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従業員名簿

従業員名簿の必須項目や作成の注意点は?保管期間ってあるの?

人事や労務の業務において不可欠な従業員名簿があります。労働基準法により作成・保管が義務付けられており、法定三帳簿のうちの一つになります。正しく整備しないと懲罰の対象になります。また、従業員の情報は日常の業務でも活用されます。ここでは、従業員名簿の説明から必須項目、作成時の注意点、保管方法や保管期間について説明します。 従業員名簿とは 従業員名簿とは、氏名などの人事や労務管理に必要な従業員の情報を集約した書類のことです。労働基準法では、従業員の名簿を整備する義務が定められており、従業員を雇っている会社は大きさに関係なく必ず作成しなければなりません。 従業員名簿の整備義務 従業員名簿の整備は、労働基準法第107条で義務づけられています。名簿は、従業員一人分ずつ作成する必要があり、常に最新の状態にしておかなければいけません。引っ越しなど内容に変更があった場合は、その都度整備する必要があります。適切に整備していない処罰の対象となります。 法定三帳簿とは 法定三帳簿とは、労働基準監督署による調査が入った際に確認される書類です。「従業員名簿」のほかに、従業員への支払い状況を記す「賃金台帳」と、始業や終業時刻を記録し、労働時間を管理する「出勤簿」が確認されます。 従業員名簿の必須項目 従業員名簿の必須項目は労働基準法第107条・労働基準法施行規則第53条において9個の必要事項を記載するよう定められています。また、事業場ごとに整備する必要があるため、各事業場ごとの管理者を決めると良いでしょう。 労働基準法第107条・労働基準法施行規則第53条 「氏名」、「生年月日」、「履歴」、「性別」、「住所」、「従事する業務の種類」、「雇入の年月日」、「退職の年月日及び理由」「死亡の年月日及び原因」の9項目を必須としています。「氏名」は戸籍上の氏名を書き、「住所」は実際に住んでいる住所を書きます。また、従業員が30人未満の企業は業務の種類の記載は不要です。 名簿の書式 名簿の書式に関して、特に取り決めはありません。上記で説明しました9個の必須項目が記載されていれば、どのような様式や書式で作成しても問題ありません。書式作成に迷う場合は、厚生労働省のサイトより、様式第19号という従業員名簿のテンプレートを使用することもできます。 従業員名簿の作成時の注意事項 従業員名簿を作成する際に、必須事項のほかにも何点か注意事項があります。ここでは、それらについて説明していきます。 事業場ごとの作成 支社や営業所、工場、店舗などといった事業場ごとに作成、保管します。総務部や人事部で一括整備するものではありませんので注意が必要です。また、同じ場所であっても、労働状態が異なる場合だと別の事業場とみなされることもあるので、その場合は別々に管理・作成します。 記載対象の従業員 労働基準法第107条と第9条より、賃金を支払っているすべての従業員を名簿に記載しなくてはいけません。アルバイトやパートタイムの従業員に関しても必要になります。派遣先の企業で仕事をする派遣社員に関しては、派遣会社が作成します。日雇い労働者の場合は記載義務は発生しません。 個人情報の取り扱いについて 従業員名簿には、氏名や住所、生年月日といった従業員の個人情報が記載されています。個人情報保護法の適用対象となるため、従業員から同意を得る必要があります。個人情報の使用範囲を限定したり明確化したりなど、プライバシーの保護にも努めましょう。 従業員名簿の保管期間や保管方法 ここでは、作成した従業員名簿の保管方法や保管期間を説明します。 保管期間は起算日から3年間 労働基準法第109条により「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」と定められています。保管期間は労働者の解雇、退職、死亡の日を起算日とし、そこから3年間とされています。 更新頻度 労働基準法第107条2項において「遅滞なく訂正しなければならない」と定められています。異動や転勤、結婚による改姓の際にも都度、氏名や住所、履歴などの従業員名簿を更新する必要があります。忘れずに行いましょう。 電子データで保存可能 労働基準法においては、従業員名簿を紙で保管するのか明確にされていませんが、行政解釈では、名簿がExcelやPDFなどの電子データで保管されている場合は、すぐに印刷・表示できる状態を作っておくことで「労働基準法の要件を満たすもの」として取り扱い可能となっています。 従業員名簿をシステム管理するならスキルナビがおすすめ 従業員名簿は法律上重要な書類となっており、日常業務においても使用されます。従業員数が増えていけば、従業員の情報を管理・更新することが難しくなっていきます。そこで、人事システムを活用することで管理がしやすくなります。スキルナビでは、人材配置の際の分析や従業員のスキル管理なども併せて可能となっています。この機会に、是非、検討してみてはいかがでしょうか。     スキルナビ編集部

