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グローバルタレントマネジメントの必要性とは?グローバル化に対応する人材管理のメリットと導入方法を解説!

グローバルタレントマネジメントの必要性

従業員一人ひとりの個性や能力を最大限発揮できるような人事戦略を実施するタレントマネジメント。昨今の日本では働き方改革や労働人口の減少、価値観の多様化からマネジメントに対する考え方が変化してきました。中小企業でもグローバル化が求められる時代となり、時代に合わせた「グローバルタレントマネジメント」を取り入れる企業が増えてきたのです。

グローバルタレントマネジメントについて、導入のメリットや実現の手法などを詳しく解説します。

グローバルタレントマネジメントとは?

グローバルタレントマネジメントとは、グローバル人材が個人の能力を最大限発揮できるように行う人材管理手法のことです。グローバル(global)とは「地球規模、世界的な」という意味を持つ英単語であり、近年耳にする機会の多いグローバル人材とは日本国内に限らず世界中で活躍できる人を指しています。

もともと1990年代にアメリカから発祥した「タレントマネジメント」は、従業員一人ひとりの才能や能力、知識や技術などを客観的に分析して最適な活用方法を見つけ出すという手法でした。日本には2010年ころから取り入れられていますが、労働人口の減少や世界的な国際競争が課題になり始めてからは、世界で活躍できる人材に着目した「グローバルタレントマネジメント」が注目されているのです。

人材活用に特化したシステムも開発・販売されており、システムの導入によって各企業は人材の採用から育成まで一貫して、効果的な人事戦略が実現できるようになっています。

グローバルタレントマネジメントでできること

グローバルタレントマネジメントを取り入れることで、以下の3つの効果が期待できます。

  1. 人材の一元管理と可視化

     グローバル人材の能力を発揮してもらうためには、まずその人がどのような才能を秘めており、どのような能力を持っているのかを知る必要があります。グローバルタレントマネジメントでは、個人のスキルや経験、配属部署や社内で生み出してきた成果を一元管理するため、誰がどの仕事に向いているかが分かりやすくなるでしょう。

    数値化しにくい個人の性格や好みも把握できるため、一人ひとりを総合的かつ客観的に評価した上で適切な人材配置を実施できます。

  2.  人材の最適化

     グローバル人材を採用後に課題となるのは、その能力を活かしきれていないことです。個人が持っている才能に気付いていなかったり、グローバルに活躍できるはずの人材を人手が足りないからと国内勤務のみに従事させていたりする企業もあるかもしれません。

    グローバル人材がより力を発揮できる場所で働けるように人材配置の最適化を計画しましょう。企業がこれからのグローバル化に伴い激化する競争の中で生き残るためには、最も効率的に成果を上げられるような工夫が必要なのです。

  3. 人材育成

     グローバル人材は社外から採用するのではなく、社内で育成することもできます。グローバルに活躍できる素養を持っている従業員や、会社にとって必要な能力を秘めている従業員もいるでしょう。グローバルタレントマネジメントでは、グローバル人材の育成も行うのです。

    社内研修など育成のための費用や時間は必要ですが、会社の雰囲気や考え方を理解している従業員を育成したほうが、新たにグローバル人材を採用するよりも得られる成果は大きくなる可能性があります。個人の資質を見極めた上で、育成計画を立てると良いでしょう。

グローバルタレントマネジメントが必要な理由

グローバルタレントマネジメントが注目されるようになった背景には、従来のタレントマネジメントでは対応しきれなくなった時代の変化があります。かつて日本では終身雇用制度や年功序列の考え方が主流でしたが、現在は年齢に関係なく個人の能力が評価されるようになっています。転職も珍しいことではなくなり、人材の「質」が重要な時代になっているのです。労働人口の減少や働き方改革の推進もあり、従来のタレントマネジメントを取り入れている企業によっては人材の流出が目立つようになりました。

従来のタレントマネジメントが抱える課題は2つあります。

  • モチベーションの高い人材確保

働き方改革や価値観の多様化は、雇用の流動化を生み出しました。労働人口の減少もまた、有能な人材確保の足かせとなっています。従業員の定着のためにはモチベーションの維持が重要ですが、終身雇用制度が前提だった従来の考え方では対応しきれていないのが現状です。

各企業は仕事へのやりがいを感じる適切な人材配置、ワークライフバランスの確保、明確なキャリアビジョンの提示が求められているのです。

  • グローバルへの対応ができる人材の確保

従来の方法では世界的な視野を持たず日本国内で活躍する人材確保がメインでした。しかし、激化する国際競争において、グローバルな視野を持って活躍できる人材の確保は重要です。

