが早く、技術を生む基盤が確立されています。以上のように、現代では表面上の技術に頼っていても、どこかで息詰まります。大切なのは中心にある「人」の力であり、人的資源への投資が不可欠です。 人的資本開示と人的資本経営の違い 人的資本経営とは、資本である人材の価値を最大限に高め、中長期的に企業の価値を向上させることを目指す経営手法です。 一方、人的資本開示は企業ごとに人的資本経営の考え方、取り組み等は施策実施をしたとにデータに基づいて情報を開示することを言います。人的資本開示は、人的資本経営の方針や取り組みがあるからこそ実現できるものです。 人的資本と人的資源の違い 人的資本と似た言葉に人的資源があります。混同されやすい言葉であるものの、両者の大きな違いは目的です。人的資本は人に対して研修や教育を行い「投資」を行っていきます。投資を行った結果、企業利益としてリターンが期待できます。 一方、人的資源は企業運営に必要なリソースであり、人を「消費」していくのです。企業運営に欠かせない要素にヒト・モノ・カネ・情報がありますが、そのうちのヒトに該当します。組織形成のために人を成長させるのが人的資本であり、一人前になった人を戦力として活用するのが人的資源。そのように例えると分かりやすいかもしれません。 人的資本は人を最大限活用するためにあり、人的資源は効率的に運用するためにあります。以前までは人に対する注目度が低いゆえに、人的資源と考えられる傾向にありました。しかし、現在は人に着目する企業が増えたため、人を人的資本と捉える傾向が出てきたのです。 このように、両者には大きな違いがあるため、まずは特徴や言葉の背景を把握しておきましょう。 人的資本開示を行う目的とは? 人的資本の情報開示は、企業がステークホルダーに人的資本経営を実践していることを伝えるために行われます。非財務情報可視化研究会による資料によれば、競争力や持続的な価値向上には人的資本への投資が不可欠であり、投資家も人的資本経営に基づく情報開示を期待しています。 また、ESG経営の一環としても、人的資本の情報開示は重要であり、企業のESG経営に関する情報を広く周知する役割も果たします。 人的資本の情報開示の義務化はいつから? 2023年度より、日本でも人的資本の情報開示が義務付けられるようになりました。 2023年から義務化 2023年3月以降、日本では「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正により、特定の金融商品取引法発行者に対して人的資本の情報開示が義務化されました。これにより、有価証券報告書などでの提出が必要とされます。 人的資本に関する記載必須事項は、サステナビリティ情報の「戦略」と「指標及び目標」の2つです。また、女性活躍推進法に基づき公表されている「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」などの指標も、これらの企業において有価証券報告書などでの記載が求められます。 義務化対象となる企業 人的資本の情報開示の対象は、金融商品取引法第24条に基づいて有価証券報告書を提出する約4,000の大手企業です。有価証券報告書は企業が自社情報を公開するための資料であり、金融商品取引法に基づいて内閣総理大臣に提出されます。 この書類は法律で義務付けられており、虚偽や不提出は罰則の対象となります。情報の正確性と適切な提出が重要です。 日本における人的資本の情報開示の動向 人的資本の開示が義務化されるまでに、様々な動きがありました。これまでの人的資本の情報開示の動向を解説します。 ISO30414 ISO30414とは2018年に国際機構が発表した人的資本に関する指針です。当指針は11領域49項目に分かれており、労働力の維持や社内外に向けた情報開示を求める内容となります。情報開示を行うことで、日本だけでなく世界的にも透明性を追求できるためです。 指標が定められた背景には世界的な人権・環境問題が大きく影響しているでしょう。SDGsへの関心が強まり、持続的成長が見込まれる企業が注目を浴び始めました。また、ESG投資に関心が寄せられる中で、人材育成や多様性への取り組みが注目を集めています。 さらに、前述した人材版伊藤レポートの中で「企業が成長するためには、人的資本の活用が不可欠である」と発表されたのも、ISO30414に関心を寄せられる一因でしょう。今後も人的資本の枠組みとして、ISO30414の活用が期待されます。 日本企業に求められる開示内容 日本企業は自社株が市場で広く売買され、企業の成長と共にステークホルダーの数も飛躍的に増加します。その影響で開示すべき内容や利害関係者が知りたい内容も増えていくのです。企業においては会社法・金融商品取引法などの制度に沿って開示していけば問題ありません。 とはいえ、範囲が広いゆえに要領を得ない開示を行う企業も増えています。そのため、次から解説するポイントを重点的に押さえておきましょう。 可視化と実践の連動 まずは情報の可視化と実践の連動を行っていきましょう。情報の可視化とは具体的に「企業が成長していくためにはどんな人材が必要か?」「業界で勝ち抜くために人材戦略をどう考えているか?」を見える化するということです。企業の人材に対するビジョンが明確化すれば、投資家は納得します。 また、実践の連動とは、可視化した情報における行動の移し方です。前述した例であると、獲得した人材の育成方法や考案した戦略の数値化などになります。