タレントマネジメント・人材管理
従業員エンゲージメント

【人事必見】従業員エンゲージメントとは?構成要素やメリット・デメリットを徹底解説

従業員エンゲージメントとは、従業員による愛社精神があり、業績向上のために積極的に企業に貢献しようと意欲的な状態を指します。日本企業における従業員エンゲージメントは世界最低水準と言われており、今後、改善が必要になっていきます。ここでは従業員エンゲージメントの構成要素やメリット、高める方法、事例などを解説します。 従業員エンゲージメントとは何か 従業員エンゲージメントとは、従業員が企業への信頼や理解を意味し、貢献意欲がある状態のことです。従業員エンゲージメントが高い従業員の企業では、愛社精神と、貢献意欲により業務へのモチベーションが高く、離職率が低いとされています。 近年、少子高齢化が進み労働人口が減少しているために起きる人材不足や、変わりつつある雇用形態、働き方の多様化がさまざまな問題となっています。そのため、企業側は必要な人材の確保や優秀な人材を手放さないために工夫が必要です。そこで注目されているのが従業員エンゲージメントです。 しかし、コロナ禍によるリモートワークの普及により、従業員とのコミュニケーション不足が問題となっている企業も多いことでしょう。そのため、従業員エンゲージメントの保持は難しくなっているのが現状です。 従業員満足度との違い 従業員満足度とは、従業員にとっての居心地の良さを重視しています。従業員満足度の高い企業は良い企業とされていますが、現在従業員が満足していたとしても、この先ずっと満足感が続くとは限りません。また、満足する理由も人それぞれで「給料が高いから」「休みがとりやすいから」などの理由で満足する従業員もいることでしょう。居心地の良さ=貢献したい会社とは限らないため、従業員満足度自体には企業の業績向上に直接結びつくものではないとされています。 一方、従業員エンゲージメントは、現状の満足とはあまり関係がなく「従業員満足度が低かったとしても今後向上させる可能性がある」ものです。また、従業員エンゲージメントが高い企業は、「会社に貢献したい」と思う従業員が多いということでもあるので、従業員満足度とはまた違うものだと考えた方がよいでしょう。 モチベーションとの違い モチベーションとは、「動機」を意味し、業務への意欲ややる気といった意味合いで使用されます。例えば「給料を多く稼ぎたい」や「やりたい仕事がある」などもモチベーションであり目的意識になりますが、そのような動機付けだと、今いる会社以外でも同様のモチベーションを保つことができますし、給料や仕事内容の条件次第で転職してしまう従業員も出てきてしまいます。モチベーション高く仕事に取り組んでいても、会社にこだわっているわけではないのです。 一方エンゲージメントの高い従業員は、自発的に企業への貢献意欲を持って業務を行っている状態です。モチベーションが高い従業員も意欲的に業務を行いますが、企業に愛着を持っているとは限らないので、従業員エンゲージメントと異なります。 ロイヤリティとの違い ロイヤリティとは、「忠誠心」のことを指します。大名と家来のように、信頼度や理解の有無に関わらず存在するものです。ロイヤリティは主従関係のようなものであり「会社に奉仕する」という意味合いが強いもので、従業員より会社が強い立場にあります。日本企業においては、企業は従業員に対して強制力があったため、従業員自身の想像力や判断力が育たなくなってしまい、従業員が自発的に行動せず、指示待ちになる可能性があるリスクがあります。 一方エンゲージメントの高い従業員は、会社に対して愛着心を持っています。そのため自発的に行動し、会社の業績につなげようとするので、従業員と会社が共に成長していく関係といえます。 コミットメントとの違い コミットメントとは、企業が従業員に対し行動や結果を求め、従業員が承認している状態を言います。組織から従業員に対して与えるものに対する責任や約束のようなものです。そのため「会社から頼まれたこと」を責任をもって行うものであり、従業員個人の意思ではないのです。与えられる給与や雇用契約なども、従業員にとっては約束や責任のようなもので、仕事をやらなければならない、責任を果たさなければならない、という感覚でしかないのです。 責任感を持って仕事を成し遂げる、という意味ではコミットメントとエンゲージメントは同じですが、コミットメントは、企業が従業員に判断を迫るのに対し、従業員エンゲージメントは会社に対する愛着心や「会社に対して貢献したい」という気持ちがあり、組織と対等につながっているからこそ、自発的に企業利益に貢献するという違いがあります。 従業員エンゲージメントが注目されるようになった背景 日本企業における雇用の変化と多様な働き方、価値観の多様化、人材不足などから、近年注目されるようになりました。少子高齢化による労働人口の減少から、企業においては優秀な人材の離職を抑える必要があります。また、コロナ禍によりリモートワークが増加した結果、従業員とのコミュニケーションが減少し、従業員エンゲージメントの低下の懸念により注目を集めています。 従業員エンゲージメントの構成要素 従業員エンゲージメントは以下の3つの要素で構成されます。 企業のビジョンを理解し共感する要素 従業員エンゲージメントを向上させるには、従業員に企業理念やビジョンを理解し、共感してもらう必要があります。従業員の理想と企業の理想があっていれば、企業目標達成のために従業員が自ら考え、行動するようになります。また、企業目標に共感できれば、従業員が誇りをもって意欲的に業務に取り組むことができます。従業員に企業の目標に共感してもらうためには、従業員と積極的にコミュニケーションを行い、上司が日頃からビジョンを伝えてく必要があります。 やりがいを生み出す要素 従業員が企業目標を達成することにやりがいを持って、行動意欲を向上させることは、従業員エンゲージメントの向上になります。企業理念等を理解、共感することで、自ら行動を起こすことができます。また、従業員の行動が企業の貢献につながっていると感じれば、従業員エンゲージメントはさらに向上します。また、努力や貢献が結果につながると自信に繋がりますし、会社における自分の存在価値を見出すことができ、自己肯定感も高まります。従業員からの企業への信頼や愛着も増すでしょう。 働きやすさを高める要素 従業員にとって働きやすさはとても大切なポイントで、働きやすい環境は従業員の精神面の安定につながります。従業員が周りに貢献できている、という感覚を持つ「貢献感」や、会社と自分が合っていると思える「適合感」、一緒に働きお互いに支えあえる仲間がいるという「仲間意識」などが働きやすさにつながると考えられています。従業員同士のコミュニケーションを頻繁に行うようにしたり、「会社に尊重されているな」と従業員が感じられる環境をつくることが大切です。 従業員エンゲージメントを高めるメリット 従業員エンゲージメントを高めることで、以下のメリットがあります。 企業の業績向上 従業員エンゲージメントと企業業績には相関関係があり、従業員エンゲージメントの向上が労働生産性や敬行利益などの向上につながるという結果もあります。従業員エンゲージメントが高い従業員が増えれば、企業の業績向上につながります。従業員エンゲージメントが上がることで生産性も上がり、顧客満足度の向上にもつながり、会社全体に勢いがつくでしょう。 従業員のモチベーション向上 従業員エンゲージメントの向上は、従業員自身のモチベーションアップにつながります。指示待ちとなり、与えられた業務を行うのではなく、企業のために自分ができることを自発的に考え、積極的に業務に取り組むようになります。従業員のモチベーションが上がると全体の士気が上がり、プラスに働くことでしょう。 職場の雰囲気の変化 従業員が各自の業務に自発的に取り組むようになると、会社内でのコミュニケーションも活発になります。そのため、職場の雰囲気も良くなります。従業員同士で生産的な意見が増え、優秀な人材にとって満足度の高い職場になります。 顧客満足度の向上 従業員エンゲージメントの向上によって、従業員が積極的に業務に取り組むようになり、質の高いサービスや製品を提供できるようになります。それにより、顧客満足度の向上につながり、売り上げの向上にも期待できます。 離職率の低下 従業員エンゲージメントの高い従業員は、離職率が低くなる傾向があります。エンゲージメントの高い従業員が多く在籍することで、組織の団結力が高まり、会社全体が活気あふれる職場になります。離職率の低下によってコスト削減にもつながります。 従業員エンゲージメントを高める方法 従業員エンゲージメントを高める方法について何点かあります。それぞれについて説明します。 適材適所の人材配置 従業員が適切なポジションで働いていると感じれば、企業は自分を理解してくれていると実感できます。そのため、従業員の特性や能力と職務が合うと、業務意欲や生産性の向上に大きく影響します。適切な人材配置を行うことで重複した仕事をなくすことができますし、少ない人数でも業務が回せるようになるため仕事の効率が向上します。適切な人材配置が行われているか常に確認し、業績や周りの状況に応じて、再構築するようにしましょう。 ワークライフバランスの推進 従業員の心身ともに健康であれば、意欲的に業務に取り組んでもらえるようになります。健康でいるためには、適切な休息をとれることであり、ワークライフバランスの取れた生活を従業員が送れるようにすることが必要です。休みが十分にとれていなかったり、残業ばかりの職場環境では従業員が疲弊してしまい、自発的に会社に貢献しようとは感じなくなってしまいます。従業員のワークライフバランスを整える施策としては、勤務時間を柔軟に調整できる「フレックスタイム制」や残業をしない曜日をあらかじめ決めておく「ノー残業デー」などが挙げられます。企業側が無理なく働ける環境をつくることが必要です。 人事評価制度の設備 従業員の業務の過程や結果が正当な評価を受けていると感じていれば、従業員は仕事への意欲が高まります。そのため、従業員が納得できるような、透明性のある人事評価制度の設備が必要となります。正当な評価を受けられないと、従業員のモチベーション自体低下してしまいます。成果を評価する以外にも、成果に至るまでのプロセスや企業理念の体現度など、目に見えづらい部分も評価するようにしましょう。 インセンティブ制度の設備 業績に応じた報奨金やスキルアップ支援にまつわる費用の支給など、インセンティブ制度を用意することで、従業員が意欲的に業務を行い、従業員エンゲージメントの向上に役立てることができます。また、実績に対して目に見える報酬があると従業員のモチベーションも向上します。そのモチベーションが連鎖し、従業員の行動や成果につながるでしょう。 コミュニケーションの活発化 一緒に働いている人をよく知らなかったり信頼できないという状態では、なかなか愛着心を持ちにくいものです。そのため、社内コミュニケーションを活発化させることが必要です。社内で気軽にコミュニケーションをとれる人が多いなど人間関係が良好であることは、従業員の居心地の良さや帰属意識に影響し、従業員エンゲージメントの向上につながります。コミュニケーションを活性化させるために、普段交流のない部署同士のランチ費用を企業が負担するなどといった方法があります。 企業理念の浸透 企業理念を明確化し、従業員に浸透させていくことで、従業員は企業の目指す方向を理解し、共感できるようになります。その結果、従業員は企業に貢献したいという気持ちを持ちやすくなり、意欲的に業務に取り組むようになります。せっかくいいビジョンがあったとしても、浸透していなければ意味がありません。企業理念を浸透させるためのキックオフミーティングや社内報など、さまざまな手法で浸透させていきましょう。 部下の育成 新入社員や中途社員などの部下を育成することによって、新人側はもちろんのこと、教育する社員側にも様々な学びを得られることができます。改めて、自分の企業や業務について理解できたり、成長にもつながります。育成した部下のスキル向上によって生産性の向上や、部下の育成を積極的に行おうとする文化の情勢が生まれ、会社の業績はもちろん、いい組織づくりにもつながります。 […]

人事労務・制度設計・運用
組織開発

組織開発の目的とは?人材開発との違いや手法や流れについて解説!

