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人事制度の改革とは?見直すべきタイミングやポイントを解説!

人事制度の改革とは?

人事制度は企業を存続するために必須といえるでしょう。

しかし現在の社会と既存の制度にはギャップがみられています。

このギャップを埋めるためには、時代の流れにともなって新しい改革が必要です。

今回は人事制度の改革についての流れやポイントについて解説していきます。

人事制度とは

企業の経営において「人材、物、資金、情報」この4つの資源は欠かすことができません。

人事制度はこの資源のなかで1番大切である「人材」を管理し、経営として飛躍をするために設けられたルールです。

人材を有効活用活することで他の3つの資源が生きるといっても過言ではありません。

そのためには人事制度によって統率をうまく図っていく必要があります。

人事制度における3つの要素とは

人事制度には3つの要素があり、これらが成り立つことではじめて運用ができます。

それぞれの制度について詳しく説明をします。

等級制度

従業員に対して「部長」や「課長」といったような序列を設定することです。

勤続年数やスキルにあわせて区分し、業務を行う上での責任や権限の範囲が変動します。

その他にも従業員のスキルが評価や昇進の基準となる「職能資格制度」や、職務の種類によって報酬額が一定となる「職務等級制度」、従業員の役割によっても序列が変動する「役割等級制度」などがあります。