日本人以外の労働者の雇用や、外国語に精通した従業員の採用や育成を通してグローバルに対応可能な人材の確保が求められています。

この2つの課題解決に役立つのがグローバルタレントマネジメントなのです。

グローバルタレントマネジメントのメリット

取り入れるメリットは4つです。

グローバル人材の可視化と最適化

人材活用において、従業員がグローバル人材の素養があるかどうか、能力を活かせるポジションにいるかどうかは重要です。個人の能力やスキル、性格などを加味して一元管理できるグローバルタレントマネジメントによって、グローバル人材の可視化が可能になるでしょう。

さらに、可視化された人材を最も能力を発揮できる部署に異動させることで人材配置を最適化できます。

グローバルレベルの最適

海外で従事している人材も含め、会社全体の人材を把握しておくことは、企業の全体最適に役立ちます。全体最適とは、会社や組織を経営または運営する場合において、稼働しているシステムや仕組み全てが最適化されている状態を指します。

全体最適ができるとグローバルレベルの成長が期待できます。海外展開する会社が自社の利益を最大にする戦略を立てる際に、大きなメリットが得られるでしょう。

人材の最大活用

会社には多くの従業員が所属していますが、一人ひとりの能力を活かしきれているでしょうか。実は英語が流暢に話せる従業員や、海外勤務に興味がありやる気を持って仕事に取り組める従業員もいるかもしれないのです。

グローバルタレントマネジメントでは個人のスキルや経歴のほかに、性格や好みも把握できます。そのため、活かしきれていない人材を見つけて、従業員の力を最大限に活用できるようになります。

⇒AIとタレントマネジメントについて詳しく知りたい方はこちら

グローバル人材の育成

グローバル人材を育成し、会社の競争力を高められるというメリットもあります。人材を発見するだけではなく後進育成のためにも活用することで、社内に世界で活躍できる人材を増やし国際競争に打ち勝つ力をつけるのです。

さらに、社内で従業員を育成すると人材流出の防止にもつながります。なぜなら、時間と費用をかけて育成された人材は、会社に対する愛着心や貢献意欲の向上がみられるためです。人材育成により、高いモチベーションを持ってグローバルに活躍するようになるでしょう。

⇒タレントマネジメントのデメリットについて詳しく知りたい方はこちら

グローバルタレントマネジメント実現の手

具体的な手法を紹介します。

日本人が海外に赴任

グローバルタレントマネジメント実現にあたって、まずは日本人従業員を海外に赴任させる必要があります。企業のグローバル化には海外拠点を設け、海外事業を軌道に乗せることから始まります。そのために、まずは海外赴任する間の人事評価基準策定や、赴任する人材の客観的事実に基づいた選定、赴任前の研修などを行うと良いでしょう。

今後の事業拡大に向けて、どのようなスキルや能力を持った人材が必要なのか、何人ほど必要なのかなどの目安にもなるため、まずは日本人の海外赴任が必要です。「急(せ)いては事を仕損じる」というように、グローバル化を急いで推し進めては人材不足に陥ってしまうので注意しましょう。

ローカル人材の育成

事業規模が大きくなると、海外赴任した日本人だけでは業務の遂行が難しくなるため、ローカル人材の採用が必要になるでしょう。赴任先の現地スタッフを採用し育成することが、中長期的な目線での海外事業成長につながるのです。

タレントマネジメントを活用して、ローカル人材の経歴やスキル、人事評価や性格を把握しながら一人ひとりに合わせた育成計画が必要です。ローカル人材の育成においては、将来的にどのような仕事まで任せるかを明確にした上で取り組むと良いでしょう。現地スタッフのマネジメントまで一任したい場合には、より高度な教育が必要になります。日本独自の考え方や認識のすり合わせも必要になるかもしれません。スタッフの一人として単純作業のみ任せたいという場合もあるでしょう。活用方法に合わせた計画的な人材育成が求められます。

グローバル人材の育成

海外拠点が増えてくると、グローバル人材の不足や適切な人事配置が課題となってくるでしょう。この時、グローバルタレントマネジメントが役立ちます。グローバル人材を一元管理し、能力を最大限発揮できるポジションに配置することで、戦略的な人事が可能になります。さらに、グローバルに活躍する資質を持つ人を見つけ出せるため人材不足も解消できるでしょう。

会社にとって必要なスキルや能力を持つ人材を育成し、海外で活躍できる環境に配備することで、各企業は人材の確保に悩むことなく事業展開が可能になるのです。

⇒タレントマネジメントのスキルマップについて詳しく知りたい方はこちら

まとめ

激化する国際競争や日本国内の価値観の変化などに合わせて、企業は人材の活用方法を見直す必要に迫られています。適切に対応するためにグローバルタレントマネジメントを取り入れて、会社の全体最適を図りましょう。

日本でも人材管理システムを導入し、グローバル人材の採用や育成に注力している企業が増えつつあります。企業の現状や確保している人材を見極めて最適な手順を踏みながら、着実にグローバル化を進めると良いでしょう。