より具体的かつ端的にステークホルダーが納得できるかたちで、開示する流れです。 可視化と実践の連動のポイントを押さえておけば説得力が増し、企業の信頼性はさらに上がっていくでしょう。 「価値向上」「リスクマネジメント」の2軸による項目化 情報開示にあたっては価値向上におけるプラスの面と、リスクマネジメントに関するマイナスを防ぐ面の両立化が必要です。価値向上に関しては教育実習・資格取得・スキル投資などが該当します。このように社員へ投資を行えば、ひとりひとりの価値は向上し、企業利益は大きく上がるはずです。 一方、リスクマネジメントは労働安全・身体的健康・サプライチェーンなど。主に社員が業務を問題なく行えるかに着目しています。言わば、価値向上は「攻め」であり、リスクマネジメントは「守り」です。 攻めだけの情報であると投資家は不満に感じるでしょう。反対に守りだけでは今後の成長に希望が持てないかもしれません。企業経営やスポーツ同様、情報開示においても攻めと守りの視点から、動いていく必要があるのです。 「人材版伊藤レポート」の公開 まずはじめに紹介するのが人材版伊藤レポートです。人材版伊藤レポートとは、経済産業省主催の人的資本経営検討会にて、座長である伊藤氏がとりまとめた報告書になります。現在は「人材版伊藤レポート2.0」(以降「レポート」と称する)が最新版であり、過去に公表されたレポートより詳しく追求したものです。 レポートがうまれた背景としては、時代の変化による、人的資本の重要性の高まりがあります。企業が成長するためには、長期的に見て人的資本への比準を高める必要があるのです。伊藤氏はそんな必要性を感じたからこそ、レポートにて公表しました。 具体的な内容は大きく「経営・人材戦略の連動」「働き方の多様性」について書かれています。経営・人材戦略の連動では経営と人材を一緒に考えるべきと説いています。ビジネスの成長には人材への投資が不可欠であり、人材戦略を経営戦略と同レベルで考えるべきと書かれているのです。時代の変化に伴い、社会の流れに沿った人材を育てる必要があります。 また、働き方の多様性については、働く環境への投資をメインに解説しています。テレワークやサテライト勤務をより普及させるため、社内PCの充実化・コミュニケーションツールの導入・オンライン研修の採用などを推進しているのです。人が場所を選ばず働ける環境になれば、より生産性が上がると伊藤氏は解説しています。現在はレポートの内容を実践している企業が増え、実際に結果が出ている会社も見受けられます。 内閣が「人への投資」の抜本強化を宣言 岸田内閣は人への投資について、大々的に取り組むとされています。まず大きな対策としては3年で約4000億円の施策パッケージの導入です。具体的にはオンライン研修導入による助成金制度導入や業務外セミナー参加の補助金制度などになります。 オンライン研修導入となれば、時間や労力が必要です。仕事とは別のセミナー参加となれば、お金も掛かってきます。そのような問題をクリアするため、政府は助成金や補助金を取り入れました。 また、内閣はIT人材不足に対する課題についても言及しています。例えば、IT未経験者を雇用し研修を行う場合、経費助成金を60%まで引き上げているのです(以前までは45%)。加えて、研修に伴い資格受験を受ける際も、受験料助成金の特例が適用されます。 以上のように、政府は人への投資を抜本的に強化しており、人的資本への取り組みに積極的です。 経済産業省「非財務情報の開示指針研究会」の開始 政府は情報開示について議論するため、非財務情報の開示指針研究会をスタートしました。背景としてはESGとも大きく関係しています。社員の健康状態・働き方の多様性・賃金の公正性について、投資家はより高いレベルを求める傾向になりました。 実際に米国では人的資本に関する情報開示について義務付けを行っています。欧州では今後情報開示の動きが広がる見込みです。そのような世界的な動きからも、日本でも人的資本の情報開示について議論されています。 そして、情報開示における多くの基準では、人材育成・従業員の安全・ダイバーシティに関する事項が盛り込まれているのです。「人材育成にどれだけ力を入れているのか?」「常に安全で働きやすい環境をつくっているか?」などが基準となります。 […]

人事労務・制度設計・運用
タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは?メリットや人事システムとの違いについて解説

昔の時代と比較すると人材の活用方法は大きく変化しました。そのため今の時代に適した戦略を選択しないと、企業の成長は難しいといえます。豊富だった人材は徐々に減少しているため、限られたリソースを最大限に活用する方法が求められています。 今回は現代の企業経営に必要な「タレントマネジメント」について詳しく紹介したいと思います。 タレントマネジメントとは? 近年注目されている「タレントマネジメント」とは、人材が備えている能力・スキルを可視化し、そのパフォーマンスを最大活用するための戦略です。人材の基本情報だけでなく、保有している資格や経歴といった情報を管理することで、適切な業務配置や育成の方針を決定できます。またマネジメントをスムーズに行うために開発されたツールが「タレントマネジメントシステム」です。 この戦略が注目された理由として、時代とともに社会が変化したことがあげられます。以前の終身雇用が当然だった時代は、「スキル」より「量」を重視していました。