企業などの組織は、従業員数の増加や、新しい事業の拡大などによって変化していきます。従業員同士の関係性や相互作用によって企業の成長につなげていくことを組織開発と言い、日本の企業の複雑化した課題を解決する取り組みとして、近年注目を浴びています。ここでは、組織開発の目的や、人材開発との違い、手法や導入の流れ、事例など様々な点を解説します。 組織開発とは 英語では、「Organizational Development」と呼ばれます。従業員など会社や組織に所属している人の手によって、その組織をよりよくしていくことを「組織開発」と言います。従業員同士の関係性によって、組織を活性化し、それぞれの能力を引き出すことにつながり、組織としての力も向上することを目指します。 組織開発の目的 組織開発の目的は、それぞれの相互作用によって、組織が良い方向に活性化し、従業員のモチベーションを向上させ、組織としての生産性向上へつなげることになります。人事においては、現場の業務上の問題や課題を把握し、組織に変化をもたらすことが必要になります。 組織開発が注目されている理由 組織開発は、欧米から取り入れられたものです。日本では、終身雇用など成果主義への移り変わりや、雇用の流動化による従業員の多様化、一人で業務を進めるように変わっていったことによって、人同士の関係性が変化し、コミュニケーション不足による弊害が起きました。そういった問題を改善するために組織開発が注目されるようになりました。 組織開発と人材開発の違い 「組織開発」という言葉のほかに、「人材開発」という言葉があります。両者にはどのような違いがあるのか説明します。 人材開発とは 人材開発とは、組織に所属している従業員などの人材の能力やパフォーマンスを向上させることです。研修や、OJT、実習、キャリア開発といった教育を行うことで、人材のスキルを高め、能力の向上を目指します。 取り扱う対象の違い 人材開発では、従業員などの「人」を対象にしています。一方、組織開発では人同士の「関係性」や「相互作用」が対象になります。人材のスキルの向上だけでなく、組織を、一つのシステムとしてとらえることによって、従業員同士の関係性やグループ間の関係性といったものが見えてきます。 アプローチの違い 人材開発では、課題の原因を従業員個人に求めます。それに対し組織開発では、課題の原因を、人やグループの「関係性」に求めています。従業員は、それぞれ役割や方向性が異なるため、協力関係が築けないと組織の成長も伸び悩んでしまします。それを改善するために、研修や会議を開き、関係性を向上させていくことで、組織をより良いものに変えていきます。 組織開発のフレームワーク 組織開発の進め方としてのフレームワークを何点か解説します。 ミッション・ビジョン・バリュー 「企業理念」を構成する三つの要素のことを指します。組織の存在意義であるミッション、組織が目指す姿であるビジョン、価値観や行動指針のバリューを定義し、「MVV」とも呼ばれています。組織の存在意義を明確にし、浸透させることによって、組織開発を進めることができます。 タックマンモデル 心理学者のタックマンが提唱したフレームワークのことです。チームメンバーが「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」の5つの成長段階を経て、チーム形成のステップをモデル化しています。メンバーは混乱や衝突の経験によってお互いの価値観等を理解し合い、結束力のあるチームへ成長すると考えます。チームビルディングを行うことで、チーム内のコミュニケーションが活発になったり、モチベーション向上や新しいアイディアなどの効果があります。 7S マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したフレームワークです。「戦略(strategy)」「組織構造(structure)」「システム・制度(system)」「共通の価値観・理念(shared value)」「経営スタイル・社風(style)」「人材(staff)」「スキル・能力(skill)」の7つの経営資源の相互関係を表します。これらを基に、その企業の最適な戦略を考えることが可能です。 コーチング 答えを与えるような「ティーチング」とは異なり、コーチングとは、その人自身で解決策や気づきを得られるように、傾聴や観察、質問、提案を行い、目標達成に向けた行動をサポートします。そのため、ティーチングより、コミュニケーションが活発になります。 ワールドカフェ カフェのようにゆったりとした雰囲気の中で自由に議論ができるフレームワークです。社内の会議の中には意見やアイディアを話しづらいといったことがありますが、ワールドカフェではそのような問題を解決でき、活発に議論ができるミーティングの実施が期待できます。 アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI) 質問や探求によって組織の発展を促すフレームワークです。従業員などへの質問から、強みや情熱といった気づきやポテンシャルを発見したり、視野を広げ、組織のイメージを共有し、発展させるためにアクションプランを作成します。従業員の可能性を広げることで、企業の変化を引き起こすことができます。 ⇒組織開発のフレームワークについて詳しく知りたい方はこちら 組織開発の流れとポイント 組織開発を行っていくためには、次の流れに沿って進めるのが良いでしょう。 ①組織の目的、現状の把握 組織開発はあくまでも手段ですので、組織としての目的か何かを明確にします。組織の問題は、あいまいな表現が多いため、組織の課題を設定するためにも、現状の事実を確認する必要があります。従業員へのインタビューやアンケートを取って、組織の現状を把握します。 ②課題設定 次に、課題の設定を行います。組織の課題には、複数の原因が絡み合って複雑になっているケースが多くあります。様々な角度から検証を行うために、従業員への意識調査やインタビューを行い、課題を絞り込む必要があります。 ③アクションプランを検討し、試験的実施 次に、問題解決のためのアクションプランを検討します。想定外の状況が起きる可能性や、いきなり組織全体に展開した場合の影響のリスクから、まずは、スモールスタートで始めると良いでしょう。特定部門に絞って、ワークショップ等を実施します。 ④効果検証とフィードバック 試験的に実施した後は、その効果を検証し、フィードバックを行います。よりタイムリーに行うことによって、組織開発陣のモチベーションが向上し、さらに適切なアプローチ方法見直すことが可能となっています。 ⑤成功事例を組織全体に展開 成功した場合、成功事例のポイントを整理します。その後、成功事例を全社に展開していきます。ワークショップや会議のファシリテーター向けにマニュアルの整備を行ったり、成果を共有するための制度の構築も行います。全社に展開後も検証とフィードバックを行い、施策のさらなる改善やモチベーション向上も目指すことができます。 組織開発している企業の事例 ここでは、組織開発を実際に行っている企業の事例を紹介します。 株式会社メルカリ/バリュー実現のためOKRを導入 株式会社メルカリが掲げる3つのバリューの中に「All for One(すべては成功のために)」があります。子のバリューを実現する手段としてOKRを導入しています。「OKR」と全社共通の価値観「Value」の軸で、達成状況を確認しています。 パーソルキャリア株式会社/新たなミッションバリューの制定 「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションと、「“はたらく課題”と“ビジネス”をつなげてとらえ、自分ゴトとしてその解決プロセスを楽しむ」というバリューを新しく定めました。従業員一人一人がこのミッションとバリューに向きあうことで、個人や組織が成長するような組織開発を行っています。 ヤフー株式会社/1on1ミーティングでコーチングの実施 ヤフーでは、上司が部下にコーチングの手法で問いかける「1on1ミーティング」を実施しています。また、部下には「上司の1on1はどうだったか」とアンケートを取り、上司のフィードバックも行っています。それにより業務改善に役立っているという結果が出て、組織開発に成功した事例となります。 Goodpatch(グッドパッチ)/エンゲージメントスコア上昇 […]

