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業績アップにつながる人材育成とは?効果的な研修をご紹介

人材育成

海外からの労働力の流入やAI等の導入による業務の機械化、自動化が急速に進み、労働の在り方も変化しつつある昨今において、企業が競争を生き抜いていくには、自ら物事を考え提案し、企業のために主体的に尽力できる優秀な人材を育成することが必要不可欠です。いかに優れたビジネスモデルがあっても、それを実行する人材が優秀でなければ、ビジネスが失敗に終わることも珍しいことではありません。

適切な人材育成の実施は、企業の業績向上につながる重要なファクターです。ぜひ、参考にしてみてください。

人材育成とは

人材育成とはその名の通り、「人を育てる」ことです。しかし、単に育てると言っても、仕事が出来るように社員を育成するだけでは人材育成とは言えません。与えられた仕事をこなすだけではなく、自発的に行動を起こし、主体的に仕事に取り組むことが出来るような人材、さらには「会社の経営理念の実現に貢献できる人材」を育てることが人材育成の本質となります。人材育成を通して、技術スキルや仕事のノウハウより高次元である、社員のヒューマンスキルを向上させていくことが重要です。

人材育成とは企業の業績向上のために必要なもの

人材育成によって社員のヒューマンスキルを磨くことで、社員は主体的に企業のために行動し、仕事に取り組むことが出来るようになります。結果として、仕事の中の具体的な判断・行動がより良いものとなり、企業の業績向上に繋がります。

ただ受動的に与えられた仕事をこなしているだけの社員と、自社のために必要な仕事は何か、業績向上のために自分が出来ることは何かと能動的に考えながら仕事に取り組んでいる社員とでは、業績向上に大きな差があるでしょう。後者のような人材を育成し、企業の業績を向上させるために、人材育成は必要不可欠です。

人材育成とは生産性向上のために必要なもの

人材育成によって社員の能力を向上させることで、社員の生産性を高めることが出来、延いては企業の生産性の向上につなげることが出来ます。

様々な業界で人手不足が叫ばれ、また新規の雇用にかかるコストも莫大である現代において、企業の成長のためには、社内の人材の能力を育成することで生産性を向上させることが最も現実的であると言えます。社員の能力の強化を図る人材育成は、企業の生産性の向上に有効な手段であると言えるでしょう。

人材育成を始めるときに行うべきこと

人材育成を始める際に、いくつか行っておくべきことがあります。これらが行われないと、自社に合った適切な人材育成を行うことが難しくなってしまいます。

自社の人材育成のことを理解する

人材育成を行う際、自社が将来どのような組織となっているのかを想定した上で、自社に適した人材の育成を行う必要があります。自社に必要な人材、求めている人材は何なのかを十分に理解した上で人材育成を行わなければ、適切な人材育成とはなりません。

現在の自社の人員構成はどのようになっているのか、年齢別や役職別などで分類し、具体的に「5年後には管理職の社員が不足するため、それまでにリーダーシップを身に付けた人材を○○名育成する必要がある」といった形で自社の将来を分析する、このようにして適した人材育成を探っていくことが必要となります。

人材育成がうまくいっていない理由を分析する

簡単に人材育成と言っても、それに求めるものは立場や役割、人によって様々です。本質は「会社の経営理念の実現に貢献できる人材」を育てることだとしても、その過程にどのような能力を求めているのか、という点は人によって大きく異なっており、そのズレによって適切な人材育成が出来ない場合もあります。

皆がどのような教育を求めているのかを整理し、多方面のニーズに配慮しながら人材育成を行わなければ、モチベーションの低下が引き起こされたり、提示した人材育成が受け入れられなかったりするでしょう。自社の人材育成が上手くいっていない場合は、このようにそれぞれのニーズを整理、分析する必要があるのです。

人材育成を行うことで解決したいことを明確にする

人材育成は、何の目的もなく漠然と行っても十分な効果を発揮しません。本格的な育成を行う前に、「自社が今どのような課題を持っているのか」、「それは人材育成によって解決可能なのか」、そして「解決可能ならばどのような教育が適しているのか」、といったことを明確にした上で人材育成を行うことで、その成果はより良いものとなります。

課題を明確化するためには、自社の組織全体の構成を理解した上で、社内の管理職層や現場の若手などにヒアリングを行っていくと良いでしょう。リアルな現場の声を聞くことで課題を洗い出し、それらが人材育成で解決可能ならば積極的に課題解消に取り組んでいくことで、企業の業績アップに直結するような人材育成を行うことが出来ます。