人材を増やすことで新事業の拡大ができたので、スタッフ1人1人の質は必要以上に問われませんでした。 しかし終身雇用が崩れ、人材の移り変わりも頻繁に増加したため、少しずつ質を重視する時代に変わります。さらに高齢化が進んだことで人材の確保も難しくなり、限られた人材を活用する方法が求められた結果、このマネジメント戦略が生まれました。このように人材の質を追求するタレントマネジメントは、現在の社会の流れに適した戦略といえるでしょう。 人事システムとは? タレントマネジメントについて説明しましたが、人事システムも解説したいと思います。人事システムとは人事情報を管理し、業務をスムーズに行うためのツールです。おもに以下のような情報を管理します。 採用 スタッフ 評価 給料 人材指導 業務配置 など どれも人材にとって重要な要素でもあるため、人事スタッフの負担を減らす他にも、業務ミスを無くすためには欠かせません。このツールは幅広い業務に対応するため、それぞれの分野に分けられます。 勤怠管理システム:スタッフの勤怠記録 人事管理システム:入職手続きや申請 給与計算システム:勤怠情報から給与を計算 人事評価システム:スタッフの評価や業務配置 採用管理システム:求人募集 このように人事業務全般をスムーズに行うために運用するのが人事システムです。 タレントマネジメントと人事システムの違い タレントマネジメントと人事システムについて説明しましたが、どんな違いがあるのかイマイチわからない方もいると思います。類似している要素はありますが、それぞれの「目的」に大きな違いがあります。 タレントマネジメントは企業経営の成功を目的に用いられることが多いです。人材の能力・スキル情報を細かく管理することで、適切な業務配置や人材育成を行い、企業の生産性を高めます。企業内部の円滑化というより、経営戦略を練るための取り組みといえるでしょう。 一方人事システムは、人事業務の効率化を目的に用いられることが多いです。人事業務は幅広く煩雑になりやすいため、システム運用して担当スタッフの負担やミスを減らします。タレントマネジメントと比較すると、経営の戦略より企業内部、とくに人事部の業務の効率化に特化したシステムです。それぞれの目的が異なることを理解したうえで、うまく活用することが大切です。 タレントマネジメントのメリット タレントマネジメントについて大まかな概要について説明しましたが、具体的にどんなメリットを持っているのでしょうか。今回は3つに分けて紹介します。 少ない人材でも業務を遂行できる 人材のスキルを正確に把握できていないと、業務に対するスタッフの人数が多く効率が悪い、ということも起こります。一見人数は多い方がいいと思われがちですが、チーム内の意思疎通にかかるコストを考慮すると、最低限必要な人数であることが望ましいです。タレントマネジメントを運用すると人材のスキルが可視化され、効率的な業務配置が可能です。ムダのない適切な人数を配置できるので、必要な人材のみでコストパフォーマンスの高い業務が行えます。昔のような年功序列や職務に分けて、すべてのスタッフに同じ研修を行うスタイルでは効率的ではありません。事業に必要な人材をピックアップし、各スタッフにあわせた教育体制を整えるスタイルが重要といえるでしょう。 人材の育成 人材の育成はどの企業にとっても頭を悩ませる課題です。とくに中小企業はコスト面よく考える必要があるため、十分な教育体制を整えることが難しい傾向にあります。その結果人材をうまく育成できず、次世代のスタッフにノウハウが伝わらない、といった問題が起きます。タレントマネジメントを活用することで、それぞれの人材の得意・不得意がすぐに把握できるため、育成の方針が明確化しやすいです。 また人材が必要としている教育プログラムを構築できるので、育成に必要なコストをおさえることが可能です。ムダのない育成を行えることから、スタッフも短期間で効率的に成長できます。 従業員のモチベーション向上 人材のモチベーションは企業の生産性に大きく関わる要素といえるでしょう。希望に沿わない業務配置や正当性に欠けた評価は、スタッフのモチベーションを低下させる原因です。最悪の場合、離職につながるケースもあるので注意が必要です。タレントマネジメントの運用で、人材に適切な業務、信頼性の高い評価を提供できます。 また先ほど説明した教育体制も整えられるので、スタッフのモチベーションの向上につながります。その他にもスタッフの意見を汲みとるための1on1面談や、業務配置後の状況確認もおすすめです。限られたリソースを活用し企業として躍進するためには、経営戦略だけでなくスタッフのマネジメントも重要です。 まとめると、タレントマネジメントを運用するメリットは以下のとおりです。 少ない人材で業務を行える 人材育成が可能 モチベーションが向上する このように現代社会にとって欠かせないメリットを搭載しているのが、タレントマネジメントの強みです。 タレントマネジメントで人材のパフォーマンスを高める タレントマネジメントと人事システムは類似している要素はありますが、その根幹は大きく異なります。それぞれの仕組みを理解したうえで、特徴を活かした運用を心がける必要があります。 またタレントマネジメントにはさまざまなメリットがありますが、うまく運用しないとかえって逆効果となる危険性もあります。正しく運用するためにはシステムの導入を行い、人材のパフォーマンスを最大限に発揮できるような戦略を組み立てていきましょう。 スキルナビ編集部

タレントマネジメント・人材管理