人事労務・制度設計・運用
リーダー候補

次世代リーダー候補の育成方法とは?育成の手順や選抜方法を解説

企業の成長に欠かせないのは、組織と事業を力強く引っ張っていくリーダーの存在です。10年後、20年後企業が存続し、この人に会社を任せたい、と思える人材を選抜・育成することも企業の大切な仕事でもあります。この人に会社を任せたい、と思う人をすぐに思い浮かべることができますか? 今回は、次世代リーダーの選抜ポイントと育成ポイントをご紹介します。 次世代リーダーとは? 次世代リーダーとは一般的に、「企業の次世代を担う経営幹部や将来の経営者候補」と定義されます。つまり、「会社の将来を担う存在」ということです。 少子高齢化や人材の多様性の高まりや、コロナ禍によるリモート推進など、環境が目まぐるしく変化するなかで柔軟かつスピーディーに対応できる人間でなくてはなりません。しかし、そのようなリーダーを育成することは簡単なことではありません。 なぜ次世代リーダーの育成は難しいのでしょうか。 次世代リーダー育成が難しい理由 育成全般に言えるのですが、そもそも育成の取り組み自体が推進しづらいのです。理由としては4つがあげられます。 優先順位が低くなりやすい 次世代リーダーを育成する体制が整っていない 次世代リーダーの選定基準や選定方法がわからない 育成の効果が見えづらい 優先順位が低くなりやすい 次世代リーダーの育成には、リーダーシップやマネジメント、経営知識など幅広い分野において育成が必要です。そのため、学習時間もも長時間となります。また、育成期間中は周囲の協力も不可欠なため、周囲の育成コストもかかってきます。 プレイヤーとして活躍している人材を業務から離せないといこともあるでしょう。そのため、育成の取り組みが後回しにされることが多いのです。 次世代リーダーを育成する体制が整っていない 次世代リーダーを育成するためには、育成部隊の編成、人事評価・教育制度の構築など、多くの取り組みが必要です。そのため、次世代リーダーを育成するだけの体制を整えられないことも少なくありません。 次世代リーダーの選定基準や選定方法がわからない 「そもそも、どのような基準でどのように候補者を選定すればいいのかわからない」という理由から、次世代リーダーの育成計画が進まず立ち止まってしまうこともあります。 育成の効果が見えづらい 育成は、何をもって育ったとするのかを定めるのが大変難しく、効果そのものを実感できないこともあり、次世代リーダー育成が敬遠される要因となっています。 次世代リーダー育成の手順 次世代リーダーの育成で大切なことは、長期目線で計画的に考えることです。次世代リーダーの育成効果はすぐに現れるものではないため、長期的かつ計画的に育成していくことが次世代リーダー育成の重要なポイントです。 Step1:ゴール設定 次世代リーダーの育成は時間がかかるため、「なぜ次世代リーダーを育成する必要があるのか」という理由・ゴールを明確にし、周知して意識を統一する必要があります。 Step2:条件・要件の明確化 どのような人材になってほしいのか、求める条件・要件を明確化します。 Step3:候補者の選抜 次世代リーダーに求める条件・要件が明確になったら、育成対象者の選抜を行います。現状の評価結果だけでなく、意欲や基礎能力、将来のポテンシャルを踏まえ選抜します。 Step4:トレーニング、育成計画の設計 候補者が決まったら、実際にどのような育成を行うか、育成計画を立てます。ここでは、本人の強み・弱みを見極めて計画を立てるのがポイントとなります。 Step5:役割・期待の伝達 候補者が厳しい環境の中でも意欲的に学び続けるには、動機づけと期待の伝達が欠かせません。「なぜこれをやるのか」「なぜあなたなのか」などを明確に伝えます。 Step6:トレーニング実施 Step 4で設計した計画を実施します。期間が長期間となる場合が多いため、根気強く推進し続けることが大切です。 Step7:モニタリング Step 1で設定したゴールに近づいているか、継続的にモニタリングすることが重要です。しっかり振り返りをしてもらうだけでなく、本人にとって負担になりすぎていないかなど様々な観点からモニタリングします。 Step8:改善策の検討 モニタリングの結果、問題や課題が発生した場合は改善策を検討します。育成の仕組み自体を見直したり、本人への動機づけを再度行います。 候補人材の評価・選抜はどのように行うのか 「そもそも、どのような基準でどのように候補者を選定すればいいのかわからない」という理由で育成が進まないという課題がある企業も多いでしょう。 ここでは3つのポイントを紹介します。 選抜は多角的な視点で見極める 徐々に選抜を進めていく 選抜の理由と期待を伝える 選抜は多角的な視点で見極める 候補者を決める際、最も多いのが、「各部門による指名・推薦」に基づく人選です。現場での実態や事実を踏まえて選抜することはとても良いのですが、将来性の観点からあまり見ることができません。た、現在の業務から離したくないとの理由でエース人材の選抜を行えないということもあるようです。 現場部門だけでなく、「経営トップ」や「人事部門」も人選に加わることをお勧めします。 徐々に選抜を進めていく 育成を早いタイミングでスタートさせている企業の方が、自社の育成施策に満足していることが多いようです。早くから選抜を開始することで、研修や異動によるチャレンジの様子を踏まえ候補者を絞り込んでいくのもよいでしょう。 選抜の理由と期待を伝える 役割・期待の伝達を丁寧に行うことが候補者のモチベーションを高める上で重要です。一人ひとり対面で伝えると、効果はより高まります。 次世代リーダーの育成でより良い企業を目指しましょう […]

人材育成
人事制度

人事制度の導入目的とは?構成要素・設計手順やポイントを解説!

人事制度とは、企業が人材を管理し、処遇などを決定する制度になります。今日の企業にとって、人事制度は経営資源の一つとして管理される重要な制度です。近年では、企業の成長や働き方の多様化に伴い、人事制度も新しく変わっていく必要があります。ここでは、人事制度の目的や構成、人事制度の設計やポイントなどを解説していきます。 人事制度の目的とは 人事制度のそもそもの目的と、人事制度を活用できたらどうなるかを説明します。 人的資源の有効活用 企業の経営資源の、「ヒト・モノ・カネ」のうち、「ヒト」は人的資源のことを表します。人事制度の目的は、その人的資源を最大限に有効活用することにあります。従業員のパフォーマンスを最大限にすることで、組織全体の生産性を向上させることができます。 人材育成、やる気の向上 人的資源を活用できるようにするためには、人事制度を用いて、従業員のモチベーションを上げ、人材育成をできるようにする必要があります。そのためには、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」を活用することで、人材管理が可能となっております。 人事制度の構成 人事制度は「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの制度から成り立っています。 「等級制度」とは? 従業員を役割や職務、能力等で序列化する制度です。人材の責任や権限、序列などもこの等級を基に決められています。何を基準に等級を決定するかは企業によって異なります。 職能資格制度 職務遂行能力を基に置く制度になります。職務遂行能力とは、業務を行うために必要な能力を意味します。職務遂行能力のランク付けして、それに応じた昇進や昇格、賃金の決定、育成などの能力開発が決まります。日本の企業においては、年功序列の評価に代わって最初に採用されたものです。 職務等級制度 職務分析の結果を基に「職務記述書」を作成し、基準に対する結果を点数付けして評価する仕組みです。職務ごとに定義しているため、わかりやすい評価を行うことができます。賃金は「職務給」という形で決められます。 役割等級制度 「職能資格制度」と「職務等級制度」の問題点を解消するために発案された制度です。年齢やキャリアなどに関係なく仕事の基本的な役割を設定し、それに応じて等級を決定する制度です。同一役割で、同一成果を上げていれば評価も得られます。そのため、近年では様々な企業での導入が進んでいます。 「評価制度」とは? 一定の期間の中で、従業員の成果等を評価する制度です。評価項目や評価基準を明確にすることで、従業員の進むべき先を示すことができます。評価の結果は等級や報酬に反省されるため、評価が上がったり下がったりすることで、等級が変わり、評価項目や評価基準も変わります。 能力評価 職能資格制度に基づく人事考課です。職能資格制度は「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つで評価されますが、等級等に一番関わってくるのはこの「能力評価」になります。職務遂行能力は「職能要件書」や「職能資格基準書」で定められています。 職務評価 「職務記述書」を基に、従業員に課せられている職種や職位といった職務について、内容や責任など様々な観点から評価をするものです。そのため、一定の職務についていない場合は、たとえ能力があったとしても、報酬などが低くなることがあります。 役割評価 従業員それぞれに対する役割を基に評価を決める仕組みです。何を役割とするかについては役職や職位ごとの会社業績に対する貢献度で決められることが多いです。職務評価よりも合理的な制度となっています。 成果評価 成果主義に基づく評価の制度のことを言います。ここでの成果とは、企業に対する業績貢献度や経営課題への解決貢献度を表します。成果評価では、MBOなどの目標管理制度に基づく「目標管理シート」が使用され、報酬に反映しています。 「報酬制度」とは? 給与や賞与などといった、従業員への賃金報酬の制度になります。一般的に、等級ごとに給与の上限・下限が決められており、評価の結果で昇給や賞与などが決まるシステムになります。また、福利厚生や退職金制度などもここで考えられます。 基本給 毎月固定的に支払われる給与のことになります。年齢や学歴、勤続年数などの要素で定められる部分と、仕事内容や能力、業績・成果などの要素で決まる部分から構成されます。また基本給の決定には、給与表より決定する「給与表方式」、前年度の基本給に対して今年度の昇給額や昇給率を乗じて決める「昇給方式」、前年度に関係なく、能力や職務レベルに応じて決める「洗い替え方式」の三種類があります。 手当 基本給とは別に、職務の特殊性や勤務地などの状況に応じて支払われる給与です。基本給に加算して支払われます。代表的なものとして、家族手当、住宅手当、役職手当、単身手当、地域手当、通勤手当、調整手当、皆勤手当などがあります。 賞与 「ボーナス」や「一時金」とも言います。労働基準法では特に規定していません。日本では多くの企業が、年に2、3回、「夏季賞与」「冬季賞与」「決算賞与」という形で企業の業績に応じて支給されています。支給資源を、売上や、利益、付加価値といったところでリンクさせて決定しています。 退職金 従業員の退職時に支給する報酬のことを指します。法律で定められたものではなく、終身雇用制度が廃れつつある現在では、退職金制度がない企業や、廃止した企業も増えています。退職金の算定には、基礎給に勤続年数別の支給率をかけて算出する方法や、退職金算定用の賃金表に勤続年数別支給率をかけたもの、基準を設けて退職金を事前に設定するという方法があります。 人事制度のトレンドの移り変わり 人事制度は、時代の変化とともに制度の見直しが必要になったことがあります。 年功序列から成果主義、役割等級制度の導入へ 日本の企業においては、長らく「年功序列」の考えが浸透していました。バブル崩壊までは「職能資格制度」が導入されるようになり、その後、成果主義での評価制度が進みました。近年では、役割主義が注目を浴びるようになりました。現在の日本企業では年功序列、終身雇用といった制度からの脱却に挑戦しているものの、成果主義への移行も完全にはできていない状態にあります。役割主義や、他の制度など複数の制度を取り入れて会社に合うように調整している企業もあります。 役割主義による評価 以前の成果主義では、結果を求めるあまりチームワークの弱体化や離職率の増加、従業員の心理的な問題といったものがありました。役割等級は、職能資格制度と職務等級制度を組み合わせて発展させたものになります。各部門の役割に基づいて、役職や目標達成に貢献できる能力を序列化し、それらに応じて評価を行います。そのため、職能資格制度や職務等級制度より扱いやすい制度になります。 等級や評価タイミングの変化 等級制度に基づき評価分けをする中で、評価項目があいまいのためわかりにくく、従業員のモチベーションが下がり、企業の生産性が低下するなど、等級分けが企業にとって有益でないケースもあります。近年では、等級制度による問題を無くすために「ノーレイティング」というランクを付けない評価制度や短期間で行う「リアルタイム評価」などといった新しい評価方法が注目されています。 評価情報のオープン化 以前では、人事評価の内容は非公開とする企業多かったのですが、近年では、働き方の変化に伴って、公平で明確な評価基準が求められています。人事評価システムなどで、情報を一括管理し、公開するなど運用方法も変わってきています。 人事制度の設計 ここでは、人事制度の設計の手順を説明していきます。 ①経営理念の再確認 人事制度を作る際には、企業の経営理念を確認し、人事理念を明文化する必要があります。企業の経営理念・経営方針に沿った人事制度を作るため、人事理念は、人事制度を構築する上での方針となります。 ②現状分析と制度設計 現状の人事制度の課題を分析し、人事制度の大きな枠組みを設計します。従業員満足度調査やヒアリング、他社との比較を行います。その上で、等級制度や評価制度、報酬制度の設計に進むために方向性を決めます。 ③等級制度・評価制度・報酬制度の設計 等級制度から構築します。経営理念や人事理念に沿うように設計します。ここでは等級の段階や、それぞれの等級の資格要件を定義します。資格要件書や職能要件書、職務記述書、役割定義書などを作成します。次に資格要件に対応する形で評価項目や評価基準等の評価制度を設計します。最後に報酬制度を設計します。等級ごとの給与の変動幅だけでなく、従業員が生活できるレベルの報酬かも確認する必要があります。 […]

