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人事評価制度に使用される手法とは?事例を用いて徹底解説

人事評価制度に使用される手法とは?

社員を正当に評価する目的として、人事評価制度を効率良く導入する企業が急増中。そして、制度採用企業の多くは業績が伸びているのも特徴です。では導入メリットは一体何でしょうか。今回は人事評価制度に使用される手法や導入事例を中心に紹介していきます。

人事評価制度とは

人事評価制度とは社員の仕事ぶりを正しく評価し、常にモチベーション高く勤務してもらうためのルールです。従来の単一的な評価手法ではなく、多角的に社員を評価する方法として導入企業が増加中。とくに近年では働き方改革の推進により「いかに社員がやりがいを持って働けるか」が課題となっているからです。社員の成長は会社の躍進へとつながります。結果、企業の売上も大きく上がっていきます。人事評価制度を考えるのは会社の未来を見つめる第一歩となるでしょう。

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人事評価制度に使用される手法

人事評価制度に使用される手法は以下の通りです。

MBO

MBO(マネジメント・バイ・オブジェクティブズ)は目標管理制度と言われます。個人やグループが当初設定した目標がどれだけ達成したかを管理する制度です。上長から課せられた目標とは違い、自分でゴールを設定するのがポイント。やらされ仕事ではなく、モチベーション高く仕事に取り組めます。また、設定目標は現実的かつ具体的かが重要です。そのためにも、目標を決める際は上司と本人のすり合わせが大切と言えるでしょう。

OKR

OKR(オブジェクティブズ・アンド・キー・リザルツ)は会社・部署・個人からなる目標に対して具体的な成果を設定する手法です。まず会社全体のゴールを決め、全体目標に基づいた部署・個人目標を設定していきます。次に数値を使用した3~5程度の具体的な成果目標を設定。会社全体と部署・個人の目標が上手くつながるため、企業が一致団結しやすいです。また、情報共有が徹底されるメリットもあり、コミュニケーションのスピードアップが望めるでしょう。

360度評価

360度評価は社員を多角的に精査する制度です。従来の上司から部下への評価制度とは違い、同僚や部下からも採点する方法。上司の一方的な感情が入らないため、社員を正当に評価できると好評です。とくに数字には表れない行動も精査でき、評価対象の社員はモチベーションが上がります。社内コミュニケーション強化も狙えるため、風通しの良さを求める目的での導入も良いです。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は社内の優秀な社員をモデルとし、行動特性の達成具合で評価する手法です。「どんな人材に育ってほしいか」が明確となり、社員にとってもイメージしやすくなります。また、ロールモデルがいなければ自社で設定してしまう方法も良いでしょう。とくに社員数が少ない企業では手本を作り上げてしまう例も多いです。

バリュー評価

バリュー評価は企業が求める行動や価値観にどれだけ貢献できたかを精査する手法です。従来の成果主義や年功序列とは対極にある制度であり、結果を出すための過程が最も評価されます。企業と社員の想いが合致できるため、組織力の強化へとつながるのが利点。結果的に正しい行動が結果に直結していくのです。結果よりも内容を重視したい企業は導入を検討していきましょう。

ピアボーナス

ピアボーナスは同僚同士で報酬を贈り合う制度です。peer(仲間)・bonus(報酬)が語源とされています。従来の一方向評価ではなく、一番身近にいる社員が普段の行動を評価するシステム。少額の報酬を与え、モチベーションアップにつながります。アメリカ由来の制度であり、中小企業やベンチャー企業で幅広く導入されています。今後さらに採用企業も増えていくでしょう。

ノーレイティング

ノーレイティングは格付けをしない評価手法です。従来のS~C評価によるランクを撤廃し、随時ミーティングで進捗を共有する制度になります。型にはまった評価項目がないため、社員はのびのびと勤務可能。結果的に個性を伸ばす制度となり、社内が活性化されやすいです。ピアボーナス同様、アメリカ発祥の制度であり、今後も日本での拡大が予想されます。

リアルタイム評価

リアルタイム評価は業務コミュニ―ケーションを定期的に行う手法です。本来3ヶ月に一度や半年に一度面談を行いますが、毎週もしくは2週間に一度フィードバックを実施します。実際に起きた問題点・疑問点を時間をあけずに解消でき、社員が日々スムーズに業務へ取り組めるのです。上司にとっては部下の進捗を随時確認可能なため、評価もしやすくなります。