 

 

人材育成のための施策

一口に人材育成と言っても、その方法には様々なものがあります。そして、その方法によって適した育成対象や育成分野があったり、一方でコストや現場への負担などのデメリットがあったりします。このように複雑な人材育成を長期にわたって効果的に行っていくには、企業全体で人材育成のための施策を打っていく必要があるでしょう。

新人教育のための体制を明確にする

人材育成において、新人教育はとりわけ重要な意味を持っています。新人教育に失敗すれば、莫大なコストをかけて採用した新入社員の離職にもつながりかねません。効果的な新人の人材育成を行えば、将来の自社の成長に非常に大きな成果を与えるでしょう。

ここで活用したいのが、「スキルマップ」と呼ばれるものの作成です。スキルマップとは、年次や役職によって必要なスキルや習得しておきたいスキルはどのようなものかを分析し、時系列で一覧できる表にしたもののことを指します。自社に適したスキルマップを作成することによって、体系的な教育制度を構築することが出来、社員の業務遂行能力を簡単に把握することが出来るようにもなります。

「入社〇か月の段階では〇〇のスキルを身に付ける」といったことが分かりやすい表の形で示されることによって、教育を行う社員側の負担も軽減されますし、教育を受ける社員も将来の明確なビジョンをもって研修などに取り組むことが出来るため、スキルマップは人材育成には必要不可欠とも言える要素です。

目標設定を明確にする

人材育成を行う際、その目標を明確に設定する必要があります。そこで役に立つ施策が「目標管理制度」と呼ばれるもので、目標管理制度とはグループ、または個人で目標を設定し、その達成度合いによって評価を決める制度です。マネジメントで有名な経営思想家であるピーター・ドラッカーが自著で提唱した組織マネジメントの概念のひとつです。

目標管理制度について重要なことは、「目標管理」は決して誰かから一方的に決められた目標の達成を目指すものではないということです。あくまで目標は社員が自ら設定し、上司はその適正度を確認して組織としての目標との連動を図りながら、達成に向けてサポートしていくという立場を取ることになります。
この制度の導入により、社員はただ受動的に教育を受けるのではなく自らが設定した目標に向けて努力していくことになるため、モチベーションを高く維持することができ、より良い人材育成が期待できます。また、自ら目標を設定しそれを達成するという行為そのものによって、社員の社会的責任や自発的な行動力、主体性などを成長させることも出来るでしょう。

このように、目標設定を明確にするために目標管理制度を導入することで、人材育成における様々な恩恵を得ることが出来ます。この制度によって効果的な教育を受けることが出来れば、将来的には会社のけん引力ともなり得る人材に成長させることが出来るでしょう。

OJTを導入する

人材育成には外部・内部の集合研修や自己啓発などの方法がありますが、中でもOJTを導入することで非常に効果的な人材育成を行うことが出来ます。OJTとは、「On the Job Training」の略称で、新人社員などに対して、実際に業務を体験させながら仕事を覚えてもらう教育手法です。

OJTはメリットとして、実務上で必要となる知識やスキルをその場でタイムリーに直接教えることが出来るため、実務能力を身につける効果が高いことや、相手に合わせて教え方を調整できることなどがあります。一方でデメリットとして、教育する人などによって指導にばらつきが出てしまうことや、現場の業務に対して負担が大きいことがあります。
OJTは企業における新人教育の主流と言っても過言ではないほど一般的なものですが、指導体制を整えた上で適切に実施されなければ、高いコストに対して十分な効果を発揮しなくなってしまう危険性を持っています。そのためOJTの導入の際は、人事担当者と現場での教育担当者が密接に連携し、目標設定やOJTと実務との時間配分、教育に対する意識の強化などを行うことで、適切な指導体制を整える必要があります。

人材育成のための研修

人材育成のために行われる研修には様々なものがあります。講師による集合研修やOJT、自己啓発などがその具体的な例です。これらにはそれぞれに育成対象として適切な分野があり、またそれぞれコストや現場への負担などの面でメリット・デメリットを持っています。

人材育成のための研修を行う際は、社員が各スキルを身に付けるにあたって、どのような育成手段を選択するのが最も効果的か、コストを抑えられるものは何かなどについて検討することが必要となるでしょう。