スキル管理・目標管理
人的資源管理とは

人的資源管理とは?目的や概念、問題点、人事労務管理との違い

企業の目標を達成するためには、経営資源を適正に活用していく必要があります。そのうちの「人材」の管理においては、従業員の労働力や給与だけでなく、人材育成や、従業員のスキルの向上も管理する必要があります。「ヒト」の資源を適切に管理する制度が「人的資源管理」になります。ここでは、その目的や概念をはじめ、課題などの問題点や、人事労務管理などの用語の違いについて説明します。 人的資源管理とは? 人的資源管理とは、「Human Resource Management」の訳であり、「HRM」とも呼ばれています。経営目標達成のために人的資源を有効に活用するための管理制度になります。従業員の知識や能力、スキルなどを最大限に活かして、経営目標を達成していくために、人的資源管理が必要になります。 人的資源とは? 人的資源とは、経営資源「ヒト・モノ・カネ・情報」のうちの「ヒト」を指します。経営資源のうち、人的資源が最も重要な要素とされています。「ヒト」が他の経営資源である「モノ」「カネ」「情報」を管理しているからです。 ①最も基本的かつ重要な要素 人的資源が持つ可能性や能力を最大限に有効活用することが経営者に求められていることだとされています。経営者が人的資源をうまく活用するためには、人的資源である従業員が積極的に業務に取り組むことができるよう対策をとる必要があります。 ②自律性、行動の自由 人的資源は、生身のヒトであり、感情や意思があるという点でほかの経営資源とは大きく異なります。他の経営資源のようにただ管理をすればいいというのではないため、従業員の自律性や行動の自由が求められます。 ③絶対的な管理手法 人的資源管理には、絶対となる管理手法が存在しません。他の分野では革新的で絶対的な管理手法などが誕生していますが、人的資源管理においては、そのような管理手法はありません。意思や感情を持った「ヒト」の管理は大変難しいということがわかります。 人的資源管理の目的・役割 人的資源管理は、成果による貢献を高める「経営的短期目標」、戦略を構築する能力を獲得し、向上する「経営的長期目標」、公平で、情報開示に基づいた評価と処遇を行う「個人的短期目標」、キャリアを通して成長を支援する「個人的長期目標」の4つから目標を設定できます。 人的資源管理のモデル概念 人的資源管理には、何点かモデル概念があります。以下で説明していきます。 ミシガンモデル 企業の目標達成や経営戦略を重視して人的資源管理を行うという考えです。「採用と選抜」「人材評価」「人材開発」「報酬」の4つの機能を戦略レベルに落とし込み、個人と組織両方のパフォーマンスを高めていくマネジメントです。 ハーバードモデル 社員の能力や組織への帰属意識を重視して人的資源管理を行うという考えです。「従業員の影響」、「人的資源のフロー」、「報酬システム」、「職務システム」の4つで構成されます。従業員の精神面の配慮や、愛着心の向上の必要性についても述べています。 高業績HRM(AMO理論) 能力(ability)、モチベーション(motivation)、機会(opportunity)の3つの要素からなる人的資源管理モデルになります。それぞれの頭文字をとってAMO理論と呼ばれています。これは、3つの要素を向上させることができれば、競争の優位性を高められるということです。 高業績(PIRKモデル) 権限(power)、情報(information)、公平な報酬(reward)、社員に帰属する知識(knowledge)の4つの要素からなる人的資源管理モデルです。頭文字をとってPIRK理論と呼ばれます。企業への帰属意識が高められるため、離職率を低下させることにつながります。 タレントマネジメント 従業員の才能や素質といったタレントを、経営目標を実現するために活用する企業内での制度になります。採用や育成、後継者の養成、人材配置、評価や処遇といったあらゆる面において、人材管理をします。企業の経営目標の達成にむけて大きく影響を及ぼします。 人的資源管理によって社員のモチベーションを上げるには? 管理者と従業員の相互作用を促すことによって、組織のパフォーマンス向上を狙う人的資源管理モデルとして「ハイコミットメントモデル」を活用します。採用、選抜、教育、報酬、職務分析、業績評価などで構成されており、それらの施策を行うことによって成果が生まれ、従業員のモチベーションにつながります。 人的資源管理の問題点 人的資源管理は、経営目標に大きく貢献できる制度ですが、論理的に説明できていないため、因果関係の有無の立証が不十分という状況があります。各モデルの問題点を説明していきます。 ミシガンモデルの場合 ミシガンモデルは企業戦略を最優先事項とし、それを達成するために人的資源管理の施策が行われます。そのため、労働者の人間性や、雇用保障等が軽視される傾向があります。また、個人の潜在能力の把握がおろそかになりがちという問題点もあります。 ハーバードモデルの場合 ハーバードモデルでは、多様な雇用形態が混在し、雇用調整が比較的容易であり、従業員の抑制機能が働いてしまうという問題点があります。また、労働組合の存在を軽視するようになり、労働組合の組織率が低下するという問題点があります。 人的資源管理の実践事例 実際に企業で実践されている人的資源管理の例を紹介します。 日産自動車/人事委員会を設置してタレントマネジメントを推進 タレントマネジメントを手掛ける人事委員会を設置して、各社や各地域の人材を共通の資産と捉え、グローバル視点で人材の配置転換や能力開発を一括で管理しています。多様性を重視し、業績で評価や報酬が決まる新しい管理職の評価制度も始まりました。また、褒める文化を推進するため表彰プログラムも取り入れています。 電機メーカー/本社で統治を行うマネジメント 海外の子会社を含めた人的資源の活用を経営戦略に組み込むため、本社と現地法人が協力して人材を採用、育成、管理するシステムを構築しました。また、国内と海外の評価や処遇といった人事管理制度の見直しも実施じ、現地で人事管理を任せながら、本社でも統治が行えるようマネジメントしました。 人事労務管理との違い 人的資源管理と人事労務管理は大きな違いがあります。以下でそれらを説明します。 思想や前提 人事労務管理は、慣習や規則等が重要視されており、契約内容の正確な履行や規則の順守に重きを置かれています。従業員の管理についても育成ではなく、管理・監視といった意味合いが強くなっています。 戦略的な面 戦略的な側面においても、事業計画などの整合性は低いと考えられます。また、意思決定も人的資源管理よりは遅くなりがちになります。人的資源管理よりは、戦略自体に影響を与えるような位置でないことがわかります。 ライン管理 人事労務管理は、人事部が中心となって、部門間の交渉や調整等に重点を置いています。主な管理者は、人事労務や労使関係の専門家などになり、管理の役割も業務処理が中心となる傾向があります。 主要な管理手法 管理方法に関しては、人事労務管理は、人的資源管理と正反対になります。例えば、人的資源管理では企業目標と統合されて行われますが、人事労務管理では分離されて行われています。報酬も、パフォーマンスとの連動ではなく、職務評価になります。 人的資源管理と組織行動論の違い 次に、人的資源管理と、組織行動論の違いについても説明します。 組織行動論とは? 組織行動論とは、人や組織に多少なりの影響を与える企業の内部的な仕組みと定義づけられています。評価制度などの仕組みによって動かし活かすのではなく、上司などの各個人での取り組みによって人や組織を動かします。 […]

