コラム

人事関連でお役に立つ情報を掲載しています。ぜひご活用ください。

  1. トップ
  2. コラム
  3. 人事労務・人事制度
  4. DXとは?注目されている理由と働き方改革との関連性を解説

DXとは?注目されている理由と働き方改革との関連性を解説

コロナウイルスの感染により、世界中の企業はリモートワークという新しい働き方に切り替えるきっかけが生まれました。これは以前に進められてきた働き方改革の1つの要素でもあります。その他にもフレックスタイム制度や短時間勤務など、時代の流れに適した勤務形態の幅も広がりつつあります。

これらの働き方をさらに不自由なく行うためには「DX」を推進する必要があるでしょう。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、社会における活動や業務に対して新しい技術を取り入れ、デジタル化を推進しようという取り組みを指します。もともとはビジネス面だけではなく、プライベートも含めてデジタル化を推進させる流れでした。しかし、現在ではビジネスの場面で使用されることが多いです。

DXにはいくつかの要素があり、それが「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」というものです。その2つを細かくすると以下の3つのシステムで構成されています。

  • SoR
  • SoI
  • SoE

SoR(System of Record)とは、記録・管理を行うためのシステムです。今までの業務プロセスや活用しているITを管理し、今後の企業の生産性を高めるためには欠かせないものといえます。

SoI(System of Insight)とは、顧客や取引先のインサイトを理解するためのシステムです。これまでに積み重ねてきたデータを分析することで、新しい施策や質の高い戦略の実行が可能となります。

SoE(System of Engagement)とは、顧客や取引先とのつながりを強固にするために必要なシステムです。相手から得た情報を管理し、それに基づいてコミュニケーションを円滑に行うことで、信頼性や顧客体験の向上につなげます。

このように、3つのシステムがあってはじめてDXの実現が期待できます。

DXが注目される理由

DXはここ最近注目されるようになりましたが、その背景にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではその理由について説明します。

インターネットの普及とサービスの増加

最初にあげられるのが、インターネットが浸透してきたことと、DXを中心としたサービスが豊富になった点です。10年ほど前は折りたたみ式の携帯が普通でしたが、現在ではスマートフォンが当たり前になりました。そして同時に回線やWi-Fi環境も普及してきたため、飛躍的にデジタル化が進んでいることがわかります。

その結果、普段の生活でも当たり前のようにデジタルを活用したDXサービスが多く取り入れられるようになりました。今まで企業が行う業務のデジタル化はコストがかかり、多くの投資額が必要でした。しかし新しい技術が進化していった関係で、大企業でなくとも中小企業や個人でも十分に活用できるような環境が整えられています。

2025年の崖の影響

もう1つの理由として「2025年の崖」の影響があります。これは2018年に経済産業省が報告した、今後日本の未来で起こりうる課題点のことです。

端的に要約すると「日本がこのままDXを推進せずに2025年をむかえた場合、多く見積もって年間12兆円の損害が発生する」ということです。これを裏付ける背景として、日本には以下のような問題が起きています。

  • ITシステムの老朽化
  • 古いシステムをメンテナンスできる人が減った
  • 古いシステムの保管によるコストの圧迫

DXが進んでいないと既存のITシステムは徐々に老朽化していき、企業としては非効率的な業務を行うことになります。そして時代とともに古くなったシステムを修理できるエンジニアは減少傾向なので、次第にブラックボックスとなりメンテナンスが困難になります。

また古いシステムの維持・修理にはコストが大きくかかり、保有しているだけでも予算が圧迫する原因となるのです。

このような事態を防ぐためにDXが注目され、多くの企業が取り入れるようになりました。

国内企業の成長力や競争率の低下

以前まで日本は、世界の中でもトップレベルの成長力や経済力を持っていました。しかし現在は徐々にレベルが下がり、代わりに他の国が高い成長力・経済力を持ちはじめています。これは、他の国が日本以上にDXを積極的に取り入れていることが理由の1つです。

実際に現在経済力が伸びている国は、飛躍的にデジタル化が広がっています。日本はあまりDXが進んでいなかったこともあり、他の国との競争に遅れをとった結果、国としての地位が低下しはじめています。この状況を打破するために、日本でDXを推進しようという動きがみられているのです。

これほどデジタル化の影響は大きく、今後もさらなる技術が早い段階で取り入れられることになるでしょう。日本が新しい技術を早期に導入すれば、成長力や経済力が再びトップレベルになる可能性もあります。

このように、時代の流れや他の国との競争など、さまざまな理由がきっかけでDXが注目されていることがわかります。

働き方改革とは

働き方改革とは、仕事だけではなく、プライベートの時間もバランスよく充実させるための取り組みであり、DXと同様に注目されています。この取り組みは以下のような制度を普及させた1つのきっかけでもあります。

