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タレントマネジメントシステムで実現するISO9001力量管理~第1回「力量管理とは」

ISO9001における力量管理の定義

ISO9001:2015「7.2 力量」には、以下のような記載があります。

組織は次の事項を行わなければならない。

a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を揃えていることを確実にする。
c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。

力量を管理するために必要な作業とデータ

この定義に沿って、力量を管理するために必要な作業とデータを考えてみましょう。

a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。

最初に、従業員が持っていなければならない力量(スキルの種類とレベル)を定義しなければいけません。

b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を揃えていることを確実にする。

次に、対象業務に関わる全ての従業員が必要とされる力量を持っているかどうかを、現時点で持っているかどうか評価しなければいけません。

c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。

評価した結果、必要な力量を持っていない従業員に対しては、教育・訓練を実施して、その有効性、つまり、必要な力量に達したかどうかを再度評価しなければいけません。もし、達していなければ、再度、教育・訓練を実施する必要があります。また、状況により力量が低下する可能性がある場合は、定期的な評価を実施しなければいけません。

d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。

これまでの作業で発生した以下のようなデータを適切に保存し、必要な時に必要な形式で閲覧できるようにしなければいけません。

・力量定義(各業務に必要なスキルの種類とレベル)
・従業員の力量の評価結果(初回だけではなく、再評価、定期的な評価結果も含む)
・教育・訓練の内容と力量との関連性(その教育・訓練によりどのような力量が得られるのか)
・教育・訓練の実施履歴(どの従業員が、いつどのような教育・訓練を受けたか)

タレントマネジメントシステムと力量管理

ここまで見てきた作業のうち、力量の定義(a)と初回評価の実施(b)までは、紙の書類やExcelなどの表計算ソフトでも対応できるかもしれません。しかし、教育・訓練と評価の繰り返し(c)、データの保存と閲覧(d)については、明らかに非効率で膨大な作業が発生することが予想されます。

そこで力量管理を長期的かつ効率的に運用するために利用すべきなのが、タレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムは、もともと全従業員のタレント(能力)を最適化し、企業の競争力を高めることを目的とした統合人事情報データベースシステムです。以前は、オンプレミス形式で高額な導入コストが必要とされていましたが、最近では、低コストで短期間に導入が可能なクラウド・サービスが登場しています。

そのようなクラウド・サービスの一つであるスキルナビでは、力量管理に必要なすべてのデータを、変更履歴も含めて時系列に保存し、必要な時に、必要な形式(表や各種のグラフ)で閲覧できるようになっています。

総合人事情報データベース タレントマネジメント Enterprise Skills Inventory
ESI=現スキルナビ

次回からは、このスキルナビを例にとって、タレントマネジメントシステムを利用した力量管理の実現方法を解説します。

連載記事

第2回「力量の定義と評価

第3回「教育・訓練の実施と有効性評価