人材育成におけるフレームワークの必要性とは?その手法と注意点を解説

人材育成におけるフレームワーク

企業の長期的な成長のためには『人材育成』が不可欠です。その手法には研修を行うものや自己啓発、OJTによるものなどがあります。本記事ではフレームワークを活用した『人材育成』の手法をご紹介し、その必要性と注意点についても解説します。

人材育成の目的

そもそも企業にとっての『人材育成』の目的とは何なのでしょうか。ここでは大きく分けて2つをご紹介します。

経営目標達成

会社の経営において目標を達成することは、組織全体の利益を上げるために非常に重要なことです。目標の達成には経営手腕に頼るだけではなく、社員たちの働きや役割も欠かせません。一人ひとりの生産性を高めるための育成を行なったり、研修の実施によって学びの機会を与えることで、社員の成長に繋がります。従って、結果的に企業の経営目標が達成されるというわけです。


社員のやる気向上

『人材育成』は社員のやる気を引き出すことにも繋がります。社員の能力を高めるために様々な研修の機会を設けるので、それを通じて習得したスキルを上司から認められることでモチベーションが向上します。社員のモチベーションが向上すると、一人ひとりの生産性が高まるので、1つ目の経営目標の達成にも役立つでしょう。

人材育成のフレームワークの必要性

人事の実務には、短期・中期・長期の業務と課題が存在します。それぞれ重要ですが、すぐに結果や結論が出る短期の仕事とは違い、中期・長期の業務と課題には、最適で明解な施策や対策、正解は存在しません。なぜなら将来は未確定であるからです。

そのような中でも、企業は中期・長期、将来のビジョンや目標達成のための戦略が必要になります。中期・長期の人事戦略は、企業を取り巻く環境の変化に対応できるものでなければなりません。そこで解決策として活用できるのが、人事戦略の枠組みとなるフレームワークなのです。


人材育成におけるフレームワークの手法

ここからは実際に用いられることの多いフレームワークを7種類ご紹介します。

70:20:10フレームワーク

人が何によって成長するかを表す時に使われるフレームワークで、70%は「経験(仕事を通じての学習経験)」、20%が「薫陶(人を介しての学び)」、10%が「研修(正式なトレーニング)」というものがあります。

人が成長するには「経験」が大事であり、特にリーダーシップ開発においては、成長に有効な経験を積める職場であるかどうかが大きな差を生み出します。


カークパトリックモデル

アメリカの経営学者のカークパトリック博士が1959年に提案した教育の評価法のモデルです。教育の評価は、教育プログラムの改善や教育品質、効率向上のために重要であり、カークパトリックの4段階評価法が世界的に定着しています。

4段階モデルは、「レベル1:Reaction(反応)」「レベル2:Learning(学習)」「レベル3:Behavior(行動)」「レベル4:Results(業績)」から構成されます。

レベル1、2は多くの企業が研修実施時に評価を実施し、評価結果を次回の教育プログラムの改善や効果測定に役立てています。レベル3、4はそのプログラムを継続するかどうかを決めるときの統括的評価に用いられる。


カッツ理論

カッツ理論とは、様々な職種に必要な能力は3種類のスキルがあり、職層の違いによって必要なスキルの比率が変化していくという考え方です。

カッツ理論の3つのスキルとは、「テクニカルスキル(専門能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」です。

「必要なスキル = それに伴う教育」なので、カッツモデルを使うと「人材育成の指針」が立てやすくなります。


SMARTの法則

SMARTの法則とは、目標の作り方のことです。

SMARTとは、「Specific(具体的、分かりやすい)」「Measurable(計測可能、数字になっている)」「Achievable(同意して、達成可能な)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限が明確、今日やる)」それぞれの頭文字を取った言葉で、これら5つの要素は目標を達成し成功をつかむための5因子とされているのです。

SMARTの法則は、目標達成の精度を格段に高めてくれる力を持っています。SMARTの法則を知っておくと、目標設定や目標達成に活用できるでしょう。


HPI(Human Performance improvement)

人材のあるべき姿と現状のパフォーマンスギャップを洗い出し、根本的な原因分析を行い、現状とのGapを埋める適切な介入策を検討・選択・実行し、実行結果を評価測定するシステム的アプローチです。

HPIでは以下の5つのステップを実施します。

ステップ1では、達成したいゴール(業績・成果)と実施するプロジェクトの範囲の明確化します。

ステップ2では、個人・組織・業務プロセスという枠組みで何を変える必要があるか、課題を探ります。

ステップ3では、システム的な視点から組織を俯瞰し、さまざまな解決方法を幅広く検討します。

ステップ4では、設計開発した一連の施策の実行と維持を行います。

ステップ5では、ゴールに対する効果を測定し、再度ギャップを解消するために施策を修正します。


氷山モデル

物事の全体像を見て、働き掛けを考えるために有効なフレームワークです。

みなさんがご存知の「氷山の一角」という表現があるように、海に浮かぶ氷山は、その9割は海中に隠れていて、1割ほどが海面から顔を出しているだけです。氷山モデルは、目に見える1割だけではなく、目に見えにくい9割にも意識を向けるための地図のようなものです。

氷山モデルでは、私たちの経験する現実を、「①できごと」「②変化のパターン」「③システム構造」という3つの階層で捉えていきます。


思考の6段階モデル

思考の段階を6つに分類し、各段階の能力を高めるトレーニングが、教育において必要だとする考え方です。6つのリストとは、「知識」「理解」「応用」「分析」「統合」「評価」から成ります。

人材育成のフレームワークを活用する際の注意点

ただ闇雲にフレームワークを活用すればいいわけではありません。ここでは、注意点を2点解説します。

現場の状況・育成効果の把握

実際の業務を行う場面に則した人材を育成できなければ、十分な効果が発揮されません。また、その人に合ったフレームワークを活用することで効率的な育成ができるということを覚えておきましょう。

そのためにも現場の状況と育成効果を把握しておくことは、企業にとって非常に重要なことです。


フレームワークをひとつの手段として考える

ここまでフレームワークの必要性について書いてきましたが、そればかりに頼ってしまうことも避けなくてはなりません。型にはめることで、かえって社員の柔軟性が損なわれてしまう可能性があります。フレームワークは、あくまで育成の1つの手段として考えるようにしましょう。

人材育成のフレームワークを活用するためのコツ

どのように活用すれば効率的なのか解説しましょう。

アウトプットから逆算

「実際の業務を行う場面で必要なスキルは何か?」というところから考えた上で、社員に合ったフレームワークを考えるのがコツです。結果から逆算して行うことで、不要な時間と労力をかけてしまうことを避けます。


実践の繰り返し

『人材育成』による結果を頭の中だけで想定したとしても、必ずしも望んだ結果になるとは限りません。まずはフレームワークを実践し、修正できるポイントはその都度変更し、最終的な高い完成度を目指すと良いでしょう。


アレンジ

必ずしも既存の方に当てはめる必要はなく、自社オリジナルの型にアレンジしてみるのも1つの手です。この際、短期的な結果を追い求めてしまうようなアレンジをするのではなく、あくまで長期的な経営を目的とした工夫をするようにしましょう。

まとめ

『人材育成』の手段として、いくつかのフレームワークの手法をご紹介しました。必ずしも正解というものはないので、自社に合うと感じたものを選び、育成のプロセスの中でカスタマイズしてみるのも良いでしょう。