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業務効率化の目的とメリットとは?業務改善が期待できる具体的な方法も解説!

業務効率化の目的とメリットとは?

少子高齢化による労働人口の減少から、企業は業務効率化を考える必要に迫られています。限られた人材でいかに効率的に業務を進めていくかは、企業の規模を問わず課題となっていることでしょう。

今回は、業務効率化とは何かという前提から、その目的と得られるメリットを紹介します。さらに、実際に自社で業務効率化を図る際の参考となる具体的な進め方も解説します。

業務効率化とその目的

定義と目的を解説します。

業務効率化とは?

社内の業務を効率的に進められるように、業務フローの見直しや改善を行うことを「業務効率化」と言います。ある一つの仕事にかける人的コストや時間的コストの削減に取り組むことで生産性の向上や職場環境の改善につなげられます。

業務効率化を進める場合に着目するのは、「ムリ・ムダ・ムラ」の3点です。

  • ムリ

業務負荷や業務時間から考えて、実行不可能な仕事量やスケジュールの業務はないか。

  • ムダ

本来必要のない業務であり、時間の浪費につながっている業務はないか。

  • ムラ

部署単位、従業員個人単位で見た時に、どこかに業務負荷が偏っていないか。

これら3点を踏まえて業務を見直し、本当に重要な業務を適切な人数とスケジュールで進められるように調整することが重要です。

業務効率化の目的やメリット

一般的には「生産性向上と利益増加」を目的としています。企業によって目的は異なりますが、多くの場合は業務改善によって会社の成長を期待しています。他の目的としては、従業員のワークライフバランスの実現や、昨今日本政府が推進している「働き方改革」への対応、従業員の満足度アップなどがあります。

目的の本質は「コスト削減」ではなく、「利益の増加」である点に注意しましょう。業務効率化を検討する企業は、人員追加や設備投資ができずに機会損失が生じている場合もあるのでコスト面に着目しやすくなります。しかし、会社経営陣からの一方的なコスト削減策は従業員の業務負荷増大や満足度低下につながる恐れがあります。企業全体が良い雰囲気で業績向上を実現できるような配慮が重要です。

正しく業務効率化ができれば、以下のような多くのメリットが得られます。

  • 会社の業績アップ
  • 生産性向上
  • 従業員の労働時間減少
  • 人件費コスト削減
  • 従業員満足度アップ
  • 優秀な人材の流出防止&定着率アップ
  • モチベーション向上

業務の「ムダ」を省くことで従業員の労働時間が減ると、残業時間が減るため人件費の削減が期待できます。「ムリ・ムダ・ムラ」のない働きやすい職場であれば、従業員はモチベーション高く働き続けることができ、会社に定着することになります。業務効率化は会社全体に良い影響をもたらし、会社の発展に役立つ方法だといえるでしょう。

業務効率化で得られる効果

3つの効果を紹介します。

時間的工数の削減

大きな効果の一つは「時間的工数の削減」が期待できる点です。業務にはそれぞれ必要な工数があり、工数が多いほどに時間もかかるものですが、業務効率化によって工数削減ができれば時間的コストの削減にもつながります。また、時間的コスト削減は人件費にかかる費用も削減できる点で非常に効果的だといえるでしょう。

例えば事務作業でデータ入力がルーティンになっていた場合、システムを導入することで業務の自動化ができます。それによってデータ入力を担当していた従業員の勤務時間をより実益のある業務にあてられるようになるでしょう。さらに、自動化によって業務時間が短縮されるため、従業員にとっても残業がなく働きやすい職場になるという効果があります。

社員のモチベーション向上

「社員のモチベーション向上」もまた、業務効率化で得られる効果です。業務効率化を図ると、残業時間の短縮、業務負荷の偏り改善、適切な業務量とスケジュール設定など、従業員一人ひとりが過剰な負担なく働ける環境を整えることができます。

快適な職場環境があると従業員は、ONとOFFのメリハリができて生産性の高い仕事に集中して取り組めるようになります。モチベーション高く仕事に向き合えると、会社の生産性も向上して業績アップが見込めるのです。