人事労務・制度設計・運用
目標管理

目標管理とは?目標管理制度や、目標設定、導入や流れを解説!

目標管理は、組織マネジメントのうちの一つで、社員が自発的に業務に取り組むような仕組みになります。現在、日本の多くの企業で取り入れられている目標管理制度として代表的なものがMBOになります。MBOとは、1950年代にアメリカの経営学者P.F.ドラッカーによって提唱された手法です。その後、日本において多くの書籍が出版されるようになったこともあり、日本の企業で導入されるようになりました。最近では、MBOから派生して、OKRやKPIといった手法もあります。ここでは、目標管理から、目標設定方法、目標管理シートまで説明します。 目標管理とは? 目標管理とは、従業員が能動的に業務に取り組むように組織を動かしていくマネジメントの方法になります。従業員一人一人がかかげる目標と組織目標が連動しており、従業員が目標を達成することによって会社の目標を達成していくことを目指しています。目標を社員自らで管理するため、従業員の積極性や、主体性が培われることができます。 目標管理の導入による効果 目標管理を導入することで、次の効果が得られやすくなります。 評価しやすくなる 具体的な目標を設定することで、目標に対してのプロセスや、進歩、成果など様々な観点から評価を行うことができます。公平な評価制度の活用ができるようになります。 従業員のモチベーション向上につながる 目標管理によって、従業員が自らの目標設定を行い、その目標の管理を自分で管理するようになります。それによって、従業員が自主的に業務に取り組むようになります。目標管理の導入は、従業員が能動的に、積極性をもって業務に取り組むことにつながります。 従業員の能力やスキル向上によって企業の経営目標達成につながる 社員自ら自分の目標設定を行い、それを達成するために、能動的に業務に取り組むようになるため、社員の能力やスキルが向上するようになります。一人一人の社員のスキルが上がれば、組織や企業全体の力も向上するようになるため、経営目標も達成に向かうことができます。 目標管理の運用で起こりがちな恐れ 一方で、目標管理を正しく運用できないと以下のような失敗が起こってしまいます。 目標至上主義 目標自体に重きを置くようになるうちに、成果のみを評価するようになってしまい、目標をノルマの管理の一つとしてしか用いられなくなってしまう場合です。このような目標至上主義になってしまうと、社員のモチベーションが低下し、スキルの向上につながらなくなってしまう恐れがあります。 社員のモチベーション低下 目標管理を正しく運用できないと、単なるノルマ管理になり、従業員の主体性が損なわれ、モチベーションや、生産性が低下する恐れにつながります。本来は目標管理によって従業員が積極的に業務を行い、モチベーションなどが向上する効果があるのにもかかわらず、誤った運用方法によって、メリットが損なわれてしまいます。 手段の目的化 目標管理では、批評価者である従業員が立てた目標の進捗や結果を検証するために、上司である評価者と面談を行います。評価者の負担が大きくなるため、評価をすることが目的となってしまい、評価そのものが大きな負担となってしまいます。 目標管理制度のポイント 目標管理を正しく運用するためには、期間を設けて、具体的でわかりやすい目標にする必要があります。目標達成のプロセスも具体的にし、企業としての戦略と関連があるものにすると良いです。また、目標のレベルは、高すぎたり、低すぎたりせず、創意工夫をすれば達成可能な範囲にすることが重要です。     目標管理制度の流れ 実際に目標管理を正しく運用するには、以下の手順を踏むことが大切です。 適切な目標設定 まず、企業やチームなどの組織単位の全体目標を設定し、決定した目標を所属している従業員に周知する必要があります。全体的な目標を共有することで、各従業員がそれに沿った目標を設定できるようになります。従業員が自主性をもって目標を設定することが重要です。従業員が目標管理制度や評価者に不信感を抱いたりしないよう、上司と従業員との間で目標達成基準のビジョンをきちんとすり合わせることが大切になります。 実際の行動計画と実行 設定した目標を達成するために実際の行動をどのように行うのかを計画し、業務を行います。その際に数値を使った行動計画を立てるようにすると、目標実現に向けて行動しやすくなったり、評価の際に客観的に達成度を確認できます。 進捗確認 目標を設定した後も進捗確認や見直しをする必要があります。日報で管理したり、定期的に面談をすることで確認ができます。設定した目標が適切か振り返り、適切でない場合は目標や計画行動を設定しなおすよう従業員が主体性をもって検討させるようにします。 客観的な評価・評価後のフロー 評価対象期間後に各個人の目標達成度を評価します。目標未達成の場合は、原因や対策を従業員に考えさせ、サポートすることで成長につながります。また、上司と部下の信頼関係を損なわないようコミュニケーションにも気を付けましょう。評価が振るわなかった従業員に対しても、従業員の業務に対する姿勢や努力をフォローするなど、納得のいかない評価による従業員のモチベーション低下を防ぐことができます。 目標管理の手法の種類 では、目標管理は具体的にどのように運用していけばよいのでしょうか。現在ではMBOをはじめとして様々な手法があります。それぞれの特徴から企業にあった手法で目標管理を行うことができます。 MBO MBOとは「Management By Objectives」のことを言い、ドラッカーが唱えた手法となります。大きな特徴としては、目標と評価や報酬が結びつくため、「上司と部下のみ」の公開になります。目標期間は、半年か、1年間で、目標達成水準は100%になります。現在の多くの日本の企業が、このMBOを導入しています。 メリット 目標設定と結果が明確なため、評価しやすく、人事考課の参考値としても使用できます。目標達成の結果が給与等に反映されるため、従業員のモチベーション向上につながりやすくなります。また、自分自身で目標設定を行うため、スキルの向上にもつながります。 デメリット 評価に紐づくことから、簡単に達成できるような目標を設定する可能性があります。また、結果を出せば、評価が上がるため、中長期的な目標より短期の結果が重視されてしまう傾向があります。目標以外の業務は取り組まなくなる恐れがあります。また従業員一人一人に対して目標設定と進歩管理のサポートを行うようになるため、上司などの管理者の負担が増えてしまう恐れがあります。 OKR OKRとは「Objective and Key Result」の略称であり、インテル社のアンディ・グローブ元社長が構築した手法です。Objective(目標)に対して、Key Result(主要な結果)をセットにしています。チームメンバーが同じ目標に行くための手法であり、個人目標を設定するMBOとは特徴が異なります。また、達成率は60~70%くらいの比較的高い目標を設定します。目標情報はオープンになっているため、同じチームの目標はお互い共有できる状態です。 メリット 会社全員で高い目標に挑戦するため、組織力が向上し、エンゲージメントが上昇します。また、目標の情報が公開になっているため、コミュニケーションが活発になります。目標期間は3か月1サイクルなどの短期間のため、世の中の変化などに柔軟に対応ができます。 デメリット 高い目標を設定するため、難易度が高くなります。フィードバックは頻繁におこなうため、時間を確保する必要があり、負担につながる恐れがあります。また、目標管理の手法のため、人事評価などと直接結びつけることはできません。 KPI KPIは、「Key […]

スキル管理・目標管理
労務管理士

労務管理士とは?仕事内容や取得方法4つを紹介します!