人事評価制度

企業が決める評価項目、方法の基準に沿って従業員の評価が下されることを人事評価制度といいます。

一定の評価に応じて昇進や昇給などの処遇を決定します。

・能力評価

・業績評価

・情意評価

この3つの評価項目から構成されることが多いです。

人事評価制度は従業員のモチベーションの維持や育成をするための役割も担っており、企業の成績向上にもつながっていきます。

そのためには評価の基準を従業員にも可視化できるような配慮が必要です。

報酬制度

従業員の序列や実績を考慮して報酬を決めることを報酬制度といいます。

業務での実績により報酬が変動するため、従業員としては「頑張れば頑張るだけ報われる」という達成感を持てます。

今まで主だった年功序列制度と比べると、若い世代のモチベーションを高めやすいのが特徴です。

しかし企業によって報酬制度の基準は異なるため、どのように決めているのかをよく把握する必要があります。

人事制度改革の流れ

コロナウイルスによる影響やIT系の進歩によってわたしたちの働き方は少しずつ変化していきました。

テレワークの導入が普及し雇用形態も多様化している今、既存の人事制度では対応できない要素が増加傾向です。

人事制度の改革によって従業員がより働きやすい環境を整える必要があります。

現在そのような改革が進んでおり、欧米での雇用方法や人事制度を日本に導入するなどの取り組みがはじまっています。

人事制度を見直すべきタイミング

時代の流れに沿った変化をするために、人事制度はどのタイミングで見直すかを説明します。

会社規模の変化

経営が上向きになり会社の規模が多くなったタイミングは重要です。

規模の拡大によって従業員の増員が必要になった場合、従来の評価方法では対応できない可能性があります。

人数が増えると1人に対しての時間をかけられないため、より効率の良い管理方法に変更しないといけません。

規模にあわせて人事制度を見直さないと人材管理がおろそかになり、従業員のモチベーションの低下や最悪のケースでは離職にもつながります。

環境の変化

企業方針の変更時も人事制度を見直すべきです。

規模の大きい変化がある状態で従業員が普段の制度に従って動くと、違和感や認識のズレを起こす可能性があります。

また働き方改革などによる国全体としての環境の変化も見逃してはいけません。

このように企業内のみならず、社会全体の新しい変化に対しても柔軟に取り入れることが経営を続けていくための要素です。

人事制度改正の手順

実際に人事制度を新しく改正するにはどのような手順を踏むべきか説明します。

①現状実態の把握

ますは現状の実態について把握しなければいけません。

既存の制度と企業の状況を理解して、どのような問題点があるのかを抽出します。

従業員のアンケートや聴き取り調査、人材データベースによる分析を行い、少しずつ課題を明確にします。

②導入の明確化・基本設計

企業の実態を把握した後は、明確になった課題をもとに基本コンセプトを設計します。

どのように設計すれば課題を達成できるのか、経営方針とマッチしているのか、などの協議を行います。

また残しておくべき人事制度と噛み合っているのかを確認する必要があるでしょう。

③等級制度の見直し

中心の要素となる等級制度について見直しを行います。

前述したような職務資格制度、職務等級制度、役割等級制度のどれを採用するのかを決めていきます。

日本では「勤続年数が長い=能力が高い」という定義がまだ浸透しているのが現状です。

従業員にとってどのような制度が最適なのかを検討してみましょう。

④人事評価制度と報酬制度の見直し

その次に人事評価制度と報酬制度について見直します。

人事評価制度では従来のような年号序列型だと従業員のモチベーションにも大きく影響します。

成果や行動によって評価されるように配慮して、モチベーションを高める工夫が大切です。

報酬制度では他の企業の報酬水準なども参考にしつつ、慎重に設計していきましょう。

⑤目標管理制度の見直し

人事制度の根幹を再設計した後は、目標管理制度について見直します。

設定した目標を達成するため、進捗に応じて評価を決定しますが、具体的な評価基準について考えてみましょう。

また不明確な評価基準では納得感を得られず意欲が低下する可能性があるので、具体的な作成を心がけましょう。

⑥新制度のシミュレーション

人事制度と目標管理制度を見直したら改正はほとんど完成といってもいいでしょう。

新制度を取り入れる前にあらかじめシミュレーションを行います。

改正後の制度の噛み合わせや矛盾、従業員のモチベーションの変化などの確認が必要です。

また新制度を導入する際は従業員にも詳しい説明を行い、協力体制を作る必要があります。

意見や不満がある場合は傾聴し、場合によっては対応策を練ることも大切です。

⑦運用開始

シミュレーションを行って問題ないと判断したら、新制度の本格的な運用を開始します。

シミュレーションの段階で従業員には十分な説明を行いましたが、あらためて本格的な運用を開始する旨を伝えます。

管理者は適切な運用を心がけ、問題点が浮上した場合は解決策を考え迅速に対応していきましょう。

この繰り返しによって新制度の地盤を固めて、企業と従業員の成長をさらに促していきます。

人事制度改革のポイント

ただ不都合な制度を変えるだけでは改革とはいえません。

制度を見直すために大切なポイントについて説明します。

クラウドシステムを使用した人材スキルの可視化

新制度を導入して適切に運用するには、人材の情報を可視化できるようなデータベースの管理が必要です。

クラウドシステムによるデータベースを利用することで、人材の基本情報やスキルなどを一括で管理できます。

表面上からでは見えにくい情報も一目でわかるので、特性を理解した適切な業務配置が可能です。

また健康状態や勤怠状況から従業員の調子の変化を見極め、素早い対応を行うこともできます。

人事評価における納得感の向上

従業員にとって評価は自身の価値や報酬を決定づけるものであるため、繊細に扱わなければいけません。

そのため曖昧な評価は従業員の意欲を低下させる要因です。

評価の過程や結果を可視化するなどの対策をとり、曖昧さを排除する必要があります。

どんな評価基準なのかを従業員が把握することで納得感が得られ、モチベーションの維持につながります。

HRテックによるAI機能活用

人材管理や評価などの業務は煩雑になりやすく、それなりの労力が必要です。

しかし現在はHRテックの導入によってAI機能を活用し、効率的な作業を行えるようになりました。

このような技術によって人事業務を自動化・効率化し、従業員の負担軽減が期待できます。

HRテックの運用は生産性の向上などにも役立つため、導入の検討をしてみましょう。

教育制度の再設計とプロフェッショナル人材の採用

プロフェッショナル人材は企業にとっても必要不可欠な存在です。

また企業内の人材をより成長に導くためには教育制度の再設計が必要です。

最先端の技術や変革によって人材の確保・人材教育を施すことは企業存続にも大きく関わってきます。

とくに中小企業では教育体制が十分に整っていないことが多いので、あらためて見直すことをおすすめします。

まとめ

人事制度の改革は決してカンタンにできるわけではありません。

従来の制度とうまく噛み合わせることや、従業員に対しての十分な理解・協力を得ることなど、さまざまな労力を必要とします。

しかし今後の企業発展のためには、現在の社会の流れを企業に取り入れる必要があります。

より良い経営を続けていくためにも人事制度の改革をぜひ検討してみましょう。