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ESG金融とは?注目されている理由とメリットを徹底解説

ESG金融とは?

近年、日本政府の提言により、ESG金融が注目を浴びています。コロナウイルス感染拡大も背景にあるのは間違いありません。では関心が集まっている要因は何でしょうか。今回はESG金融の実態とメリットについて解説していきます。

ESG金融とは?

ESG金融とは「Environment(環境)」「Society(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取った言葉です。近年、3要素を念頭に置いた上での投資活動を推進しています。環境は地球温暖化・生態系問題・開発問題をトータルしたもの。とくに地球温暖化問題への対策は年々強化されており、当テーマにおいて切っても切り離せないと言えます。社会は主に社員の健康安全・給与増加・勤務環境改善に特化したもの。現在は「ブラック企業」のようなワードが話題になっており、社員一人一人が自分らしさを表現できる環境が求められています。投資活動においても人事面を念頭に置かなければいけません。ガバナンスは企業における統治・管理に重点をおいたもの。近年は企業の不祥事が頻繁に発生する時代となりました。株主へ明確に企業事情を説明したり、取締役会を開催したりしなければいけません。企業統治は投資活動の際にも重要な項目になってきます。以上のように、環境・社会・ガバナンスの3要素を重視した投資手法がESG金融と呼ばれています。単に投資を行うだけでなく、多角的な面も視野に入れて活動を行わなければいけないのです。

SDGsとは

SDGsは別名「持続可能な開発目標」と呼ばれています。17の世界的目標と、その目標をクリアするための約170のアプローチから成る施策です。2015年の環境と国連に関する国際連合会議によって制定され、2030年達成に向けた目標となります。焦点となるのは「いかに全世界の人々が一定水準以上の生活ができるか」。先進国にとどまらず、後発国のレベルアップがターゲットです。実際に各目標を見ても、メインは発展途上国が対象となっているのが分かります。例えば目標1「貧困をなくそう」では性別・年齢・地域に限らず、全ての人々が貧窮化から脱出できるアプローチを取っています。最適な社会保障制度の制定や土地・財産・資源に対して平等な権利の保障などです。さらに、目標2「飢餓をゼロに」では食料や栄養に関してのゴールが定められています。毎日栄養のある食事を提供したり、農業・漁業インフラを構築したり。食に関する目標が取りまとめられているのです。他にも、質の高い教育や雇用確保についても、SDGsの目標に組み込まれています。世界が一致団結して平等な世界をつくる。そんなテーマを掲げた目標こそがSDGsなのです。

取り組みの必要性

SDGsが話題になっている理由の一つに所得格差があります。現在約1割の富裕層が世界総資産約9割以上を占めているのも事実です。今後格差はさらに広がっていき、お金持ちだけが生活しやすい世の中になってしまうでしょう。さらに、世界では地球温暖化に歯止めがききません。約300年前と比較して1度気温が上昇しているデータからも、雨量増加・海面の上昇・記録的熱波などの被害は免れません。地球温暖化が進めば、貧困層の生活はさらに苦しくなります。強制移住を強いられたり、内戦リスクを拡大させたり。環境の変化で貧困に歯止めが掛からなくなるのです。政府は以上2点の要因に伴い、SDGsを制定しました。また、SDGsは2015年に誕生したものの、以前より類似政策が存在していたのも事実。MDGsと呼ばれ、ミレニアム開発目標とも呼ばれていたのです。SDGsにもある、貧困層への救済活動や教育レベルの引き上げを目標として組み込まれていました。しかし、アプローチが不明瞭な点や対象地域の不公平さから2015年にSDGsへと切り替わっています。SDGsは取り組みの必要性が明確化された背景もあり、MDGsよりも世界中で高評価を得ています。

ESG金融が注目されている理由

ESG金融が注目されている背景にはSDGsとのつながりが深く関係しています。金融投資と聞けば、企業の売上や利益などを判断して資本を出すイメージが強いでしょう。実際に以前までは営業成績だけ良ければ投資額を増やせていたのも事実です。しかし、近年状況は変わり、表面上の数字に捉われない投資活動が行われ始めました。SDGsの取り組みにより、環境やインフラに力を入れる企業が評価されているのです。一時的な利益を追求する企業ではなく、地球環境に影響を与えられる会社を後押ししています。例えば、環境に配慮した電気自動車企業・世界の貧困国への教育推進企業・情報開示に積極的に取り組んでいる企業などです。とくに注目すべきは電気自動車でしょう。近年、今まで主流であったガソリン車から電気自動車への移行が急速に進められています。背景にはSDGs目標 7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」があります。電気自動車への移行は本目標に該当するため、世界の自動車企業がこぞって移行を進めているのです。中でも世界的に有名なテスラはESG金融の流行に乗るため、多額の投資を行っています。他にも世界を代表する企業がESG金融に注目しています。その裏にはSDGsとの関連が深いと念頭に置いておきましょう。

ESG金融のメリット

ESG金融は取り組む側と投資する側の両方にとってメリットがあります。まず取り組む側にとって、長い目で見た資産形成が望めるでしょう。ESGは短期よりも長期的な投資に向いており、企業の持続化が見込めます。自社資産のみで経営を進めるには限界があるため、投資を頼ってみるのも良いです。さらに、企業が環境・教育・インフラ問題に取り組む姿勢はイメージアップにつながります。問題が改善されるだけでなく、投資家からの信頼を得られるのです。そのため、ESGに取り組む側は好循環がうまれ、より投資額も大きくなって行くでしょう。一方、投資する側はより確実なリターンが見込めます。ESGにアプローチする企業の信頼度は全体的に増しており、成長が期待できます。政府の注目企業も多数存在するため、長期的収益が見込めるでしょう。以上のように、ESG金融は取り組む側と投資する側の両方にメリットがあるのです。

まとめ

ESG金融は環境・社会・ガバナンスの3要素を組み込んだ投資活動を指します。SDGsと深い関わりがあり、環境や教育にアプローチする企業が近年増加中です。地球問題へ取り組むだけでなく、投資家への大きなイメージアップにつながるでしょう。私たちがESG金融の知識を一つでも多く得ることが、環境問題への貢献となります。