社員のやる気を引き出して質の高い仕事ができる環境が整えば、従業員の満足度や離職率の低下および定着率の上昇などの効果も期待できるでしょう。

事業拡大への投資が可能

業務効率化の一般的な目的が「利益増加」であったように、業務効率化によって会社はコスト削減と利益の増大が実現できるでしょう。3つ目の効果として、この増えた利益をもとにした「事業拡大への投資」が可能になります。利益だけでなく時間的リソースも作り出せるため、十分な資金と時間を投入する余裕が生まれるのです。

時間がなくて二の足を踏んでいた事業や、やりたくても資金がなくて挑戦していなかった事業に取り組めることになるので、会社規模の拡大や新事業の展開など、会社が大きく発展するきっかけにもなり得るでしょう。

業務効率化の具体的方法

具体的な5つの方法を紹介します。

業務マニュアルの作成

業務内容が簡単だからと先輩から後輩へ、口頭のみで引き継ぎを行っている業務があるなら「業務マニュアルの作成」を行うと業務の効率化が期待できます。業務の進め方や、業務上の注意点やルールなどをまとめてマニュアル化することで、業務が標準化されるでしょう。

「分からないことがあったらマニュアルを見れば誰でもその業務ができる」状態になると、従業員一人に業務負荷がかかる事態も避けられます。さらに、丁寧な研修を実施したり他の従業員に質問したりする時間がなくなるため、部署全体の業務効率化が実現できます。

業務マニュアルは作成自体には手間と時間を要しますが、一度作成したら大幅な変更がない限りは軽微な修正で使い続けられます。口頭で伝えたり都度調べたりするよりも時間的・人的コストが削減できるので、まずはマニュアルを作成すると良いでしょう。

アナログ業務の自動化

「アナログ業務の自動化」も有効な方法です。日々の業務の中には、機械的にデータを入力するだけの事務作業や、複雑な計算など、システムやソフトに任せて自動化できる業務もあります。

特に、ルーティンとなっている業務は自動化しやすいため導入による効果は大きいでしょう。自動化によって浮いた従業員の時間は別の業務のために使うことができますし、その分残業時間も減ります。システムやソフトの導入のためには費用等が必要ですが、長期的には利益につながるため、積極的に自動化に取り組むと良いでしょう。

例えば、エクセルのマクロを活用したり、業務自動化に特化したRPAツールを活用したりして、数値の自動入力や、月末の請求書等の書類の一斉送信、書類の必要事項記入など幅広い業務が自動化できます。

タスク管理

「タスク管理」も業務効率化のための方法です。業務内容に合わせて「どんな作業(タスク)があるか、どの順番にいつまでにやるとスムーズか」を明らかにして管理します。一つの業務フローの中でどの工程を誰が担当しているのか、完了予定日がいつなのかを一元管理できるため、管理者にとって進捗管理が容易になるでしょう。従業員も締切やその後の流れが意識できるため、業務の遅れが発生しにくく、かつ遅れに気づきやすくなります。

タスク管理は、複数のタスクを抱えている場合に特に有効です。優先順位を決めて業務を進めることで効率的に必要な業務を終えられます。

会議時間の見直し

1日のうちに数回行われるパターンもある会議ですが、その会議時間が「ムダ」ではないか確かめましょう。定期的に行われる会議や報告会などは、古くから続いているからと儀礼的に開催されているケースも少なくありません。

会議時間を定めたり、会議を開催する必要性を検討してみると時間的コスト削減につながります。また、会議のための資料作りも必要なくなるので業務効率アップが見込まれます。

外部サービスの利用

単純作業やマニュアルがあれば理解できる業務は、人材派遣やアウトソーシングサイトなどの外部サービスを通して外注するのも良いでしょう。従業員により重要な業務を任せ、外部に保守的な業務を任せるのです。

また、専門的な知識が必要な業務であっても、その道のプロに委託すれば解決するでしょう。外部委託費用が必要になりますが、空いた時間が他の業務に使えるので結果的に業務効率化が実現できます。

まとめ

業務効率化は一般的に、「生産性の向上と利益増加」を目的に行われます。コスト削減を目的にせず、会社の成長のために行うのだと認識することが重要だといえるでしょう。適切に業務効率化のための業務改善を行うことで、利益増加だけでなく従業員のやる気の維持や離職率の低下なども期待できます。

業務効率化のための方法はいくつかありますが、はじめからすべて導入する必要はありません。会社の現状に合わせてより適切な方法を実践していくと良いでしょう。