労務管理士とは 労務管理士とは、労働基準法をはじめとした労務管理に関わる専門知識を習得し、適切な労働環境を築くことができる人材を育成することを目的とした民間資格のことを言います。この資格は、一般社団法人日本人材育成協会と、一般社団法人日本経営管理協会が運営するものであり、認定制度の詳細は団体ごとに分かれており、基準も統一されていません。 労働基準をはじめとした労務管理についての専門的な知識を一から習得することができるので、個人のスキルアップにもつながります。 労務管理士が得る知識は、企業の管理部門に必須な内容ですので、資格の取得が企業へのアピールポイントとなります。 ⇒労務管理について詳しく知りたい方はこちら 労務管理士と社会保険労務士の違い 労務管理士と社会保険労務士は、以下の2点で大きく異なります。 資格の種類 社会保険労務士でなければできない業務がある 資格の種類 労務管理士は、民間団体が認定を行っている資格であるのに対し、社会保険労務士は国家資格であることが違いの1つとして挙げられます。社会保険労務士の資格保有者となるには、社会保険労務士法に基づいた社会保険労務士試験に合格する必要があります。受験資格は短大卒以上であり、合格後も約2年の実務経験が義務付けられています。 社会保険労務士でなければできない業務がある 2つ目に、社会保険労務士でなければできない業務があることが挙げられます。制度上、社員の健康保険や雇用保険の手続きは、社会保険労務士でなければ行うことができません。これを労務管理士が行うと、法律違反になってしまい、罰せされてしまう可能性があります。 労務管理士の難易度 労務管理士の難易度は、比較的易しいと言えます。労務管理士は民間資格なので、取得の難易度は比較的易しく、全国各地で定期的に開催している講座を受講し、試験に合格することで資格の取得が完了します。それぞれの認可団体による公開認定講座を受講してか試験に臨む流れになっているので、講座で学んだことをしっかり身に着けていれば合格することは難しいことではないでしょう。 また、合格率は公開されていませんが、20歳以上という条件を満たしていれば性別や職業、学歴などは不問であるため、誰でも受験することができます。 労務管理士の資格取得方法 労務管理士の資格取得方法は全部で4つです。基本的には指定の口座を受講し、資格認定試験に合格することで取得が可能になります。しかし、地理的な問題で講座に出席できない場合などもあるため、取得方法には様々用意されています。 ここでは、その4つの取得方法について解説します。 公開認定講座 Web資格認定講座 通信講座 書類審査 公開認定講座 労務管理士の資格取得方法の1つとして、公開認定講座があります。全国で定期的に開催されている公開認定講座に出席し、資格認定試験に合格することで、労務管理士の資格を取得することができます。公開認定講座では、講師から直接労務管理士の知識を学ぶことができます。加えて労働基準法を中心に出題される資格認定試験に合格できるまで、丁寧な指導を受けることができます。 Web資格認定講座 労務管理士の資格取得方法として、Web資格認定講座が挙げられます。規定の研修をeラーニングで学習することで、インターネット上で資格認定試験を受験することが可能です。また、Web資格認定講座は学習の日程や場所は決められておらず、加えて受講料が最も安価に設定されています。インターネットに接続可能な環境が整っていれば、多忙な人にも最適な取得方法であると言えます。 通信講座 労務管理士の資格取得方法に、通信講座があります。様々な事情で公開認定講座に参加することができない場合は、規定の通信講座を受講することにより、通信による到達度テストを受験することができます。この試験に合格すれば、労働基準法の知識の習得が一定の基準まで到達したとして認められ、認定講座による資格認定試験に合格したものと同等に扱われるので、労務管理士としての手続きを行うことが可能です。 書類審査 労務管理士の資格は、書類審査での取得方法も挙げられます。書類審査は、実務での経験を重視し、経歴と課題論文によって審査を行う手法です。経験が重視されるため、労務管理に関する実務経験を最低3年以上行ったという証明に加え、労務管理士の資格取得者からの推薦が必要です。 労務管理士の資格が役立つ仕事 労務管理士が行う労務管理の仕事は、企業の社員の労働環境などを管理するものです。具体的に挙げると 雇用の際に必要な雇用契約書の作成 就業規則の管理・運用 社員の勤怠管理 給与計算 これらの業務には労働基準法をはじめとした知識が必要なため、労務管理士が習得しているものがそのまま活用できます。 労務管理士の仕事内容 労務管理士は、労務管理の中でも社員に関する仕事の専門家であると言えます。労務管理士の仕事内容として、以下の6つが挙げられます。 労働契約の締結 労働条件の管理、変更 各種保険の管理 給与、賞与の計算 安全、健康管理や労働環境の整備 就業規則の管理 労働契約の締結 企業は新規雇用者に対して労働契約書を交付することが義務付けられています。一般的にこの業務は労務管理士が行います。 労働条件の管理、変更 社員が昇進や、異動をした際に必要になる労働条件の管理や変更を労務管理士が行います。 各種保険の管理 企業は正社員やパート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、一定の条件を満たしている社員に対し、社会保険や労働保険に加入する義務を負います。この時に必要な手続きを労務管理士が行います。 給与・賞与の計算 社員の給与や賞与の計算を、労務管理士が行います。 安全、健康管理や労働環境の整備 […]

人事労務・制度設計・運用
職務拡大

【モチベーション管理】職務拡大とは?職務充実との違いや具体例を解説!

職務拡大とは 「職務拡大」とは、従業員の担当する業務を新しく追加することで、任せることのできる業務の範囲を拡大していくことを指します。単純な作業をひたすらこなすよりも、様々な業務を行わせることにより、飽きが減り、業務を覚えているという実感が強くなりモチベーションが向上します。 職務充実との違い 「職務充実」とは、従業員の業務の質を高め、高度化していくことを指します。業務に関する従業員の選択の幅を広げることにより、モチベーション向上が望めます。このように「職務充実」は、職務の権限や責任の幅を拡大することから「垂直的な拡大」と捉えられ「職務拡大」は、担当する業務の幅を広げる「水平的な拡大」と呼ばれています。 職務拡大の具体例 「職務拡大」の具体例として、生産技術の革新が進行すると、生産可能な製品も増加します。これにより、従来のように職人の技術が活躍するような場が減少していきます。従業員は、自分の技術に誇りを持っているものの、それが活躍できる場所、機会がなくなっていくと、モチベーションが減少してしまいます。このような場合において、ある会社で異動を進めていったところ、従業員から「これまでは新しい生産技術が投入されると、自分の利用価値がなくなるようで心配していたが、異動を繰り返し様々な業務を経験することにより、工場全体としての生産性向上に役立てることができていると実感した。」という感想を頂いたようです。 従業員を異動させて従業員の育成や、モチベーションの向上につなげることができるということは「職務拡大」の良い具体例と言えます。 この他にも、営業社員の場合でも、一人の顧客に対し一つの商品を扱うよりも、多数の顧客に多数の商品を扱った方が、商品の知識だけでなく顧客への知識が増えます。そこから営業としての実力が身についたと実感することができ、モチベーションが向上します。営業社員における異動、転職も、職務拡大の良い例と言えます。 意味を理解し、モチベーションの向上に活用しましょう 「職務拡大」や「職務充実」は、管理者側が監督を行う現場において考えるものです。より多角的な視点で部下の業務を見てみれば、人材育成や生産性の向上だけでなく、モチベーションの向上も同時に進行することができます。そのためにも、2つの言葉の意味を適切に理解し、活用する必要があります。   スキルナビ編集部