新卒から3年目に向けての研修

ここでは独立行政法人労働政策研究・研修機構による実際の調査「人材マネジメントのあり方に関する調査」(2014年)をもとに、役職や年齢層に応じてどのような育成方法が適しているのか、分析します。まず新卒から入社3年目、いわゆる若年層と言われる層に対してはどのような研修が求められるのでしょうか。

若年層の育成方法として活用されているものには「計画的・系統的なOJT」、「個別評価や考課など定期的な面談」、「企業が費用を負担する社外教育」などが主なものとして挙げられます。OJTは現場での仕事内容を教えるのに適した育成方法ですし、まだ企業に入って間もない社員に対して頻繁に面談を行うことは不可欠だと考えられるため、若年層に対してはこういった育成方法を活用していくと良いでしょう。

若年層への研修には様々な課題があります。例えば、採用段階では十分にその社員の情報がないために本人に合わせた育成方法が取りづらいこと、入社後ギャップで離職率が高まる危険性があることなどが挙げられるでしょう。これらを解消するために、若年層に対する研修は研修を受ける本人のモチベーションを高く維持できるようなものや成長を実感できるものなどが適しています。適切な目標設定や本人の特性に合わせたOJTなどに力を入れ、離職リスクを軽減しながらこれからの会社を担えるように能力を開発していくことが肝要です。

3年目以上の中堅社員に向けての研修

入社3年目以上、いわゆる中堅層の社員に対してはどのような研修が求められるのでしょうか。

中堅層の育成方法として活用されているものには、「個別評価や考課など定期的な面談」、「企業が費用を負担する社外教育」、「目標管理制度による動機づけ」などが主なものとして挙げられます。また、「出向などによる他企業との人事交流」や「事業所間の配置転換」など、大きく環境を変化させてキャリア形成を行うような人事異動も中堅層で多く行われているようです。

中堅層の社員は、適度に社内での実務経験を積んでおり新たに仕事を覚えるといったことが少なくなってくるため、若年層に比べて人材育成による成長が停滞することが多く、事実、中堅層の人材育成に課題を抱える企業は若年層と比べると多くなっています。そのため、目標管理制度を適切に利用してモチベーションを高めたり、人事異動による新たなキャリア形成を図ったりすることが適切だと言えるでしょう。

中堅層の社員の多くは若年層に比べると離職リスクが下がり、安定した業績を挙げられるようになっていきますが、一方で成長速度や向上心が低下していってしまうのも事実です。その特徴を理解した上で、適切にモチベーション管理を行い人材育成に取り組むことが重要です。

管理職育成に向けての研修

ある程度の実績を残しており、勤続年数を積み重ねている中堅層の社員は、将来会社を引っ張っていけるようなリーダー、次世代リーダーを目指すことになります。役職としては管理職を目指すことになるでしょう。ただし、次世代リーダーになるにはそれ相応の素養が必要不可欠です。その素養を磨くためにはどのような研修が求められるのでしょうか。

管理職の育成方法として、「部下を持たせること」「幅広い業務知識を蓄えさせること」「責任のある役職に就かせること」などが挙げられます。管理職に必要なスキルは業務遂行能力だけではなく、多くの社員をまとめ上げられるようなリーダーシップや責任感、自らの仕事以外の視点も考えられるような幅広い業務知識などと多岐にわたります。これらを磨き、育成するために、上記のような育成方法は適切だと言えるでしょう。

また、これらの素養は短期間の人材育成によって簡単に身に付けられるものではなく、長期にわたって育成を続けることで身に付けられる能力です。そのため、中堅層の社員に対しては、早い段階からOJTの教育担当や小規模なプロジェクトリーダーなどの比較的簡易な役職を任命し、だんだんと責任の大きな仕事を任せていくといったような段階的な育成方法を取ると、非常に効果的な人材育成を行うことが出来るでしょう。

人材育成をおこなうならタレントマネジメントシステムがおすすめ

人材育成を適切に行える組織風土を確立し、各々の社員の年齢や役職に合わせた適切な人材育成を行うことが出来れば、企業にとって「社員」という何物にも代えられない財産を手に入れることが出来ます。自社が長期にわたって成長を遂げられるために、より効果的で適切な人材育成を目指しましょう。

また、効果的に人材育成を行いたいのであれば、タレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。

人材育成を行うためのデータを蓄積していくことで、ひとりひとりに合った人材育成が可能になります。