1on1ミーティングとは?部下のやる気を引き出す効果的な1on1ミーティングの進め方
人材育成の現場で近年注目を集めている「1on1ミーティング」という手法があります。上司と部下が1対1で目標や長期的なキャリアプランを相談できる場として、社内のコミュニケーション活性化や従業員のモチベーションアップに役立ちます。 限られた人的資源を最大限に活かすためにも、1on1ミーティングのような人事施策は必要ですが、事前の準備がないまま導入しても効果はありません。今回は、1on1ミーティングの定義や普及の背景、その時間を価値あるものにするために押さえておきたい効率的な進め方を解説します。 1on1ミーティングとは 1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話することです。1on1ミーティングは、優秀な人材を確保しながら育成する必要があって人材獲得競争が激しかった、アメリカのシリコンバレー発祥だとされています。 1on1ミーティングは評価面談ではなく、部下の成長の後押しや上司と部下の相互理解を深め信頼関係を築くために行う対話である点が特徴です。部下の成長の定点観測や、信頼関係構築のためには定期的かつ長期的に実施する必要があるでしょう。例えば、1on1ミーティングを導入している会社には「週に1回、1回30分」と決めて習慣化しているところもあります。 このように導入企業が増え、各企業の人事担当者から注目を集めている背景には、大手企業が実際に導入して成功した事例があります。大手インターネット会社のヤフー株式会社もその一つ。ヤフーのコーポレートブログでは、「1on1ミーティングとは、組織運営の向上を目指し、最大限の潜在力を引き出す目的で部下のために行う面談」だと記載されています。この考え方に基づき、ヤフーは実施のためのガイドラインを作成したのです。社内で同じ目的を持ち同じような流れで進められるようになり、効果的な人事施策だったといえます。 また、社会や働き方、考え方の多様化も1on1ミーティング普及の背景にあるでしょう。若い世代のほうがインターネットシステムに詳しい場合もあるように、上司が出す指示に部下が従うマネジメント形式が必ずしも正解とはいえなくなっているのです。上司と部下が1対1で密な対話を行うことで相互理解を深め、お互いに連携を強めることが、結果的に会社の発展につながります。 また、「プライベートを大事にしたい」など、個人の考え方を知る良い機会にもなります。相手の考えを知り尊重することは、多様化する社会において重要でしょう。他にも、定期的なミーティングによって部下は「気にかけてもらえている」と感じモチベーションアップが期待できます。優秀な人材の流出防止も期待できるため、1on1ミーティングは組織力強化に有効な対話手法だといえるでしょう。 1on1ミーティングを行うための事前準備 実践にあたって3つの事前準備をしましょう。 目的の共有 1on1ミーティングの目的には「部下の成長」があります。参加する部下自身が当事者意識を持って対話に臨むためには、目的を明確にして共通認識としておく必要があるでしょう。部下が自発的に成長したいという意欲を持てれば、1on1ミーティングの効果は最大化します。 「上司との1対1のミーティング」と聞くと、部下はどうしても「評価される」と感じてしまうため、人事評価には影響しない点もしっかり伝えると、本音を言いやすい雰囲気ができるでしょう。話しやすい雰囲気作りのために、上司は傾聴して部下の自発的な発話を促すことがポイントです。あくまでも主役は部下である点はしっかりと伝えておくことが重要です。 テーマを用意 1on1ミーティングで話すテーマも事前に用意しておきましょう。いざ上司と対面して「何か話したいことはあるか」と聞かれても多くの人はすぐに回答できないでしょう。時間を効率的に使う意味でも、実施する日の数日前までには部下が抱えている課題や問題点を洗い出してテーマを用意しておく必要があります。ここで押えておきたいポイントは、1on1ミーティングのテーマは部下が考えるということです。「主役は部下」という認識は崩さず、部下が話したいことや聞いて欲しいことを話題の中心としましょう。 よく取り上げられるテーマは以下のような内容です。 今後の目標 業務上の問題 業務で課題や疑問に感じていること 中長期的なキャリアプラン プライベートな悩み 健康上の悩み これらに代表されるような部下が取り上げたいと思ったテーマは、前もって上司に共有しておくとスムーズです。限られた短い時間で、充実した内容の1on1ミーティングを行うためには事前準備が欠かせません。無駄なく対話に入れるようにして、上司も部下もしっかりと準備しておきましょう。また、あらかじめ話題を共有しておくことで、上司も十分な心構えと準備をして対話できるようになります。 質問内容の用意 部下がテーマを決めたら、上司が質問内容を用意します。大まかな進め方、どのような質問をするか、部下主体で対話するためにはどうしたら良いかを考えておくのです。ただ、主役は部下なので、事前に用意した質問をしなくても問題ありません。臨機応変に柔軟な対応を心がけてください。 上司からすると、部下の悩みや思いを知ってつい具体的なアドバイスや指導をしたくなるかもしれませんが、1on1ミーティングは部下主体で対話するというポイントは忘れないように認識を強める必要があります。先入観を持たずに部下の声に耳を傾ける上司の姿を見て、部下も信頼を強め、より良い人間関係が構築できるはずです。 1on1ミーティングの効率的な進め方 効率的な5つのステップを紹介します。 ①部下の現状を把握する まずはアイスブレイクも兼ねて部下の気分や体調について話題にすると良いでしょう。1対1の対話にあたって緊張している部下には、最初から仕事の話をするよりもプライベートな話をすると緊張がほぐれやすくなります。仕事中の姿からは分からない意外な一面を知って相互理解を深める時間としましょう。 「体調はどう?」「最近忙しそうだけれど、休めている?」といった軽く短い会話で十分です。部下の返答によっては社内の業務量を見直して業務改善につなげられる可能性もあります。 ②前回の振り返りと今回のテーマの共有 前回の1on1ミーティングの内容を振り返って、個人の目標に対する到達度や、具体的なアクションを決めていたらそれが実行できたかをヒアリングします。実行できた場合には、しっかりその事実を認めてあげます。 逆に、進捗が悪く感じる場合や、アクションを実行できていない場合もあります。このような場合には部下を責めず、「なぜできなかったか」を自分で導き出せるよう促しましょう。この時も主役は部下であることを忘れてはいけません。「それはこうしたら良かったね」など上司自身の意見を伝えたり指導してしまわないように注意が必要です。「どうしてできなかったと思う?」と責める口調にならないように穏やかに問いかけ、部下の内省を促します。 前回の振り返りをしたら、今回のテーマを共有します。何をテーマに話すのかを明確化して、同じ目的意識や共通認識を持ってから1on1ミーティングを本格的にスタートしましょう。 ③テーマについて対話 実際にテーマについて対話する時は、部下の自発的な発話を促すような問いかけや相づちを行います。上司は聞き役に徹し、部下の話をさえぎったり自分の意見を伝えたりしないように注意が必要です。部下の話が途切れた時や、言いよどんでいる時は、「それで何を思った?」など続きを促すことがおすすめです。部下が抱えている気持ちをすべて吐き出せるような雰囲気作りに努めましょう。 1on1ミーティングで上司が注意する点は以下の4つです。 途中で話をさえぎらないように意識する 上司の意見を伝えず、話を聞く 部下の考え方を否定したり、「正しい、間違っている」などとジャッジしたりしない 部下の悩みに対してすぐに解決策を提案しない これらのポイントを押さえなければ、上司の意見やアドバイスを部下が聞く形になってしまい、本来の1on1ミーティングではなくなってしまいます。部下が自分自身で考えて答えを出せるように意識しましょう。 部下の話を聞いている間は表情や相づちに注意しながら共感を示すとより話しやすい雰囲気ができます。例えば、「よく分かるよ」「それは大変だったね」と同意の言葉をかけたり、深くうなずいて見せたり、「なるほど、〇〇と思ったんだね」と相手の言葉を繰り返すのも効果的です。 ④フィードバックし、今後の対策を考える テーマとしたのが部下の悩みや課題、今後のキャリアプランなどなら、フィードバックと熟考をして解決案を考える時間を設けましょう。1on1ミーティングを通して部下の成長を促進するため、今後の解決案は部下自身が考えるようにします。 上司は課題の解決策や必要なアクションについて問いかけますが、「あなたはどうしたいのか?」「実現するには何が必要か?」などと、あくまで答えが出るまでのサポートに徹します。ポイントは部下の出した答えが上司個人の考え方で間違いだとしても、否定やアドバイスをしないようにすることです。上司からのフィードバックを行う時は、個人的な意見や指導は伝えないように意識した問いかけをしましょう。「なぜそう思うのか」「それを実行するとどうなるか」など、部下自身が気づきを得られるように質問内容を工夫する必要があります。 部下の出した答えが、単なる思い付きではなく、多角的な視点から考えた時にも効果的な解決案なのか、本当に課題解決につながるのか、その対策をすることで別の問題が発生する可能性はないかを確認してもらうのです。広い視点で物事を考える必要があるため、熟考する部下もいるでしょう。焦らずに答えが出るまでサポートしてあげてください。 対話の中で、部下が対策として適切ではないと気づきを得る可能性もあります。その場合は、再度フィードバックと熟考する地点に戻りましょう。どうしても最適案が思いつかない場合には、上司からヒントを出すようにしましょう。 解決案がある程度固まったら、その案を実現するために必要な具体的なアクションプランを練ります。実際に行動し振り返りができるレベルのアクションにすることが重要です。「営業の成約数を増やす」といったアクションは具体性に乏しくあいまいです。例えば、「営業成績の良い〇〇さんにヒアリングしてトークスクリプトを作成し、それに従って成約数を1日あたり〇件増やす」など、数字も含めて具体性を高めると良いでしょう。 また、1on1ミーティングは週に一度など比較的短いスパンで定期的に行うため、その期間中に実行できるようなアクションを設定しましょう。次回の1on1ミーティングまでに実行できるアクションであれば、部下が達成報告できるのでモチベーションの維持も可能になります。ただ、簡単に実行できるアクションは効果が得られにくいので注意が必要です。 ⑤今回のまとめと確認をして記録する 1on1ミーティングを終える時は必ず今回のまとめを行い、記録に残すようにしましょう。いつの1on1ミーティングで部下が何をテーマにどんなことを話したのか、上司の問いかけから何を考えたのかを細かく記録しておくようにしてください。ここでのポイントは、記録を残すのは必ず部下自身であるということです。 部下自身が記録するメリットは以下の3点です。 自身の言葉で記録するので、次回の振り返りの際に以前の内容を思い出しやすい […]