人事評価制度の注意点

人事評価制度の注意点は以下のとおりです。

自社にあった評価制度を取り入れる

人事評価制度を取り入れる場合は自社に適した手法を取り入れましょう。従業員数・企業理念・業態など、臨機応変に採用するのがおすすめ。例えば、360度評価は中小企業ほどメリットが大きいです。従業員数が少なければ、時間を掛けて一人の社員を同僚・部下で精査できるでしょう。反対に、社員数が多い大企業では評価に時間が掛かるかもしれません。まずは評価制度を採用するための自社分析が必要です。

従業員に周知を行う

人事評価制度採用時は従業員に周知していきましょう。社員に情報を共有しておけば、不満なく評価がスムーズに行えます。例えばバリュー評価の場合、数字を残した社員でも、自社の行動に沿わなければ評価されません。バリュー評価を知らされていない社員は評価に不服を申し立てるでしょう。本来、従業員に周知しておけば起こらなかった問題かもしれません。人事評価を組み込む際は社員間でコミュニケーションを図っていきましょう。

評価エラーを起こさない

人事評価制度を取り入れるには評価エラーを起こさぬよう、確認を徹底していきましょう。とくに制度導入時は右も左も分からない状態。採用当初ほど評価ミスが起こりやすく、トラブルにもなりかねません。社員にとって評価は人生が掛かる出来事。随時チェックを行っていきましょう。

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人事評価制度の企業事例

人事評価制度の企業事例は以下のとおりです。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリはノーレイティング制度を採用したリーディングカンパニーです。従来S・A・B評価していたものの、従業員のモチベーションに限界がきたとのこと。当初アメリカ発祥の評価だけに不安もあったそう。導入を経てメンバー全員が納得して勤務できています。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーは360度評価で成功した大手IT企業です。実際に名前を記入する社員評価制度を採用し、評価者の責任感と現実的なフィードバックがうまれました。結果的に社員全体のコミュニケーションが活発になり、今ではスポーツチームに代表するIT企業へと成長できたのです。

アドビシステムズ株式会社

アドビシステムズ株式会社は「Check-in」と呼ばれる、リアルタイム評価を導入しています。従来の目標管理制度では評価者に膨大な作業時間が掛かっていたものの、4半期に一度の面談で社員の問題点を随時解決。人事評価の効率化が図れました。

株式会社フィードフォース

株式会社フィードフォースはノーレイティング制度を導入しています。ランク付けでは社員のモチベショーンが上がらないと気付き「評価関係」を撤廃。会社にどれくらい貢献したか?を軸とし、社員のやりがいへつなげました。

GMOインターネット株式会社

GMOインターネット株式会社は360度評価を導入した勢いにのるIT企業です。評価効率の改善を目的とし導入。実際に人事部の負担も大きく軽減できたそう。スピード感や利便性が実現でき、社員にも好評です。

株式会社ISAO

株式会社ISAOはリアルタイム評価と360度評価のハイブリッド制度を導入しています。等級は11にものぼり、短いスパンで行われる面談によって昇給も可能。一人一人に責任感がうまれ、自主的な社員が多くなりました。

Chatwork株式会社

Chatwork株式会社はOKRを採用しています。社員数増加に伴い、会社のビジョンが共有できなくなったとのこと。社員全体の方向性がブレはじめた所にOKR導入に踏み切りました。現在は上司と部下の信頼関係がうまれ、社員全体が自分らしく働いています。

ワイジェイカード株式会社

ワイジェイカード株式会社はバリュー評価を導入中の企業です。会社の行動規範や価値観を社員へ共有するのにむずかしさを感じていたそう。そんな中バリュー評価に出会い、スピード感を持って社内のビジョンを伝達できました。加えて、人事評価に掛ける時間も大幅に削減できたのです。

カルビー株式会社

カルビー株式会社はノーレイティング制度を導入しています。従来のスキル評価制度を撤廃し、目標による達成度で賞与の額が決定。ゴールは上司とともに行うため、より現実的で具体的であるのもモチベーションにつながっています。会社全体の効率化が実現でき、利益率は5年で10倍にまで跳ね上がりました。

まとめ

人事評価制度は社員の働くモチベーションを維持し、責任感を持って取り組んでもらう仕組みです。従来の上司がトップダウンで行う評価には限界がきており、評価制度の見直しが必要になりました。自社に合った人事評価制度を導入すれば、社員と会社の成長につながります。是非一度制度の採用を検討してみてはいかがでしょうか。