  • リモートワーク
  • フレックスタイム制度
  • 短時間勤務
  • 産休・育休制度

実際にこのような制度を取り入れている企業は増加傾向にあり、労働だけでなくプライベートも尊重するようになっています。柔軟な勤務形態のある企業は労働者にとって魅力的でもあるため、質の高い人材を確保しやすかったり、離職率が低下したりなどの効果も期待できるでしょう。

またリモートワークの普及で、どこでも働ける時代になったことはDXが進んだことが大きいです。働き方改革はDXを推進する1つの方法でもあり、今後も企業に新しい変化をもたらす重要な役割になっています。

働き方改革とDX推進の実現をするために

働き方改革とDXの進化を続けていくためには、今後どのようなことを実行すべきでしょうか。ここではその具体的な流れについて説明します。

ロケーションフリー

どこにいても仕事ができるような環境を作り、コロナウイルスによる感染を防ぎながら企業を継続させる段階を目指します。現在では感染拡大を防ぐために、リモートワークでの仕事が当たり前になってきました。そのためパソコンのセキュリティ環境の強化はもちろん、自宅でもオフィスと変わらないパフォーマンスを発揮できるような工夫が必要となりました。

この段階を成功させるには、設備の用意に必要な手当や補助金、そして自宅勤務で発生する問題の適切な対応策が求められます。これらの対応策として、以下の取り組みがあげられます。

  • デスクトップの仮想化
  • アカウント管理の効率化

デスクトップ環境を拡張すれば、ネットに接続するだけでどこでも仕事が行えます。これによりセキュリティ面に心配のあるリモートワークだけでなく、自身のデバイスを仕事に活用する「BYOD(Bring Your Own Device)」でも活用できるでしょう。

また企業で利用するサービスの数が多いと、ログインに時間がかかり、セキュリティ上の問題も発生しやすいです。それぞれのIDをまとめて管理しておけば、サービス利用時の利便性も高まり、セキュアな利用が可能です。

情報共有/連携

この段階では求めている情報を取り入れつつ、うまく活用させるための環境を整える段階です。たとえば、リモートワークで仕事をしていてもオフィスに出向かないと確認できない資料があると、効率的に業務が行えません。出社しなくても問題ないような環境を整えなければ、DXの意味がありません。

この問題点を解決するためには、企業内の情報を確認してデジタル化を進めていく必要があります。そのためには、同じチーム内で資料・情報を共有するだけでなく、他のチームともまとめて連携できるシステムを整えることが大切です。対応策として、以下の取り組みがあげられます。

  • コミュニケーションツールの活用
  • セキュリティ面の強化

気軽にチャットができるような企業内専用のツールを使うことで、あらゆるやり取りの効率化が可能です。自分の手元にはない資料や情報も簡単に共有ができるので、スムーズな作業が実現できます。また取り扱う情報が多ければ多いほど情報漏洩のリスクが高まるので、複数認証のあるツールを導入してセキュリティ面の強化を行いましょう。

生産性向上

チーム間の隔たりを排除し、お互いが連携できるような働き方を作って生産性向上を図る段階です。この段階になると、デジタル化が進んだ企業では、業務プロセスをどのようにつないでいくのかを考える必要があります。

たとえば、ある情報をもとに案件を作るとしたら、その企画内容を技術職に伝えて実行します。そのときの過程をデジタル化して共有すれば、プロジェクト進行を阻害することなく生産性の維持、あるいは向上が可能です。この流れを作ると同時に、人事制度や従業員のケアについて見直す必要もあります。この段階の対策としては以下のとおりです。

  • 業務過程の可視化
  • 業務のデジタル化

業務内容を洗い出して整理することで、全体の可視化につながります。可視化されたプロセスを共有しておけば、より連携がスムーズとなるでしょう。またデジタル化でデータの蓄積が可能となり、今後の効率的な業務改善が期待できます。

DXの実現

最後はDXの実現により、今後のビジネスとしての進化を促す段階です。この段階では企業内だけでなく、顧客を考えながら進めていく必要があります。既存の事業も併行して行いつつ、デジタル化をうまく利用した戦略を実行していきます。これは企業内のIT部門が行うのではなく、経営者自身が方針を決めて展開していくべきです。

DXの実現を成功させるための対策には、今までの縦割り組織ではなく、横の広がりを持った構成が求められます。これは部署に限定しているわけではありません。企業内のすべての活動を見直し、顧客の満足度を高められるような下地を構築することで、最終段階の成功につながります。

DXの実現で、働き方を柔軟に

DXの推進は日本の経済的な問題の解決だけでなく、世界各国との成長力・競争力を高めるためには必要不可欠な取り組みです。しかし企業の働き方をデジタル化することで、いくつかの問題も浮き彫りになっていきます。その課題を達成するためにも、いくつかの段階に分けた対応策を実施することが大切です。またDXの推進は働き方改革を進めることにもつながるので、両方の視点を持って進めていきましょう。