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ECRSとは?製造現場における4原則の考え方と実践例を解説

ものづくりの現場においては「いかに効率的な作業を行うか?」が重要になります。そこで、あらためて注目されているのがECRSです。環境に配慮したビジネスがスポットを浴びる昨今、製造現場でも業務を見直す動きが見られはじめました。

ではECRSとは一体どんな内容なのでしょうか。今回はECRSの考え方と実践例を中心に解説していきます。

ECRSの4原則とは

ECRSとはEliminate(排除)・Combine(結合)・Rearrange(交換)・Simplify(簡素化)の頭文字を取った業務改善用語です。私たちが行っている仕事の中で「何をやらなくて良いか?」「業務をまとめて業務時間を削減できないか?」「社員が抱えている仕事を入れ替えて効率化を見込めないか?」などを検討し、実行していく作業です。

本来何気なく取り組んでいる仕事の中でも改善できるポイントは多々あります。ECRSをあらためて見直せば、少ない労力で大きな成果を上げられるでしょう。実際、ECRSを取り入れ、大企業へと成長を遂げた会社も複数あります。このように、ECRSは業務改善を行う上で重要なポイントであり、企業が成長する上で欠かせない取り組みなのです。

ECRSの前に行うべき業務の棚卸と業務フローの整理

ECRSを考える前に業務全体の見直しと整理を行っていきましょう。まずは、ECRSに取り組む上での目標設定やスケジューリングです。「10ある業務を5まで減らす」「1ヵ月後までに取り組みを完了させる」などの明確な目標を立てていきます。

はっきりとした目標があるとスムーズに実行でき、より効率的に取り組めるでしょう。反対に、目標を立てず実践すると時間が掛かるだけでなく、完成するECRSの質も落ちてしまいます。目標は細かく分かりやすいよう設定していきましょう。

次に行うのは業務の棚卸と業務フローの整理です。「誰がどんな作業を行っているのか?」「一日の作業時間はどれくらいか?」をはっきりさせていきます。当工程はECRSに取り組む上で大変重要です。後述する実践例に影響を与える部分のため、時間を掛けて各社員の仕事内容を分析していくのが良いでしょう。業務の棚卸と整理が終了すると、いよいよECRSの実践に移ります。

製造現場におけるECRSの考え方と実践例

ECRSの考え方と実践例を解説していきます。

排除(Eliminate)

ECRSを実践する上で最初に取り組むのは排除です。排除は「どの業務を削減できるか?」「何の業務を中止させるか?」を考えていきます。代表的なのは目的なく生産性が上がらない業務です。

例えば、誰も見る機会がない議事録作成や参加者の少ないミーティングなどです。排除して問題ないと分かれば、業務フローから外してしまいましょう。

また、排除できない作業についても委託を検討してみると良いです。具体的には、製造現場におけるデザイン業務。専門家へ委託できれば人件費が削減できるだけでなく、デザインの質が今までより上がりやすいです。実際に業務効率化を実現させている企業は、業務を委託できています。

以上のように、まずは優先度の低い業務を削減し、削減できない業務でも委託を検討していくと良いでしょう。

結合(Combine)

排除の次は結合を考えていきましょう。結合は「二つの業務を一つにできないか?」「二人で取り組んでいる作業を一人でまかなえないか?」などを検討する工程です。社員の業務内容を見渡してみると、作業をまとめられる場合があります。

例えば、製造現場で同じ工程を二人が担当していたり、確認作業を一日何回も行ったり。前者は1工程1人担当制を設ければ、業務をまとめられるはずです。後者は確認作業を一日の終わりに設け、確認チェックリストをつくれば1回で済みます。作業を結合すると一人一人の作業効率も上がり、スキルアップものぞめるでしょう。

交換(Rearrange)

交換は「毎日行っている作業の順番を入れ替えられないか?」「人員配置の変更ができないか?」などを考えていきます。作業時間が掛かっている業務でも、交換を実施することで改善するケースがあります。

例えば、社内に話が流ちょうでないものの、聞き上手な方がいるとしましょう。一見控えめな性格から、製造現場に向いていると思われがちです。

しかし、営業に配置転換して花が開くケースもあります。本ケースは聞き上手だったゆえに営業で成功した例です。営業はお客様が求めている内容を瞬時に読み取るヒアリング力が必要なため、この方は営業に合っています。このように、人材を適材適所に配置するのも重要です。

簡素化(Simplify)

最後は簡素化の検討です。簡素化は「特定の人しかできない業務を誰でもできるシンプルなものにできないか?」「手作業で行っている仕事をシステム化できるか?」などを検討する工程です。近年IT化へと進む中で、当工程に関しては非常に身近に感じるかもしれません。

例えば、初心者に向けて分かりやすいマニュアルを作成したり、ショートカットキーを使うよう周知したり。社内を見渡すと、煩雑な業務をよりやさしくわかりやすい作業へと切り替えられるはずです。

簡素化が実現できれば社員全体のスキルがアップし、売上が徐々に上がっていくでしょう。以上のように、業務改善を行うにはECRSの4要素を、上手く組み合わせて考えていく必要があります。

ECRSの4原則のメリットと実践のポイント

ECRSが実現できれば、最終的に取り組むべき必要な業務だけが残ります。生産性が高まるだけでなく、社員全員のモチベーションが上がっていくでしょう。例えば、排除を実行すると一人一人の作業時間が減り、仕事とプライベートを両立できます。

簡素化を行えば、作業負担が減り、一つ一つの業務に集中できるのです。このように、4原則を実践することで様々なメリットがうまれます。そのためにも、ECRSを広い視野で実践し、各社員がスムーズに作業へ取り掛かれるよう、連絡をスムーズに取っていきましょう。

業務改善を行うにはECRSが重要

ECRSは4つの要素からなる、業務改善を行うための重要な工程です。生産を上げるためには「不要な業務をどれだけ削除できるか?」「いかにひとつにまとめられるか?」が大切になってきます。

そのために排除や結合を行っていくのです。まずはECRSを実践する前に、現在の業務を見直していきましょう。業務の棚卸ができれば、ECRSをスムーズに実行できます。