人事労務・制度設計・運用
新卒離職率

新卒離職率は30%越え!?新卒の離職理由や早期離職を阻止する対策

大変な就職活動を乗り越えて企業に就職した新卒社員が、早期に離職するケースは毎年後を絶ちません。入社初日に退職を決断する人もいるようで、人材の確保・育成への多大な投資をした企業にとっては、新卒の離職率を以下に下げるかが課題となっています。 また、投資が無駄になるだけではなく人員配置や正常な事業運営にも影響を及ぼします。 新卒社員の離職は早期離職とはいえ、企業にとってのダメージは大きいです。この記事では、新卒の離職率や理由、早期離職を阻止する対策について解説していきます。 早期離職の定義は新卒から「3年以内」 「早期離職」の定義は、入社後3年以内に離職することを一般的に指しています。2010年に「青少年雇用機会確保指針」が改正され、少なくとも学校卒業後3年間は新卒採用枠での応募を可能とする措置が要請されたことが背景とされています。 厚生労働省では「新規学卒就職者の離職状況」の中で、新卒社員が就職後3年以内に離職する率(離職率)を毎年公表しています。 離職率の計算式は「離職率=就職後3年以内で離職した人数÷入社日に新卒として入社した人数×100」となっています。     厚生労働省のデータから見る新卒の離職率の推移 2019年10月に厚生労働省から公表された、2016(平成28)年3月の新規大卒就職者の離職状況では、1年ごとに1割強の人が離職し、最終的な離職率は32%となっています。 就職氷河期と呼ばれる1999年~2005年のデータを見てみると、新卒の離職率が35%前後で推移していますが、入社1年以内での離職者が全体の4割に達しています。これは就職難によってミスマッチが起きた状態で雇用された新卒の人たちが離職した結果ととらえることができます。 リーマンショックの影響から脱した2010年以降は、32%前後の離職率で比較的安定しています。 新卒の離職率は平均3割 2016年3月の新規大卒就職者の離職率は32%です。この数値は事業所の規模や産業別の離職率を平均した数値です。 ■企業規模別3年離職者率 従業員5人未満企業 56.1% 従業員5~29人企業 51.1% 従業員30~99人企業 40.1% 従業員100~499人企業 33.0% 従業員500~999人企業 29.9% 従業員1000人以上企業 26.5% 事業所の規模別になると規模が大きくなるほど離職率が下がり、従業員5名未満の事業所における離職率が57.7%と高くなっています。 ■産業別3年離職率 宿泊業・飲食サービス業 64.2% 生活関連サービス業、娯楽業  59.7% 教育、学習支援業 55.8% 小売業 49.5% 医療、福祉 47.0% 建設業 45.8% 不動産業、物品賃貸業 43.8% サービス業(他に分類されないもの) 43.8% 情報通信業 40.8% 卸売業 40.5% 学術研究、専門・技術サービス業 39.5% 運輸業、郵便業 36.1% 複合サービス事業 30.7% 製造業 29.2% 金融・保険業 28.4% 鉱業、採石業、砂利採取業 23.7% 電気・ガス・熱供給・水道業 12.0% また、産業別の離職率を見てみると、電気・ガス・熱供給・水道業の離職率が9.2%と一番低く、エネルギー業界は人材定着がうまくいっているといってよいでしょう。 宿泊業・飲食サービス業(50.4%)を筆頭に、医療・福祉(39.0%)や小売業(37.4%)などのサービス業の離職率が平均を上回っており、人材の流動が盛んとみることができるでしょう。また、雇用のミスマッチが発生している可能性もあります。 ⇒離職率について詳しく知りたい方はこちら 新卒の離職理由 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)|独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)で紹介されている離職率の上位10位を見ていきます。 1位:労働時間・休日・休暇の条件2位:肉体的・精神的な理由3位:人間関係4位:賃金条件5位:やりたい仕事内容ではなかった6位:キャリアアップのため7位:会社に将来性がなかった8位:仕事がうまくできず自信を失った9位:結婚・出産のため10位:ノルマや責任が重すぎた 上位の結果をみると、1年未満で離職する人は、入社前の理想と入社後の現実にギャップを感じてしまう人が多いようです。就職活動中に思い描ける仕事内容には限界があり、実際に働き始めてから「この仕事がしたいのではなかった」と感じることが多いのでしょう。 新卒の離職防止のための施策 早期離職を防止する上で有効な、施策を紹介します。 メンター制度 メンター制度を導入は、新入社員の仕事上・生活上の悩みを気軽に話せる存在を作ることができ、結果的に新入社員の成長の支援を行えます。 メンターには、別部署に所属する入社5年〜7年目の社員が適任といわれていますが、業務の悩みを共有するという点に関しては同じ部署の先輩のほうが良い場合があります。社内や各部署の教務内容によって臨機応変に指名する必要があります。 […]

人事労務・制度設計・運用
中間管理職の平均年齢

中間管理職の平均年齢とは?外資系企業は管理職になるのが早いの?

中間管理職の平均年齢は企業によって異なりますが、一般的に日本の企業では40代が中心とされています。年功序列と終身雇用が影響し、課長に昇進するまで20年程度かかることも。この記事では、中間管理職の平均年齢の違いや、外資系企業で出世するためのポイントを解説し、自分のキャリアに適した企業選びについて考察します。

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タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化~第4回「ポータブルスキルの評価」

ポータブルスキルの位置づけ ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。 ポータブルスキルも含めて、社会人が一般的に持つべきスキル、あるいは評価の対象となるスキルは、基礎的なものから順に、ポテンシャル、スタンス、ポータブルスキル、リテラシー、テクニカルスキルの5段階に分類されています。 ポテンシャルは、「潜在力」「可能性」「将来性」といった社会人が仕事で成長するための潜在的知的能力のことを指します。もっとも基礎的なこのスキルは、新卒採用では特に重視されます。 スタンスは、ものごとに対する姿勢や志向を指します。社会人としての基礎となるため、新卒採用者に対して、早い企業では内定段階から、レベルの測定やレベルアップのための研修を実施しています。 ポータブルスキルは、「真面目さ」、「積極性」、「几帳面さ」といった特定の業種・職種・経歴にとらわれない能力のことを指します。特に、環境の変化や新しい業務内容への適応が必要になったときに重要となるスキルであるため、最近では、中途採用において重要視されるようになってきています。 リテラシーは、「語学力」、「ITスキル」といった業務を遂行する上での基盤となる能力のことを指します。一般的には、自己啓発の一環として、社員が個人的にスキルアップをはかることが多く、企業が時間的、金銭的に補助する場合もあります。 テクニカルスキルは、実際の業務を遂行するために必要となる専門的なスキルのことを指します。人事評価やタレントマネジメントにおいて、主要な対象となるスキルで、企業内研修では、もっとも重視され、集合研修だけではなく、OJTも含めてレベルアップがはかられます。 以上のような5段階の中間に位置するポータブルスキルは、新卒社員や若手社員で重視されるポテンシャルやスタンスとは異なり、ある程度社会人経験を積んだ中途採用社員が早期に新しい企業文化に順応し、以前とは異なる業務内容に対応するために必要な能力と位置づけられています。 ポータブルスキルの内容 ポータブルスキルは、より具体的には、「対人力」、「対自分力」、「対課題力」の3つの能力から構成されます。 対人力は、人に対するコミュニケーション能力のことで、以下のような能力が含まれます。 – 集団をまとめていくことができる力 – 相手に対して、自分の考えを理解納得させることができる力 – 相手に気を配り、支援やサポートをすることができる力 対自分力は、行動や思考のセルフコントロール能力のことで、以下のような能力が含まれます。 決断力 – 一度決めたら最後まで貫く潔さで行動できる力 冒険力 – 新しいことに対して危険を恐れず挑戦することができる力 持続力 – 長期間継続してひとつのことに取り組むことができる力 対課題力は、課題や仕事の処理対応能力のことで、以下のような能力が含まれます。 試行力 – 自分で色々と試行錯誤しながら物事を進めることができる力 計画力 – 情報を整理して物事を段取りよく進めることができる力 分析力 – 本質を捉えようと深く掘り下げて考えることができる力 ポータブルスキルとタレントマネジメントシステム 「リテラシー」や「テクニカルスキル」の場合は、レベルが高ければ高いほど優秀という判定になりますが、ポータブルスキルの場合は、絶対的な優劣が判定できるわけではありません。 例えば、「対人力」は、「主張力」「否定力」「説得力」「統率力」「傾聴力」「受容力」「支援力」「協調力」の8つの能力から構成されますが、これらは、先頭に立って引っ張るタイプに見られる「主張力」「否定力」「説得力」「統率力」と、周りと協調して仕事を進めるタイプに見られる「傾聴力」「受容力」「支援力」「協調力」に分けることができます。一般的に前者の能力が高い人は後者が弱く、後者の能力が高い人は前者が弱いという傾向にあるため、どちらが良いかは、企業側がどういう人材を求めているかによって評価が分かれることになります。 したがって、ポータブルスキルを判定するには、採用すべき人材のポータブルスキルのタイプを事前に明確にしておかなければなりません。そのためには、常日頃、在籍する社員のポータブルスキルを評価し、人事考課データと組み合わせて、ハイパフォーマー(評価の高い社員)がポータブルスキルのどの項目について高いレベルを持っているかを分析する必要があります。このような分析を可能にするためには、スキル管理と人事考課の両方の機能を持ち、2つのデータが統合されているタレントマネジメントシステムの存在が不可欠であるといえるでしょう。 スキルナビ編集部

タレントマネジメント・人材管理